- 更新日 : 2024年12月3日
個人事業主が選択できる4つの健康保険まとめ
会社に勤めている場合、国民健康保険又は各会社の保険組合に加入することになっていますが、独立して個人事業主として働く場合には自分で加入する健康保険を選ぶ必要があります。
しかし、これは逆に言うと自由に健康保険を選択することができるとも言えます。そこで今回は個人事業主が選べる4種類の健康保険について紹介します。
目次
個人事業主が選べる4種類の健康保険
1. 国民健康保険に加入する
1つ目の選択肢は国民健康保険に加入することです。この場合は各市町村が管理している国民健康保険に加入することになります。
特徴としては白色申告者と青色申告者で負担額が異なることです。青色申告の65万円控除を行っている場合の方が保険料が安くなります。ただし、国民健康保険の金額は各地方自治体ごとに異なります。
注意すべき点としては、健康保険料は前年度の所得に応じて保険料が増減することです。そのため、前年度の所得が高かった場合はかなりの負担金を支払う必要があります。
2. 任意継続する
2つ目は退職する前まで会社で加入していた全国健康保険協会または健康保険組合を継続する方法です。資格喪失日から20日以内に申請することで最長2年間まで継続することができます。
在職中は会社が支払う必要のある保険料の半分を負担してくれますが、退職後は全額を自分で払う必要があるため注意が必要です。また、保険料を期限までに納付しなかった場合、翌日付で資格喪失となる厳しい側面もあります。
いくつか注意すべき点がありますが、手続きの面で見ると最も簡単な方法になります。
3. 健康保険の被扶養家族に入る
3つ目の方法は、健康保険の扶養家族に入ることです。
両親や配偶者がすでに加入している健康保険が扶養対象者として認めてくれた場合に加入することができます。扶養家族として認められると、特に保険料を負担することなく健康保険に加入することができます。
扶養家族として認められるための条件の目安は年収が130万円未満であることです。
この他には扶養してくれる家族の年収の2分の1未満であることや、被保険者と扶養家族が生計を同一にしているなどの条件があります。また、加入するためには退職後5日以内などの条件もありますので早めに調べておくようにしましょう。
4. 健康保険組合に加入する
4つ目の方法は健康保険組合に加入することです。
会社員でない場合、国民健康保険しか入れないと思われがちですが職種によっては会社員以外でも加入することができる健康保険組合があります。業種や事業所の場所によって加入される保険組合は異なります。また、それぞれで保険料の計算の仕方から対象範囲まで多種多様にあります。
業界別に健康保険組合が分かれている場合が多いので、同業の個人事業主に聞いてみるなどの情報収集もしておくと、思わぬお得な健康保険組合が見つかるかもしれません。
今回はその健康保険組合の中でも3つの組合を紹介します。
職種別おススメ健康保険組合
関東信越税理士国民健康保険組合
関東信越税理士会会員である税理士、及びその職員とその家族が加入することができる健康保険組合です。
税理士 月額23,000円/1人
職員 月額12,000円/1人
家族 月額6,000円/1人
介護保険第2号被保険者(40歳~64歳まで) 月額3,200円/1人
後期高齢者支援金分保険料 月額2,400円/1人
※1世帯組合員以外の被保険者は4人までの賦課
文芸美術国民健康保険組合
日本国内に住んでおり、かつ文芸、美術、著作などの芸術活動を行っている組合加盟の各団体の会員とその家族が加入することができます。保険料は組合員の収入の多寡にかかわらず一定ですが、法人の場合はこの健康保険への加入はできません。
※文芸美術国民健康保険組合に関しては、こちらも併せてご覧ください「フリーランス(個人事業主)デザイナーは必見!「文芸美術国民健康保険組合」徹底解剖!」
参考:文芸美術国民健康保険組合
東京美容国民健康保険組合
美容業界唯一の国民健康保険がこの東京美容国民健康保険組合になります。東京都内に事業所があり、美容業務を行っている人とその従業員、家族が加入することができます。
医療給付費分+後期高齢者支援金分(3,500円を含む)
事業主組合員 1人当り月額 21,500円(均等割)
従業員組合員 1人当り月額 15,000円(均等割)
同一世帯家族 1人当り月額 11,000円(人等割~組合員・世帯主負担)
参考:東京美容国民健康保険組合
まとめ
個人事業主には紹介したように4種類の健康保険の中から加入するものを選ぶことができます。また、保険料は自身の収入金額や、住んでいる地方自治体、制度や年齢など様々な要因によって増減します。まずは自分の場合はどの程度の金額になるのか一度計算して比較してみるともっと安い保険制度が見つかるかもしれません。
よくある質問
個人事業主が選べる4種類の健康保険は?
国民健康保険に加入する、任意継続する、健康保険の被扶養家族に入る、健康保険組合に加入するの4種類です。詳しくはこちらをご覧ください。
税理士にオススメの健康保険組合は?
関東信越税理士会会員である税理士、及びその職員とその家族が加入することができる関東信越税理士国民健康保険組合がオススメです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
特定疾病とは?介護保険の観点から解説!
介護保険の制度は65歳以上の高齢者を対象としたものですが、16の特定疾病に罹患した場合には40歳以上65歳未満でも公的介護保険サービスを受けられます。また、上記に該当しない場合でも「厚生労働大臣が定める疾病等」の場合、医療保険により訪問看護…
詳しくみるうつ病の労災認定は難しい?申請手続きや事例、デメリット、証拠収集の注意点などを解説
近年、仕事による強いストレスや心理的負荷が原因でうつ病などの精神障害を発症し、労災申請を検討する方が増えています。しかし、労災認定の基準や申請の手続きは複雑で、多くの方が不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。 この記事では、うつ病の労…
詳しくみる育休取得の条件は?育休の期間や、もらえる手当まで解説
育児休業は、原則子どもが1歳になるまで取得できる制度です。育児には体力や金銭面での不安が伴い、多くの人が悩みを抱えています。本記事では、育休と産休の違いや他の制度を比較をしながら、育休を取る予定の方や現在育休中の方にとって有益な情報を提供し…
詳しくみる社会保険と雇用の延長による在職老齢年金
年金制度は、国民が老後を迎えたとき、病気や怪我、家族が亡くなった場合などの生活保障のためにつくられています。 一般的には働いている間に社会保険に加入し、退職後、年金を受け取るというスタイルになります。 しかし、雇用期間の延長などにより、社会…
詳しくみる雇用保険被保険者証をもらってない時、どうすればよい?対処法を解説
雇用保険被保険者証は、労働者の雇用保険加入を証明する重要なものですが、場合によっては手元に届いていないこともあります。本記事では、そのような状況に直面した際の対処法を詳しく解説します。 加えて、雇用保険被保険者証の基本情報、もらえるタイミン…
詳しくみる所定給付日数とは?雇用保険における基本手当の観点から
自己都合による退職や会社の倒産など、失業しても生活の心配をしなくてよいよう、雇用保険では被保険者に対して基本手当(いわゆる失業等給付)を支給しています。この基本手当には、受給できる期間と所定給付日数と呼ばれる上限日数が決まっています。 ここ…
詳しくみる