• 更新日 : 2024年4月19日

ウォームビズとは?期間や温度、服装のポイント、取り組み事例を解説

ウォームビズとは、過度な暖房に頼らずに工夫して冬を快適に過ごすエコロジカルなライフスタイルのことです。環境省では、2005年から地球温暖化対策の一つとして提唱してきました。ウォームビズの実施期間や服装のガイドライン、服装以外の取り組み事例や東京都の事例、ウォームビズ廃止論について解説します。

ウォームビズとは?

ウォームビズとは、過度な暖房に頼らずに快適に冬を過ごすライフスタイルのことです。地域や日々の気温、個人の体調によっても異なりますが、その場に応じて柔軟に工夫をすることで、暖房に頼らなくても温かく過ごすことは可能です。

環境省では2005年の冬から、地球温暖化対策の一環としてウォームビズを提供してきました。働く人一人ひとりが、個々の事情も考慮しつつ、快適で働きやすい服装で仕事を行うことを呼びかけています。

環境省が提唱するウォームビズの温度

環境省では、暖房時の室温の目安として20℃を提唱しています。一般的に、冷暖房を電力で行う場合、室温を調整することで得られる省エネ効果は、冷房(夏)よりも暖房(冬)のほうが大きいとされています。暖房器具の室温設定を20℃程度にすることで、二酸化炭素の排出を抑えるだけでなく、電気代の節約にもつながるでしょう。

近年、機能性の高い資材や工法が多く開発され、建物の性能も高まっています。高気密高断熱の建物では、暖房をしなくても室温が20℃を超えることもあり、二酸化炭素の排出を抑え、暖房代削減にも役立っています。

なお、室温を20℃に設定するために、冷房をつけてまで20℃に調整する必要はありません。高断熱性の住宅で冬の室温が20℃を超える場合は、そのまま快適に過ごし、万が一、暑過ぎるときには窓を開けて外気で冷やすようにしてください。

政府では率先してウォームビズに取り組むために、暖房中の室温が19℃を目途に過度にならないように調整しています。また、地方公共団体にも同様の取り組みを行うように奨励し、過度の暖房を控えるように呼びかけています。

令和5年度 ウォームビズについて

環境省の奨励を受け、各自治体や企業では独自にウォームビズに取り組んでいます。

たとえば、岩手県では2023年11月1日~2024年3月31日の期間、ウォームビズを実施しました。暖房を19℃に設定し、職員は暖かい服装で業務を行い、休憩中やランチは暖かいものを食べ、暖気を逃がさないように工夫しています。

また、民間企業でもウォームビズに取り組んでいます。たとえば、湘南信用金庫では、2023年12月1日~2024年3月29日の期間中、暖房を20℃に設定しました。来店する顧客には、寒さを感じることがあると注意を喚起しています。

参考:岩手県|令和5年とウォームビズの実施について
参考:湘南信用金庫|ウォームビズ実施について

ウォームビズの実施期間

2005年に始まったウォームビズの取り組みは、特に期間を定めて実施されているのではありません。政府機関や自治体、民間企業などが、各自で時期を決めて実施しています。

ウォームビズの服装のガイドライン

ウォームビズは二酸化炭素を排出する方法で暖気を取らず、服装や暮らし方、食事などを工夫することで暖かく過ごすライフスタイルです。服装も特に決まりはありませんが、環境省では、次の3つに注目すると暖かく過ごしやすくなると紹介しています。

  • 3つの首を暖める
  • 素材に注目して選ぶ
  • 布1枚を活用する

いずれも職場だけでなく家庭でも利用できる工夫です。それぞれどのような工夫か、見ていきましょう。

3つの首を暖める

太い血管がある部分を重点的に暖めると、身体が暖まりやすくなるといわれています。太い血管のある3つの首(首、手首、足首)を暖めるようにしてみてください。たとえば、タートルネックのシャツや袖が長めのカーディガン、足首まで覆う長めのスカートやパンツを着用すれば、普段よりも暖かく過ごせるかもしれません。

また、タイツにショートソックスを重ねると、足首が二重に覆われるため、より暖かさを感じやすくなります。3つの首を暖めると、冷え性の改善にもつながります。

眠るときも、3つの首を意識してみてはいかがでしょうか。首にタオルを巻くことで、暖かく眠りにつけるようになります。また、布団の隙間から冷気が入り込むのを防げるのもポイントです。

素材に注目して選ぶ

機能性の高い素材が増えています。薄く暖かい素材の下着やセーターなどを選べば、着ぶくれすることなく暖かく過ごせるようになります。

また、軽い素材を選ぶことも重要なポイントです。衣類が重いと身体に負担を与えてしまい、動きが鈍るだけでなく、疲れやすくなってしまいます。活発に過ごすためにも、軽く暖かい素材を選びましょう。

たとえば、キルティングのジャケットやベストを室内でも着てみてはいかがでしょうか。昔ながらの綿入れよりも軽いものも多く、身体の負担を軽減できます。

布1枚を活用する

普段の生活に布1枚をプラスするだけでも、暖かく過ごせるようになります。たとえば、ひざ掛けを1枚用意しておくと、下半身に寒さを感じるときに使えます。腰が冷えるときには、ひざ掛けを腰に巻いたり、ひざ掛けとは別にもう1枚用意したりしてみても良いかもしれません。

また、ストールも1枚あると暖かさが違います。小さく畳めるストールをカバンの中に忍ばせておけば、外出先で寒さを感じたときにさっと利用できます。

職場でのウォームビズ服装の注意点

室温を19℃、20℃程度に設定することで、職場が少し寒いように感じる可能性があります。暖かい衣類を着込むことで寒さ対策をしますが、次の点に注意をしてください。

  • 来客がある職場では不快感を与えないように配慮する
  • ウォームビズ中であることを周囲に知らせる

暖かく過ごすことを目的にあまりにも着込むと、くつろぎ過ぎているような印象になってしまうかもしれません。たとえば、綿入れを着たり、部屋着のようなもこもこした素材のカーディガンを羽織ったりすると、来客から不快に思われてしまう可能性があります。

寒さ対策は必要ですが、あくまでも仕事中であることを意識して、部屋着に見えないような着こなしをしてください。

また、ウォームビズ中であることを周囲に知らせることも必要です。暖かい下着だけでは寒さ対策が十分でないこともあるため、室内でも厚めの上着を着用するかもしれません。ポスターやのぼりなどでウォームビズ中であることを周知していれば、来客にも厚着の理由を納得してもらいやすくなります。

服装以外のウォームビズの取り組み事例

服装以外にも、食と住の側面からウォームビズに取り組みます。いくつかの事例を見ていきましょう。

食によるウォームビズ

暖かいものを飲みながら仕事をしたり、昼食に暖かいものを食べたりすることで、身体を暖められます。身体を冷やす飲み物・食べ物を避け、暖かく過ごしていきましょう。

また、身体を暖める食材にこだわるのもおすすめです。冬が旬の食材や根菜類、生姜は、身体を内側から暖めるといわれています。お弁当の食材として使ったり、生姜湯を飲んだりしても良いかもしれません。

地産地消も大切なポイントです。地域の食材を使うことで、流通によって生じる二酸化炭素の排出を削減できます。

住によるウォームビズ

窓やドアから、室内の暖かい空気が逃げてしまいます。窓に断熱シートを貼ったり、複層ガラスや二重サッシに取り替えたりしてみてはいかがでしょうか。

また、暖かい空気は上方に溜まります。短時間だけ扇風機をつけ、下方へも暖かい空気が来るように空気を循環させましょう。

ウォームビズの実施状況:東京都の例

東京都では「Tokyo Warm Biz」と題し、積極的にウォームビズを推進しています。ワイシャツにネクタイという従来の服装ではなく、ジャケットにタートルネックを合わせたり、普段の服装にカーディガンを1枚プラスしたりするなど、職場の暖房の温度設定を下げて省エネを目指します。

また、都庁では、率先して服装の選択肢を広げる取り組みを開始しました。一律に服装や室温を決めてしまうのではなく、業務内容や作業環境に合った服装・室温を選び、事業所ごとに快適に過ごせるように工夫することを基本指針としています。

ウォームビズの廃止の議論や変更点

環境省では、クールビズやウォームビズの期間を一律に設定する習慣は廃止しようと呼びかけています。一人ひとりが気候や体調に応じて適切な服装を選択し、年間を通じて快適に過ごせるように工夫することを求めています。

従来は5月~9月あたりをクールビズ期間、11月~3月あたりをウォームビズ期間と設定することが多かったですが、近年では特に期間を定めていない事業所・自治体も増えてきました。

また、冷房や暖房の期間も定めず冷房が必要なときは28℃程度に設定する、暖房が必要なときは19℃・20℃に設定するというように、より柔軟に対応するケースも増えているようです。

一人ひとりが地球温暖化対策に取り組もう

一人ひとりの取り組みが、二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化対策にもつながります。冬は暖かな服を着用し、暖かいものを食べるなどの工夫をすることで、暖房を過剰につけなくても暖かく過ごすことは可能です。

ウォームビズは職場での過ごし方ですが、家庭でも暖房の設定温度を下げ、暖かく過ごす工夫をしてみてはいかがでしょうか。一人ひとりが真剣に地球環境に向き合うことで、より良い未来を実現できるようになります。


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