• 更新日 : 2023年9月12日

顛末書の書き方や作成例・法的効力についてわかりやすく解説

顛末書とは仕事上でのトラブルやミスが発生した際に、発生日時や経緯などを客観的に記録する文書のことです。場合によっては謝罪を伝える役割も果たすものの、主な目的は再発防止です。就業規則などで規定されていれば、業務命令によって従業員に提出を命じられます。今回は、顛末書の目的や例文、始末書や謝罪文の違いなどについて解説します。

顛末書とは?

顛末書とは仕事上でのトラブルや事故、ミスなどが発生した際に、発生日時や経緯などを記録する文書のことです。顛末書の「顛末」が物事の最初から最後までの事情を意味するとおり、一般的には事態の収束後に提出します。提出先は社内であることがほとんどです。

顛末書を書く意味、目的

顛末書は、トラブルや事故などの再発防止を主な目的とする文書です。そのため、経緯や発生日時といった事実だけでなく、考えられる具体的な再発防止策を示す必要があります。なんのために作成するのか、目的を意識して書くことが重要です。

顛末書を作成する主なシーン

顛末書を作成するのは、主に次のようなシーンです。

  • 手続きや事務処理上でミスがあったとき
  • 商品やサービスに不備や欠損があったとき
  • 懲戒処分に該当する事案が発生したとき
  • 職場内で特定の人物の行為へのクレームがあったとき

顛末書は、社内処分の対象にならない程度のミスから法的措置が講じられるトラブルまで、さまざまなケースで用いられます。

顛末書の提出を求められたら?

顛末書の提出が求められたときは、事態の詳細を正確に記載することが重要です。トラブルやミスなどの経緯が事実と異なると、再発防止策を講じることは困難でしょう。また顛末書は、場合によって謝罪を伝える役割を果たすものであるため、誠意を持って作成することが求められます。

トラブル収束次第、速やかに提出することもポイントです。前述のとおり顛末という言葉が事態の最初から最後までを意味することを踏まえると、トラブルや事故に対処している最中に顛末書を提出することは少ないといえます。しかし上司への報告は、問題発生後すぐに行うことが大切です。

顛末書をメールに添付して提出しても良い?

一般的に、顛末書は封を開けたまま封筒に入れ、手渡しで提出します。ただし、提出先から要求された場合は、文書ファイルを作成しメールに添付して送りましょう。また、顛末書のファイルを暗号化してメールで送るという方法もあります。

企業によっては、顛末書をメールで送ることを禁止している場合もあります。メールで送付する必要がある場合は、社内規定を確認しておく必要があるでしょう。送付先や目的に応じた、適切な提出方法を選択してください。

顛末書と始末書・謝罪文との違い

顛末書と似たような書類に始末書や謝罪文などがあります。それぞれを作成する目的は、以下のとおりです。

文書の種類作成する目的
始末書・仕事上のトラブルやミスを起こした場合や、遅刻や無断欠勤をした際などに謝罪や反省をあらわす
謝罪文・自分のミスや不手際によって相手に迷惑をかけた場合、謝罪を伝える

顛末書と始末書の違い

顛末書の主な作成目的は、トラブルや事故などの再発防止です。場合によっては謝罪を伝える役割を果たしますが、始末書は謝罪や反省が主な目的である点が、違いといえるでしょう。

また、顛末書の提出先が基本的に社内であるのに対し、始末書は取引先や顧客などの社外向けに提出することがあることも、違いの1つです。

さらに、顛末書は報告書であるため、基本的には提出したことで懲戒処分を受けることはありません。ただしその後の人事異動や人事考課に関わる可能性が、まったくないとは言い切れないでしょう。

一方で始末書を提出する場合は、就業規則に懲戒に関する記載があれば、譴責(けんせき)や減給、出勤停止などの懲戒処分になる可能性があります。

顛末書と謝罪文との違い

謝罪文は自分のミスや不手際によって相手に迷惑をかけた場合に謝罪を伝えるものであり、始末書に近い位置づけの種類といえます。しかし、始末書はなんらかの懲戒を受ける可能性があるのに対し、謝罪文で謝罪する内容は、懲戒までには至らない仕事上のミスであることも少なくありません。

いずれにしても、トラブルや事故の再発防止を主な目的として経緯を記録するために作成する顛末書とは、その目的が異なります。

顛末書の作成に必要な情報、望ましい書き方は?

顛末書は社内で共有する内容であるため、事案に関係していない社員でも内容が理解しやすいように作成することがポイントです。一文を短く、箇条書きにすることもおすすめです。

また、再発防止のために必要な情報が網羅されている必要があります。ここでは、顛末書に記載する項目や、作成上のポイントなどを解説します。

顛末書に記載する項目

一般的な顛末書に記載する項目は、以下のとおりです。

1.発生日時・発生場所

2.内容

3.原因

4.損害や被害の規模

5.対応状況

6.再発防止策

7.担当者の見解

顛末書はフォーマットが法的に定められているわけではないため、会社の指示に従って作成しましょう。

顛末書は客観的に伝えること

顛末書においては、発生したトラブルや事故について、客観的に伝えることが重要です。担当者個人の感想や思いなどを書くことは避けましょう。

推奨形式は5W1H

顛末書で推奨される形式は「5W1H」です。5W1Hとは、情報を正確に伝えるためのフレームワークで、具体的には以下の内容を指します。

Whenいつ
Whereどこで
What何か
Who誰によって
Whyなぜ
Whyどのように

5W1Hの法則に従い、トラブルの経緯や原因、現在の対処状況、再発防止策などをわかりやすく記載しましょう。

顛末書の例文・作成例について

ここからは、顛末書の実際の例文・作成例を、社内用と社外用に分けてご紹介します。顛末書を作成する際に参考にしてください。

社内用の顛末書の一例

発生日時:〇年〇月〇日

発生場所:社外〇〇にて発生

内容:〇〇の紛失

当事者:〇〇部〇〇課〇〇〇〇

状況:社外での使用時に紛失。取得者からの連絡により発覚

原因:本来持ち出し禁止である〇〇を、〇〇が外部に持ち出したため

損害:特になし

対応:確認後、ただちに〇〇課長に報告。総務部〇〇部長の承認のもと〇〇を無効化

今後の対策:

・社外への持ち出しが禁止されている物品について、改めて周知徹底する

・上記の物品を持ち出すリスクに関しても周知する

・〇〇の保管ルールを徹底する

・退勤時の保管場所への返却を確認するリストの作成、およびリストへの記入を義務化する

社外用の顛末書の一例

発生日時:〇年〇月〇日

内容:仕様変更前での納品

当事者:〇〇部〇〇課〇〇〇〇

経緯:納品後、依頼内容が仕様に反映されていないことに気づいた先方からの連絡により、発覚

原因:担当者の確認不足

損害:商品〇個分〇〇万円分の損失

対応:ただちに仕様を実装した商品を製造、〇月〇日に先方へ送付

今後の対策:

・納品前の複数名によるチェックの徹底

担当者コメント:この度は、私の不注意よりご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございませんでした。今回のことは、確認不足と思い込みが原因です。今後はこのようなことがないよう、ご依頼内容の確認を徹底していく所存であります。

顛末書のテンプレート

顛末書のテンプレートは、以下リンクからダウンロードできます。

無料で、利用制限なく自由にご利用いただけます。ぜひご活用ください。

顛末書の提出に法的効力はあるか

パートやアルバイトを含め、顛末書を提出させる強制力があるのか気になっている方もいるでしょう。結論からいうと、基本的には業務命令として書かせることが可能です。そのほか、顛末書の提出を拒否した場合の対応についても解説します。

顛末書の提出に強制力はあるか

契約書や就業規則に顛末書提出の義務が明記されている場合は、パートやアルバイトであっても、業務命令として顛末書を書いてもらうことは問題ないでしょう。

たとえば始末書の場合、企業が従業員に対して提出を強制することは困難です。始末書には従業員の反省や謝罪、誓約などが含まれます。そのため始末書の提出を強制することは、憲法に定められている「思想・良心の自由」に反する可能性があるためです。

それに対して顛末書は、再発防止を主な目的とした事実報告であるため憲法の「思想・良心の自由」には触れません。

しかし、契約書や就業規則で規定されていない場合は、顛末書の提出を強制することは適切な対応とはいえず、状況に応じた判断が求められます。

顛末書の提出を拒否した場合

前述のとおり、契約書や就業規則に顛末書の提出拒否が業務命令違反であることが記載されていれば、従業員の顛末書の提出拒否に対して、懲戒処分を下すことも可能です。ただし、提出拒否に対する処分内容についても、就業規則などに明記されている必要があります。

参考:e-Gov法令検索(日本国憲法)|デジタル庁

顛末書を受け取った後にすべきこと

顛末書を受け取った経営上層部は、問題が発生した経緯や原因を把握した上で、再発防止策が有効であるかどうかを判断します。再発防止効果が弱い場合は、問題が発生した部署に対して再考や変更を指示します。場合によっては、顛末書の再提出を命じるケースもあるでしょう。

また、再発防止策が継続されて行われているかどうかも、随時確認する必要があります。適切な再犯防止策を継続して行うことで、同じような問題が起きることを防ぎ、万が一再発した場合も迅速に対処し被害を最低限に食い止めることが可能になるでしょう。

顛末書を活用して組織の成長につなげよう

顛末書とは仕事上でなんらかのトラブルが発生した際に、再発防止を主な目的として発生日時や経緯などを記録する文書のことです。基本的に従業員への業務命令で提出を求められますが、契約書や就業規則で顛末書の作成について規定されていない状況での強制は、適切とはいえません。

トラブルやミスの再発防止のための書類であることを考慮し、経緯や考えられる原因を正しく客観的に書くことが求められます。顛末書を理解し適切に活用することで、組織の成長と発展につなげましょう。

よくある質問

顛末書とはなんですか?

仕事上でなんらかのトラブルが発生した際に、再発防止を主な目的として、発生日時や経緯などを記録する文書のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

顛末書の作成において、必須の記入項目について教えてください

「発生日時・発生場所」「内容」「原因」「損害や被害の規模」「対応状況」「再発防止策」「担当者の見解」などです。詳しくはこちらをご覧ください。


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