- 更新日 : 2018年9月18日
労働保険への加入方法
労働保険(労災保険と雇用保険)への加入方法を知っていますか?ここでは、労働保険に加入するため手続き、労働保険の加入に必要な各種届出、申告書の主な内容について解説します。
目次
労働保険へ加入するための手続き
労働保険料の徴収に関しては、すべての事業を一元適用事業と二元適用事業とに分けて処理します。そして、加入手続きに関してもそれぞれ違った手順が必要です。それぞれの場合別に、労働保険加入の手続きについて紹介します。
一元適用事業
一元適用事業には、農林漁業、建設業以外の一般的な事業が当てはまります。一元適用事業の場合は、労災保険、雇用保険の申告と納付をまとめて、つまり一元的に行います。加入のために行う手続きは以下の通りです。
1.保険関係成立届を提出する
保険関係が成立した日から10日以内に、労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出します。
2.概算保険料申告書を提出する
保険関係が成立した日から50日以内に「概算保険料申告書」を提出します。なお、この手続きは、1の手続きと同時に行うことも可能で、その場合の提出先は労働基準監督署となります。同時に行わない場合には、労働局か金融機関(銀行や郵便局など)でも受け付けています。
3.雇用保険適用事業所設置届を提出する
事業所を設置した日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。なお、この手続きは1の手続きが終了していれば、2の手続きが済んでいなくても行うことができます。
4.雇用保険被保険者資格取得届を提出する
被保険者資格を取得した事実があった日の翌月10日までに、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。例えば、5月20日に被保険者資格を取得した事実があった場合、手続きの期限日は6月10日です。なお、この手続きは1の手続きが終了していれば、行うことができます。
二元適用事業
二元適用事業には、農林漁業や建築業などが含まれます。二元適用事業では、雇用保険と労災保険の適用方法が異なるため、申告や納付を別個に行う必要があります。以下で、二元適用事業の労働保険の加入の手続きを、雇用保険、労災保険に分けて説明します。
労災保険の手続き
1.保険関係成立届を提出する
保険関係の成立日から10日以内に、労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出します。
2.概算保険料申告書を提出する
保険関係が成立した日から50日以内に「概算保険料申告書」を提出します。なお、この手続きは、1の手続きと同時に行うことも可能で、その場合の提出先は労働基準監督署となります。同時に行わない場合には、労働局か金融機関(銀行や郵便局など)でも受け付けています。
雇用保険の手続き
1.保険関係成立届を提出する
保険関係の成立日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に「保険関係成立届」を提出します。
2.概算保険料申告書を提出する
3.保険関係の成立日を起算日として50日以内に、所轄の都道府県労働局もしくは金融機関(銀行、郵便局など)に「概算保険料申告書」を提出する
なお、この手続きは、1の手続きと同時に行うことも可能です。
4.雇用保険適用事業所設置届を提出する
事業所を設置した日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。なお、この手続きは、1の手続きと同時に行うことも可能です。
5.雇用保険被保険者資格取得届を提出する
被保険者資格を取得した事実があった日の翌月10日までに、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。なお、この手続きは、1の手続きと同時に行うことも可能です。
労働保険へ加入するために必要な書類
ここで、上記の労働保険加入の手続きに必要な書類について紹介します。
保険関係成立届
保険関係成立届は、保険関係が成立した後に提出する書類で、保険関係の成立日や成立日から保険年度末までの賃金の見込み合計額などを記入します。記入例は以下の通りです。(クリックで拡大)
概算保険料申告書
労働保険料は、年度分の賃金の予定額をもとに先払いします。そのため、この概算保険料申告書では、支払うべき労働保険料を概算して求め、申告します。記入例は以下の通りです。(クリックで拡大)
雇用保険適用事業所設置届
雇用保険適用事業所設置届は、事業所の名称、所在地や労働保険番号などを記入し、ハローワークに提出する書類です。記入例は以下の通りです。(クリックで拡大)
雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格取得届は、雇用保険の被保険者として、その要件に確かに該当していることを届け出る書類です。記入例は以下の通りです。(クリックで拡大)
まとめ
労働保険への加入方法について説明しました。書類によって、記入方法、提出先、提出期限などが異なりますので、正しく提出できるように気をつけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
生活保護を受けていても社会保険に加入できる?会社の対応方法
日本では、貧困化が進んでいるといわれています。厚生労働省「被保護者調査」によると、令和6年7月分ですと、生活保護の被保護実人員は2,013,327人となっています。 生活保護における扶助は衣食住がよく知られていますが、医療などの社会保険はど…
詳しくみる健康保険の限度額とは?医療費が高額になった時
健康保険には限度額が定められており、医療費が高額になり自己負担限度額を超えた場合は高額医療費として払い戻しを受けることができます。事前に健康保険限度額適用認定証の交付を受けている場合は、外来受診時や退院時の支払いは自己負担限度額までです。こ…
詳しくみる年金の3階建てとは?1階・2階との違いなどをわかりやすく解説!
年金制度の仕組みは建物の構造に例えられ、日本は2階建てや3階建てであるといわれます。国民年金と厚生年金で構成される公的年金が2階建てになっていて、その上に私的年金を積み上げることで3階建てになります。個人型確定拠出年金を正式名称とするiDe…
詳しくみる雇用契約を民法と労働契約法で比較してみました
雇用契約とは、民法第623条で定められている役務型契約の1つです。民法で定められている雇用契約は諾成契約といって、双方の合意があれば必ずしも書面で契約を交わす必要はないとされています。 しかし労働形態が多様化されるに伴い労使間のパワーバラン…
詳しくみる障害者雇用とは?制度の概要や一般雇用との違い
障害者雇用とは、障害者雇用促進法に定められた障害者の安定就労を目的とした制度です。この制度により、会社は一定割合以上の障害者を雇用する義務があります。本記事では、障害者雇用制度の概要、障害者雇用率や企業側の義務などに加え、障害者雇用枠で働く…
詳しくみる労働災害(労災)とは?種類や対策について解説!
企業の人事担当者にとって、労働災害の発生は避けられない課題の一つです。予期せぬ事故はいつでも発生する可能性があり、その際には迅速かつ適切な対応が求められます。本記事では、労働災害に関する基本知識から、発生時の法的責任、対応手順に至るまでを詳…
詳しくみる