• 更新日 : 2023年11月8日

年末調整で受けることのできる控除まとめ!各限度額も紹介

年末調整で受けることのできる控除まとめ!各限度額も紹介

年末調整ではさまざまな控除を受けることができます。給与所得者に適用される控除は全部で15種類。企業の経理担当者が理解しておくことはもちろんですが、従業員も控除について正しく理解することで、納税額を低く抑えることができます。
ここでは、年末調整で受けられる控除と年末調整後に受けられる控除に分けて説明します。

年末調整時に受けることのできる控除

給与所得には「所得税」が課税されます。

計算方法は、給与収入に直接税率を乗じるのではありません。給与収入からそれぞれの家庭の事情を考慮したさまざまな控除、いわゆる「所得控除」を差し引きし、そのあとの合計額に所得税の税率を乗じて計算します。

年末調整時には、以下の控除が適用されます。

基礎控除

基礎控除は、原則として誰もが受けられる控除です。2019年分以前は収入に関係なく一律38万円でしたが、2020年分からは、合計所得金額が2,400万円以下の場合、48万円と変更されました。

基礎控除を適用するには、従業員から「給与所得者の基礎控除申告書」の提出を受ける必要があります。

なお、年末調整においては、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書式で、基礎控除、配偶者控除、所得金額調整控除の情報が1枚の申告書で記載できるようになっています。

令和2年分以降の基礎控除

納税者本人の合計所得金額基礎控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除についても変更があり、2019年分以前は38万円以下であった配偶者の年間の合計所得金額が、2020年分から48万円以下に変更されています。

したがって、給与収入が103万円以下の配偶者がいる従業員は配偶者控除を受けることが可能です。103万円から給与所得控除の最下限額55万円を引くと配偶者の所得金額が48万円となりますので、配偶者控除の要件を満たすことになります。

また、配偶者の給与収入が103万円を超える場合でも、収入が201.6万円未満であれば、配偶者特別控除を受けることが可能です。ただし、配偶者特別控除の金額は、1万円から38万円までの幅が設けられており、従業員(納税者)本人の合計所得金額や配偶者の合計所得金額に応じて異なります。従業員の所得や配偶者の所得が多いほど、控除額が低くなる仕組みになっています。

例えば、下記の配偶者特別控除の表に当てはめて計算すると、従業員の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の給与収入が104万円(合計所得金額は49万円)の場合の配偶者特別控除額は38万円です。同じ表を用いて配偶者の給与収入が200万円(合計所得金額は132万円)の場合の配偶者特別控除額を計算すると3万円となります。

配偶者控除

控除額
控除を受ける人の合計所得金額
一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者
(70歳以上)
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

配偶者特別控除

配偶者の合計所得金額控除を受ける人(従業員)の合計所得金額
900万円以下900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
48万円超95万円以下38万26万13万
95万円超100万円以下36万24万12万
100万円超105万円以下31万21万11万
105万円超110万円以下26万18万9万
110万円超115万円以下21万14万7万
115万円超120万円以下16万11万6万
120万円超125万円以下11万8万4万
125万円超130万円以下6万4万2万
130万円超133万円以下3万2万1万

扶養控除

扶養控除は、従業員(納税者)本人に年間の合計所得金額が48万円以下となる扶養親族がいる場合に受けることが可能です。

例えば、給与収入が103万円以下である16歳以上の子どもがいる場合などが該当します。控除額は1人あたり38万円(一般の控除扶養親族)です。

扶養親族のなかでも、特定の要件に該当する扶養親族がいる場合には控除額が増加します。特定扶養親族(19歳以上23歳未満の扶養親族)に該当すれば控除額は63万円、扶養親族が70歳以上で同居している場合の控除額は58万円、同居していない70歳以上の扶養親族がいる場合の控除額は48万円です。

生命保険料控除

支払った生命保険料に基づき適用される控除で以下の3種類があります。

  • 一般の生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

3種類の保険契約の目的区分ごとに控除限度額が設定されており、2012年以降に締結した保険契約の場合、すべての保険料控除を合計して最高で12万円までの生命保険料控除を受けることが可能です。

◆一般の生命保険料控除の控除額

新生命保険料控除(最高4万円)
旧生命保険料控除(最高5万円)

控除金額は、支払った新旧生命保険料の金額に応じて異なり、一定の計算式に当てはめて計算します。

◆介護医療保険料控除の控除額(最高4万円)

控除金額は、支払った介護医療保険料の金額に応じて異なり、一定の計算式に当てはめて計算します。

◆個人年金保険料控除の控除額

新個人年金保険料控除(最高4万円)
旧個人年金保険料控除(最高5万円)

控除金額は、支払った新旧個人年金保険料の金額に応じて異なり、一定の計算式に当てはめて計算します。

上記を合わせて最高12万円まで生命保険料控除を受けることが可能です。

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

地震保険料控除

地震保険料や、経過措置対象となる以下のすべての要件を満たす一定の長期損害保険(旧長期損害保険)の保険料を支払った場合、地震保険料控除の対象となります。控除金額は支払った保険料の金額に応じて一定の計算式で調整され、最大5万円まで控除可能です。

  • 2006年12月31日までに締結した保険契約で保険期間または共済期間の始期が2007年1月1日以前にある
  • 満期返戻金等があり、保険期間または共済期間が10年以上ある
  • 2007年1月1日以後、当該損害保険契約を変更していない

参考:地震保険料控除|国税庁

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済法で定められた共済契約の掛金を支払った場合に受けることのできる控除です。

該当する掛金には、以下の3種類があります。

  • 小規模企業共済法の規定により独立行政法人中小企業基盤整備機構と締結した共済契約の掛金
  • 確定拠出年金法で規定されている企業型年金加入者掛金や個人型年金加入者掛金
  • 地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度の掛金

小規模企業共済等掛金控除に上限額はなく、その年に支払った金額すべてが控除されます。

社会保険料控除

1年間に支払った健康保険料や介護保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、後期高齢者医療保険料などが社会保険料控除として適用されます。従業員本人の保険料だけでなく、扶養している家族の分を従業員が支払った場合も控除の対象となります。

ただし、配偶者の年金から天引きされている社会保険料(介護保険料や後期高齢者医療保険料など)を従業員の社会保険料控除とすることはできませんので、注意してください。

障害者控除

従業員本人に障害がある場合だけでなく、その配偶者や扶養親族に障害がある場合にも適用されます。

障害者控除額は原則として27万円となりますが、特別障害に該当した場合は40万円、特別障害者が同居している場合は75万円となっています。特別障害に該当するかどうかの基準は、障害等級や指定医の判定などによります。

障害者控除には年齢制限がありませんので、例えば16歳未満の扶養親族が障害者に該当する場合にも控除対象となります。

ひとり親控除、寡婦控除

一定の要件のもと、ひとり親、いわゆる「シングルマザー、シングルファザー」が受けられる控除です。ただし、事実婚により住民票の続柄が未届の夫又は妻となっている場合は対象外となります。

引用:No.1171 ひとり親控除|国税庁

ひとり親控除は一律35万円の控除額となっていますが、寡婦に該当する場合は27万円となります。

寡婦の要件は、「ひとり親」の対象とならず、次のいずれかに該当する人となります。

(1)夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人

(2)夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人

寡婦についても事実婚などにより事実上の婚姻関係にあると認められる人がいる場合は対象とはなりません。

引用:No.1170 寡婦控除|国税庁

ひとり親控除と寡婦控除の相違点を比較して見ましょう。

控除区分性別要件扶養要件控除額
ひとり親控除
(合計所得金額が500万円以下)
男女を問わない未婚または配偶者が生死不明で総所得金額が48万円以下の生計をーにする子供がいる35万円
寡婦控除
(合計所得金額が500万円以下)
女性のみ離婚後再婚せず扶養親族がいる、または夫と死別後再婚していない、夫の生死が明らかでない
(扶養親族の要件なし)
27万円

勤労学生控除

勤労学生控除は、従業員がアルバイト学生であるなど働きながら学校に通う場合に受けることができる控除です。

給与所得があり、年間の合計所得金額が75万円以下(2019年以前分は65万円以下)の一定の要件に該当する学校の学生・生徒で、なおかつ給与所得以外の所得が10万円以下であれば受けることができます。控除額は一律27万円です。

年末調整時に適用される控除

控除名控除額
基礎控除48万円など
(納税者本人の所得により変動)
配偶者控除38万円など
(納税者本人及び配偶者の所得により変動)
配偶者特別控除1万円~38万円
(納税者本人及び配偶者の所得により変動)
扶養控除38万円~63万円
(親族の年齢や同居有無などによって変動)
生命保険料控除最高控除額12万円
地震保険料最大控除額5万円
小規模企業共済等掛金控除該当する掛金全額が控除額となる
社会保険料控除該当する社会保険料全額が控除額となる
障害者控除27万円~75万円
(障害の程度や同居有無によって変動)
ひとり親控除、寡婦控除寡婦は27万円、ひとり親は35万円
勤労学生控除一律27万円

年末調整後に受けることのできる控除

年末調整後に適用される控除の種類は、以下の通りです。

年末調整を終えたあとにこれら3つの控除により納め過ぎた所得税があれば、確定申告することによって還付を受けることができます。

所得控除は本来、納税者それぞれの家庭の事情を考慮し、税負担を公平にするための制度です。しかし、医療費や寄附金などは支払うだけでは控除を受けることができません。また、支払の内容によっては控除できないものがありますので、控除できるかどうか判断に迷う場合には、確定申告の際に税務署に相談しましょう。

また、住宅ローン控除は15種類の所得控除に該当せず上記15種類の所得控除を適用したあとでさらに差し引くことのできる税額控除となっています。住宅ローン控除を受けるために初年度は従業員自身で確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整で控除を受けることが可能です。

所得控除は忘れず正しく控除しましょう

所得控除を受けるためには、それぞれの要件を満たす必要があります。

所得控除の仕組みを知らない従業員も少なくありません。特に、妻や子どものアルバイト収入が適用基準額を上回ってしまうと、配偶者控除や扶養控除が適用されなくなり、所得税が増額する可能性が出てきます。

所得控除には、年末調整で受けることができるものと、確定申告をすることで受けることができるものがあります。企業の担当者としては、これら所得控除の内容を正しく理解して、従業員がわからないときには説明できることが大切です。

よくある質問

年末調整時に受けることのできる控除は?

基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、社会保険料控除、障害者控除、ひとり親控除・寡婦控除、勤労学生控除です。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整後に受けることのできる控除は?

ふるさと納税などの寄附金控除、医療費控除、雑損控除です。詳しくはこちらをご覧ください。

所得控除以外の控除はある?

住宅ローン控除といって、14種類の所得控除を適用したあとでさらに差し引くことのできる税額控除があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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