• 更新日 : 2022年11月15日

年末調整で税金が戻ってくる!年末調整をしないと国税から罰則を受ける可能性も?

年末調整で税金が戻ってくる!年末調整をしないと国税から罰則を受ける可能性も?

年末調整は、組織全体をまきこむ年末に向けた一大イベントです。ここでは「年末調整で税金が返ってくるのか」「確定申告と何が違うのか」「年末調整をしないと罰則はあるのか」といった疑問や、年末調整を効率よく行う方法、個人が忘れていた場合の対処法、所得金額調整控除について説明しています。

年末調整を税金が還付になる理由

給与から天引きされる所得税は、概算の金額です。年末調整では、給与や賞与以外で支払った生命保険料等の各種保険料や確定拠出年金、家族に関する控除などを加味して、所得税の年税額を算出します。この年税額は、給与から源泉徴収した金額より少ないケースが多く、その場合は過納分の還付が行われます。

年末調整と確定申告の違いは何?

年末調整とは、源泉徴収で納付した年間の累計金額と、本来納めるべき年税額の過不足を、年末の給与で清算し、その年の所得税の納税を完了することをいいます。

一方の確定申告は、所得者自身が1年間の所得から税額を算出し、税務署に申告して納税する方法です。給与所得者の場合、原則として個人で確定申告する必要はありません。

ただし、給与収入が2000万円を超える場合や、給与以外の所得が20万円を超える場合など、給与所得者であっても確定申告が必要となる場合があります。

年末調整では事業所側と給与所得側でやるべきことが異なる

ここでは正しく年税額を算出するために、事業所側と給与所得者側でやるべきことを説明します。

年末調整で事業所側がやるべきこと

年末調整に必要な各種控除額を確認するため、次の申告書を従業員に配布し、記入を依頼します。回収した申告書は、控除証明書などの添付資料と照合することが大切です。

この他に「住宅借入金等特別控除申告書」や、中途就職者は前の会社での源泉徴収票などが必要となるケースがあります。
年内に支払う給与や賞与が確定したら、申告書の情報を加味して、所得税の年税額を算出します。その結果、源泉徴収した年間の合計額が、過納であった場合は各人に還付し、不足額は徴収して納付します。このように所得税の納税を完了させることが、事業者側でやるべきことです。

年末調整で給与所得側の個人がやるべきこと

申告書に添付が必要な控除証明書などは、10月ごろから送付されます。これらの書類を紛失しないよう管理してください。

11月頃に年末調整に必要な各申告書が、会社から配布されます。「扶養控除申告書」には、その年の12月31日の時点で、自分が扶養している家族について記入しましょう。

申告書に正しく記入し、控除証明書などの資料を添えて、会社の決めた期限内に提出することが、個人がやるべきことです。

適切な年末調整をしないと国税から税金に関する5つの罰則を受ける

ここでは会社が年末調整をしなかった場合の、罰則やデメリットについて説明します。

年末調整の期限に間に合わないと延滞税が発生する

年末調整で不足額を徴収した場合、翌年1月10日が納付期限です。これを過ぎると、翌日から延滞税が課税され、2カ月以上を過ぎると、延滞税の税率が上がります。
また年末調整は期限内にしたが、誤りにより所得税を少なく納税していた場合は、すぐに修正申告してください。これを税務署から指摘された場合は「過少申告加算税」がかかります。

払い過ぎた税金に対する還付金が受けられない

源泉徴収制度では、年税額よりも多く納付しているケースがほとんどです。しかし会社が年末調整をせず、本来納めるべき年税額を確定しなければ、当然ですが従業員に対しての還付もできません。

従業員が自分で確定申告をしなければいけなくなる

会社が年末調整しなかった場合は、従業員は自分で確定申告をして、年税額の過不足を清算することになります。従業員にとって確定申告をする手間は、負担が非常に大きいものです。その結果、会社への不満から退職を考える人が増えるおそれもあります。

年末調整を行うことは会社の義務である

年末調整は所得税法で課せられた、給与支払者の義務です。故意に年末調整をしない場合、脱税とみなされることもあり、「1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」、悪質な場合は「10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」が所得税法で定められています。

参考:所得税法|e-Gov法令検索

指摘後も納税しないと資産の差し押さえをされる

税金を滞納した場合、まず税務署から督促状が届き、それでも納税しない場合は、電話や書面で催促されます。さらに放置すると、会社の資産が差し押さえられるという、最悪の事態につながるのです。税務署から滞納や脱税の指摘を受けたら、速やかに対応しましょう。

年末調整で手間をかけずに簡単に終わらせる方法

担当者にとって年末調整の時期は、賞与計算も重なり忙しい時期です。ここでは年末調整を簡単に終わらせる方法を説明します。

年末調整代行サービスに外注する

年末調整代行サービスは、従業員から回収した申告書や、控除証明書の内容をチェックして、各人の年税額を確定します。過不足額の算出や、源泉徴収証の作成も可能なので、担当者の負担を軽減でき、確実に年末調整ができる方法です。

年末調整の作業スケジュールを立てておく

年末調整は、余裕もった作業スケジュールを早めに立てましょう。また従業員に、申告書の提出期限について周知を徹底することや、申告書の記入マニュアルを準備しておくと、修正依頼の手間を回避でき、スムーズに作業が進められます。

会計ソフトを利用して計算や申告を電子化する

年末調整の申告を電子化すると、給与システムからデータを取り込めるので、年税額の計算が簡略化できます。従業員にとっても、前年度のデータを利用することで記入ミスが減ることや、控除証明書もシステム上でアップロードできるので手軽です。

年末調整を忘れてしまった場合の対処法

「会社に申告書を出し忘れてしまった!」そんな場合は慌てずに、次のいずれかの方法で対処しましょう。

個人なら会社に対して年末調整のやり直しを相談する

申告書の提出を忘れていたときは、すぐに会社に連絡して年末調整のやり直しを相談しましょう。まだ年末調整の業務が完了していなければ、やり直しの依頼ができることもあります。しかし会社が1月末期限の年末調整の書類を、すでに税務署や市区町村に提出している場合は、やり直しは難しいでしょう。その場合は、自分で確定申告する必要があります。

会社での年末調整までに提出できなかったら自分で確定申告を行う

会社での年末調整に間に合わない場合は、自分で確定申告すると、年末調整ですべき全ての控除が適用できます。この確定申告は翌年2月16日から3月15日までの期間に申請するので、翌年になったら忘れずに準備を始めましょう。

過去5年分なら還付申告を利用する

年末調整を忘れて確定申告することを想定したとき、「所得税が還付される」という内容であれば、還付申告が可能です。この還付申告は、課税年度の翌年1月1日から5年間、通年で行えます。

年末調整で所得金額調整控除を利用すれば税金の負担を軽くできる

所得金額調整控除とは、税負担の調整のために設けられた控除です。控除を受けられる場合があるので、内容について把握しておきましょう。

参考:所得金額調整控除|国税庁

850万円控除に加えて10%の控除を受けられる人

年間給与収入が850万円を超える居住者で、次のいずれかに該当する方は控除の対象となります。

  • 本人が特別障害者に該当する者
  • 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者

これに該当した場合は次の控除が可能です。

{給与等の収入金額(1000万円限度)-850万円}×10%=控除額(15万円限度)

給与所得の合計金額から10万円の控除を受けられる人

当年の「給与所得控除後の給与などの金額」と「公的年金に係る雑所得」の双方がある居住者で、その合計金額が10万円を超える方が対象となります。これに該当した場合は次の控除が可能です。

{給与所得控除後の給与等の金額(10万円限度)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万限度)}-10万円=控除額

年末調整を適切に行って払い過ぎた税金を受け取ろう

会社から年末調整の案内があったらなるべく早く手続きを済ませましょう。正しく年末調整を行い、払い過ぎた税金を受取ることは、正しい納税につながります。

よくある質問

年末調整では事業所がやることを教えてください

年末調整に必要な各種控除額を確認するため、各種申告書を従業員に配布し、記入を依頼します。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整で給与所得者がやることを教えてください

配布された申告書について、必要情報を記入します。詳しくはこちらをご覧ください。


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