- 更新日 : 2021年9月21日
雇用保険の計算方法

失業した際や、職業訓練を受ける際に給付を受けられる雇用保険ですが、その雇用保険料はどのくらいかかるのでしょうか? ここでは、雇用保険の計算方法について、具体例をあげて説明します。
目次
雇用保険の支払い者とは
雇用保険料の支払い者は、事業主と労働者の両者です。事業主は、雇用保険二事業分の雇用保険料を負担するため、労働者よりも多く支払います。
事業の種別により異なる雇用保険料
下記の雇用保険料率表からもわかるように、雇用保険の料率は事業の種別により異なります。雇用保険料率を決定する事業は次の3つです。
- 一般の事業(農林水産、清酒製造、建設以外)
- 農林水産、清酒製造の事業
- 建設の事業
一般の事業は、記載の3つの事業に比べて保険料率が低く設定されています。それは、農林水産業、清酒製造業は季節によって仕事量が異なるので、就業状態が安定しないこともあり失業保険の給付を受ける割合が多いとされているからです。
同様に、建設業もプロジェクトが終わると失業するといった場合があるため、雇用保険料率を上げることで、一般の事業を行う労働者との公平性を保っています。
雇用保険料の計算方法
雇用保険料は、雇用保険料率×賃金総額で求められます。「賃金総額」とは毎月貰う賃金の総額を指し、通勤手当や深夜手当などの各種手当や賞与も含まれます。
雇用保険料の計算では、厚生年金保険や健康保険の計算に用いる「標準報酬月額」とは異なり、「賃金総額」であるため注意が必要です。なお、雇用保険料率を決定する際は、以下の雇用保険料率表を用います。
参照:令和3年度の雇用保険料率表|厚生労働省(PDF)
ここで、詳しい算出方法の手順を紹介します。
労働者の負担分の計算方法
- 雇用保険料率表で保険料率を調べます。従業員が負担する部分の雇用保険料率は「労働者負担」欄です。「該当する事業の種類」の「労働者負担」欄を確認し、保険料率を調べます。
- 労働者の賃金総額に1で決定した保険料率をかけて雇用保険料を算出します。
算出された雇用保険料に1円未満の端数が生じた場合には、50銭以下を切り捨てし、50銭1厘以上を切り上げた金額を給与から控除します。
なお、雇用保険料を現金で支払う場合や慣習的に異なる方法を採っている場合は、この通りではありませんので、勤務先に確認しましょう。
事業主の負担分の計算方法
- 雇用保険料率表で、「事業主負担」と「該当する事業の種類」が交差する枠から保険料率を決定します。
- 労働者の賃金総額に1で決定した保険料率をかけて雇用保険料を算出します。
雇用保険の計算方法の具体例
ここで、上記で説明した雇用保険の計算方法について、具体例を数例説明します。
一般の事業に従事し、賃金総額が30万円の場合における労働者負担分の計算方法
- 雇用保険料率表の「労働者負担」と「一般の事業」の交差部分より、雇用保険料率が「1000分の3」と決定されます。
- 「雇用保険料=賃金総額×雇用保険料率」にあてはめ、30万円×1000分の3=900
よって、この場合の雇用保険料は900円となります。
建設業に従事し、賃金総額が35万9,800円の場合における労働者負担分の計算方法
- 雇用保険料率表の「労働者負担」と「建設の事業」の交差部分より、雇用保険料率が「1000分の4」と決定されます。
- 雇用保険料=賃金総額×雇用保険料率にあてはめ、35万9,800円×1000分の4=1439.2
1円以下の金額が20銭であるため、切り捨てを行い、雇用保険料は1,4392円となります。
農業に従事し、賃金総額が20万円である人に対する事業主の負担分の計算方法
- 雇用保険料率表から、「事業主負担」と「農林水産の事業」の交差部分から、料率が「1000分の7」と決定されます。
- 雇用保険料=賃金総額×雇用保険料率にあてはめ、20万円×1000分の7=1,400
よって、この場合に事業主が支払う雇用保険料は1,400円となります。
雇用保険料率表を使って正しく雇用保険料を算出しよう
雇用保険の計算方法についてまとめました。事業の種類により雇用保険料率が異なるため、従事する事業がどれにあてはまるのかを確認しましょう。また、計算に用いる「賃金総額」は、健康保険料や厚生年金保険料の決定に用いるものとは異なるため注意が必要です。
よくある質問
雇用保険の支払い者は誰ですか?
事業主と労働者の両者です。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険料はどのように求めますか?
労働者の賃金総額に雇用保険料率をかけて求めます。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険料率はどこで調べられますか?
厚生労働省が公表している雇用保険料率表から求めます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。