• 更新日 : 2023年6月23日

ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いや体制づくりの手法を解説!

ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いや体制づくりの手法を解説!

ガバナンスとは、主に統治の意味で用いられる言葉です。コーポレートガバナンスは企業統治の意味で、企業経営健全化のために必要とされる管理体制や取り組みを指す言葉です。ステークホルダーの利益確保を目的に、法令遵守を意味するコンプライアンスや企業リスクの適正な管理を示すリスクマネジメントとともに強化を図ることが求められます。

ガバナンスとは?

ガバナンスは統治や管理、支配と訳される英単語「governance」から、統制や管理体制という意味でビジネス用語として用いられるようになった言葉です。企業の透明性を確保したり社会的責任を遂行したりすることを目的に、必要とされる管理体制や取り組みことを意味します。

ガバナンスを強化することで企業の不正や不祥事を未然に防ぐことができ、社会的地位の向上が図れます。ガバナンス重視の姿勢を示すことで、株主をはじめとする利害関係者からの支持も得られやすくなり、有利な資金調達が可能になることから財政面でもメリットがもたらされます。

コンプライアンスとの違い

コンプライアンスは法令遵守という意味の言葉です。法令を守るということだけでなく、違反・抵触を避けようとする企業姿勢や、そのために行う取り組みもコンプライアンスに含まれます。法令に反することで罰則が科されたり訴訟問題に発展したりするリスクを回避する目的で、企業にコンプライアンスが求められています。

ガバナンスは、健全な企業経営のための仕組みや管理体制を指す用語です。コンプライアンスが法令遵守を目的に行う者であるのに対し、ガバナンスは経営健全化を目指して行う点で異なっています。しかしどちらも企業にとっては重要で、適正に管理していく必要があります。

リスクマネジメントとの違い

リスクマネジメントとは、経済活動を行う上で企業に生じるリスクを定量的・定性的に評価し、最小限に抑えるために対策を講じることを指します。企業経営健全化を目的に行う取り組みや、管理体制を意味するガバナンスの一部にリスクマネジメントは位置付けられることが多く、企業はガバナンス体制を適切に構築するためにも、リスクを最小限に抑え、健全な企業経営のために適正な意思決定や管理を行うことができます。

内部統制との違い

内部統制とは、企業経営において関係法令を守りながら適正に業務を遂行する仕組み・体制を指しています。内部統制は企業の経営リスクを適正にコントロールし、企業価値向上を図るため必要とされます。これに対しガバナンスは企業経営健全化を図るための取り組みや管理体制を意味し、社会的責任を全うするために必要とされます。

内部統制とガバナンスはどちらも企業経営の重要な要素で、相互に関連しています。内部体制の強化がガバナンスの機能向上につながり、ガバナンスの整備が内部体制の適正かつ効率的な運用につながるという関係にあります。

企業用語としての「コーポレートガバナンス(企業統治)」

日本でガバナンスは、コーポレートガバナンスの意味で多く用いられます。コーポレートガバナンスは企業統治と訳される企業用語です。企業経営を健全なものとするために必要とされる管理体制や取り組みを指し、適正な判断・会社運営を行うために必要な監視・統制を行う仕組みを言います。

ガバナンスが不十分であると適正に企業統制が行われず、経営に問題が生じる恐れがあります。不正や不適正な会計処理などの不祥事が発生するリスクにつながり、企業ダメージにより社会的信用喪失が懸念されます。損害賠償請求による経済的損失の恐れもあり、企業には社会的・経済的の両面からガバナンス強化が求められています。

ガイドラインとしての「コーポレートガバナンス・コード」

コーポレートガバナンスは、2015年に上場企業や上場を目指す企業に向けて公表された指針です。東京証券取引所と金融庁が取りまとめた企業が持つべき意識を示す指針で、これまでに二度の改訂が行われています。

直近では2021年に、取締役会の機能強化・企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保・サステナビリティに関する課題への取り組みをポイントに改訂されました。コーポレートガバナンス・コードには以下に説明する5つの基本原則が定められています。

原則1:株主の権利・平等性の確保

「株主の権利・平等性の確保」とは、株主の権利が実質的に確保されるような適切な対応、また各株主が平等に扱われることを求める原則です。株主が適切に権利行使できるよう環境を整備したり、少数株主や外国人株主に十分な配慮をしたりすべきであり、具体的には次のようなことが挙げられます。

  • 株主総会において可決はしたが反対も相当数に上った会社提案に対しては原因を分析し、対応要否の検討などを行う
  • 株主総会で株式が適切に判断するために必要とされる情報は、必要に応じて的確に提供する

原則2:株主以外のステークホルダーとの適切な協働

「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」とは、従業員・顧客・取引先・債権者・地域社会といったさまざまなステークホルダーと適切に協議すること、取締役会・経営陣はステークホルダー事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の情勢に向けてリーダーシップを発揮することを求める原則です。具体的には次のようなことが挙げられます。

  • 女性や外国人、中途採用者の管理職登用など、多様性の確保についての考え方や目標を示すとともに状況開示を行う

原則3:適切な情報開示と透明性の確保

「適切な情報開示と透明性の確保」とは、会社の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに関する情報などの非財務情報について適切に開示することを求める原則です。次のような情報の開示が推奨されます。

  1. 会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
  2. コーポレートガバナンス・コードのそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
  3. 取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
  4. 取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
  5. 取締役会が上記4.を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の個々の選解任・指名についての説明

原則5:取締役会等の責務

「取締役会等の責務」とは取締役会に対して、企業戦略等の大きな方向性を示すこと、経緯陣幹部による適切なリスクテイクを支えること、経営陣や取締役に対して独立した客観的な立場から実効性の高い監査を行うことを求める原則です。

  • 取締役会は取締役会として判断・決定を行う事項と経営陣に委ねる事項について経営陣に対する委任の範囲を明確に定めて、概要を開示する

原則5:株主との対話

「株主との対話」とは、株主総会の場以外でも株主との間で建設的な対話を行うことを求める原則です。

コーポレートガバナンスを効かせるメリット

コーポレートガバナンスを効かせることで、企業には次のようなメリットがもたらされます。

不正の防止に役立つ

コーポレートガバナンスを効かせると、業務上のさまざまなプロセスが可視化されます。業務の遂行過程や意思決定プロセスが明らかになるため、改ざんや隠蔽が起こりにくくなります。経理プロセスも一目瞭然になるため、不適正な会計処理も防げます。企業活動の透明性が増し、不正の防止に役立ちます。

経営の健全化が図れる

コーポレートガバナンスが効いている企業では、経営陣や取締役会により適切な意思決定が行われます。不適切な意思決定により不祥事や企業の私物化、失敗が怒りにくく、経営の健全化が図れます。

企業価値が向上する

コーポレートガバナンスがしっかり効いている企業は、関係法令への理解、社会的倫理の遵守、社会的責任の全うができる、優良企業と評価されます。社会的に信用され、企業価値向上へとつながります。情報開示が適切に行われることでも企業価値が向上します。

コーポレートガバナンスを効かせるデメリット

コーポレートガバナンスを効かせることで、企業が被るデメリットは以下のとおりです。

コストがかかる

コーポレートガバナンスの強化には費用がかかり、コストアップにつながります。コーポレートガバナンスを効かせる方法には、取締役会機能の強化やコンプライアンスの改善、組織の透明性確保などが挙げられ、これらには人件費の他に監査費用・コンサルティング費用・情報開示にかかる費用・報告書作成費用がかかります。また、コストがかかるだけでなく、効果がわかりにくい上に生じるまで時間がかかるといった問題もあります。

運用の課題が生じる

コーポレートガバナンスは、取り組みを行ったり管理体制を構築したりするだけでなく、運用して初めて効かせることができます。さらに適切に運用しなければならず、不適切では十分な役割を期待することはできません。

コーポレートガバナンスを適切に運用するに当たっては、取締役会を正常に機能させる、企業にとってマイナスの情報も積極的に開示する、不正行為が発覚した場合に適切に対応する、といった点が課題になります。このような課題の克服が、コーポレートガバナンスを機能させるために必要とされます。

コーポレートガバナンスがないことで生じるリスク

コーポレートガバナンスがない企業には、以下のようなリスクが生じる恐れがあります。

社会的に信用されない

コーポレートガバナンスに対する取り組みを疎かにしている企業は、ステークホルダーを軽視している企業とみなされます。法令遵守の精神や倫理観がない企業、社会的責任が果たせない企業と判断され、社会的信用を失います。

市場で優位に立てない

コーポレートガバナンスがない企業は、社会的信用がないことから金融機関からも信用されにくく、十分な融資を受けることができません。競争力も不十分になり、市場で優位に立つことが困難になります。

必要な仕組みをつくり、コーポレートガバナンスを効かせよう

ガバナンスは統治という意味の言葉で、コーポレートガバナンスは企業統治として用いられます。企業が健全な経営を行うために必要な管理体制や取り組みを表し、企業の不正や不祥事を未然に防ぎ、利害関係者からの支持により資金調達で有利に働くといったメリットがあります。

法令遵守を指すコンプライアンスや、リスクの適正管理を指すリスクマネジメントとともに、ガバナンスを強化することが求められています。ガバナンスについては、コーポレートガバナンス・コードが東京証券取引所と金融庁の取りまとめにより設けられています。上場企業や上場を目指す企業は、コーポレートガバナンス・コードに沿って、企業経営健全化のために必要とされる管理体制構築やその他の取り組みを行わなければなりません。

コーポレートガバナンス・コードでは「株主の権利・平等性の確保」「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」「適切な情報開示と透明性の確保」「取締役会等の責務」「株主との対話」の5つを基本原則としています。

コーポレートガバナンスを効かせると、不正の防止に役立つ・経営の健全化が図れる・企業価値が向上するといったメリットがもたらされます。コーポレートガバナンス・コードについても理解して、必要な仕組みづくりをしましょう。


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