• 更新日 : 2024年9月18日

人事評価とは?意味や目的、作り方を解説!

人事評価とは、あらかじめ決められた一定期間の従業員の能力や働きぶり、パフォーマンスなどを評価することです。

この記事では、人事評価の意味、人事考課との違い、人事評価の目的や必要性、評価制度の導入方法、評価期間の人事評価の進め方、人事評価制度を導入することのメリット、人事考課との違いなどについて解説します。

目次

人事評価とは?

人事評価とは、あらかじめ決められた一定期間の従業員の能力や働きぶり、パフォーマンスなどを評価することです。人事評価により、従業員の成長の度合いや日頃のコミュニケーションの様子、育成の方針や得意な分野・不得意な分野の把握に活用します。

この評価は、人材育成や給与・賞与、昇給・昇格などの処遇を決定するための判断材料の一つになるため、従業員のモチベーションに影響します。また、従業員にとっても、企業が評価した自身の能力や実績について、フィードバック面談などで確認することができます。

人事考課との違い

人事評価と似ている言葉に「人事考課」があります。人事考課も従業員を評価する制度ですが、主に給与・賞与、昇給・昇格などの処遇を決定することを目的に行われている制度です。

人事評価はフィードバックされることが多いですが、人事考課はフィードバックされず、役員や役職クラスの間でクローズドに運用されることが多いです。

人事評価と人事考課は同じ意味合いで使用している企業も多いため、企業の中で細かく区分されていなければあまり気にする必要はありません。

人事評価の3種類

人事評価を行う際には評価する基準を決めないといけません。

パターン① 「特別評価」を使用した文章

評価基準としては、業務を通じて身につけたスキルを評価する「能力評価」、目標や業績の達成度合いやプロセスなど、その成果を評価する「業績評価」、国家公務員制度において、条件付採用・昇任期間を評価期間として評価する「特別評価」の3種類があります。

パターン② 「情意評価」を使用した文章

評価基準としては、業務を通じて身につけたスキルを評価する「能力評価」、目標や業績の達成度合いやプロセスなど、その成果を評価する「業績評価」、仕事への意欲や職務を遂行する態度を評価する「情意評価」の3種類があります。

能力評価

能力評価とは、従業員が業務で求められる知識やスキルなどで評価する方法です。与えられた職務について、業務上の経験や研修で得た能力をどのくらい発揮しているかを評価します。評価項目としては、「計画力」「判断力」「実行力」「危機管理能力」「指導力」などが考えられます。

業績評価

業績評価とは、評価する一定期間ごとで、会社に対しての社員の貢献度を評価する方法です。部門や個人を単位にして、成果や目標の達成度を客観的に数値化して明確な判断基準を設けることが重要です。評価項目としては、「売上」「利益」「生産高」「仕事の量・質」「KPIの達成率」などが考えられます。

特別評価

特別評価は、公務員制度における条件付任用期間中の職員について実施される評価方法です。評価期間は、条件付任用期間になり、能力評価と同じ方法により行います。

情意評価

情意評価とは、従業員の業務に対する姿勢や意欲、行動、勤務態度等を評価する方法です。能力評価や業績評価のように数字を明確に出して評価することができないため、客観的に評価が行えるような指標を準備する必要があります。評価項目としては、「積極性」「協調性」「責任感」「起立性」などが考えられます。

人事評価はなぜ必要?目的や必要性

人事評価を企業は必要としているのは何故でしょうか。人事評価を導入する目的や必要性について、次の4つを紹介します。

  • 従業員のモチベーション・エンゲージメントの向上
  • 人材育成・従業員のスキルアップ
  • MVVCの浸透
  • 評価制度に基づいた適切な人材配置

従業員のモチベーション・エンゲージメントの向上

人事評価は、従業員にとっては成績表のようなものです。評価期間を通じて取り組んできたことや努力の成果が認められ、納得できる適切な人事評価が実施され、処遇に反映されると、従業員のモチベーションも上がります。その結果、企業に対する感謝や愛着もわき、信頼の獲得もできるでしょう。

人材育成・従業員のスキルアップ

企業が成長を継続していくには、従業員を育成して戦力アップしていかなければなりません。従業員の評価項目や基準が明確に設定されていれば、企業は公平で適切な人事評価ができ、的確なフィードバックができるようになります。そうすれば、従業員の自発的な成長になり人材育成につながるでしょう。

従業員も、成果を出せば正当に評価され、昇給や昇格にリンクすることがわかれば、モチベーションも上がり、スキルアップにもつながっていきます。

MVVCの浸透

人事評価は、企業によって基準が異なります。それは、各企業の経営方針や目的、目標、企業理念などが異なるからです。

これらを人事評価の項目や基準に取り込むことによって、企業が目指している経営方針や企業理念を従業員が理解しやすくなります。また、従業員は経営方針や企業理念に沿った行動を取りやすくなるでしょう。

評価制度に基づいた適切な人材配置

定期的に人事評価を行うことにより、従業員それぞれの能力や長所・短所などが明確になってきます。その評価結果に基づいて、能力やパフォーマンスが最大限に発揮できる部署に人員配置できるようになることも人事評価を行う目的の一つです。

従業員も評価制度に則った配置転換で待遇に納得感が得られれば、モチベーションも上がり、成果を出すことにより昇給や昇格などの処遇にも良い影響が出てくるでしょう。

人事評価制度の導入方法・作り方

実際に人事評価制度を導入する際には、公平性を守りながら納得感のある人事評価を行えるようにしなければいけません。基本的な導入方法を以下のように分けて説明します。

① 企業方針やMVVCを再確認・再定義する
➁ 目標・目的の設定する
③ 役職・レイヤーごとの評価基準を設定する
④ 評価方法や手段を確定する
⑤ 人事評価のマニュアル・評価フローの概要を作成する
⑥ 従業員への告知を行う

① 企業方針やMVVCを再確認・再定義する

経営方針や企業理念、ビジョン、企業が求める社員像を再確認します。必要に応じてそれらを再定義などします。その後、現状分析して、抽出された課題について、どのように解決していくべきかを洗い出しましょう。

➁ 目標・目的の設定する

現状分析で洗い出された現状の課題などから、人事評価の目標・目的の設定を行います。従業員が人事評価に対して求めるものを確認する意味でも、企業側の意向だけではなく、従業員の側にもヒアリングを行うなどして、目標・目的の設定を行ったほうが運用をスムーズに進められるでしょう。

③ 役職・レイヤーごとの評価基準を設定する

人事評価を実施する目的に合わせた役職やレイヤーの定義、賃金テーブルを検討し、評価基準や評価項目を設定していきます。また、企業の等級制度と照らし合わせながら各階層に対する評価の方針を決めていきます。評価基準や評価項目は、人事評価の目的を達成できる内容にしておくことが大切です。

④ 評価方法や手段を確定する

決定した評価について、どのように賃金制度や等級制度に反映させていくかを評価制度と連動させて検討していきます。人事評価を行うまでに決定しておく必要があります。

⑤ 人事評価のマニュアル・評価フローの概要を作成する

これまでの①から④までで決めた内容を誰もが同じように行えるように、人事評価の業務フローやマニュアルを作成しておきます。評価内容に変動があった場合には、すぐに対応ができるように汎用性を持たせたものを作成しておきましょう。

⑥ 従業員への告知を行う

従業員に対して人事評価制度に関する説明会などを開催して、従業員への評価制度の内容の説明や周知を行います。評価者に向けても、評価者研修などを実施して、評価にバラつきが出ないような客観的な評価ができるように教育します。

人事評価の一般的な流れ

人事評価は、一般的に以下のようなステップで進めます。

【期のはじめ】面談によって目標内容を明確化

【期中】業務遂行・評価から見てフィードバックを実施

【期末】達成状況の報告・評価・期末面談

それぞれのステップにおける評価のポイントを解説します。

【期のはじめ】面談によって目標内容を明確化

評価期間の期初に、上司と部下との面談を行って評価目標を決めていきます。企業や所属部署が求める方向性にマッチしているか、現在の役職や等級にふさわしい難易度の目標であるかを話し合います。できるだけ具体的な内容で、かつ、努力すれば達成できる範囲の目標を設定するようにしてください。

【期中】業務遂行・評価から見てフィードバックを実施

評価期間中は、業務遂行の様子を確認しながら記録を行います。その際、マニュアルで基準を確認しながら、具体的にどのような状態であれば達成できているのかを確認します。マニュアルで基準を確認することにより、評価者間の評価の差がなくなり、従業員から評価で何か意見があった際に評価の根拠説明がしやすくなるでしょう。

観察していく中で、その場でフィードバックが必要な場面も出てきます。その際は後回しにしないようにリアルタイムでフィードバックすることを心がけてください。

【期末】達成状況の報告・評価・期末面談

評価期間内に観察した記録をもとにして、評価の対象になる従業員が進めた仕事や対処したトラブルなどを洗い出します。洗い出した出来事を評価基準に沿って評価します。その際もマニュアルなどを参照しながら評価基準から外れることがないように気をつけましょう。

その後、従業員と期末のフィードバック面談を行い、結果の説明を行います。従業員本人にも自己分析を行ってもらい、最終的に自分の評価を理解・納得し、次につなげていけるように進めてください。

人事評価制度を導入するメリット

人事評価制度を導入すると、多くのメリットがあります。そのうちのいくつかを見ていきます。

従業員の生産性が上がる

まず、従業員の生産性が上がるというメリットがあります。

人事評価により、従業員は企業からフィードバックを得られます。その際、従業員に不足している点と一緒に良い点や成長を感じられた点を挙げてあげると、従業員は評価全体を前向きに捉えられるようになるでしょう。また、不足している点は自己改善に取り組んでもらえます。それがモチベーションにつながると、従業員の生産性が上がります。

適切な評価であれば会社への信頼感につながる

適切な評価であれば、会社への信頼感につながる点もメリットです。

評価フロー、評価基準がはっきりしていて、マニュアルで管理されているような場合、従業員は正しい評価や処遇がされているかを自分で理解することができます。客観的で公平に評価されていることがわかれば、評価への納得性が高まり、企業への信頼感につながるでしょう。

人材の管理および従業員へのスキルアップへの貢献

定期的に人事評価を行うことにより、従業員の最新の能力や働きぶり、パフォーマンスなどの人材データを収集することができます。

収集したデータを元に、従業員の得意な分野をさらに伸ばす研修や、弱みや苦手な部分、改善点に対して必要な研修などを行うことができます。これが従業員のスキルアップやキャリアアップなどに貢献できるところもメリットの一つです。

MVVCの浸透

人事評価の評価項目は、経営方針や目的、目標、企業理念などに則り評価基準を定めます。よって、企業理念等が従業員にも共感され、共通した目標や目的を持つことで、企業が従業員に具体的な行動を促すことができるようになる点もメリットです。

人事評価制度の注意点・課題

人事評価制度は、導入によって得られる多くのメリットがありますが、逆に、注意点や課題もあります。ここからは、注意点や課題と思われる下記の点について見ていきます。

  • 人事評価の流れは時間がかかる
  • 制度が定着するまでに立ち消えになることも
  • リモートワークに対応した制度構築が必要
  • 現場に即していない評価基準
  • 評価者による偏り
  • 不必要に制度導入を行う
  • 評価制度が形骸化。評価が給与などに反映されない

人事評価の流れは時間がかかる

人事評価制度を導入するためには、事前準備にかなりの時間がかかります。人事評価が従業員の賃金や処遇に直接関係してきますので、評価基準や評価項目を慎重に決定する必要があるからです。

また、運用開始後も本来の業務にプラスして評価制度の運用があり、運用ルールの見直しなどが出てきた場合には、それにも対応が必要です。人事評価制度に関してはかなりの時間を費やさないといけなくなります。

制度が定着するまでに立ち消えになることも

人事評価制度を導入したものの、全社への周知が不十分だったり、評価者の理解不足で正しい評価ができていなかったりする場合もあります。そうなると、人事評価制度が正しく機能しない状態になり、せっかく導入した意味がなくなってしまいます。

リモートワークに対応した制度構築が必要

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務やテレワークを行っている企業が多くあります。最近はコロナ禍も緩和されていますが、引き続き在宅勤務やリモートワークを行っている企業もあります。

人事評価制度は、リモートワークを前提に導入している企業は多くありません。リモートワーク勤務者に対応できる評価基準や評価項目の構築が必要になってきています。

現場に即していない評価基準

人事評価で大事なことは「評価基準を明確にしていること」です。評価基準をあいまいにする、また、現場に合わない評価基準になっているのでは正しい人事評価を行うことができません。部署ごとに明確な評価基準となるように注意しましょう。

評価者による偏り

人事評価を行うのは人です。どうしても評価者の私情が入り評価があいまいになってしまうケースもあります。その場合、従業員は評価者や企業に不信感を抱きます。それはモチベーションの低下につながり、最悪の場合離職にまで発展してしまう恐れもあるのです。

企業は評価者に評価者研修をきちんと実施するなどの対策を取り、評価者によって評価に差が出ないことを徹底する必要があります。

不必要に制度導入を行う

人事評価制度は全ての企業で行われているわけではありません。規模が大きくなく、従業員との距離が近い企業では、日頃の仕事の姿勢や対応の様子が確認できれば、人事評価制度を導入しなくても問題ない場合もあります。不必要に人事評価制度の導入を行うのではなく、必要に応じた制度導入を行いましょう。

評価制度が形骸化。評価が給与などに反映されない

せっかく人事評価制度を導入しても、それが賃金や処遇に反映されなければ、評価される側の従業員からは大きな不満が出るでしょう。人事評価制度を導入した意味がありませんので、評価制度がきちんと賃金や処遇に反映されるように運用していく必要があります。

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人事評価制度を正しく理解して適切に運用していきましょう

人事評価は、制度構築に時間がかかり、運用開始までに解決しなければならない課題も多くあります。しかし、人事評価を行うことによって、従業員のモチベーションは向上し、生産性が上がることによって企業にとってもメリットがあります。

人事評価の課題と向き合い、解決していくことによって企業と従業員ともに良くなる評価制度を目指していきましょう。


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