• 更新日 : 2022年3月17日

予防給付と介護給付の違いは?

予防給付と介護給付の違いは?

予防給付と介護給付は、両方とも介護保険制度の介護サービスの種類の一つです。限度額はあるものの、介護の必要度合いに合わせて、市町村などが提供する介護サービスを自己負担1割〜3割で利用することができます。ここでは、利用できるサービスの違いや月額の上限の目安とともに、予防給付と介護給付の仕組みを解説します。

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予防給付とは?

予防給付とは、「要支援」の認定を受けた人が利用できる介護保険制度のサービスです。要介護状態になることを予防して日常生活を自力で送ることを目的に、食事や入浴といった生活上の必要な支援に加え、リハビリなど心身機能の維持・改善をサポートするサービスが受けられます。

予防給付のサービス内容

予防給付は、要介護認定で「要支援1」「要支援2」の認定を受けた人が利用できます。予防給付で利用できるサービスは、都道府県などが指定・監督するサービスと市町村が指定・監督するサービスに大きく分けられます。そのなかで、自宅で食事や入浴支援を行う「訪問系」、施設に通う「通所系」、施設で生活する「短期入所系」があり、それ以外にも自宅のリノベーションや介護用具の購入・貸与などの支援があります。

都道府県が指定・監督を行うサービス
【介護予防サービス】
(訪問系)
介護予防訪問看護:利用者の自宅を訪問した看護師や保健師などが、医師の指示による健康チェックや補助的な診療などを行う
介護予防訪問リハビリテーション:利用者を訪問した理学療法士や言語聴覚士などが日常生活の自立や心身機能の改善、維持のためのリハビリテーションを行う
介護予防訪問入浴介護:利用者の自宅を訪問した看護職員や介護職員が、移動入浴車などにより入浴のサービスを行う
介護予防居宅療養管理指導:利用者の自宅を訪問した医師や看護師などが、療養する上での指導や必要な助言を行う
(通所系)
介護予防通所リハビリテーション:利用者が医療機関などに通い、日帰りでリハビリテーションなどを受ける
(短期入所系)
介護予防短期入所生活介護:利用者が介護老人福祉施設に短期間入所して、食事や機能訓練などの支援や排泄などの介護を受ける
介護予防短期入所療養介護:利用者が介護療養型医療施設や介護老人保健施設に短期間入所して、医療や看護、機能訓練などを受ける
(その他)
介護予防特定施設入居者生活介護:指定を受けた有料老人ホームや養護老人ホームなどが、入居中の利用者に、食事や排せつなどの支援や機能訓練などを行う
介護予防福祉用具貸与:福祉用具の貸出を行う
特定介護予防福祉用具販売:貸出になじまない福祉用具の販売を行う
市町村が指定・監督を行うサービス
【地域密着型介護予防サービス】
介護予防認知症対応型通所介護:軽度の認知症を患っている利用者が、特別養護老人ホームや老人デイサービスセンターなどで、日帰りの食事や排せつなどの介護や機能訓練、助言などを受ける
介護予防認知症対応型共同生活介護:認知症を患っている利用者が、グループホームで食事や機能訓練、排せつなどの支援を受ける(要支援 2 の方のみ)
介護予防小規模多機能型居宅介護:通所を基本に訪問や短期入所も組み合わせて利用者が選択し、食事や機能訓練、排せつなどの支援を受ける
【介護予防支援】
介護予防支援:地域包括支援センターが、予防給付に関するプランの作成やサービス事業所との連絡、調整を行う
その他
介護予防住宅改修:利用者が自宅での生活を続けるために、手すりの取付けやバリアフリーにする住宅改修費用を支給する
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介護給付とは?予防給付との違いは?

介護給付は、「要介護」の認定を受けた人が利用できるサービスです。要介護は5段階あり、介護が必要な度合いによって給付される金額も異なります。

サービス内容の違い

介護給付では、予防給付にはない「施設サービス」を利用できます。施設サービスとは、「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」が対象で、要介護3以上の人が入所できます。

また、市町村の管轄である地域密着型介護サービスにおいても、受けられる支援に違いがあります。予防給付とは異なり、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問看護の利用など、対象となるサービスが幅広く用意されています。

支給限度額の違い

介護給付と予防給付は、月々の限度額が決められています。支給限度額は「単位」という形で決められており、支給限度額以内であれば、所得に応じて1割〜3割の自己負担で各種介護サービスの利用が可能です。

介護給付・予防給付ともに、現金が支給されるのではなく、サービスを利用する際に所得に応じて割り引かれた金額を支払う仕組みになっています。限度額を超えて利用することは可能ですが、限度額を超えた部分については、全額自己負担です。

【区分別の支給限度額(在宅サービスの支給限度額の目安)】

要介護区分状態
1か月あたりの給付支給限度額の目安
自己負担額の目安(支給限度額の1割から3割)
要支援1(予防給付)50,320円5,032円~15,096円
要支援2(予防給付)105,310円10,531円~31,593円
要介護1(介護給付)167,650円16,765円~50,295円
要介護2(介護給付)197,050円19,705円~59,115円
要介護3(介護給付)270,480円27,048円~81,144円
要介護4(介護給付)309,380円30,938円~92,814円
要介護5(介護給付)362,170円36,217円~108,651円

*金額の目安であり、原則となる1単位あたり10円の単価で計算していますが、実際のサービス料金は地域の人件費相場が加味されているため、地域によって異なります。

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介護給付のサービス内容

介護給付では、以下のサービスを利用できます。一部の介護サービスは、予防給付の対象でもあります。

都道府県が指定・監督を行うサービス
【居住介護サービス】
予防給付
(訪問系)
訪問介護(ホームヘルプ):訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、入浴、食事、排泄などの身体介護のほか、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助を行うもの
訪問看護:利用者の自宅を訪問した看護師や保健師などが、医師の指示による健康チェックや補助的な診療などを行う
訪問リハビリテーション:利用者を訪問した理学療法士や言語聴覚士などが日常生活の自立や心身機能の改善、維持のためのリハビリテーションを行う
訪問入浴:利用者の自宅を訪問した看護職員や介護職員が、移動入浴車などにより入浴のサービスを行う
居宅療養管理指導:利用者の自宅を訪問した医師や看護師などが、療養する上での指導や必要な助言を行う
(通所系)
通所介護(デイサービス):自宅にこもったままの利用者の孤立感の解消、心身機能の維持、家族の介護負担軽減などを目的に、施設に通い食事や入浴などの支援、機能訓練、口腔機能向上サービスを日帰りで提供する。自宅から施設までの送迎も実施する
通所リハビリテーション:利用者が医療機関などに通い、日帰りでリハビリテーションなどを受ける
(短期入所系)
短期入所生活介護(ショートステイ):利用者が介護老人福祉施設に短期間入所して、食事や機能訓練などの支援や排泄などの介護を受ける
短期入所療養介護:利用者が介護療養型医療施設や介護老人保健施設に短期間入所して、医療や看護、機能訓練などを受ける
(その他)
特定施設入居者生活介護:指定を受けた有料老人ホームなどが、入浴・食事などの生活の支援や機能訓練を行う
福祉用具貸与:福祉用具の貸出を行う
特定福祉用具販売:貸出になじまない福祉用具の販売を行う
【介護施設サービス】
介護老人福祉施設:特別養護老人ホームとも呼ばれ、入所者の可能な限り在宅復帰を念頭に、入浴や食事などの生活支援、機能訓練、療養上の世話を提供する
介護老人保健施設:老健とも呼ばれ、在宅復帰を目指している人の入所を受け入れ、リハビリや必要な医療、介護などを提供する
介護療養型医療施設:長期にわたって療養が必要な人の入所を受け入れ、機能訓練や必要な医療、介護などを提供する
介護医療院:長期にわたって療養が必要な人の入所を受け入れ、療養上の管理、介護、看護、機能訓練、その他必要な医療と日常生活に必要なサービスを提供する
市町村が指定・監督を行うサービス
【地域密着型介護予防サービス】
定期巡回・随時対応型訪問介護看護:利用者の心身の状況に応じて、必要なサービスを24時間365日必要なタイミングで柔軟に提供する。訪問介護員だけでなく看護師との連携も可能
夜間対応型訪問介護:利用者が24時間可能な限り自宅で自立した生活を送れるよう、夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問するサービス
地域密着型通所介護:通所介護(デイサービス)と同様の目的で、利用者が地域密着型通所介護の施設(利用定員19人未満のデイサービスセンターなど)に通い食事や入浴などの支援、機能訓練、口腔機能向上サービスを日帰りで提供する。自宅から施設までの送迎も実施する
認知症対応型通所介護:軽度の認知症を患っている利用者が、特別養護老人ホームや老人デイサービスセンターなどで、日帰りの食事や排せつなどの介護や機能訓練、助言などを受ける
小規模多機能型居宅介護:通所を基本に訪問や短期入所も組み合わせて利用者が選択し、食事や機能訓練、排せつなどの支援を受ける
認知症対応型共同生活介護(グループホーム):認知症を患っている利用者が、グループホームで食事や機能訓練、排せつなどの支援を受ける
◯(要支援2の方のみ)
地域密着型特定施設入居者生活介護:指定を受けた入居定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームで食事や入浴などの支援や機能訓練を受ける
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護:定員30人未満の介護福祉老人施設(特別養護老人ホーム)で食事や入浴などの支援や機能訓練、療養上の世話を受ける
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護):利用者の選択に応じて、施設への通いを中心に、短期宿泊や自宅での訪問介護、看護師の訪問看護を組み合わせるサービス
療養通所介護:常に看護師による観察を必要とする難病や認知症、がん末期患者などを対象にしたサービスで、利用者が療養通所介護の施設に通い、生活上の支援や機能訓練などを日帰りで提供
【居住介護支援】
居住介護支援:ケアマネージャーが、利用者に必要な介護支援サービスについてケアプランを作成し、そのプランに基づいた介護が実施されるよう関係者との連絡・調整を行うもの
その他
住宅改修:利用者が自宅での生活を続けるために、手すりの取付けやバリアフリーにする住宅改修費用を支給する
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介護予防に関わる現在の問題点

介護保険制度が開始された2000年での75歳以上の後期高齢者の数は約900万人でしたが、2020年になると約1,872万人へと急増しました。後期高齢者の数は今後も増加を続け、2055年には人口の25%を占めると予測されています。

高齢者の増加とともに介護費用と保険料の増加が予測されています。現に、2000年には3,000円に満たなかった65歳以上の保険料(月額)は、2021年〜2023年には6,000円以上と、おおよそ倍に増加しました。

今後、地域によっては高齢者の増加に加え現役世代の急減に見舞われる市町村もあります。より一層、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを送れるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が結びついた地域包括ケアシステムの需要が高まるでしょう。

政府は、地域包括ケアシステムの推進に加え、処遇改善を含めた介護人材の確保、IT化を踏まえた介護現場の革新など、超高齢化社会に向けて介護保険制度の改定を進めています。介護保険制度は、高齢者だけでなく保険料を負担する現役世代にも深く関わりあるものとして、より注視されていくでしょう。

予防給付と介護給付が支える介護保険制度

予防給付は、心身にサポートが必要となりはじめた高齢者に対して要介護状態になることを予防することを目的とした介護支援サービスを、介護給付では要介護の状態に応じて柔軟な介護支援サービスを提供しています。訪問、通所、施設型など、あらゆるサービスを組み合わせ、高齢者の意思を尊重し、可能な限りこれまでの変わらない暮らしを送れるように支援するのが日本の介護保険制度です。

今後、高齢者が社会全体に占める割合が増えていく日本にとっては、充実した介護保険制度は社会の安定に欠かせないものといえるでしょう。

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よくある質問

予防給付とはなんですか?

介護保険制度の介護サービスの一種で、要支援認定を受けた人を対象とした給付制度です。月の限度額にあわせ、自己負担1割〜3割で、訪問看護や訪問入浴、通所リハビリステーションなどのサービスが利用できます。 詳しくはこちらをご覧ください。

介護給付と予防給付の違いはなんですか?

支援対象が異なります。介護給付は「要介護」の人々を、予防給付では「要支援」の人々を対象としており、サービス内容も介護給付のほうが幅広いものとなっています。また、給付上限額にも違いがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:川本 祐介 (社会保険労務士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。
お客様第一主義に徹し、グループネットワークを活用することにより、時代の変化に即応した新たなサービスを創造し、お客様にご満足をご提供します

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