- 更新日 : 2024年9月4日
打刻をする意味とは?打刻漏れした時のリスクや対応を解説!
出勤時間・退勤時間の正確な把握は、法律を遵守した勤怠管理に欠かせません。タイムカードやICカードを利用した打刻などによる客観的な記録で時間管理を行うことで、従業員の労働時間を正確に把握することができます。
ここでは、打刻の意味や打刻の重要性といった基本知識から、勤怠管理に適した打刻方法について解説します。
目次
そもそも打刻とは?定義や意味について
打刻とは、勤怠管理上必要な出勤・退勤等の情報を、タイムレコーダーなどを使用して記録することを意味します。以下で、打刻の定義や打刻をする理由について解説します。
打刻の定義
「打刻(だこく)」とは、そもそもタイムカードなどに出勤時間や退勤時間の時刻を印字する行為を意味します。一般的には、「出社時間をタイムカードに打刻する」という使い方をします。
打刻をする意味・理由・必要性
打刻は、会社が従業員の勤務時間を正しく把握するために行います。残業代や割増賃金なども含め、働いた時間に対する賃金を正しく計算するためには、その前提となる労働時間を記録しておかければなりません。
従来、タイムカードなどを用いて出勤・退勤の時間を打刻し、労働時間を集計してから給与計算をするやり方が一般的でした。近年はデジタルツールの普及にともない、従業員がスマホやPCを用いてより簡単に打刻ができるだけではなく、給与計算まで一連の流れで行えるシステムも普及しています。
法改正による打刻の重要性の増加
近年の法改正で、企業が正確な勤怠管理をすることの重要性が増しています。たとえば、2019年からはじまった働き方改革では、時間外労働の上限が明確に法律に規定されました。36協定に定めた延長することができる時間を超えた時間外労働が発生すると、労働基準法第36条違反として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、年5日の年次有給休暇取得の義務化も忘れてはなりません。正しく管理するためには、対象となる従業員の有給休暇の取得日数を把握して、適正に管理しなければなりません。これらの法令に則った勤怠管理を実現するためにも、労働時間の打刻が重要となります。
打刻のやり方・手段 – 各手段のメリット・デメリット
企業で採用されている主な打刻の方法と、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
エクセル
エクセルは、出勤時刻・退勤時刻の打刻情報をもとに勤務時間を計算するのに適した手法です。従業員が入力した時間から、労働時間の集計や給与計算を簡単に行えます。表計算ソフトであるエクセルは、関数やマクロを利用することで給与計算に柔軟に対応できる点がメリットといえます。また、すでにマイクロソフトOfficeを利用している場合には、追加の費用はかかりません。
ただし、効率的に活用するにはエクセルの知識が求められます。経理・総務担当者以外が入力できる欄を限定する、給与計算に必要な数式を正しく設定する、法改正や就業規則の変更に合わせて計算式を都度修正するといったように、自社のやり方に合わせてエクセルを整える作業が発生します。
従業員数が少なく、エクセルの使い方と勤怠管理に精通した担当者がいる企業に適した打刻方法といえるでしょう。
タイムカード
タイムカードは、「打刻機」とよばれるシステムに指定の紙を挿入し、出勤・退勤時間等を記録するやり方です。アナログ式とも呼ばれ、運用方法がシンプルなため、誰でも簡単に打刻ができて覚えやすい点がメリットといえます。
しかしながら、手動で打刻を行う関係から、打刻のし忘れが発生する可能性があります。また、集計の手間がかかる、リモートワークには不向きといった点から、タイムカードの導入に適した職場は限定されます。
ICカード
ICカードの打刻管理では、専用のスキャナーでカードを読み込み、ICカードに内臓されている個人情報をもとに勤務時間を管理する方法です。タイムカードとは異なり、ICカードでデジタル化された情報を残せるため、その後の集計や給与計算の自動化もスムーズに行うことができます。
カードを専用スキャナーにかざすだけで打刻が完了するので、打刻ミスが起こりにくい点も特徴です。また、交通系のICカードと低価格の専用読み取りスキャナーの組み合わせで勤怠管理が実現できるため、タイムカードよりも運用費を低く抑えられる可能性もあります。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、従業員の勤務時間データの管理から、集計、給与計算などの機能を兼ね備えたシステムをいいます。勤怠管理システムでの打刻は、打刻ミス防止のためのアラート機能や、不正打刻を防止する機能が備わっており、より正確で効率的な管理が可能です。
システムの導入・運用にはコストがかかるため、従業員規模と予算を照らし合わせて検討するのがよいでしょう。
従業員が打刻漏れをした場合のリスク
打刻の運用がうまく行われず、打刻ミスや打刻漏れがある場合、勤怠管理担当者の業務負担が増加することや、残業代の未払いが発生するといったリスクがあります。
勤怠管理担当者の業務が増える
打刻ミスがあると、勤怠管理担当者が従業員に確認し、勤務時間を修正するといった作業が発生します。ミスが複数あれば、確認作業に時間をとられ、本来の業務を圧迫するという事態が起こりかねません。
業務の効率化のためにも、打刻ルールを厳格に決めることや、ミスの防止機能を備えたシステムを導入することが重要です。
残業代の未払いが発生する
打刻がきちんと行われないと、従業員の職場での実際の労働時間を正しく把握できません。本当は従業員は残業しているのに、現場の管理意識の低さから正確な打刻が行われず、残業時間が記録されていないというケースでは、残業がなかったことにされてしまいます。
不正確な勤怠管理はサービス残業につながり、残業代の未払い請求や、労働基準法違反による労働基準監督署からの是正指導など、多くの職場のトラブルの原因となります。
従業員の打刻漏れを防ぐための対処法
打刻漏れのようなミスをゼロにするのは、とても難しいことです。「うっかり」のようなミスは誰にでも起こります。打刻漏れ防止のためには、運用ルールをわかりやすく見直したり、システムなどの機能を活用したりすることが重要です。
わかりやすい運用ルールを設定・周知する
打刻機の場所や打刻の方法、打刻のタイミングについて、従業員の誰もが正しく理解できるよう周知を徹底しましょう。従業員の人数に対して、打刻機が少ないというような運用上の不備がないかをチェックすることも重要です。
また、打刻ミスがあった場合の対処方法も事前に定めておきましょう。確認と修正のフローを明確にしておけば、打刻漏れにすばやく対応できます。
システムを活用したアラート機能をつける
勤怠管理システムと組み合わせて、アラート機能を活用することも打刻漏れ防止の効果が期待できます。ほかにも、社内で使用しているグループウェアやチャットツールなどのリマインダー機能を使用する方法もあります。
勤怠管理の重要性について周知する
勤怠管理の担当者はもちろんのこと、現場の管理者をはじめ従業員全員に勤怠管理の重要性を周知しましょう。残業時間の計算方法や、割増賃金、時間外労働の上限など、勤怠管理の一般的な知識をわかりやすく従業員に伝えることは、組織のコンプライアンス遵守につながります。
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打刻漏れのないように運用方法を見直そう
打刻漏れは、正確な勤怠管理の妨げとなるだけではなく、法令違反を引き起こす可能性もあります。従業員全員が、スムーズに打刻ができるよう、運用ルールを定期的に見直しましょう。
リモートワークなど、新しい働き方を導入したタイミングは、とくにルールの整備が重要です。自社の働き方や職場に適した打刻方法を取り入れるといいでしょう。
よくある質問
打刻はなぜ必要なんですか?
打刻は、会社が従業員の勤務時間を正しく把握するために行います。残業代や割増賃金なども含め、働いた時間に対する賃金を正しく計算するためには、その前提となる労働時間を記録しておかなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
従業員が打刻漏れした場合のリスクについて教えてください
打刻漏れは、残業代の未払いや慢性的な長時間労働を引き起こす原因となる可能性があります。また、打刻ミスの確認のために勤怠管理担当者の業務負担量が増加することも考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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