- 更新日 : 2024年12月18日
27連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
27連勤ともなると、心身への負担は避けられず、日々の疲れが蓄積していくことで特有のきつさを感じます。
本記事では 「27連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
27連勤は違法?
27連勤が違法かどうかは、企業が法定休日をどのように設定しているかによって異なります。
1.週1日の休日がある場合
毎週1日の休日を与える場合、理論上は最大で12連勤までが可能と考えられます。27連勤は明らかに12日を超えており、法定休日が適切に確保されていないため、違法です。
2.4週間で4日の休日を確保する場合
4週間(28日間)で4日以上の休日が確保されていれば、最大48連勤まで理論上認められます。この場合、27連勤は48日以内に収まるため、ただちに違法と断定することはできません。
ただし、いずれの場合も健康管理や労働者保護の観点から、長期的な連勤は望ましくないといえます。
※36協定が締結されている場合には、極論連続勤務自体には上限はないものの、労働時間の限度時間があります。(もっとも、長期間の連勤は好ましくありません)
※労働基準法第41条では、管理監督者(監督・管理の立場にある者や機密業務を扱う者)には労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されません。ただし、健康管理の観点から、一般の従業員と同じような配慮が求められます。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
27連勤はきつい?その理由とは
27連勤の特有のきつさは、身体の疲れだけでなく、精神的なストレスや自由の欠如によって生活全体が疲弊する点にあります。
まず、身体的な疲労が大きな問題となります。
毎日連続して働き続けると、十分な休息が取れないため、体力が回復する前に次の日を迎えることになります。その結果、倦怠感が慢性化し、体のだるさや集中力の低下に悩まされることが増えます。
精神的には、連続勤務によって自分の時間や生活の自由が失われたように感じることが大きな負担になります。特に、27日間という長期間の連勤では、仕事だけに追われる日々が続き、息抜きやリフレッシュの機会が持てないことで、ストレスが大きくなります。
「この生活がいつまで続くのか」という漠然とした不安や、休む暇がないことへの焦りが心にのしかかり、気持ちが沈みやすくなるのです。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
有給取得をやっぱりやめる!取り消し方法や理由、メールの書き方などを解説
「有給休暇を申請したけど、やっぱりやめたい」と考えることはありませんか? 本記事では、仕事の都合や個人的な事情で有給休暇の申請を撤回したい場合、会社にどのように伝えるべきかを詳しく解説します。スムーズに対応できるよう、ぜひ参考にしてください…
詳しくみる妊娠・出産前後に使える労務の制度を解説!
妊娠中、出産前後の休業、復職後にはこんな制度が使えます 妊娠して、出産、休業そして復職して子が一定の年齢に達するまで、妊産婦の母体保護・育児と仕事の両立のために様々な制度が整備されています。いずれも法定の制度であり、「就業規則にない」からと…
詳しくみる裁量労働制の疑問を解決!休日出勤や深夜業、休憩時間はどう考える?
裁量労働制と休日出勤・深夜業 裁量労働制においては、「業務遂行の方法や時間配分を大幅に労働者に委ねている」ため、いつ、どのくらいの時間労働するかは、基本的に労働者の裁量に委ねられています。一方で、休日労働・深夜業の割増賃金規定が適用が除外さ…
詳しくみる裁量労働制実施の手続き~専門業務型と企画業務型の違いとは?~
裁量労働制とは? 「裁量労働制」とは、実労働時間に関わらず、あらかじめ労使間で定めた時間「労働したものとみなす」制度です。業務遂行手段や時間配分等を労働者の裁量に大幅にゆだねるため、対象業務の遂行手段、時間配分の決定等に関し、使用者が対象労…
詳しくみる7時間労働の休憩時間は?労働法に基づく定義や注意点を解説
7時間労働の休憩時間は、45分以上が法定の基準です。労働基準法に従い、休憩時間の定義や適切な休憩の取り方を理解することは、従業員の心身を配慮するためにも重要です。 本記事では、休憩時間の定義や基本的なルール、注意点について徹底解説します。 …
詳しくみる時短勤務中の残業は違法?どこから残業になるのか、残業代の計算方法も紹介
時短勤務中の残業は違法ではありません。ただ、残業免除の申請をしたのに残業させられる場合は、違法に当たることがあります。 「そもそも時短勤務中はどこからが残業になるの?」「残業免除の申請方法は?」などと疑問に思う人もいるでしょう。 そこで本記…
詳しくみる