• 更新日 : 2024年8月29日

ポジティブ心理学とは?セリグマンのPERMA理論や自己成長に繋がる本を紹介

ポジティブ心理学とは、マーティン・セリグマン教授が提唱した持続的な幸せを追求する心理学のことです。本記事では、ポジティブ心理学とはどのような心理学なのかや、セリグマンのPERMA理論とはどのようなものかについて解説し、自己成長につながるポジティブ心理学の本を紹介します。

ポジティブ心理学とは?

ポジティブ心理学とは、幸せを手に入れて生きることに注目をして、科学的に検証した心理学のことです。1998年にペンシルベニア大学の心理学者マーティン・セリグマン教授により提唱されました。

ポジティブ心理学が追求している幸せは、「Well(よい)」「Being(状態)」を合わせた「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉で表現されます。ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的すべてが満たされている生き方のことです。すなわち、自身の抱えている問題や不満の解消に焦点を向ける考え方ではなく、幸福を手に入れることに焦点を向ける考え方のことです。

本項では、マーティン・セリグマンによるポジティブ心理学とはどのようなものかや、ポジティブ心理学とポジティブシンキングの違いについて解説します。

マーティン・セリグマンによるポジティブ心理学

マーティン・セリグマンがポジティブ心理学を提唱する前の心理学は、人の欠点や精神の疾患などの心のネガティブな側面に焦点を向ける傾向にありました。ポジティブ心理学は、心のネガティブな側面からポジティブな側面に焦点を当てるように変えていったことが始まりです。

マーティン・セリグマン自身も初期の考えでは、一時的な幸せである「幸福理論」でした。しかし、後に、一時的なものでなく持続的な幸せを追求し計測が可能な「ウェルビーイング理論」へ、ポジティブ心理学のテーマを発展させていきました。

ポジティブ心理学とポジティブシンキングの違い

ポジティブ心理学とポジティブシンキングは、一見すると同じように見えますが同じ意味ではありません。ポジティブ心理学とは、幸せを科学的に追求していく心理学のことです。一方、ポジティブシンキングは、自分自身の経験や判断に基づきポジティブなことだけを考えていくことです。

ポジティブ心理学の効果は、統計データに基づき実証されています。一方、ポジティブシンキングの効果は、統計データに基づき実証できないため個人それぞれ効果が異なります。

ポジティブ心理学のPERMA理論とは?

ポジティブ心理学が追求している幸せとは、ウェルビーイングで表現されます。このウェルビーイングを高めるために、マーティン・セリグマンが提唱した5つの要素がPERMA理論です。PERMA理論は、以下の5つの要素で構成されます。

  • P(Positive Emotion)
  • E (Engagement)
  • R (Relationships)
  • M (Meaning)
  • A (Achievement)

本項では、ポジティブ心理学におけるPERMA理論とはどのようなものかについて解説します。

P=Positive Emotion(ポジティブ感情)

Positive Emotion(ポジティブ感情)には、愛、希望、喜びなどの肯定的な感情があります。また、笑い、思いやり、感謝などもポジティブな感情です。

個人がポジティブな感情を追求しながら日常生活を過ごせれば、考え方や行動を前向きに改善できます。ポジティブな感情は、個人が持つネガティブな感情を打ち消すことができ、思考や行動範囲を広め、人生の幸せを向上させることが可能です。

ポジティブ感情を高めるには、楽しめる趣味や創造的な活動を積極的に行ったり、日常に感謝をしたり、高揚感を与える音楽を聴いたりすることなどで実現可能です。

E=Engagement(エンゲージメント)

Engagement(エンゲージメント)とは、時間を忘れて現在の瞬間に没頭し、目の前のことに完全に集中することです。エンゲージメントを高めることで、集中力が高まり、効率よく生産性を向上させることができます。

エンゲージメントを高めるには、時間を忘れてしまうような好きなことに参加したり、平凡な毎日でもその瞬間を生きることを実践したり、学んだり得意なことをしたりすることが大切です。

R=Relationship(人間関係)

Relationship(人間関係)とは、友人・家族・パートナーはもちろんのこと、同僚・上司・指導者といった他者との関わりやつながり、コミュニティ全体との相互関係すべてのことを指します。他人と自分を比べることなく人間関係に貢献することで、他者からサポートを受けたり、愛されたり、評価されたりすることになります。

人間関係を構築するには、顔見知りの人のみならずよく知らない人のことも知る努力や、興味のあるグループに参加することなどが大切です。

M=Meaning(意味)

M=Meaning(意味)とは、人生の意味や意義のことで、価値観や人生の目的に関係することです。人生を生きるうえで、何に価値を見出すのか、何が大切で重要なのか、何を優先するのかなどを明確にすることが幸福度の向上につながります。

A=Accomplishment(達成感)

Accomplishment(達成感)とは、何かを達成すると幸福感が向上するという感覚のことです。目標を立てて努力をしその目標を達成した体験は、ポジティブな感情を生み出し幸せな生き方へとつながります。

達成感を得る方法には、会社を起業する、資格を取得する、過去の成功体験を振り返るなどが考えられます。

ポジティブ心理学を自己成長につなげる鍵は?

ポジティブ心理学について理解したら、実践して自己成長につなげることが大切です。本項では、ポジティブ心理学を自己成長につなげる方法について解説します。

自分の強みを理解する

ポジティブ心理学における幸せな人とは、自分の強みを理解し生かしている人のことです。自分の強みを理解し行動指針にすることにより、他人に貢献したり問題を解決したりできます。その結果、ウェルビーイングが高まり自己成長につながるでしょう。

感謝の気持ちを常に持つ

物事に感謝する気持ちを意識的に持つことは、ポジティブ心理学を実践するうえで非常に重要です。感謝することでポジティブな感情を持つことができ、ウェルビーイングが高まり自己成長につながっていきます。

感謝したいことを書き出したり、感謝したいと思った理由を掘り下げてみたりすることで、感謝する気持ちを常に持つことができます。

物事を楽観的に考える

物事を楽観的に考える楽観主義とは、物事に対して現実逃避をするわけではありません。物事を楽観的に考えることで、常に気分のよい状態にしておく考え方のことです。

楽観主義を実践できれば、失敗や不運に直面しても一時的な外的要因と考えることができるため、気分がよい状態のまま過ごせます。楽観主義でいることが、自己成長につながっていくのです。

ポジティブ心理学について学べる本をご紹介

ポジティブ心理学を学ぶためには、ポジティブ心理学について書かれている本から学ぶことがおすすめです。本項では、ポジティブ心理学を学べる本について紹介します。

マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦』

2011年に出版されたマーティン・セリグマンの著書「Flourish」の日本語版です。新たにウェルビーイング理論が打ち出されています。

従来の心理学は、人間の苦しみを和らげることを目標としてきましたが、マーティン・セリグマンのポジティブ心理学の目標は人生を最も価値あるものにすることです。マーティン・セリグマンは本書で、本物の幸福とはどういうものかや、何が人をずっと幸せにするのかを問い、長続きする幸せを手に入れるために役立つことを示しています。

参考:ポジティブ心理学の挑戦|ディスカヴァー・トゥエンティワン

マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学が教えてくれる「ほんものの幸せ」の見つけ方──とっておきの強みを生かす』

2002年に書かれた「Authentic Happiness」の日本語版で、約20年後に日本で出版されました。本書は、ポジティブ心理学の創設者であるマーティン・セリグマンによる本当の幸せを手に入れるための実践的な手引き書です。

ポジティブ心理学は、本来自分の保有している強みを理解して、その強みを伸ばしていくという考え方です。本書では、自分の強みによるポジティブな感情をステップアップして育てることができるように構成されています。

参考:ポジティブ心理学が教えてくれる「ほんものの幸せ」の見つけ方|パンローリング株式会社

前野隆司『実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』

慶應義塾大学大学院教授である前野隆司の著書です。本書では、マーティン・セリグマンによるポジティブ心理学の最前線を紹介して、どのように毎日の生活にポジティブ心理学を役立てていけばよいかを記しています。不安になりやすい日本人がどのようにポジティブ心理学を取り入れていけばよいかを紹介する一冊です。

参考:実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス|PHP研究所

ポジティブ心理学の実践は従業員のモチベーションにつながる

ポジティブ心理学におけるPERMA理論は、日常的な仕事の中にも取り入れることが可能です。個人差はありますが、PERMA理論の5つの要素により、従業員の持続的な幸せを追求できます。ポジティブ心理学を社内に取り入れることで、従業員一人ひとりの幸福度が高まり、モチベーションを上げることも可能です。

ポジティブ心理学の実践により従業員が成長することで、労働生産性が高まり会社の発展も期待できるでしょう。まずは、できることからポジティブ心理学を実践してみてはいかがでしょうか。


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