• 作成日 : 2022年7月22日

中小企業向け給与計算ソフトのおすすめの選び方を解説

中小企業向け給与計算ソフトのおすすめの選び方を解説

日本には非常に多くの中小企業があり、それぞれの会社で従業員が勤務して給与を受け取っています。給与の計算は複雑な工程が求められるため手間がかかりますが、給与計算ソフトを使用すれば手間を解消して業務を効率化できます。この記事では小規模な会社を中心におすすめの給与計算ソフトをご紹介します。

給与計算ソフトとは

給与計算ソフトは「給与計算」「年末調整」「社会保険」など給与に関する各種処理を行えるソフトのことです。従業員の勤怠データを入力すると自動的に各作業を進めてくれるもので、経理担当者の業務負担を大きく軽減してくれます。コンピューターによる自動計算のため、手計算と異なり計算ミスなどの問題も起こりません。

給与計算ソフトに関する詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。

広告
広告

給与計算ソフトでできること

給与計算ソフトは、会社運営に欠かせない給与計算をサポートしてくれるソフトウェアです。給与計算は業務の幅が広く、正確性が求められるため、工程の一部をソフトに代行してもらえれば担当者の負担が大きく減るでしょう。ネット環境さえあればどこでも給与明細を確認できるなど、クラウド型のソフトならより効率性は増します。

この章では給与計算ソフトを活用できる業務の範囲と実際の内容を見ていきましょう。

業務範囲

給与計算業務は一般的に会社内の経理担当者が行います。給与計算には人事・勤怠データが必要になるため、会社によっては一部工程を人事担当者が行うケースも珍しくありません。

業務内容は幅広く、正確にこなさなくてはならないため負担が大きい業務と言えます。実際の業務は以下の流れで実施されます。

  1. 総支給額と控除額を計算し手取り給与額を算出する
  2. 従業員ごとに勤怠状況や各種手当を考慮して総支給額(額面給与)を計算します。その後、給与から控除される社会保険料・労働保険料・税金を計算して手取りの給与額を算出します。控除される保険料や税金の詳細は下記の通りです。

    社会保険料
    ➢ 健康保険料
    厚生年金保険
    ※従業員が40~64歳の場合は、健康保険料に上乗せして介護保険料の納付も必要です
    ※65歳以上の人(第1号被保険者)は、会社勤めであってもお住まいの市区町村への納付が必要です(原則年金から控除)

    労働保険料
    雇用保険
    ➢ 労災保険料(全額会社負担)

    税金
    ➢ 所得税
    住民税

  3. 賃金台帳や給与明細を作る
  4. 会社が従業員の賃金や交通手当などを記入する賃金台帳を作成します。賃金台帳の作成は労働基準法により定められており、記載する内容も決められています。賃金台帳と合わせて、従業員に渡す給与明細も作成します。

    参考:労働基準法|e-Gov法令検索

  5. 従業員に給与を振り込む
  6. 会社ごとに定められている給料日に、各従業員にそれぞれ算出された金額の給与を支給します。従業員が持っている銀行口座などに振り込む方法が一般的です。給与の振り込みと合わせて、先に作成した給与明細も配布します。

  7. 社会保険料や源泉徴収税などを納付する
  8. 従業員の給与から控除した社会保険料や税金などをそれぞれ納付します。所得税や住民税はどちらも毎月10日までに税務署に支払い、社会保険料は日本年金機構から送られてくる納付通知書に従い納めます。労働保険料については保険年度の初めに保険料を算出し、概算保険料として申告・納付します。納付先は労働局、または所管の労働基準監督署になります。社会保険料とは納付方法が異なるため注意しましょう。

参考:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日|国税庁
参考:厚生年金保険料等の納付|日本年金機構
参考:労働保険料の申告・納付|厚生労働省

業務内容

給与計算ソフトは給与計算業務における多くの工程を自動化できます。給与計算は正確な作業が求められるため担当者への負担が大きく、その分自動化の恩恵を強く受けられるでしょう。給与計算ソフトが行える業務の内容は以下のとおりです。

  • 給与額を計算する
  • 従業員の雇用形態や労働契約などに合わせて事前に計算式を設定し、その計算式に従って毎月各従業員の給与額や保険料、税金などを自動で計算してくれます。コンピューターを使用するため、手計算と異なり計算ミスも生じません。

  • 書類を作成する
  • 給与明細や銀行への提出書類などをソフト上で作成できるため、電子データとして送付が可能です。クラウド型の給与計算ソフトであれば、給与明細をオンライン上でいつでも確認できます。

  • 勤怠状況を管理する
  • ソフトによっては、勤怠管理システムと連携して、給与計算をより円滑化できる場合もあります。毎日行われる勤怠管理と連携してリアルタイムで給与計算が行われるため、締め日間際に勤怠表と突き合わせて、給与計算に誤りがないか確認する必要がありません。

  • 最新の状況に対応する

税制改正によって給与や税金などの計算方法が変更されることもありますが、給与計算ソフトではソフトウェアメーカーがバージョンアップで対応してくれます。新しい制度を確認して計算式を書き換える手間が生じません。

広告

給与計算ソフトの種類

給与計算ソフトは多くのメーカーが様々なタイプの製品を提供しており、利用できるサービスと提供形態でいくつかのパターンに分けられます。それぞれの製品を比較して、自社に最適なソフトを見つけましょう。
なお、給与計算ソフトを使用して行える業務は製品毎に異なり、大別すると以下3パターンのものが存在します。

  • 給与計算特化タイプ
  • 勤怠管理・労務管理など給与計算と直接かかわらない機能を排除したタイプです。
    機能を最低限に絞っているため、コストの安さやUIの明快さなどがメリットとして挙げられます。帳票作成やマイナンバー管理など、一部労務管理を行えるものも存在します。

  • 人事給与タイプ
  • 給与計算に加えて、人事労務に必要な各種機能も搭載しているタイプです。勤怠管理機能を備えているモデルであれば、給与計算も迅速・正確に行えます。ソフト内だけでなく、外部の勤怠管理システムや労務管理システムとも柔軟な連携が可能です。

  • ERPタイプ
  • ERPとは「Enterprise Resources Planning(基幹系情報システム)」のことで、会社の主要な業務を統合的に管理できるシステムです。人事・販売・会計など幅広い分野から共通データをスムーズに活用できます。カスタマイズ性の高さも魅力です。

    これらのサービスは製品の提供形態に応じて、ソフトを導入・利用できる環境も異なります。サービス内容と同じく、大きく下記の3パターンに分類できます。

  • インストール型
  • パソコン内のストレージにソフトをインストールして使用するタイプです。基本的に買い切り型のため、導入費用以外にランニングコストはかかりません。昔から存在するタイプのソフトウェアで、多くの会社で導入事例やノウハウが存在します。購入後のアップデートが行われない場合もあるため、法改正などで給与の計算方法が変わった場合は再インストールする必要があります。また、インストールしたパソコン以外では利用できない点もデメリットでしょう。

  • オンプレミス型
  • 自社で用意したサーバー内に必要なシステムを構築して使用するタイプのものです。サーバーを導入する必要があるため、初期費用は非常に高くなりますが、導入後はメンテナンス費用以外は基本的にかかりません。自社の業務形態に合わせて自由にカスタマイズできるため、大企業を中心に導入が進んでいます。

  • クラウド型
  • オンライン上で提供されているサービスに登録して使用するタイプです。月額課金制を採用しているサービスが多く、導入コストを安く抑えることが可能です。なかには無料で利用できる製品もあり、小規模な会社でも容易に導入することができます。法改正などがあった場合、メーカー側で常に最新の状態にアップデートされる点も大きなメリットでしょう。

広告

中小企業におすすめの給与計算ソフトとは

給与計算ソフトには様々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。会社ごとに給与計算ソフトへの要求仕様も異なるため、自社が求める機能を備えているソフトを選択しなくてはなりません。特に多くの中小企業ではあれこれとソフトを試す余裕がないため、ソフトの特徴や選び方を把握して最適なソフトを見つけ出す必要があります。ここからは、中小企業が給与計算ソフトを選ぶ際の主な選択基準を紹介します。

自社のコストと見合った価格

給与計算ソフトは自社の規模と照らし合わせて、製品価格が自社で捻出できるコストに見合っているか否かを検討する必要があります。
大企業は従業員数が多く、様々な雇用形態・給与体系・働き方が認められているため、給与計算業務がより煩雑になります。逆に、中小企業では給与計算業務に大きな手間がかからない一方で、ソフト導入のために潤沢な費用を確保することはできません。

「多少コストがかかっても手間を大きく減らしてくれるソフト」「大きな手間削減効果は得られない代わりに低コストで導入できるソフト」の2種類が選択肢に入ります。自社の規模を考えて適したものを選択しましょう。

対応したい業務範囲を満たす

給与計算ソフトを活用したい業務範囲をあらかじめ把握し、業務に対応しているソフトを選びましょう。給与計算業務には様々な工程がありますが、会社によって具体的な工程の数や内容は異なります。年末調整や社会保険手続きなど、必要な業務を行えるソフトの確認・選択が重要です。

また、給与計算ソフトのなかには、ほかのソフトやシステムと連携して幅広い業務を担当できるものもあります。特に勤怠管理システムとの連携は大きなメリットを得られるでしょう。自社で使用している勤怠管理システムと、導入を考えている給与計算ソフトが連携できるかどうかも確認しておきましょう。

対応したい帳簿や書類の要件を満たす

給与計算ソフトが対応している帳簿・書類について、必要な業務を行えるか否かの確認も重要です。一見すると近い内容の業務でも、ソフトに求められる機能が異なるケースも少なくありません。

簡単に、給与明細の電子化を例に解説します。例えば「給与明細を電子発行したい」場合、給与計算ソフトには明細書のPDF化機能があれば十分です。一方で「従業員が給与明細をオンライン上で閲覧できるようにしたい」場合は、従業員がパソコン・スマートフォンなどを利用し、オンライン上で給与明細を閲覧できる機能も求められます。一見すると同じ「給与明細の電子化」ですが、要件によって給与計算ソフトに求められる機能は異なるのです。

給与計算で用いる帳簿・書類は多岐にわたります。帳簿・書類を利用して何をしたいか、達成するためにソフトに必要な機能は何かを正確に把握しましょう。

法改正時のアップデートに対応している

給与計算にかかわる法律が改正されたとき、新しい法制に対応したシステムをすぐに利用できるようなアップデート機能があると便利です。社会保険料や税率などに関する法律は毎年のように改正されるため、人力でつど対応していては業務効率の低下につながります。法改正に合わせたアップデートをすぐに実施してくれる、あるいはオンライン上で自動的にアップデートしてくれるソフトを積極的に利用しましょう。

製品によって対応までの所要時間が異なるため、可能な限り迅速に対応してくれるソフトを選べれば、業務を滞りなく進められます。クラウド型のソフトなどであれば、基本的にメーカー側が素早く対応してくれます。

広告

中小企業が導入するならIT導入補助金を活用しよう

給与計算ソフトを導入すると業務の効率化が期待できますが、特に中小企業では予算の確保が難しく、ソフトを導入できないこともあるでしょう。こうしたときに役立つのが、公的な補助金制度の活用です。給与計算ソフトのようなITツールの導入を考えている中小企業向けに「IT導入補助金」という制度が設けられています。予算の不安なくツールを導入して、生産性の向上につなげましょう。この章ではIT導入補助金について解説します。

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などに対して自社の課題・ニーズに合わせたITツールの導入を支援する補助金です。パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入費用などが対象となっています。「中小企業生産性革命推進事業」の一環で、中小企業の生産性向上を複数年にわたり支援するものです。従来はA・B類型に分けられる「通常枠」のみでしたが、2022年度からは新たに「デジタル化基盤導入枠」も追加されました。通常枠とは対象になるツールや費用が異なります。

「販売管理システムの導入による経営の可視化」「勤怠管理ツールの導入による働き方改革」「ITツールによるペーパーレス化」など、多くの活用事例が報告されています。

補助金額

IT導入補助金の金額は適用される枠によって異なります。
通常枠では、A類型で30万~150万円未満、B類型で150万~450万円以下の金額が補助されます。補助率はA類型・B類型ともに1/2以内です。B類型の該当条件を満たすためには「業務プロセス数が4つ以上あること」「従業員の賃上げを行うこと」が条件として定められています。

デジタル化基盤導入枠は「デジタル化基盤導入類型」「複数社連携IT導入類型」の2タイプが設けられており、デジタル化基盤導入類型は5万~350万円の金額が補助されます。補助率は、5万円~50万円以下の部分は3/4以内、50万円超~350万円までの部分は2/3以内と定められています。機能要件に応じて補助金額が決まっており、会計・受発注・決済・ECのうち、1つの機能だけを求める場合は5万~50万円以下に制限されます。

複数社連携IT導入類型は「基盤導入経費」に加え、「消費動向等分析経費」と「補助事業者が参画事業者をとりまとめるために要する事務費」も補助対象です。基盤導入経費はデジタル化基盤導入類型と同様となります。消費動向等分析経費は50万円×参画事業者数の金額が補助され、補助率は2/3以内です。補助事業者が参画事業者をとりまとめるために要する事務費については、基盤導入経費と消費動向等分析経費を合計した金額の10%が補助されます。補助率は2/3以内、上限金額は200万円です。なお、基盤導入経費と消費動向等分析経費は、合計して上限3,000万円と定められています。

公費申請締め切り予定日

補助金を受け取るためには事前の申請が必要です。申請は毎年締め切り日が設けられており、締め切りを過ぎると翌年まで申請できないため注意しましょう。

締め切りの日程は通常枠とデジタル化基盤導入枠で異なります。交付決定日は基本的に締め切り日から約1ヶ月後に設定されます。2022年のスケジュールは下記の通りです。

通常枠1次締切締切日5月16日(月)17:00(予定)
交付決定日6月16日(木)17:00(予定)
2次締切締切日6月13日(月)17:00(予定)
交付決定日後日案内予定
デジタル化基盤導入枠1次締切締切日4月20日(水)17:00
交付決定日5月27日(金)17:00(予定)
2次締切締切日5月16日(月)17:00(予定)
交付決定日6月16日(木)17:00(予定)
3次締切締切日5月30日(月)17:00(予定)
交付決定日6月30日(木)17:00(予定)
4次締切締切日6月13日(月)17:00(予定)
交付決定日後日案内予定

参考:スケジュール|IT導入補助金

小規模な会社だからこそ給与計算ソフトを導入しよう

今回は給与計算ソフトの概要や選択基準、ソフト導入時に役立つ補助金について解説しました。給与計算ソフトは自社に適したものを選べば、事業を力強くサポートしてくれます。従業員が行うべき給与計算業務を代行してくれるため、その分従業員をより生産的な業務に配置可能するなど、生産性向上が期待できるでしょう。

また今回ご紹介したように、導入時に求められる費用の負担も、補助金などを使って軽減することが可能です。資金が多い大企業だけでなく、中小企業も給与計算ソフトの導入を積極的に考慮していきましょう。

よくある質問

中小企業におすすめの給与計算ソフトの種類は?

給与計算に特化したシンプルなソフトが良いでしょう。コスト削減を考える場合はクラウド型で提供されているものがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。

給与計算ソフト導入を手助けしてくれるIT導入補助金って何?

中小企業や小規模事業者などが各種ITツールを導入する際に補助を受けられる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

給与計算ソフトでは何ができる?

給与計算業務の各工程において金額計算や書類作成などを自動的に行ってくれるもので、ソフトによっては法改正に対応してバージョンアップも行われます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド給与

給与計算ソフトの「マネーフォワード クラウド給与」がお役立ち情報を提供します。「マネーフォワード クラウド給与」はWeb給与明細にも対応。給与計算や管理ミス、二度手間をなくして時間とコストを大幅削減。

関連記事