• 更新日 : 2024年2月29日

有給休暇の取得理由は私用でいい?よくある取得理由も紹介!

体調不良や通院、家族の送迎や冠婚葬祭などの際、会社に有給休暇を申請します。通常は取得することができますが、なかには、有給休暇を申し出たのに取得できなかった人もいるでしょう。

この記事では、有給休暇は私用でも取得可能なのか、よくある取得理由、有給休暇が取得できないケース、退職時の有給休暇の取得などについて解説します。

有給休暇の取得理由は私用でいい?

有給休暇を利用する際、会社に取得する理由を伝える必要はありません。労働基準法において、有給休暇は「労働者の請求する時季に与えなければならない」としています。つまり、私用のためという理由での有給休暇の利用は問題ありません。

会社で定められた有給休暇届の書式には、取得理由を記載する欄が設けられていることがほとんどです。しかし、本来、有給休暇は「仕事を休んでリフレッシュする、他には個人的な用事を済ませるためなどの理由で取得するもの」です。

そのため、有給休暇の取得理由を求められたとしても、「私用のため」とだけ記載しておけばよいということになります。

有給休暇のよくある取得理由は?

有給休暇の取得時に、取得理由として「私用のため」と記載しただけでは会社からいろいろ言われると心配している方もいるでしょう。差しつかえのない範囲で取得理由が記載できるようであれば、記載したほうがスムーズに有給休暇を取得することができます。ここでは、有給休暇のよくある取得理由をご紹介します。

体調不良・通院のため

体調不良の場合は出勤することができません。もし、無理に出勤させたとしても、そのせいで病状が悪化したり、インフルエンザなど他の人にうつる病気だった場合には、感染が社内に広がったりする可能性もあります。したがって、有給休暇の取得が認められやすいでしょう。

通院の場合も、病院や診療所は平日しか行くことができないことが多いため、認められやすいです。

家族の用事のため

親の通院の付添い、送迎や子どもの運動会や授業参観など、学校行事への参加のためという理由も有給休暇の取得が受け入れられやすいでしょう。男性の育児休業以外の育児参加として有給休暇を活用するのも、取得しやすい理由の一つになり得ます。

冠婚葬祭のため

冠婚葬祭は、会社を休んででも出席すべき重要な用事のうちの一つです。結婚式や新婚旅行など、前もって予定がはっきり分かっている場合は、早めに会社に話をしておけば、当事者がいない間の人員確保や仕事の分担も行いやすくなり、スムーズに有給休暇を取得できます。

家族や親族に不幸があった場合は、特別休暇を設けている会社もあるため事前に確認が必要です。そのような特別休暇が設けられていない場合には、有給休暇を取得することになります。

不幸に関しては、突然起きることではありますが、有給休暇の取得には柔軟に対応してくれる会社が少なくありません。

有給休暇を取得できないケースは?

有給休暇は法律では「労働者の請求する時季に与えなければならない」と定められていますが、会社には有給休暇に対して何か権利はないのでしょうか?会社にも条件を満たした場合に主張できる権利があるため見ていきましょう。

会社が時季変更権を行使した場合

労働者から有給休暇の取得申請があったときに、会社が「時季変更権」を行使した場合には、労働者は申請した時期に有給休暇を取得することができません。「時季変更権」とは以下のような権利です。

使用者は前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

引用:労働基準法第39条第5項|e-Gov法令検索

「事業の正常な運営を妨げる」かどうかは、例えば、下記のような項目について、個別的、具体的、客観的に判断されるべきものであるとされています。

  • その事業の規模
  • その事業の業務内容
  • 従事している労働者の職務内容
  • 従事している労働者の忙しさ
  • 代替要員を確保する困難度
  • 代替要員による事業への影響の程度
  • 労働者が指定した時季に有給休暇を取れるよう配慮を尽くしたか
    など

ただし、時季変更権は有給休暇を取得する時期を変更するだけで、有給休暇自体の取得を妨げることはできませんので注意してください。

計画年休の対象となる場合

会社には、もう一つ「有給休暇の計画的付与制度」があります。有給休暇の計画的付与制度とは、労使協定を結ぶことによって、有給休暇のうち5日を超える分については、会社が計画的に休暇取得日を割り振れる制度です。

ただし、有給休暇の日数のうち、5日間は労働者が自由に使用できる日数として残しておかなければいけません。そのため、労使協定の締結による計画的付与の対象となるのは、有給休暇の日数のうち5日を超えた部分に対してです。

また、この有給休暇の計画的付与制度により、あらかじめ計画的に付与された有給休暇については、これを他の時期に変更して取得するようなことはできないので注意が必要です。

退職時は有給休暇をまとめて取得できる?

退職時に有給休暇が残っている場合、その休暇はまとめて取得することができます。有給休暇を取得する行為は、労働者に与えられた権利で、請求する時季やその利用目的については制限がありません。有給休暇を取得する日を「何月何日に取得します」と申請することによって権利が発生します。

引き継ぎは必要か?

退職する際には、自分の仕事を後任の人へ引き継ぐ必要があります。退職を円満に行うためにも、退職が決まったら早めに会社に申し出て有給休暇の消化と引き継ぎが両立できるようにスケジュールを調整しましょう。

有給休暇は買い取ってもらえるか?

有給休暇は、退職日の後には取得することができません。退職すると会社に在籍していないからです。退職日までにすべての未消化の有給休暇が使用できない場合、有給休暇の買い取りを申し出ることができます。

ただし、未消化の有給休暇を買い取るかどうかは会社が決めることができ、会社に買取を応じる義務はありません。そうすると、未消化の有給休暇が無駄になってしまいます。残日数を事前に把握して、未消化の有給休暇が残らないように確認して進めましょう。

有給休暇は未消化にならないように取得しましょう

有給休暇を取得する際の取得理由は、どのような理由であっても問題ありません。しかし、会社が取得に対してあまりよい顔をしないなど、有給休暇が取得しづらい場合や有給休暇を取得できないケースもあるでしょう。

また、退職時に未消化だった有給休暇はまとめて取得できるのか、その際の注意点についても確認が必要です。自分自身の有給休暇の残日数を確認し、計画的に有給休暇を消化するように心がけましょう。


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