- 更新日 : 2026年6月15日
ワーカーズコープ(労働者協同組合)とは?組織の詳細や仕組みを解説!
ワーカーズコープ(労働者協同組合)は、その地域で働く人たちそれぞれが出資して組合員となり、組合員が意見して事業を進めながら、その事業に従事し、協同労働を行う働き方のことです。
ワーカーズコープとはどのような組織か、ワーカーズコープを設立する目的や従事している事業内容、関連する団体や書籍、法律などについて解説します。
目次
ワーカーズコープ(労働者協同組合)とは?
ワーカーズコープ(労働者協同組合)は、その地域で働く人たちそれぞれが組合員として出資し、組合員の意見を適切に反映させながら事業を進め、地域に貢献する事業を行う協同組合のことをいいます。地域の困りごと、やってみたいこと、地域に必要な仕事などをみんなで話し合って決め、みんなで力を合わせ、助け合いながら働きます。
ワーカーズコレクティブとの違い
ワーカーズコープと似ている言葉に、「ワーカーズコレクティブ」があります。ワーカーズコレクティブは、その地域で暮らしていくうえで、あったらいいと思うサービスやものを仲間と力を合わせて作り、協同で働く場を作ろうというものです。組合員全員が出資し、その経営に全員が責任を持ち、自分たちで考えた働き方を実現していきます。
ワーカーズコープもワーカーズコレクティブも、その地域のために全員で出資して、自分たちで事業の運営に責任を持ち、一緒に働いて地域に貢献していますので、同義語として取り扱われていることが多いです。
ただ、それぞれの始まりを調べると、ワーカーズコープは労働組合によって、ワーカーズコレクティブは生活協同組合によって生み出されたという違いがあります。
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ワーカーズコープの詳細・概要
ワーカーズコープの概要や歴史、現状などについて見ていきましょう。
ワーカーズコープの原則
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会によると、ワーカーズコープの原則は下記の通りです。
- 仕事をおこし、よい仕事を発展させます
- 自立・協同・連帯の文化を職場と地域に広げます
- 職場と地域の自治力を高め、社会連帯経営を発展させます
- 持続可能な経営を発展させます
- 人と自然が共生する豊かな地域経済をつくり出します
- 全国連帯を強め、「協同と連帯」のネットワークを広げます
- 世界の人びととの連帯を強め、「共生と協同」の社会をめざします
引用:ワーカーズコープの目指すもの|労働者協同組合 ワーカーズコープ・センター事業団
ワーカーズコープの理念
ワーカーズコープは、「社会連帯経営」を理念としています。「社会連帯経営」とは、地域に暮らすすべての人が、その地域の課題にかかわりを持って、相互に協同・連帯しながらその地域の再生や発展をさせるといった目標を持った経営のことです。
ワーカーズコープの出資元
ワーカーズコープでは、組合員が出資金を出し合い、そのお金が事業の元手になります。事業に必要な資金(資本)は働く人や市民が出し合い、働いて残すことを基本にしています。そのため、ワーカーズコープの出資元は属している組合員ということになります。出資金一口の金額や必要な出資のための口数は、それぞれの協同組合で決めることが可能です。
ワーカーズコープの歴史
ワーカーズコープは、1971年に兵庫県西宮市で高齢者事業団が誕生したことが始まりになります。その後、全国各地で失業者や中高年者の仕事づくりを目指す事業団が設立されました。
1986年に「中高年雇用・福祉事業団(労働者協同組合)連合会」に発展し、1987年にモデル労協としての「センター事業団」が設立されました。その後も数々の改革等が行われ、2020年には労働者協同組合法が成立、2022年10月1日から施行され現在に至っています。
ワーカーズコープの現状
現在、ワーカーズコープ(労働者協同組合)センター事業団は、全国に約400カ所の事業所、約1300カ所の現場を持っています。就労者数は約15,000名、事業高の規模は、378億円(2022年度)です。
ワーカーズコープがやっている事業
ワーカーズコープには、さまざまな事業内容があります。
- 高齢者の介護
- 公共施設の管理と運営
- 子育て支援
- 就労支援
それぞれについて見ていきます。
高齢者の介護
地域の高齢者・障害者介護への関心を高めてもらうためにヘルパー講座を実施しています。ヘルパー講座で技術を身につけることにより、地域の人が介護福祉の担い手になることを進めてきました。現在、高齢者・障害者にかかわる現場が全国150カ所で整備されています。
公共施設の管理と運営
地域や住民が主体となって、地域の人たちの想いを国や地方自治体に企画・提案して、下記のような公共施設の管理と運営を行っています。
- コミュニティセンター
- 高齢者福祉センター
- 地区センター
- 市民活動センター
- 障害者施設など
子育て支援
子供たちを中心にしたまちづくりを実現するため、保護者や地域の方と協力しながら事業を運営しています。放課後等デイサービス、保育園、学童、児童館、親子ひろばなど、全国400カ所ある現場で子育て支援事業を行っています。
就労支援
国や自治体が設けた制度を活用しながら、いろいろな状況の人が活躍できるコミュニティづくりにつながる就労支援事業を行っています。生活保護受給者、刑余者、一人親家庭や障害のある人、アルコール・薬物依存症などの社会的困難にある人たちと一緒に働き、みんなが活躍できる職場・地域づくりを目指しています。
2020年に成立した「労働協同組合法」とは?
2020年に成立した「労働者協同組合法」は、労働者協同組合の設立、運営や管理方法などについて定めた法律です。
目的
労働者協同組合法では、目的として第1条に以下のように規定されています。
第一条 この法律は、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状等を踏まえ、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他必要な事項を定めること等により、多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする。
労働者協同組合法では、労働者協同組合という組織の設立、運営や管理方法などについて定めています。それらについての法整備を行い、さまざまな就労機会の創出を促進することや地域の必要性に合わせた事業が行われ、地域社会を活性化させることを目的としています。
基本原理と運営の原則
労働者協同組合法の基本原理は、下記の通りです。
(基本原理その他の基準及び運営の原則)
第三条 組合は、次に掲げる基本原理に従い事業が行われることを通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものでなければならない。
一 組合員が出資すること。
二 その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること。
三 組合員が組合の行う事業に従事すること。
2 以下省略
この基本原理に従った事業が行われることにより、持続可能で活力のある地域社会を実現します。
労働者協同組合法の施行後はどうなるのか
労働者協同組合は新しい法人制度です。厚生労働省では施行後5年を目途に、そのときの施行状況等を確認してさまざまな検討を行い、その結果を踏まえた措置を行っていく予定となっています。
ワーカーズコープに関連する団体
ワーカーズコープに関連して活動している団体には次のような団体があります。
- 日本労働者協同組合連合会
- 日本高齢者生活協同組合連合会
- 協同総合研究所
- 日本フロンティアネットワーク
- 一般社団法人日本社会連帯機構
それぞれの団体について紹介します。
日本労働者協同組合連合会
日本労働者協同組合連合会は、日本の労働者協同組合の全国組織のうちの一つです。「働く者同士の協同」「利用者との協同」「地域との協同」に重点を置き、利用者や地域の人との連帯に取り組んでいます。
日本高齢者生活協同組合連合会
日本高齢者生活協同組合連合会は、「生きがい」「仕事おこし」「福祉」の3つが実現した社会を目指して活動しています。
・生きがい
イベントを開催したり地域のお祭りに参加したりするなど、地域住民との交流を行うことにより、「孤立と分断の課題」に取り組んでいます。
・仕事おこし
年金が少額な生活困窮者や働き方改革による65歳以上の就労など、「年金+αの収入を得る課題」に取り組んでいます。
・福祉
介護保険、障害者総合支援など、国や自治体の制度によるサービスにとどまらず、「在宅介護・看取りの課題」に取り組んでいます。
協同総合研究所
協同総合研究所は、「格差・貧困」「気候危機」「地域の疲弊」といった社会的な問題に対して、対等で平等な関係のもとに力を合わせる「協同」を通じて持続可能な社会を創造することを目指しています。研究テーマには、まちづくり、ネットワーク、持続可能な社会、共に生き共に働く、などがあります。
日本フロンティアネットワーク
日本フロンティアネットワークは、前身である「東京労協クラブみちの会」で活動をスタートさせました。当初は、民間企業と労働者が『協同』の力で一緒に考えて、研究・開発や共に事業をおこすというようなことができないか、メンバーで考えていきたいという趣旨のものでした。その後、10周年を節目として、2010年3月に「一般社団法人日本フロンティアネットワーク」を設立して「東京労協クラブみちの会」から移行しています。
一般社団法人日本社会連帯機構
一般社団法人日本社会連帯機構は、2004年に設立されました。連帯の輪を広げ、協同労働により地域の再生につながる活動を作り出していくことを目的としています。2011年には一般社団法人となり、仕事の範囲を超えて地域に連帯と協同を育てる活動に取り組んでいます。
ワーカーズコープに関連する書籍
ワーカーズコープに関する書籍を何冊か紹介します。ワーカーズコープの理解を進めるための参考にしてください。
協同労働入門
『協同労働入門』は、地域の課題解決を目的にして、「出資」「経営」「労働」のすべてに参加する組合員が担う「協同労働」という働き方について、企業の人事担当者や「協同労働」に関心のある個人に向けた入門書のような内容になっています。
〈必要〉から始める仕事おこし-『協同労働』の可能性-
『〈必要〉から始める仕事おこし-「協同労働」の可能性-』は、日本労働者協同組合連合会が編集した書籍です。
協同労働と労働者協同組合法はどのようなものか、どのようにして生み出されたのか、また、現場ではどのような格闘がなされてきたのか、そして、協同労働は日本社会をどのように作りかえるつもりなのか、などについて解説しています。
参考:〈必要〉から始める仕事おこし-「協同労働」の可能性-|岩波書店
日本型ワーカーズ・コープの社会史-働くことの意味と組織の視点
『日本型ワーカーズ・コープの社会史-働くことの意味と組織の視点』は、ワーカーズコープの研究者が日本型ワーカーズコープの歴史、運動史や近未来の労働と社会のあり方について解説しています。人が仕事に意味を見出して働くということがどういうことなのかを考えさせられる書籍です。
参考:日本型ワーカーズ・コープの社会史-働くことの意味と組織の視点|緑風出版
ワーカーズコープに企業から連絡するケースはある?
ワーカーズコープは、その地域で働く人たちそれぞれが組合員として出資し、組合員が事業を創出してその事業に従事し、地域に貢献していく協同組合のことです。各組合は、HPなどでその事業についての情報発信を行うこともあります。また、各地域での事業になるため、各地域ではその事業の紹介を行う情報媒体もあります。
企業では、それらの事業についての情報を入手し、自社の事業と方向性が合致するなどした場合には、ワーカーズコープに連絡して業務委託などの契約を検討するケースが考えられます。
ワーカーズコープは「協同労働」を行う働き方
ワーカーズコープは、「社会連帯経営」を理念とし、相互に協同・連帯しながら地域の再生や発展をさせるといった目標を持って経営を行う組合のことです。2022年には労働者協同組合法が施行され、全国で多くの協同組合が活動しています。本記事でご紹介したワーカーズコープの理念や事業を参考にして、「協同労働」についての理解を深めてみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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