• 更新日 : 2025年1月28日

産休・育休での有給休暇の注意点、手当金への影響を解説

産休や育休を取得する際に、多くの人が気にするのは有給休暇の取り扱いや手当金への影響です。

特に、産休前に有給休暇を利用できるかどうか、有給休暇を取得した際に出産手当金へどのように影響するのかは、重要なポイントです。

本記事では、産休・育休中の有給休暇の扱いや、手当金に与える影響について詳しく解説します。

産休前に有給休暇を取得することはできる?

産休前に有給休暇を取得することは可能です。

有給休暇は労働基準法によって労働者に認められた権利であり、取得のタイミングも基本的には自由です。

産前産後休業に入る前に有給休暇を利用することで、出産準備のための時間をより長く確保できます。

有給休暇の取得は労働日として扱われ、通常の給与が支払われるため、経済的な負担も軽減できます。

ただし、出産手当金は無給期間に対して支給されるものであり、給与を受けられる有給休暇中は支給対象外である点に注意が必要です。

有給休暇を計画的に利用することで、産休前後の経済的負担を軽減し、安心して出産準備に臨むことができます。

産休の代わりに有給休暇は取得できる?

産前休業の代わりに有給休暇を消化することは、法律的に可能です。

ただし、有給休暇を取得した期間は「休業」とは見なされず、通常の労働日として扱われます。

出産手当金は、産前産後休業中に給与が支払われない場合に支給されるものであるため、有給休暇中は出産手当金の支給対象外です。

有給休暇を取得しても、その後の休業期間に関しては出産手当金を受け取ることが可能です。

有給休暇を産休の代わりに取得する場合、従業員は通常の有給休暇申請手続きを行います。

その後、産休を利用する際には「産前産後休業取得申出書」を提出し、出産手当金を申請するために必要な書類を会社に提出します。

出産手当金と有給休暇はどちらが得?

結論から言えば、個々の状況や将来の予定によって最適な選択は異なります。

出産手当金は、産前産後休業中に給与が支払われない場合、健康保険の被保険者へ支給される手当金です。

産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)および産後8週間の計14週間、給与の約3分の2相当が支給されます。

一方で、有給休暇の取得中は通常の給与が支払われるため、給与の100%確保することが可能です。

仮に、月収30万円の人が有給休暇を利用した場合、1ヶ月間の有給休暇を取得すると給与は30万円全額支給されます。

出産手当金の場合、1ヶ月間の手当額は給与の3分の2である20万円の支給です。

短期的に見れば、有給休暇を取得した方が金銭的には得でしょう。

ただし、有給休暇を使い切ると将来的に病気や子育ての際に休暇が取れなくなるリスクがあります。

出産手当金を利用すると、有給休暇を残しながら一定の収入を確保できます。

産休中に有給休暇を取得することはできる?

有給休暇は、基本的に労働義務が発生している場合に取得できる権利なので、産休中に取得することは基本的にできません。

産休期間中は労働義務が免除されるため、有給休暇を利用することは想定されていません。

したがって、産休中に有給を取得して給与を得ることは難しいとされています。

産休後の育休開始までの間に有給を取得することは可能ですが、一般的には続けて育休を取得するケースが多いです

有給を利用して収入を補いたい場合は、産休前や育休後に計画的に使用することが大切です。

産休と育休の間に有給休暇を取得することはできる?

産休が終了した後、育休を開始する前に、有給休暇を取得することは可能です。

この期間に有給休暇を利用することで、給与が支払われる日を確保しつつ、育児休業に入る前にリフレッシュできます。

ただし、基本的に産休後はそのまま育休を取得するのが一般的です。

育児休業給付金は育児休業開始後に支給される手当です。

有給休暇を取得している間は労働日として扱われるため、育児休業給付金の支給開始日は有給休暇が終了した翌日からとなります。

有給休暇を産休と育休の間に取得する場合、通常どおりの有給休暇申請手続きが必要です。

会社に対して事前に申請を行い、調整してもらうことでスムーズに休暇を取得することができます。

期間中の出産手当金や育児休業給付金への影響をよく理解し、計画的に有給休暇を活用することが大切です。

産休・育休中も有給休暇のカウント対象

産休・育休中でも、有給休暇の付与に必要な勤務日数としてカウントされます。

労働基準法上、これらの休業期間は「出勤したものとみなす」とされ、有給休暇の付与に必要な出勤日数の計算に含まれるためです。

週4日以下の勤務形態でも同様に扱われ、労働日数に応じて比例付与が行われます。

たとえば、週3日勤務の場合、通常の5日勤務の労働者が10日の有給を付与されるのであれば、5分の3に相当する6日が付与されます。

休業後に有給休暇を取得する権利を維持できるため、労働者は安心して休業に入ることが可能です。

産休・育休明けに有給休暇がゼロだと言われたら?

産休や育休明けに有給休暇がゼロになっていると言われた場合、考えられる理由はいくつかあります。

まず、産休や育休の期間中に有給休暇が消滅している可能性が考えられます。

有給休暇の有効期限は付与から2年間です。

育休前に付与された休暇が2年を経過した場合、消滅してしまうことがあります。

会社側の知識不足や手続きの誤りも、考えられる原因のひとつです。

労働基準法では、産休や育休期間は出勤したものとみなされ、有給休暇の権利は保たれるべきです。

これに反して休暇がゼロとされた場合、会社が法令を正確に理解しておらず、出勤としてカウントしていない可能性があります。

対応として、まずは会社の人事労務の担当者に説明を求めることが重要です。

その際、労働基準法の規定を示しながら、なぜ休暇が消滅したのかを確認します。

それでも解決しない場合は、労働基準監督署や専門の相談機関に相談することを検討しましょう。

産休・育休中の有給休暇の消滅に注意

産休や育休中でも、有給休暇には付与日から2年間という時効が適用されます。

例えば、産休や育休に入る前に付与された有給休暇が未使用のまま2年が経過すると、有給休暇は時効により消滅してしまいます。

育休中であっても適用されるため、長期間の休業に入る前には有給休暇を計画的に取得することが重要です。

有給休暇の消滅を防ぐためには、休業に入る前に積極的に使い切るか、残日数を確認しながら必要に応じて労務担当者と相談しましょう。

有給休暇の権利をしっかりと管理し、無駄にしないように使用することが大切です。

産休・育休に関わる申請書類のテンプレート

産休や育児休業を取得する際には、会社に提出する申請書が必要です。

以下では、産休と育児休業の申請書テンプレートへのリンクを紹介します。

テンプレートを活用して、必要な手続きをスムーズに進めましょう。

産休申請書テンプレート

産前産後休業を申請する際に使用するテンプレートです。

記入欄には、出産予定日や産前・産後休暇の期間を記載します。

産休申請書テンプレート

育児休業申請書テンプレート

育児休業を申請する際に必要なテンプレートです。

育休の開始日や終了日を明記するほか、休業中の連絡先を記入する欄もあります。

育児休業申請書テンプレート

産休と有給の相互関係を理解して、自分に合った方法を選択しよう

産休・育休前後の有給休暇取得や出産手当金への影響を理解することは、今後の計画を立てる上で非常に重要です。

計画的な有給休暇の活用や手当金の仕組みを正しく理解することで、出産や育児に集中できる環境を整えることができます。

自身の働き方やライフスタイルに合った最適な選択をするために、本記事をぜひ参考にしてください。


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