• 更新日 : 2023年12月22日

ブラック企業とは?特徴や見分けるポイントを解説

ブラック企業とは、労働者を劣悪な環境のもとで働かせる企業です。この記事ではブラック企業の定義や特徴、労働者によるブラック企業の見分け方とともに、対義語のホワイト企業について解説します。自社がブラック企業にみなされると人材確保に大きな支障が生じます。この記事に基づき改めて自社の人事労務について確認しておきましょう。

ブラック企業とは?

ブラック企業は、労働者を劣悪な環境のもとで働かせるコンプライアンス意識の低い企業のことで、労働者が働きたくない企業の代表と言えるでしょう。以下では、ブラック企業の定義をホワイト企業との違いから述べるとともに、ブラック企業が注目された背景について解説します。

厚生労働省におけるブラック企業の定義

厚生労働省においてはブラック企業について定義していませんが、その一般的な特徴として以下の3点を挙げています。

  1. 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  2. 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  3. このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

引用:「ブラック企業」ってどんな会社なの?|Q&A|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省

また、厚生労働省のHPには、労働基準関係法令に違反した企業のリストを公開しています。労働基準関係法令とは労働基準法労働安全衛生法最低賃金法などを指します。このリストに掲載された企業は労働基準関係法令に違反して送検された企業であり、ブラック企業とみなされることは必至でしょう。

ホワイト企業との違い

ブラック企業の対義語がホワイト企業です。ホワイト企業は、一般的には従業員の待遇が良く、福利厚生が充実しており、ワークライフバランスへの配慮がある企業のことを指します。従業員の離職率は低く、働きやすい企業ですので、良い人材が集まりやすいと言えるでしょう。

ブラック企業が注目された背景

ブラック企業という言葉は、2000年代に入ってインターネット掲示板上で使われるようになりました。そして2013年には、厚生労働省がブラック企業を「若者の使い捨てが疑われる企業」として、長時間労働やパワハラ抑制などの対策を行っています。同じく2013年の新語・流行語大賞のトップテンに「ブラック企業」が選ばれ、注目を集めました。

ブラック企業の特徴

以下ではブラック企業の具体的な特徴について解説します。記載した内容の多くは法令違反に該当しますので、通常は発生し得ないことですが、改めて確認しておきましょう。

長時間労働・過酷な労働

労働基準法では1日8時間、1週間40時間を法定労働時間と定めています。時間外労働や休日労働をさせる場合は36協定を締結して、労働基準監督署に届け出なければなりません。また時間外労働時間には上限(基本は月45時間、年360時間)が設けられています。ブラック企業ではこれらの規定を守らずに、従業員が過酷な長時間労働を強いられています。

休日・有給の取得を拒否される

労働基準法では原則週に1日の休日(法定休日)を与えることを義務付けていますが、休日労働などを強いる結果、この休日すら付与しないブラック企業もあります。法定休日を与えていても、休日数が法定労働時間に基づく年間休日数の下限(1日8時間のフルタイム勤務の場合で105日程度)を下回ることもあるようです。

また、同じく労働基準法では、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、希望する時季に年次有給休暇を与えなければなりませんが、これを取得させない、または取得申請をさせないこともあります。年次有給休暇の取得申請がしづらい職場風土が形成されている場合もあるでしょう。

賃金が安いもしくは支払われない・やりがい搾取・精神論が多い

労働基準法や最低賃金法により、使用者は労働者に最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。ブラック企業では残業代を適切に支給しないなどにより、給与が最低賃金を下回っていることもあります。また、昇進しても賃金がそれに見合って上がらないこともあるようです。

また、従業員のやりがいを悪用して不当に長時間・低賃金での労働を強いる「やりがい搾取」も見られます。

このような最悪の労働条件を具体的に改善するのではなく、「我慢や頑張りが足りない」といった精神論で乗り切ることを求める傾向があるのも、ブラック企業の特徴と言えるでしょう。

残業代が出ない・サービス残業が多い

残業代の不払いやサービス残業が多いこともブラック企業の特徴です。残業を会社が認めなかったり、タイムカードやパソコンの使用時間の記録等を定時で終了したことにして、残業代を支払わなかったりすることがあります。労働基準法では労働時間、休日、深夜業等に関して規定を設けており、使用者(企業)は労働時間を適正に把握する責務があるとされていますので、ブラック企業のこれらの行為は違法と言えるでしょう。

また、給与の一部を固定残業代として支給する場合に、計算前提の残業時間を超えても追加支給がない場合があるようです。

管理職に対しては残業代が支給されないイメージがありますが、労働基準法上の「管理監督者」を除き、残業代の支払いが必要です。ところが管理監督者に該当しない管理職に対して残業代を支給しないケースがあります。いわゆる「名ばかり管理職」問題で、多くの訴訟が提起されています。

労働基準法上の管理監督者に該当するかは職名ではなく、実態で判断します。労働条件の決定その他労務管理に関して経営者と一体的な立場にあるか、賃金等が役職にふさわしい形で支給されているか等が管理監督者であるか否かの判断基準になります。ただし、管理監督者と認められた判例は少ないので、管理職への残業代支給要否については慎重な検討が必要です。

雇用契約に通常含まないような内容がある

雇用契約を締結する際には、労働条件を明示する義務があります。明示すべき労働条件は労働基準法に定められており、契約期間、賃金、労働時間、休日など代表的な労働条件は必ず明示しなければなりません。また、労働基準法で契約に盛り込むことを禁じられている項目も定められています。

ただし、それ以外の内容については自由であるため、雇用契約に通常含まないような内容であり、労働者にとって不利なものが含まれることもあります。

離職率・休職率が高い

これまで述べたように、ブラック企業の労働環境は極めて劣悪であるため、離職率や休職率が高いのは当然のことでしょう。離職率については入社後3年以内の離職率が30%を超えている場合はブラック企業とみなされる可能性が高いと言われています。

募集要項に具体性がない

採用の際の募集要項には、通常は商品、サービス、技術力、労働条件など、企業の魅力が具体的に書かれています。一方、「若手が活躍できる」「熱意のある職場」といった抽象的な言葉が多用される募集要項の場合、具体的な魅力がないことが理由とみなされ、ブラック企業と考えられます。

上司や社長の意見が絶対視されている

企業経営においては、社長や上司のリーダーシップに基づくトップダウン型、従業員の意見に基づくボトムアップ型を時として使い分けることが基本です。ところがブラック企業においては上司や社長の意見が絶対で、それ以外の従業員が一切意見することができないため、従業員にとって大変働きにくい職場環境と言えるでしょう。

パワハラやセクハラが多い

先述の通り、ブラック企業では上司や社長の意見が絶対視されるため、他の従業員が意見を申し立てることができません。

また、男女雇用機会均等法などの法律で企業によるハラスメント防止措置が義務付けられていますが、コンプライアンス意識が低いブラック企業では守られるべくもありません。このような環境のもとでは、必然的にパワハラやセクハラが多くなります。

ブラック企業かどうか見分けるポイント

労働者は採用への応募を検討する際に、募集要項などをもとにブラック企業であるか否かを見分けようとします。ここではそのポイントについて解説します。企業としては法令を遵守し、問題ないと考えていても、労働者からブラック企業とみなされてしまえば人材の採用に支障が生じますので、しっかりと内容を確認しておきましょう。

労働時間の長さ

ブラック企業の最大の特徴は労働時間の長さです。離職率が高く、慢性的に人員不足が生じているため必然的に長時間労働が常態化しています。採用の際の求人票や募集要項などには月平均の残業時間を記載するため、応募する労働者が把握できます。また、そもそも記載がない場合には長時間労働の実態を隠していると疑われかねず、ブラック企業とみなされる可能性があります。

給与形態が適切か(固定残業代は適切か?など)

給与の額が同業他社の水準と比較して高すぎる場合には注意が必要と考えられています。

給与形態を確認すると、固定残業代が含まれている場合や、ノルマの達成により支給される手当の占める割合が多い場合があります。固定残業代については、前提とする残業時間が長い(例えば労働基準法の時間外労働の限度時間45時間/月を超える)場合、長時間労働が常態化しているとみなされ、ブラック企業と考えられます。

具体性のない募集要項ばかり

本来、採用の際の募集要項には、企業のアピールポイントを具体的に盛り込むものです。労働条件や福利厚生、企業の業績、商品、サービス、技術力などを訴えるのが一般的でしょう。これらについての記載がない、あるいは具体性に欠ける場合には、アピールポイントのないブラック企業とみなされます。

社内の雰囲気・社員の見た目

採用活動の際のセミナーや面接の場では、当然のことながら応募する労働者がその企業の雰囲気や社員の様子などを確認しています。

清掃や整理整頓などが行き届いていない会場(企業の業績や職場環境が悪い)、社員の雰囲気が暗い、感じが悪い(職場環境や組織風土が悪い)、面接官の態度が高圧的、横柄(従業員を大切にしない企業スタンス)といったことから自社のマイナスイメージを醸成し、ブラック企業とみなされてしまいます。

ホワイト企業の特徴・事例

ブラック企業とは逆に、良い人材が集まりやすいとされているホワイト企業の特徴について、以下で確認します。ブラック企業の特徴とほぼ逆のイメージと言えるでしょう。

給与水準が高い

給与、特に基本給の水準が高い企業は業績がよく、倒産リスクなども少ないため収入が安定しやすいと言えるでしょう。賞与や各種手当は業績に左右される面もあるため、基本給の水準がより重要です。

残業が少ない、サービス残業がない

ホワイト企業では残業が少ない(一般的には月20時間以下)と言われています。ブラック企業とは逆で、人材が定着しており、業務を効率的に進める組織風土も浸透しているため、一人当たりの業務量が過剰ではないからです。効率的に業務を進めるために労働時間を適正に把握しているため、サービス残業も存在しないということになります。

有給休暇取得率が高い

先述の通り、ホワイト企業では業務を効率的に進める組織風土であるため、従業員が有給休暇を取得しやすいと言われています。したがって有給休暇取得率が高い傾向にあります。

様々な働き方に配慮

様々な働き方に対応するための勤務制度を整えていることもホワイト企業の特徴の一つです。フレックスタイム、テレワークや時短勤務など、多様な働き方を選べますが、これを実現するには組織や従業員の間で多様性を理解した柔軟な対応が求められます。働きやすい職場環境であるホワイト企業だから実現できることでしょう。

福利厚生、教育研修が充実

ホワイト企業は人材を大切にする企業とも言え、福利厚生や教育研修の制度が充実しています。

この場合の福利厚生とは、企業が任意に行う法定外福利厚生のことです。具体的には住宅手当や育児・介護支援制度、レジャー施設の割引制度などを指します。教育研修はOJTや集合研修だけでなく、資格取得や自己啓発の補助など、スキルアップやキャリア形成を目的にしたものも充実しています。

明確な人事評価制度

従業員を公平で明確な評価制度により処遇する仕組みを持つのもホワイト企業の特徴と言えます。業務の実績が正しく評価され、給与や昇進などに反映されるため、従業員のモチベーションが高く保たれ、職場の雰囲気もよくなります。

離職率が低い

以上のように、ホワイト企業では働きやすい環境が整備されているため、自ずと離職率が低くなります。そして、離職率の低さがより働きやすい環境を作り上げる形で好循環を生み出していると言えるでしょう。

ブラック企業を反面教師に、人材を大切にする企業づくりを

ホワイト企業のように人材を大切にする企業を目指すことが、良い人材の確保や定着、モラルや生産性の向上につながり、結果として自社の業績を高めることになります。

また会社としてコンプライアンスを遵守し、ブラック企業にあたらないと考えていても、採用に応募する労働者からはブラック企業とみなされることもあります。改めて自社の人事労務について確認し、働きやすい企業づくりに磨きをかけましょう。


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