• 更新日 : 2022年2月17日

給与計算はこれで問題なし!従業員の給与計算の正しい方法とは?

給与計算はこれで問題なし!従業員の給与計算の正しい方法とは?

どんな立場であれ、会社に所属している以上必ず関係してくるのが「給与」という存在。しかし、支給額から手取りの金額に至るまで、実際にどのような計算が行われているかを把握していない人も少なくないでしょう。

そこで今回は、従業員の給与計算の手順と方法を、給与明細のサンプルを用いてお伝えします。

将来自分が給与の支払いを行う立場になったときに慌てないためにも、一度手順を確認してみてはいかがでしょうか。

給与の計算方法

給与明細書の画像

※時間外手当… 200,000÷170×1.25×10時間=14,705円(月所定労働時間170時間の場合。実際の時間外手当の計算は各企業の給与規程の定めによります。)

雇用保険料… 一般の事業として計算(令和3年度)

※健康保険料… 標準報酬月額220千円、介護保険なし、東京都の保険料率で計算(令和3年4月以降)

厚生年金保険料… 標準報酬月額220千円で計算(令和3年4月以降)

※所得税… 令和3年分給与所得源泉徴収税額表から計算、扶養なし

1. 労働時間を集計する

対象期間

自 8月21日

至 9月20日

出勤日数

22日

労働時間

170時間

残業時間

10時間

勤務表やタイムカードから、従業員の一ヶ月分の労働時間を集計します。

2. 課税支給額を計算する

基本給

200,000

時間外手当

14,705

課税支給額

214,705

基本給以外に、残業代や諸手当がある場合はその分を加算します。また遅刻や早退、欠勤などがある場合は必要に応じて減額の計算を行います。これらの基本給と時間外労働の手当が、課税される際の対象となる課税支給額となります。

3. 通勤手当を計算する

通勤手当

15,000

次に課税対象から外れる通勤にかかる費用を計算します。通常、定期代、切符代が該当します。
通勤手当については、一定額までは非課税となりますので注意しましょう。例えば、電車やバスだけを利用している場合などは、15万円までが非課税です。

4. 控除額(雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料)を計算する

雇用保険料

689

健康保険料

10,824

厚生年金保険料

20,130

各種支給額を算出後、控除額を算出することになります。控除の対象となるのは主に雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料です。雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料は各ウェブサイト内で公表されている算出表を元に算出されます。

(1)雇用保険料の算出

雇用保険料については、厚生労働省の「雇用保険料率表」をご参照ください。雇用保険料は従業員に対する支給額に、従業員が負担する保険料率を掛けた額となります。

多くの方が対象となる一般の事業の場合、雇用保険料率は労働者負担が0.003、事業主負担が0.006となっています。

上記の例の場合には、以下の式の様になります。

(基本給200,000円+時間外手当14,705円*+通勤手当15,000円)× 0.003 = 689円

*200,000÷170×1.25×10時間=14,705円(月所定労働時間170時間の場合。実際の時間外手当の計算は各企業の給与規程の定めによります。)

※通勤手当は一定額まで非課税となるため課税支給額に含まれません。ただし、雇用保険料の計算では課税支給額+通勤手当が基準となります。

(2)健康保険料の算出

健康保険料については、全国健康保険協会の「都道府県ごとの保険料額表」の標準報酬に当てはめることで金額を求めます。

例えば、今回のケースにおいて東京都とすると、標準的な月額報酬が22万円となるため、18等級の行を確認することになります。また従業員負担は折半(1/2相当額)の列を確認します。
都道府県ごとの保険料額表の図

※ちなみに標準的な月額報酬は、毎年、4月・5月・6月の給与の平均額を用いて算出されます。この際の給与には、時間外手当や通勤手当も含まれます。

(3)厚生年金保険料の算出

厚生年金保険料についても、上記と同じ表を参照します。

例えば、一般の被保険者の場合で、標準報酬額が22万円の場合は18等級の行を参照します。また従業員負担は折半(1/2相当額)の列を確認します。
都道府県ごとの保険料額表の図

5. 源泉所得税を計算する

所得税

4,700

住民税

5,000

次に支給額から保険料控除後の金額を国税庁による給与所得の源泉徴収税額表にあてはめ、所得税を算出します。

また、住民税や社宅代が発生する場合はそちらも記載し、差し引きます。ここでは仮に5,000円とします。

一箇所の会社だけに勤務している場合、複数の会社に勤務している場合で、主として働いている会社は「甲」、複数の会社に勤務している場合で主ではない場合は乙の欄を確認します。

給与所得の源泉徴収税額表

※従業員の給料から天引きした所得税は、事業者が代わって国に税金を納める義務があります。これを源泉徴収といい、徴収した所得税は原則、給与を支払った日の翌月の10日までに税務署へ納める必要があります。

※源泉所得税に関して詳しく知りたい方は、源泉徴収を正しく理解できていますか?フリーランスが理解しておきたい3つのポイントをぜひご参照ください。

6. 控除額を差し引く

差引支給額

188,362

最初の支給額より、支給控除を差し引くことで手取り支給額が確定します。

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給与計算の大まかな流れを把握し、月々の明細を確認しよう

いかがでしょうか。文章にして説明すると、やや難しく聞こえてしまいますが、実際にひと通りを確認すると別段難しくないことがわかります。ぜひ上記の計算方法を参考にしてみてください。

また、給与計算は給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」で、自動でかんたんに正確な計算が可能です。

給与計算から振込までをオンラインで完結させ、法令改正や増税・社会保険料の料率変更などがあった際にも自動でアップデート。従業員はパソコンやスマホから給与明細を確認できるため、ペーパーレス化も即時に対応可能です。

製品の詳しい機能や使い方については、企業担当者さま向けのオンライン個別説明会を行っておりますので、まずは気軽にお問い合わせください。

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よくある質問

給与計算の順序はどのようなものですか?

大まかな順序は次のとおりです。 1. 労働時間集計 2. 課税支給額計算 3. 通勤手当計算 4. 控除額(雇用保険料、健康保険料、年金など)の計算 5. 源泉徴収額や住民税などの差し引き 6. 支給額から控除額を差し引く 詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険料はその都度計算しますか?

雇用保険料については、計算しますが、健康保険料や厚生年金保険料は所定の表にあてはめて求めます。 詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収額はなにによって決まりますか?

源泉徴収税額は、保険料控除後の金額から「給与所得の源泉徴収税額表」にあてはめ、所得税を算出します。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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