• 作成日 : 2022年12月16日

特別支給の老齢厚生年金とは?65歳より前にもらえる?受給要件や手続きを解説!

特別支給の老齢厚生年金とは?65歳より前にもらえる?受給要件や手続きを解説!

特別支給の老齢厚生年金は厚生年金加入歴が1年以上あり、昭和36年4月1日(女性は昭和41年4月1年)以前に生まれた人に支給される年金です。受給開始年齢は生年月日や性別によって定められており、60~64歳から受け取れます。金額は被保険者であった期間や報酬額によって変わり、請求の案内は支給開始年齢に達する3ヵ月前に送付されます。

特別支給の老齢厚生年金とは?

特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の受給開始年齢が引き上げられたことによって設けられた年金制度です。昭和60年に法律が改正され、それまで60歳から支給されていた老齢厚生年金は、65歳からの支給に変更されました。受給開始が5年後となることに対する緩和策として設けられた制度が、特別支給の老齢厚生年金です。

受給要件

特別支給の老齢厚生年金は、以下の要件を満たす人に対して支給されます。

  • 生年月日
    男性は昭和36年4月1日以前であること
    女性は昭和41年4月1日以前であること
  • 老齢基礎年金の受給資格期間
    10年以上あること(保険料納付済期間・免除期間・納付特例の期間を合わせて)
  • 厚生年金保険の被保険者期間
    1年以上あること
  • 年齢
    生年月日に応じて定められている支給開始年齢に達していること

支給開始年齢

特別支給の老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「定額部分」があり、生年月日や性別によって定められている年齢に達すると支給されます。

▼ 男性の支給開始年齢

生年月日報酬比例部分定額部分
昭和16年4月1日以前60歳60歳
昭和16年4月2日~
昭和18年4月1日
60歳61歳
昭和18年4月2日~
昭和20年4月1日
60歳62歳
昭和20年4月2日~
昭和22年4月1日
60歳63歳
昭和22年4月2日~
昭和24年4月1日
60歳64歳
昭和24年4月2日~
昭和28年4月1日
60歳
昭和28年4月2日~
昭和30年4月1日
61歳
昭和30年4月2日~
昭和32年4月1日
62歳
昭和32年4月2日~
昭和34年4月1日
63歳
昭和34年4月2日~
昭和36年4月1日
64歳
昭和36年4月2日以降

▼ 女性の支給開始年齢

生年月日報酬比例部分定額部分
昭和21年4月1日以前60歳60歳
昭和21年4月2日~
昭和23年4月1日
60歳61歳
昭和23年4月2日~
昭和25年4月1日
60歳62歳
昭和25年4月2日~
昭和27年4月1日
60歳63歳
昭和27年4月2日~
昭和29年4月1日
60歳64歳
昭和29年4月2日~
昭和33年4月1日
60歳
昭和33年4月2日~
昭和35年4月1日
61歳
昭和35年4月2日~
昭和37年4月1日
62歳
昭和37年4月2日~
昭和39年4月1日
63歳
昭和39年4月2日~
昭和41年4月1日
64歳
昭和42年4月2日以降

特例として、以下のいずれかに該当する者が報酬比例部分の支給開始年齢に達した場合は、定額部分を合わせた特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

  • 厚生年金被保険者期間が44年以上(資格を喪失している場合に限る)
  • 障害状態にあることを申し出ている(資格を喪失している場合に限る)
  • 厚生年金被保険者期間のうち坑内員または船員であった期間が15年以上

年金額の計算方法

特別支給の老齢厚生年金の額は、報酬比例部分と定額部分を計算し、合算することで求められます。それぞれの計算方法は以下のとおりです。

定額部分の計算方法

一定の金額、乗率、被保険者期間月数から求めます。計算式は以下のとおりです。

1,621円(令和4年度) × 定額部分の乗率 × 被保険者期間月数

定額部分の乗率は1.875~1.000で、生年月日に応じて定められています。

報酬比例部分の計算方法

平成15年3月以前と平成15年4月以降に分けて、以下の計算式で求めます。

▼ 平成15年3月以前

平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間月数

▼ 平成15年4月以降

平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 平成15年4月からの被保険者期間月数

報酬比例部分の給付乗率※は昭和21年4月1日以前に生まれた方は異なります。

また、定額部分を受給できる人に20年以上の厚生年金被保険者期間があり、配偶者や子どもを扶養している場合は、加給年金の加算も受けられます。加給年金の金額は以下のとおりです。

  • 配偶者につき22万3,800円
  • 2人目までの子どもにつき各22万3,800円
  • 3人目以降の子どもにつき各7万4,600円
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特別支給の老齢厚生年金の請求手続きは?

特別支給の老齢厚生年金を受けるためには、請求手続きが必要です。支給開始年齢に達する3ヵ月前に基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所、年金加入記録があらかじめ印字された「年金請求書」が日本年金機構から送付されるので、案内にしたがって手続きを行います。

請求手続きの注意点

請求書は前もって送付されますが、請求手続きは特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢になってからでなければ行えません。また、特別支給の老齢厚生年金は繰り下げができないため、請求は速やかに行うことが求められます。

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特別支給の厚生年金が減額されるケースは?

働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、賃金と年金額との合計が基準額以上になると年金支給が減額されます。

特別支給の老齢厚生年金の減額・支給停止の判断には、以下の金額が用いられます。

▼ 基本月額

特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の金額

▼ 総報酬月額相当額

その月の標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額 / 12

基本月額+総報酬月額相当額が47万円を超える場合は、47万円を超える部分の1/2を減額されます。減額される期間は、47万円を超えている間です。

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仕組みや注意点をよく理解し、特別支給の老齢厚生年金を受給しよう

老齢厚生年金は65歳から支給されますが、生年月日が昭和36年4月1日以前の男性と昭和36年4月1日以前の女性は、60~64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。特別支給の老齢厚生年金は生年月日や性別によって支給開始年齢が異なりますが、支給開始年齢の3ヵ月前にはあらかじめ必要な情報が印字されている請求書が日本年金機構より送付されます。届いたら支給開始年齢になるのを待って、請求手続きを行いましょう。

特別支給の老齢厚生年金に繰り下げは適用されず、請求を遅らせても年金額は割り増しされません。賃金と年金額の合計が基準額以上になると、減額や支給停止になる点にも注意が必要です。

よくある質問

特別支給の老齢厚生年金とは?

老齢厚生年金の受給開始年齢引き上げに伴い、60歳から64歳までに厚生年金から特別に支給される年金です。詳しくはこちらをご覧ください。

特別支給の老齢厚生年金の請求手続きは?

支給開始年齢の約3ヵ月前に送付される案内にしたがって、受給手続きを行います。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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