• 更新日 : 2023年9月29日

ヘッドハンティングとは?引き抜きとの違い、会社に採用する流れや注意点

ヘッドハンティングとは?引き抜きとの違い、会社に採用する流れや注意点

ヘッドハンティング、その名前からも想像できるように、まさに「頭を狩る」採用手法です。日本の企業界において、ヘッドハンティングはますます注目を集めています。しかし、一般的な採用プロセスとは異なり、その手法やメリット、デメリットについて理解しておくことは重要です。

この記事では、ヘッドハンティングとは何か、なぜ注目されているのか、そしてその種類、メリット、デメリット、実際の採用プロセスまでを解説します。

ヘッドハンティングとは?

ヘッドハンティングとは、特定の職種やスキルを持った人材を積極的に探し出し、直接勧誘する手法を指します。

このアプローチは、主に経験豊富な専門家やリーダーシップを持つ経営層などをターゲットとして行われ、往々にして専門のヘッドハンティング会社やエグゼクティブサーチ会社が依頼を受けて実施しています。

ヘッドハンティングの目的は、企業の長期的な戦略や短期的なニーズに応じた最適な人材を確保することです。現状で積極的に転職活動をしていない人も狙いとされます。

引き抜きとの違い

ヘッドハンティングと引き抜きは、表面上は似たような手法に見えますが、その根底にある意味やアプローチの違いを理解することは重要です。

引き抜きは、他社の優秀な人材を直接または間接的に自社へと誘致する行為を指します。通常、その人材がどの企業に所属しているか、何をしているかをある程度特定して行われます。

一方、ヘッドハンティングは、特定の職種や役職に対する適任者を明確にして、その人材を直接勧誘する手法を意味します。引き抜きが比較的一般的なアプローチで行われるのに対し、ヘッドハンティングは特定のスキルや背景を持つ人材に対して計画的かつ戦略的に行われます。

スカウトとの違い

スカウトとは、企業が求める特定の職種やスキルを持った人材を見つけ出し、その人材に求人情報を提供する活動を指します。新卒採用の際に学校のOBが後輩の学生に対して行われることが多くあります。

スカウトは一般的にオープンなポジションに対して広く行われ、特定のスキルや経験を持つ人材を探すことが主な目的ではありません。

一方で、ヘッドハンティングは、企業の特定のニーズに合わせて、高度な専門知識や経験を持つ人材をターゲットにして行われるため、そのアプローチや目的においてスカウトとは異なる点が多々見られます。

日本でヘッドハンティングが注目されている理由

もともとヘッドハンティングは、欧米でさかんに行われていた人材獲得の手法です。近年、日本でヘッドハンティングが注目されているのは、どのような事情があるのでしょうか。

日本の経済界では、人材不足は重要な課題となっています。特に、少子高齢化による労働人口の減少、加えて技術革新やデジタルトランスフォーメーションが進行中の現代社会において、専門的な知識やスキルを持つ人材の重要性が増しています。これらの状況において、企業が適切な人材を確保するための戦略的な取り組みを求めることが背景となっているのです。

ヘッドハンティングは、このような専門的な人材を積極的に探し出し、直接オファーを行う手法です。今後も日本の労働人口は減少し続けると予測され、企業間の人材獲得競争はますます激化するでしょう。そのため、ヘッドハンティングの需要は増加すると考えられます。

ヘッドハンティングの種類

一口にヘッドハンティングと言っても、その種類は複数あります。ここでは主なパターン2つを取り上げてみます。

サーチ型-企業が直接スカウトする

サーチ型ヘッドハンティングは、企業が直接、求める人材を特定し、スカウトする形式を取ります。この手法の特徴として、以下の点が挙げられます。

ターゲット指向であり、企業が具体的なスキルセットや経験を持つ人材を特定して、直接アプローチします。このため、必要な人材を的確に捉えることができます。

メリットとしては、第三者のヘッドハンターやエージェンシーを通さずに直接スカウトを行うため、中間マージンが発生しない点があります。また、企業が直接行うため、情報が外部に漏れるリスクを低減できることも特徴です。

しかし、サーチ型のデメリットとして、企業自体のリソースや時間を大きく取られること、また適切なネットワークや情報を持っていない場合、効率的なスカウトが難しくなることが指摘できるでしょう。

登録型-ヘッドハンティング会社に依頼する

登録型ヘッドハンティングは、企業がヘッドハンティングの専門機関に人材の探索やスカウトを依頼する方式です。

企業が特定のポジションに対してヘッドハンティング会社に依頼する方法です。企業は求める条件やスキルを伝え、専門家が適切な候補者をリサーチし、スカウトします。

企業はヘッドハンティング会社と長期的なパートナーシップを築き、定期的に優秀な人材を求めて依頼します。会社のニーズに合わせた候補者をスカウトするため、効果的な採用が可能です。

ヘッドハンティング会社は特定の業界や領域に特化していることも珍しくありません。こうした場合、企業はその専門知識を活用して、自社に最適な候補者を見つけ出すことも容易になります。

ヘッドハンティングを行うメリット

ヘッドハンティングの種類を見たところで、改めてメリットについて整理しておきましょう。

即戦力となる人材が採用できる

ヘッドハンティングは、即戦力となる高度なスキルや経験を持つ人材を採用する際に非常に有益です。ヘッドハンティングでは、特定のポジションに求められる厳格な要件に合致する候補者を選別し、企業のニーズにピッタリの人材をスカウトすることが可能です。

これにより、ヘッドハンティングされた人材は比較的短期間で業務に適応し、生産性を高めることができます。経験豊富な候補者を採用することで、トレーニングや教育のコストを削減し、組織の成果を早期に最大化することができるでしょう。

あらゆる方面から探し出せる

ヘッドハンティングは、広範な範囲から優れた人材を見つけ出すことができるメリットがあります。従来の求人広告による採用ではなく、ヘッドハンティングはアクティブな求職者や、非公開で活動しているパッシブな優秀な候補者も対象にできます。

業界や職種を横断して、幅広い人材プールから最適な候補者を見つけることができるため、企業の成長や変化に柔軟に対応できる人材を獲得するチャンスを高めることができます。

企業の業績アップにつながる

ヘッドハンティングによる優秀な人材の採用は、企業の業績向上に大いに寄与します。高い専門性やリーダーシップスキルを持つ候補者を迎えることで、新たなアイデアや戦略が組織に持ち込まれ、業務プロセスや戦略の改善が促進されます。

また、顧客や取引先との信頼関係も強化され、競争力の向上や市場シェアの拡大につながる可能性があります。優秀な人材が組織に貢献することで、企業はより成果を上げることができるため、ヘッドハンティングは長期的な成功に向けた投資となるでしょう。

ヘッドハンティングを行うデメリット

メリットばかりだけでなく、ヘッドハンティングにはデメリットもあります。この点についてもよく把握しておく必要があります。

採用コストがかかる

ヘッドハンティングは、通常の採用方法と比較して、採用コストが高くなる傾向があります。ヘッドハンターに依頼する場合、成功報酬型では、一般的に採用者の年収の30~40%程度が報酬として発生するともいわれています。

また、広告費や求人サイトの利用料などもかかります。これ以外にも、採用後の研修費用や福利厚生費用も考慮する必要があります。

採用までの期間が長い

ヘッドハンティングは、採用までの期間が長くなる可能性があります。ヘッドハンターに依頼する場合、候補者のリサーチやスカウト、面接などに時間がかかります。また、候補者が現職を退職するまでの期間も考慮しなければなりません。

採用担当者の負担が増える可能性がある

ヘッドハンティングは、通常の採用方法と比較して、採用担当者の負担が増えることもあります。候補者のリサーチやスカウト、面接などに多くの時間と労力がかかるだけでなく、候補者との交渉や契約書類の作成なども担当者の負担となります。

ヘッドハンティング会社を活用し採用を行う流れ

では、実際にヘッドハンティング会社を活用して採用を行う場合、どのような流れになるのでしょうか。6つのステップで見ていきます。

1.ヘッドハンティング会社へ依頼

まず、採用する企業がヘッドハンティング会社に依頼します。この際、採用するポジションや求める人材の条件などを詳細に伝えます。ヘッドハンティング会社は、これらの情報を元に、候補者のリサーチやスカウトを行います。

2.ターゲットを特定

ヘッドハンティング会社がターゲットとなる候補者を特定します。この際、企業が求める人材の条件や業界動向などを考慮して、最適な候補者を選定します。

3.人材へのアプローチ

ヘッドハンティング会社が候補者にアプローチします。この際、企業の魅力やポジションの詳細などを伝えて、候補者の関心を引きます。

4.紹介と面談

ヘッドハンティング会社が候補者を企業に紹介し、面談が行われます。この際、企業と候補者がお互いの条件や要望などを確認し合います。

5.オファーの提示、入社条件のすり合わせ

企業が候補者にオファーを提示し、入社条件のすり合わせが行われます。この際、給与や福利厚生などの条件が確定します。

6.内定、内定後フォロー

最後に、企業が候補者に内定を出し、内定後のフォローが行われます。この際、入社日や研修内容などが確定します。

ヘッドハンティングを受けた際の対応方法

ここまでは、人材を求める企業側の立場からヘッドハンティングについて解説してきましたが、逆にヘッドハンティングされる側としては、どのような対応をすべきなのか、ポイントを挙げてみましょう。

ヘッドハンティングされた場合の取るべき対応

ヘッドハンティングされた場合、まずは冷静に対応することが重要です。ヘッドハンターからのオファーを受け取ったら、その内容をよく確認しましょう。企業の情報やポジションの詳細、給与や福利厚生などの条件を確認して、自分にとって魅力的なものかどうか判断します。

また、現職の状況やキャリアプランなども考慮して、転職することが自分にとってプラスになるかどうか検討しましょう。もし興味がある場合は、ヘッドハンターに連絡して、面談の日程を調整します。

ヘッドハンティングされた場合の注意点

ヘッドハンティングされた場合、注意するべき点がいくつかあります。まず、現職の上司や同僚には、ヘッドハンティングされたことを秘密にしておくことが重要です。転職するかどうか決定するまでは、周囲に知られることで不利益を被る可能性があります。

また、面談や交渉の際には、自分の希望や条件をしっかりと伝えることが重要です。企業側も人材を採用するために、ある程度の譲歩ができる場合があります。自分が納得できる条件で転職することができるように、交渉することが大切です。

ヘッドハンティングする側も、される側も、これだけは理解しておこう!

ヘッドハンティングは、優れた人材を獲得し、企業の成長に貢献するための貴重な採用手法です。

ヘッドハンティングを成功させるためには、信頼性の高いヘッドハンティング会社との協力が不可欠であり、適切な対応が求められます。

手法、メリット・デメリットについて、よく理解した上でヘッドハンティングを活用すれば、企業は優秀な人材を採用し、競争力を高めることができるでしょう。また、ヘッドハンティングされる立場としてもポイントを把握しておくことで、入社までの流れがスムーズになります。


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