• 作成日 : 2023年2月3日

社会保険の適用範囲の拡大で週30時間未満の従業員はどうなる?

社会保険の適用範囲の拡大で週30時間未満の従業員はどうなる?

労働時間が週30時間未満のパート・アルバイトについて、2022年10月より社会保険の適用範囲が広がりました。これまでは社会保険の必要がなかったパートやアルバイトの従業員でも、新たに加入させる必要があるかもしれません。

ここでは、社会保険の適用範囲の拡大について解説するとともに、企業がするべき手続きについて紹介します。

社会保険の適用範囲の拡大とは?

2022年(令和4年)10月から、社会保険の適用範囲の段階的な拡大がはじまりました。具体的には、以下の点で変更があります。

  • 特定適用事業所の範囲
  • 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者の要件

これにより事業主は、従来は社会保険の加入対象外であった従業員を、新たに加入させる必要が出てきます。具体的には、正社員と比較して週の所定労働時間が4分の3以下であるアルバイトやパートの従業員についてです。

以下で、社会保険の適用範囲の拡大について解説します。

※この記事では、「週の所定労働時間が30時間未満である短時間労働者」とは、正社員などの通常の従業員の所定労働時間が週40時間となる一般的なケースで解説しています。1日の所定労働時間が8時間未満の企業の場合、「週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の所定労働時間が通常の従業員の4分の3未満である短時間労働者」と置き換えてお読みください。

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社会保険の加入要件

社会保険の加入要件は、適用事業所で常時雇用される従業員です。原則として、健康保険は75歳まで、厚生年金保険は70歳までが加入対象となります。

【社会保険の加入対象となる被保険者】

  • 法人の代表者
  • 役員、管理職
  • 正社員
  • 試用期間中の社員
  • 外国人従業員

加入条件・要件については以下の記事も参考にしてください。

パートやアルバイトの加入要件は?

正社員のような常勤の従業員よりも労働時間が短いパートやアルバイトといったいわゆる短時間労働者の場合は、社会保険の加入要件が異なります。正社員のようなフルタイムで働く従業員の労働時間と比較して、週の所定労働時間および月の所定労働日数が、4分の3以上に該当する場合には、従来から社会保険の加入義務があります。

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社会保険の適用範囲の拡大で変わるもの

2022年10月から段階的に始まった社会保険の適用範囲の拡大では、社会保険が適用される企業の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)の変更、および短時間労働者の条件の変更が行われています。

この変更により、週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以下である、パートやアルバイトといった短時間労働者の中から、新たに社会保険に加入する必要がある従業員が出てくる可能性があります。2022年10月の改正前までの、短時間労働者の社会保険の加入条件は以下の通りです。

【2022年10月以前の短時間労働者の加入要件】

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 勤務期間1年以上またはその見込みがある
  • 月額賃金が8.8万円以上・学生以外
  • 被保険者数501人以上の企業に勤務している(特定適用事業所)

2022年10月からの変更

2022年10月からは、勤務の見込み期間と、特定適用事業所の要件の2つに変更が加わりました。具体的には以下の通りです。

  • 勤務期間:継続して1年以上雇用される見込みから、継続して2カ月を超えて雇用される見込みに変更
  • 特定適用事業所:被保険者数501人以上から、被保険者数101人以上に変更

「継続して2カ月以上」というのは正社員などとの条件と同じです。勤務期間の条件を正社員などの加入条件と統一しています。なお、特定適用事業所の従業員のカウントの仕方は、同一の法人番号で雇用する企業の厚生年金保険の被保険者の総数となっています。

2024年10月からの変更

2024年10月には、特定適用事業所の被保険者数の規模が、「常時51人以上」にさらに拡大されます。

この変更がはじまると、常時51人以上の被保険者を雇用する事業主は、短時間労働者の勤務時間や月額賃金などを確認し、正社員の4分の3以下の所定労働時間や所定労働日数であったとしても、他の短時間労働者の要件に当てはまる従業員について、社会保険加入手続きを行う必要があります。

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社会保険の適用範囲の拡大に向けて何をすれば良い?

社会保険適用拡大に応じて、これまで特定適用事業所でなかった企業も対象となり、新たに従業員の社会保険加入手続きを行う必要が出てきます。以下で、社会保険の特定適用事業所となった場合に必要な手続きをご紹介します。

特定適用事業所の届出を行う

2022年10月の拡大で特定適用事業所となる企業には、日本年金機構から「特定適用事業所該当通知書」が交付されているはずです。通知書を受け取った企業は、10月1日の施行日から自動的に特定適用事業所とみなされます。

2022年10月以降、従業員規模の拡大により新たに特定適用事業所の要件を満たすようになった企業は、「特定適用事業所該当届」を別途届け出る必要があります。

日本年金機構で直近11カ月のうち5カ月間被保険者数が101人以上いることが確認できた場合、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送られてきます。日本年金機構から通知があった場合には、パート・アルバイト従業員の加入手続きに漏れがないように、速やかに届出の準備をしましょう。

【特定適用事業所に該当する条件】

  • 適用事業所で使用される厚生年金保険の被保険者の総数が、直近1年のうち6カ月以上100人を超える場合

引用:特定適用事業所該当・不該当の手続き|日本年金機構

加入対象となる従業員の把握・周知を行う

新たに社会保険の加入対象となる社員がいるかどうか、社内のパート・アルバイト従業員の労働条件の把握を行います。対象者がいる場合には、社会保険の被保険者になる旨を周知します。従業員本人の理解度を深めるため、別途説明会や個人面談を実施するのも、有効な手法です。

社会保険の被保険者の要件を満たす場合、本人の意思に限らず加入することになりますが、なかには給与から控除される額が増えることを理由に、加入へネガティブな反応を示す従業員もいます。加入の経緯や、加入によって得られるメリットを整理し、面談等で説明するといいでしょう。

対象者への周知が済んだのち、「被保険者資格取得届」を提出し、社会保険の加入手続きを行います。当該対象者に被扶養者がいる場合には「被扶養者(異動)届」の提出を忘れないようにしましょう。

社会保険の適用範囲拡大により新たな被保険者がいるかどうか確認しよう

今後は、正社員と比べて週の所定労働時間が30時間未満など、社会保険の加入対象外だったパートやアルバイトがいる企業では、適用範囲の拡大により特定適用事業所となり、短時間労働者を社会保険に加入させる必要が出てくるかもしれません。

新たに特定適用事業所の要件に合致する企業は、別途届出を行う必要がありますので注意しましょう。

よくある質問

社会保険の適用範囲の拡大とは?

2022年10月から短時間労働者への社会保険の適用範囲が拡大されます。被保険者数が常時101人以上の企業は特定適用事業所となり、要件を満たすパート・アルバイト等の社会保険手続きを行う必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険の適用範囲の拡大で何が変わる?

特定適用事業所の要件と、短時間労働者の要件の2つが変わります。これまでパート・アルバイトを社会保険に加入させる必要のなかった企業でも、従業員が被保険者の条件を満たす場合は手続きが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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