• 更新日 : 2023年10月6日

人材育成ってどうやるの?考え方や具体的な手法を紹介

人材育成ってどうやるの?考え方や具体的な手法を紹介

人材育成の方法として、新入社員研修やOJTなどは多くの企業で実施されています。しかし、思っていたように成長できない、人材教育との違いが分からないなど課題、疑問を持っている方は少なからず居るのではないでしょうか。この記事では人材育成の必要性や目的、人材教育との違いなどについて解説します。

人材育成とは

人材育成 人材開発との違い

企業における人材育成とは、企業が経営方針に合わせて社員の能力を成長させることです。基本的には生産性向上、売上向上など企業の目標達成に必要な能力を社員が習得できるように研修への参加、自己学習などを促すことを人材育成と言います。

人材開発との違い

人材開発とは、社員が持っている能力を活用してスキルアップを目指すことを目的とする手法です。人材育成では企業の目標達成を目的としているのに対し、人材開発では社員の個人目標達成を目的としている点が異なります。つまり、企業目線で必要なスキルを習得させることは人材育成、社員が必要だと考えるスキルを習得、育成させることは人材開発に該当する手法です。

人材教育との違い

人材教育とは知識、スキルを教えることを指します。人材育成では勉強又は実践による能力アップを目指しますが、人材教育では勉強による知識習得のみを行うことが異なる点です。厳密には人材育成の手法のひとつとして人材教育があるという扱いになります。

人材育成はなぜ必要なのか?

人材育成の必要性が向上している要因として、全体的な人材不足が進んでいることがあげられます。日本銀行の「短観(概要)」によると、2023年6月における雇用人員判断では全産業平均の指標がマイナス32、製造業がマイナス20、非製造業がマイナス40とされており、全体的な人手不足になっている状況です。

人手不足への対策としては採用活動強化、人材育成による生産性向上、アウトソーシングの活用などが考えられます。人材育成は雇用している社員の生産性を向上させる施策であり、他の施策と比較して実施しやすいことが特徴です。

参考:第197回 全国企業短期経済観測調査 短観(要旨)(2023年6月)|日本銀行
参考:地域における人手不足問題|内閣府

人材育成の考え方・目的

事業拡大や売上向上といった経営目標を継続的に達成するための施策として人材育成は欠かせない施策です。ここでは人材育成を行う目的、基本的な考え方について紹介します。

人材育成の目的

人材育成の主な対象になるのは新入社員から中堅社員までの層であり、将来的な管理監督者の育成を目的として実施されることが一般的です。企業目線では自社の事業拡大、競争力強化といった経営目標を継続的に立案、達成できる社員を育成することが主な目的になります。

新入社員に対しては基本的な業務スキル教育、中堅社員に対しては若手社員への指導や管理職の補佐といった業務を通して管理監督者に必要なスキル習得を図ってもらうことが人材育成を実施する一般的な目的です。

人材育成を行う上での基本的な考え方

人材育成を行う際には具体的な目標を設定し、目標に応じて対象とする社員を選定します。例えば新入社員のビジネスマナー習得、実務経験を積むことを目標とする場合は入社直後〜半年、中堅社員のスキル向上、管理職への昇進を目的とする場合は入社3年目〜7年目ほどの社員を対象とすることが一般的です。実務で役立つスキルを習得することが人材育成の主な目的になるので、基本的には座学と実務研修を併用する形で行われます。

人材育成においてよくある課題

企業の生産性向上、人手不足解消などに人材育成は効果が見込める施策です。しかし、社内の状況によっては適切な形で人材育成を進められないことが考えられます。

通常業務よりも後回しにされてしまう

厚生労働省の「令和元年度能力開発基本調査」によると、人材育成に問題があると回答した事業所の58.1%は指導する人材の不足、49.7%は人材育成を行う時間がないことが主な要因です。通常業務と並行して人材育成を行う担当者は多忙になりやすく、繁忙期においては人材育成が後回しになるケースが生じると考えられます。人材育成が後回しになる状態が続くと新入社員のモチベーション低下、早期離職などを引き起こすリスクがあるので注意が必要です。

参考:人材開発政策の現状と課題について|厚生労働省

想定した通りの育成が難しい

人材育成の目的が明確化されている企業でも、担当者のスキル不足、対象となった社員にスキルアップする意欲がないといった問題があると人材育成で想定する結果が得られにくくなる点には注意が必要です。担当者のスキル不足が要因になっている場合は担当者の差し替え、対象となる社員のモチベーション不足に関しては人材育成の重要性を社内に通知、共有することで人材育成の効率が向上する場合があります。

人材育成計画の立て方

企業における人材育成を適切に行うには、企業と利用者の双方が必要なスキルを分析、習得に向けた施策を実践することが大切です。ここでは人材育成計画の適切な立て方について紹介します。

経営といったマクロな視点での目標を定義する

人材育成を行う際には、企業の経営目標を達成できるように育成計画を立てることが重要です。人材育成の計画は担当者のみで作成するのではなく、経営陣や管理職なども関わって作成することで実践的な育成目標を立てやすくなると考えられます。企業に必要なスキルを備えた人材を確保するには、自社の実態を分析できる社員による育成計画が必要です。

各メンバーが目標達成のために必要なスキル・能力を定義する

企業による経営目標を定義した後は、目標達成に必要なスキル・能力を習得するスケジュールを作成します。例えば入社後3ヶ月以内に新人研修を完了し、1年以内に若手社員として必要な業務スキルを習得するといったスキルマップを作成することで達成目標を段階的に設定できます。

作成したスキルマップを目安として人材育成を行うことで各社員のスキル習得状況が把握しやすく、苦手分野のサポートを行いやすくなるといった効果が見込めます。

人材育成の具体的な手法

人材育成を行う目的や具体的な内容が決まったら、育成内容やスケジュールなどに応じて人材育成の手法を決めるプロセスに移ります。ここでは人材育成で一般的に用いられている手法について紹介します。

OJT

OJTとは、上司や先輩社員が指導担当者になり、実務を通して必要なスキルや技術を教える教育方法です。実務で技術指導を行うことから、営業や事務、製造業など業務内容をある程度定型化できる場合にOJTは適しています。

ただし、指導経験が不足している社員がOJTを担当すると想定より効果が上がらないことが考えられます。対策としてはOJTにおける指導方法について社内研修を実施したり、指導担当者同士で情報共有の場を設けたりするといった方法を取ることが一般的です。

Off-JT

Off-JTとは職場から離れて行う訓練で、通常業務で用いる知識やスキルを学習する指導方法です。社外で業務知識やスキルの習得を進められることがOff-JTの特徴で、近年ではオンラインでOff-JTを実施する企業も増えつつあります。指導内容を電子ファイルで作成することで事前にテンプレート化しやすくなり、担当者による人材育成の効率、指導内容の差を少なくできる点がOff-JTの特徴です。

自己啓発

社員が自主的に知識や技術を学んで習得することを自己啓発と言います。例えば業務に役立つ資格取得、研修・セミナーへの参加などを社員が自主的に行うことが自己啓発に該当する行動です。

また、資格取得費用やセミナー参加費などを企業側が負担することを自己啓発援助制度(SDS)と言います。自己啓発援助制度は社員が任意で利用できるシステムであり、参加が必須ではない点がOff-JTと異なります。

ギャップ分析

ギャップ分析とは理想と現状を比較し、不足点や改善点を把握する手法です。実際にギャップ分析を行う際にはまず現状分析を行い、理想とする状態を定義した後に現状と比較するといったように複数のプロセスに分けて実施します。次に、現状から理想とする状態に到達するまでに必要な対策を検討し、実践するまでのプロセスを繰り返し行うことで、必要な能力を伸ばす形で人材育成を行えるようになります。

コルブの経験学習モデル

経験から学んだものを活用するまでの流れを単純化したものとして、アメリカの哲学者デービッド・コルブが提唱した経験学習モデルが人材育成において活用されることがあります。

コルブの経験学習モデルでは「経験→内省→概念化→実験」のプロセスをサイクル化することで実用的な知識を習得していくことが見込めます。

スキルマップ

社員が担当している業務のスキルレベルを一覧表にまとめたものをスキルマップと言います。各スキルの到達目標を段階分けして設定し、現時点でどの段階にあるかを記載することで各社員のスキルレベルを可視化できます。学習状況が分かることで指導内容をカスタマイズしやすくなり、効率的に人材育成を進めやすくなる効果が見込めます。

参考:スキルマップの作成と活用方法について教えてください。 | ビジネスQ&A | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

人材育成の成功事例

人材育成の方針や具体的な施策を考える際には、他企業の成功事例が参考になる場合があります。

大阪府の製造業者では技能の習熟、資格取得を目的とした勉強会を定期的に実施している他、月1回の頻度で全社員が話し合う機会を設けるなどの施策を実施しています。結果、資格取得者の増加、異なる課の社員が話し合うことによる社内の風通し改善といった成果があったとされています。

参考:人材育成事例339|厚生労働省

人材育成を進めて人手不足を解決

人手不足の中で生産能力を維持し続けるには、人材育成によって社員の能力向上を図ることが有効な対策になります。有用な人材育成計画を立てるためには企業の現状を把握し、社員の能力に応じたプランニングを行うことが大切です。人材育成に用いられるOJTやOff-JTなどの手法にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、状況に応じて適切な手法を選択していくことが重要になります。


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