- 更新日 : 2026年3月31日
外国人労働者の労働時間に制限はある?雇用する際に確認すべきことを解説
外国人労働者の労働時間は、原則日本人と同様の「1日8時間・週40時間」ですが、在留資格により「週28時間以内」等の厳格な制限があります。
- 就労ビザ等: 日本人と同じ法定労働時間(36協定適用可)
- 留学生等: 常に「週28時間以内」(残業・副業合算)
- 違反のリスク: 事業主は不法就労助長罪、本人は強制送還
Q:留学生が複数の仕事を掛け持ちする場合の制限は?
A:すべての勤務先の合計で「週28時間以内」を厳守する必要があります。 1分でも超過すると不法就労とみなされるため、自社だけでなく他社での勤務時間も合算して管理してください。
外国人労働者の労働時間には、日本人と同様に「1日8時間・週40時間」の上限があり、留学生は「週28時間以内」の制限が設けられています。
違反すると事業主には不法就労助長罪が適用される可能性があり、外国人本人も強制送還となる場合があるため注意が必要です。
本記事では、外国人労働者を雇用する際に確認すべき労働時間のルールやリスク、適切な管理方法について解説します。
目次
外国人労働者の労働時間の実態はどうなっている?
在留資格により差があり、育成就労(旧:技能実習)や特定技能は長くなる傾向にあります。
外国人労働者の労働時間は、在留資格によって傾向が異なります。厚生労働省が公表した「令和6年外国人雇用実態調査」によると、フルタイムで働く外国人労働者の実労働時間は以下の通りです。
とくに「技能実習」の総実労働時間は185.4時間ともっとも長く、次いで「特定技能」が181.5時間となっており、現場業務が中心となる在留資格で労働時間が長くなる傾向が見て取れます。
【在留資格別 実労働時間の平均(令和6年調査)】
| 在留資格 | 総実労働時間 | うち超過実労働時間 |
|---|---|---|
| 技能実習 | 185.4時間 | 21.6時間 |
| 特定技能 | 181.5時間 | 21.3時間 |
| 専門的・技術的分野
(技術・人文知識・国際業務 等) |
175.5時間 | 17.0時間 |
| 身分に基づくもの
(永住者・定住者等) |
166.3時間 | 15.5時間 |
| 外国人常用労働者計 | 174.6時間 | 17.5時間 |
※「総実労働時間」は所定内労働時間と超過実労働時間の合計値
一方で、「留学」の在留資格を持つ労働者(アルバイト)については、入管法による「週28時間以内」の制限があるため、総実労働時間は70時間台(月間)で推移しており、もっとも短い結果となっています。
労働基準法と36協定の適用
国籍に関わらず日本人と同様に適用され、違反は違法となります。
労働基準法第32条により「1日8時間・週40時間」が原則と定められており、超過には36協定の締結が必須です。
外国人労働者であっても、日本の労働基準法が完全に適用されます。法定労働時間を超えて時間外労働(残業)をさせる場合は、必ず36協定(サブロク協定)を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりません。
重要なポイントは以下の2点です。
- 原則: 1日8時間、週40時間以内
- 例外: 36協定の範囲内で残業が可能
これらが守られていない場合、後述する「不法就労助長罪」などに問われるリスクがあるため、徹底した管理が求められます。
留学生の労働時間(アルバイト)の上限
原則として「週28時間以内」と厳格に定められています。
出入国管理及び難民認定法に基づき、「資格外活動許可」の範囲内でのみ就労が認められるためです。
「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人は、本来働くことが認められていません。アルバイトを行うためには、入管法に基づく「資格外活動許可」の取得が必須条件です。
許可を得た場合でも、以下の制限を厳守する必要があります。
- 通常時: 週28時間以内(残業含む総労働時間)
- 長期休業期間(夏休み等): 1日8時間・週40時間以内
この「週28時間」は、複数のアルバイト先がある場合、その合計時間で計算されます。1分でも超過すると不法就労となるため、非常に厳格な管理が必要です。
外国人労働者にも適切に休日を付与する
外国人労働者にも、日本人労働者と同様に、労働基準法第35条に基づき適切に休日を付与する必要があります。
事業主は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければいけません。ただし、4週間に4日以上の休日を確保する場合は、毎週1日の休日を与える義務はありません。
休日の付与に関するルールは、日本人労働者と同様に外国人労働者にも適用されるため、事業主は適正な運用に注意が必要です。
長時間労働が問題視されることもありますが、法律に基づく適切な休日の確保は、健康管理や労働環境の改善につながります。事業主は、外国人労働者が適法な範囲で働けるよう、休日を適切に設定することが重要です。
労働時間に応じて休憩時間を確保する
労働基準法第34条に基づき、外国人労働者にも適切な休憩時間を確保する必要があります。6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与えなければいけません。
労働基準法に基づいた労働環境を整えるためには、以下のような対応が求められます。
- 週休2日制を採用
- 週休1日制の場合は1日の労働時間を短縮
- 変形労働時間制(1ヶ月単位・1年単位)の導入 など
事業主は、外国人労働者にも適切な休憩時間を提供し、労働環境を適法に整えることが重要です。
休憩に関する具体的なルールについては、下記の記事で具体的に解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
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外国人労働者の週28時間に関するルールは?
留学生がアルバイトをする場合、週の労働時間は法律で28時間までと定められています。ルールを知らずに超過して働くと、留学生本人だけでなく、雇用した事業主も罰則の対象となるため注意が必要です。
適切にアルバイトを行うためにも、下記では週28時間の労働に関するルールについて解説します。
週28時間の就労期限の確認方法
留学生は原則として就労が認められておらず、在留カードの「就労制限の有無」欄には「就労不可」と記載されています。ただし、在留カード裏面の「資格外活動許可」欄に「許可:原則週28時間以内」と記載されていれば、週28時間の範囲内でアルバイトが可能です。
資格外活動許可がない場合は、最寄りの入国管理局に申請することで、許可を受けられます。ただし、審査があるため、早めに手続きを行うことが重要です。
留学生を雇用する事業主は、入社日までに資格外活動許可を取得するよう留学生に依頼し、必ず在留カードの記載内容を確認しましょう。
週28時間労働の計算方法
どの曜日から起算しても「常に週28時間以内」である必要があります。
入管法上の運用ルールにより、特定の曜日(例:日曜日)起算ではなく、どの時点の1週間をとっても範囲内である必要があるためです。
多くの企業が誤解しているポイントですが、会社の給与計算上の「週(日曜始まりなど)」だけで管理するのは危険です。
- どの曜日から見ても28時間以内
例:月曜日から翌日曜日、火曜日から翌月曜日、水曜日から翌火曜日・・・とどの曜日から数えても28時間以内でなければなりません。 - 月平均はNG
「月間で120時間だからOK」という計算は認められません。あくまで「週単位」です。 - 変形労働時間制のリスク
変形労働時間制の適用自体は可能ですが、特定の日や週に労働時間が偏ると、入管法上の「週28時間」に抵触するリスクが極めて高くなります。
安全策として、留学生アルバイトには「固定シフト制」または「週20時間程度の余裕を持ったシフト」を組むことを推奨します。
週28時間が許可されないケース
資格外活動許可を取得していても、在留資格で定められた「本来の活動」を行っていない場合は、許可が下りなかったり、すでに取得済みの許可が取り消されたりすることがあります。
留学生の場合、学校への出席率が著しく低い場合や、成績が極端に悪く学業を疎かにしている場合は、資格外活動許可が取り消される可能性があります。
留学生をアルバイトで雇用する際は、学業を最優先にしているか、在留資格の要件を満たしているか常に確認することが重要です。
外国人労働者の労働時間オーバーが発覚した場合のリスクは?
外国人労働者の労働時間が法定基準を超えると、事業主にとって重大なリスクとなるため注意が必要です。労働基準法違反による罰則や行政指導、労使トラブルの発生など、企業経営に深刻な影響を与える可能性があります。以下では、労働時間超過に伴う具体的なリスクについて詳しく説明します。
事業主に不法就労助長罪が適用される
外国人労働者の労働時間オーバーが発覚した場合、事業主には不法就労助長罪が適用される可能性があります。
時間制限を超えて働かせると、不法就労をさせた、もしくはあっせんしたとして不法就労助長罪に該当し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される恐れがあります。また、不法就労をさせたり、あっせんしたりした外国人事業主は退去強制の対象となるため注意が必要です。
さらに、不法就労であると知らなかった場合でも、在留カードの確認不足など事業主に過失が認められれば処罰の対象となります。
外国人労働者は強制送還の対象になる可能性がある
外国人労働者が労働時間を超過し、資格外活動許可に違反すると、強制送還の対象となる可能性があるため注意が必要です。
たとえば、外国人留学生が資格外活動許可で定められた週28時間を超えてアルバイトをした場合、在留資格の更新や変更申請時に不許可となる恐れがあります。また、不法就労が発覚し、退去強制処分となった場合、退去強制の日から5年間(2回目以降は10年間)は再入国が禁止されます。出国命令の場合も、出国の日から1年間は入国できません。
強制送還を避けるためにも労働時間の上限を守り、在留資格の条件を守ることが重要です。
入国管理局は在留カードから違反がわかる
外国人労働者の労働時間オーバーは、入国管理局が在留カードを通じて把握できます。
外国人労働者の情報は、入国管理局のほか、市区町村役場やハローワークなどと共有されており、アルバイト状況も確認可能です。企業が行う納税手続きに基づき、市区町村役場が発行する納税証明書には、外国人留学生の収入額が1円単位で記載されます。
時給に対して収入額が不自然に高い場合、労働時間の超過が疑われます。入国管理局が時間制限の遵守状況を確認し、ビザの更新や変更申請が不許可となる可能性があるため注意が必要です。
外国人労働者の労働時間がオーバーしないための対策
外国人労働者の労働時間がオーバーしないためには、事業主が適切に管理することが重要です。労働時間の超過は不法就労につながり、事業主・労働者双方に法的リスクをもたらす可能性があります。
労働基準法や在留資格の条件を守るためには、正確な勤務時間の把握と適切なシフト管理が必要です。以下では、労働時間を適切に管理する具体的な方法を紹介します。
また、外国人雇用に関する注意点については、下記の記事で具体的に解説しているため、参考にしてみてください。
ダブルワークの報告をしてもらう
外国人留学生を雇用する際は、ダブルワークしているか報告してもらうことが重要です。
外国人留学生のダブルワークは認められていますが、すべてのアルバイト時間の合計が週28時間以内に収まるよう管理する必要があります。自社で時間制限を守っていても、掛け持ち先との合算でオーバーしていれば法律違反です。
企業がダブルワークを知りながら時間制限を超えて働かせている場合、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
そのため、雇用時に留学生が他の職場で働いていないか確認し、他の職場での労働時間を定期的に報告してもらうことが重要です。労働時間の合計が制限を超えないよう、管理体制を整えましょう。
休憩時間や休日の確認を徹底する
外国人留学生にも、日本人と同じく労働基準法が適用されます。そのため、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。
規定を守らなければ違法となり、事業主が罰則を受ける可能性があります。また、休日の確保も重要であり、無理なシフトを強いることは避けたほうが良いです。勤怠管理ツールを活用し、勤務時間や休憩時間を正確に把握することで、適切な労務管理が可能になります。
可能な限り希望時間分のシフトを入れる
外国人労働者のダブルワークを避けるためには、可能な限り希望する時間分のシフトを入れるようにしましょう。
外国人労働者が週28時間フルで働きたいと考えている場合、希望時間を満たせないと他で掛け持ちをする必要性が生じ、結果的に労働時間がオーバーするリスクが高まります。労働者の希望を聞き、可能な限りシフトに反映することで、ダブルワークを防げます。
ただし、接客業などでは来客状況によりシフト時間を超える可能性があるため、28時間の上限に余裕を持たせたシフト設定も検討しましょう。
外国人労働者の雇用を含め、入社や退職時の手続きトラブルには注意
外国人労働者の労働時間管理はもちろんですが、雇用する際の入社手続きや、その後の退職手続きにおいて発生するトラブルにも注意が必要です。
入退社手続きでは社会保険や書類回収で苦労しやすい
株式会社マネーフォワードが実施した調査によると、入社手続きにおいて最もトラブルや苦労が発生しやすい項目は「社会保険(健康保険・厚生年金)や住民税の手続き」で、39.0%でした。次いで「前職の源泉徴収票の回収」が31.2%、「年金手帳・マイナンバー等の必要書類の回収」が29.5%となっています。
また、退職手続きにおいて最もトラブルや苦労が発生しやすい項目は「離職票の発行手続き(賃金台帳の集計等)」で、31.7%でした。次いで「健康保険証の回収」が29.1%となっています。
外国人労働者を雇用する場合でも、社会保険の加入手続きやマイナンバーの回収、退職時の保険証回収といった対応が求められます。必要な書類の提出遅れや確認ミスは、担当者の業務負担の増加に直結します。日頃からスムーズに手続きを進められるよう、手続きフローの明確化や労務管理システムの導入などを検討し、社内の管理体制を整えておくことが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、入社手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目、退職手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目【入退社に関する調査データ】(回答者:入退社手続き業務に携わった経験がある597名、集計期間:2026年2月)
外国人労働者の労働時間を管理して適切に雇用しよう
外国人労働者の労働時間には、日本の法律に基づいた明確な上限があります。
とくに留学生には「週28時間以内」という厳格な制限があり、違反すれば事業主には不法就労助長罪により外国人労働者本人も強制送還のリスクを負います。適切な労働時間管理のために、ダブルワークの報告や休憩・休日の確認を徹底し、ルールを守った雇用を心掛けましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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