- 更新日 : 2024年2月16日
在留資格とは?種類や就労条件、注意点を解説!
在留資格とは、日本国内に滞在する外国人が持っていなければならない資格のことをいいます。身分や地位による在留資格4種類と、活動内容による在留資格25種類の、合わせて29種類があります。種類ごとに資格取得や更新、変更のための必要書類は異なるため、注意しなければなりません。就労する場合は認められている業務に就く必要があります。
目次
在留資格とは?
在留資格とは、外国人が日本に滞在するために必要な資格のことをいいます。在留資格のない外国人は日本に留まることが許されていません。在留資格を持たないまま日本に滞在していることが発覚すると、出入国在留管理庁(通称:入管)の実施する違反調査の対象になります。調査の結果、主任審査官が収容令書を発行すると入管施設に収容され、国外退去処分の決定により自費出国、あるいは送還が行われます。
在留資格とビザとの違い
ビザとは入国審査に用いる資格で、外国人が入国しても問題ないことの証明です。入国時に必要となり、その後に使用することはありません。在留資格は日本での滞在を許されているという資格で、外国人が日本に留まっている期間は、ずっと必要となります。
在留資格の認定証明書はある?
在留資格認定証明書とは、在留資格で認められている活動を行おうとする外国人に対し、交付される書類です。日本に入国する前に、申請して交付を受けます。在留資格認定証明書の交付を受けた外国人は、査証申請や上陸申請の際に提出することで、迅速に手続きを進めることができます。
在留資格の更新はできる?
在留資格は法務大臣の判断により、更新が認められる場合があります。原則的には在留資格が切れる外国人は、いったん出国して改めてビザや在留資格を取得する必要があります。しかし、外国人の引き留めが妥当とみなされる場合に限り、在留資格は更新できます。
在留資格のオンライン申請はできる?
在留資格は外交、短期滞在を除き、オンラインで申請できます。出入国在留管理庁の在留申請オンラインシステムへ必要事項を入力して行います。初めて使用する場合は新規利用者登録を行い、次回以降はログインページでの認証から手続きを開始します。認証IDを忘れたりパスワードの間違いによってアカウントがロックされたりした場合には、最寄りの地方出入国在留管理官署窓口での手続きが必要です。
在留資格の取得に必要な書類
在留資格の取得に必要な書類は、申請する在留資格種類によって異なります。例えば、特定技能1号の場合は、以下の書類が必要です。
- 申請書
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し・賃金の支払
- 雇用の経緯に係る説明書
- 徴収費用の説明書
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 受診者の申告書登録支援機関との支援委託契約に関する説明書二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類(特定の国籍のみ)
- 健康診断個人票
このように多岐にわたる多くの書類を提出しなければならないため、準備には相当の労力と時間がかかります。さらに審査にも時間をかかることに注意して、早めに準備を始めましょう。
在留資格の種類
在留資格には、全部で29の種類があります。大きくは4種類の居住資格と、25種類の活動資格の2つに分けられます。
居住資格
居住資格とは、身分や地位に基づく在留資格です。活動制限があまりなく、比較的自由に生活できます。次の4種類になります。
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者や子・特別養子
- 永住者の配偶者や子
活動資格
活動資格とは、就労のような活動に基づく在留資格です。認められている活動や在留期間に制限が設けられ、居住資格のような自由度はありません。次の25種類です。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
- 文化活動
- 短期滞在
- 留学
- 研修
- 家族滞在
- 特定活動
在留資格における就労資格とは?
在留資格における就労資格とは、仕事をすることが認められているものをいいます。就労資格を持つ外国人は、申請により就労資格証明書の交付を受けることができます。就労資格証明書には外国人が取得している在留資格で就労可能な業務内容などが記載され、転職活動などに活用されます。
就労制限のない在留資格や身分または地位
就労制限のない在留資格は、身分や地位によるものが該当します。
永住許可
永住許可とは、もっとも制限を受けない在留資格です。在留活動・在留期間に制限が設けられていないため、厳しい在留管理も受けません。他の在留資格を持つ外国人が変更を希望する場合に、法務大臣の許可を経て付与されます。このため、独立した規定が設けられ、通常の在留資格よりも厳格な審査が行われます。
定住者の許可
定住者の許可は、特別な理由により付与される在留資格です。法務大臣より、一定の在留期間が指定され、日本国内への居住が認められます。具体的には第三国定住難民や日系三世、中国残留邦人などが該当します。
日本人の配偶者や子・特別養子
日本人の配偶者、特別養子、日本人の子として出生した者にも、在留資格があります。日本人の夫や妻、実子、特別養子縁組をした子供などが対象です。在留期間は5年・3年・1年・6ヶ月のいずれかです。
永住者の配偶者や子
永住者などの配偶者、または永住者などの子として日本で出生して引き続いて日本に在留している者の在留資格です。具体的には永住者、あるいは特別永住者の配偶者や子が、この在留資格に該当します。在留期間は5年・3年・1年・6ヶ月のいずれかです。
就労制限のある在留資格
就労制限のある在留資格には19種類があります。また、活動によって就労できるか・できないかが変わる在留資格が1種類あります。
技術・人文知識・国際業務の在留資格
公共・民間の機関と契約して理学・工学・自然科学・法律学・経済学・社会学・人文科学の技術や知識を持って業務にあたる者、あるいは外国文化に基づく思考や感受性を持って業務に従事するものに与えられる在留資格が、技術・人文知識・国際業務の在留資格です。機械工学エンジニアや通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者が該当します。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
企業内転勤の在留資格
企業内転勤の在留資格は、外国の事業所から日本国内の事業所に、期間を定めて転勤してくる者の在留資格です。技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る場合は除かれます。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
技能の在留資格
技能の在留資格は、公共・民間の機関と契約して産業上の特殊な分野における、熟練した技能を必要する者の在留資格です。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
高度専門職1号・2号の在留資格
高度専門職1号・2号の在留資格は、次の3つに分類される活動を行う高度外国人が対象です。
- 高度学術研究活動
公共・民間との契約により行う研究、研究の指導・教育をする活動 - 高度専門・技術活動
公共・民間との契約により行う自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識を必要とする業務に従事する活動 - 高度経営管理活動
公共・民間の機関での事業経営や経営管理に受持する活動
高度専門職2号は、3年以上活動を行ってきた高度専門職1号を対象に変更が認められる在留資格です。高度専門職1号の在留期間は5年で、高度専門職2号は在留期間が無期限になります。
特定技能1号・2号の在留資格
特定技能1号・2号の在留資格は、特定技能制度で働く外国人が対象です。特定技能制度は労働力不足解消を目的に外国人労働者を受け入れるため、2019年に創設されました。特定技能1号は12分野、特定技能2号は2分野の特定産業分野で働く外国人労働者が在留資格を取得できます。
特定技能1号の特定産業分野
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能2号の特定産業分野
- 特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野
在留期間は特定1号が1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新で(通算で上限5年)、特定技能2号が3年・1年・6ヶ月ごとの更新です。
技能実習1号・2号・3号の在留資格
技能実習1号・2号・3号の在留資格は、技能実習制度で働く外国人が対象です。技能実習制度は日本の高い技術や知識を発展途上にある地域へ移転することで国際貢献とするため、1993年に創設されました。制度の問題点を解消して技能実習生を保護するために法律改正が行われ、2017年11月からは新しい技能実習制度がスタートしています。1年目が技能実習1号、2・3年目が技能実習2号、4・5年目が技能実習3号となり、在留期間は通算して5年です。
興行の在留資格
演劇や園芸、演奏、スポーツなどの興業、またはその他の芸能活動を行う者が対象の在留資格が、興行の在留資格です。経営・管理の在留資格に関するものは除かれます。在留期間は・3年・1年・6ヶ月・3ヶ月・30日のいずれかです。
医療の在留資格
医療の在留資格は、法律上資格なしには行えない医療行為をする者が対象です。医師や歯科医、看護師などが該当します。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
研究の在留資格
公共・民間の機関と契約して研究を行う業務従事者が対象です。政府関係機関の研究者や企業で研究活動を行う者が該当します。教授の在留資格に係る活動をする者は除かれます。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
教育の在留資格
日本国内の教育機関で、語学教育をはじめとする活動を行う者が対象です。小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校、これらに準ずる教育機関の語学教師などが該当します。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
法律・会計業務の在留資格
法律・会計業務の在留資格は、法律や会計に関する業務を行う者が対象です。外国法律弁護士や外国公認会計士など、法律上その資格を有していなければ行えない業務の従事者が該当します。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
経営・管理の在留資格
経営・管理の在留資格は、日本国内において貿易などの事業を経営したり、事業管理をしたりする者が対象です。ただし、法律・会計業務の在留資格に必要な資格がなければ行えない業務は除かれます。在留期間は5年・3年・1年・6ヶ月・4ヶ月・3ヶ月のいずれかです。
外交の在留資格
外国政府の外国使節団や領事館構成員、条約や国際慣行によって外国使節団と同等の扱いをするとされる者の在留資格が、外交の在留資格です。外国政府の大使や公使、総領事、代表団の構成員などが該当します。外交活動の期間が在留期間です。
公用の在留資格
公用の在留資格は、外国政府や国際機関の公務に従事する者、その従事者と同一世帯に属する家族に与えられます。外交の在留資格に関連する活動は除かれます。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月・30日・15日のいずれかです。
教授の在留資格
教授の在留資格は、大学や大学に準ずる機関、高等専門学校で、研究や研究の指導、または教育の活動をする者が対象です。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
芸術の在留資格
芸術の在留資格は、収入を伴う音楽や美術、文学、その他の芸術上の活動をする者が対象です。ただし、興業の在留資格に関連するものは除かれます。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
宗教の在留資格
宗教家による布教など、宗教上の活動をする者の在留資格が、宗教の在留資格です。該当例には外国の宗教団体より宣教師が挙げられます。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
報道の在留資格
報道の在留資格は、外国の報道機関との契約によって取材をはじめとする報道活動を行う者が対象です。外国の報道機関の記者やカメラマンが、これに該当します。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
介護の在留資格
介護の在留資格とは、公共・民間との契約により介護福祉士の有資格者が介護や介護の指導業務をする場合に付与される在留資格です。在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかです。
特定活動の在留資格
指定される活動によって就労の可否が変わる在留資格に、特定活動の在留資格があります。外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者が該当し、在留期間は5年・3年・1年・6ヶ月・3ヶ月・5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間です。
就労できない在留資格
次に述べる5種類の在留資格は、就労が禁止されている在留資格です。これらの在留資格で日本に留まっている外国人を働かせると、罪に問われる場合があります。
文化活動の資格
文化活動の在留資格は、収入を伴わずに学術上や芸術上の活動をする者に付与されます。日本特有の文化・技芸について専門的な研究を行ったり、専門家の指導を受けて技術習得したりする者も対象です。該当例は日本文化研究者で、在留期間は3年・1年・6ヶ月・3ヶ月のいずれかです。
短期滞在の資格
短期滞在の在留資格は、短期間滞在して観光・保養、スポーツ、親族訪問、講習会や会合への参加、業務連絡その他これらに類する活動を行う者に付与されます。観光客や会議参加者が代表的な該当例です。90日・30日・15日以内で、1日単位の在留期間が認められます。
留学の資格
留学の在留資格は、日本国内の大学・高等専門学校・高等学校・中学校・小学校・専修学校、各種学校などで、教育を受けるものに付与されます。4年3ヶ月を超えない範囲で、法務大臣が個別に指定する期間が在留期間です。
研修の資格
研修生など、公共・民間の機関が受け入れる技能などの習得活動を行うものに付与される在留資格が、研修の在留資格です。在留期間は1年・6ヶ月・3ヶ月のいずれかです。
家族滞在の資格
教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学の在留資格を持って在留する者が扶養する配偶者や子に付与される在留資格が、家族滞在の在留資格です。在留期間は、5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間です。
在留資格の取得が断られることはある?
取得しようとする在留資格の要件に当てはまらない場合、在留資格は取得できません。例えば、留学の在留資格だった外国人が大学卒業後に就職して技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得しようとする場合、以下の要件を満たさなければなりません。
- 行おうとする活動に関する要件
①日本国内の機関との契約に基づくものであること
②理学・工学・自然科学・法律学・経済学・社会学・人文科学の技術や知識を活用とする業務に就くこと - 上陸の許可基準に関する要件
①従事予定業務に必要な技術や知識についての科目を専攻して卒業していること
②同じ業務に従事する日本人と同等、または上回る報酬であること
また、基本的な要件として、在留資格を取得しようとする者には次の点も求められます。
- 素行不良でないこと
- 入管法で定める届出などの義務を怠っていないこと
在留資格の取得が断られた事例
以下に在留資格取得が断られた事例を紹介します。
- 大学を卒業後、弁当の製造販売業の会社に就職
→現場作業員として従事する弁当の箱詰め作業は。教育学部で学んだ人文科学の知識を必要とするものとは認められず、不許可となった。
- 専修学校を卒業後、バイク輸出入業などを行う会社に就職
→バイク修理に従事したが、具体的な仕事内容はフレーム修理やタイヤ交換であり、自然科学や人文科学の技術や知識を必要とするものとは認められず、不許可となった。
在留資格に十分注意して外国人労働力の活用を推進しよう
外国人が日本国内に留まるためには、在留資格を取得しなければなりません。29種類の在留資格は、4種類の居住資格と、25種類の活動資格に大別できます。居住資格は身分や地位に基づく資格、活動資格は定められた活動をする外国人が取得可能です。働くことが認められる在留資格は、就労資格とも呼ばれます。
特定技能1号・2号は、特定の分野での労働力不足を解消するため、外国人労働者を受け入れることを目的に設けられた制度です。また、技能実習1号・2号・3号も2017年11月からは新制度としてスタートしています。在留資格には十分に注意し、制度を利用した外国人労働者の活用を推進しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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