• 作成日 : 2022年10月28日

所定休日とは?法定休日との違いや割増賃金を解説!

所定休日は企業で働く従業員の休みを示す言葉ですが、誤って認識していると適切な賃金の支払いにも支障が生じてしまいます。そこでこの記事では所定休日の定義を分かりやすく解説しました。振替休日・法定休日・法定外休日などとの違いや、労働基準法における考え方、割増賃金の発生条件についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

所定休日とは?

所定休日の意味を正しく理解することは、従業員の適切な勤怠管理に欠かせません。まずは、所定休日の定義について確認しましょう。

労働基準法における定義

所定休日とは後述する法定休日以外に、企業が従業員に対して与える休日を指します。労働基準法上、休日は法定休日に該当する週1日を与えれば良いとされています。しかし、実際には週休2日制を採用する企業が目立ちます。この週休2日制の背景には、労働基準法の労働時間に関する規定が深く関わっているのです。

労働基準法第32条では、労働時間の上限を1日8時間・週40時間と定めています。これを法定労働時間と呼び、企業の従業員の労働時間を考えるうえでの大きな基準です。そうした際に、従業員が1日8時間働くと考えた場合、5日働いた時点で労働時間は40時間に達してしまいます。週に1日だけの法定休日だけだと、労働時間の合計が法定労働時間を超過してしまうのです。このため、多くの企業では法定休日に所定休日を加えた週休2日を設定しています。

参考:労働時間・休日|厚生労働省

法定休日との違い

法定休日とは労働基準法35条で規定されている、企業が従業員に必ず付与しなければならない休日です。労働基準法によって週に1回、または4週に4回の休日を従業員に付与しなければならないと定められており、この休日が法定休日と呼ばれています。

所定休日も法定休日も企業の従業員からすると同じ休日ですが、割増賃金の観点から考えると意味合いが大きく異なります。法定休日の労働には35%以上の賃金の割増率が設定されているのです。休日に従業員を勤務させる際には、所定休日と法定休日で賃金の支払いに違いが生じるので、正しく違いを理解する必要があります。

加えて、法定休日は法律で定められた休日であるため、従業員に正しく付与できていないと罰則が設けられているので注意しましょう。週に1回、または4週に4回の休日の基準を満たしていない場合、企業には6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金という刑罰を科せられます。

参考:労働時間・休日|厚生労働省
参考:労働基準法|e-Gov法令検索

法定外休日との違い

法定外休日とは法定で定められていない休日を指します。つまり、法定休日以外の休日であり、所定休日の別の言い方でもあるのです。例えば、土曜日と日曜日の週休2日制の企業の場合を考えてみましょう。いずれか一方の休日が法定休日、もう一方の休日が法定外休日です。 なお、どちらが法定休日となるのかは、就業規則などにより定めるものとされています。

振替休日との違い

振替休日とは、あらかじめ休日と定められている日を労働日とし、その代わりにほかの労働日を休日とすることです。例えば、所定休日や法定休日として設定されている土曜や日曜日に、勤務する予定がある例を考えてみましょう。実際に休日の労働を実施する前に、ほかの月曜日や火曜日といった労働日を休みに設定することが振替休日です。もし、事前に休日の振替を設定せずに、事後に休日を取得した場合は代休として扱われます。

注意点としては、事前に休日を振替えているので、もともとの休日の労働については休日労働とはなりません。法定休日に働く場合の割増賃金の支払義務も発生しないため気をつけましょう。一方、代休を取得した場合には法定休日の割増賃金の支払いが必要です。

  • 事前に振替休日を取得していても、週をまたいだ場合で週40時間以上の勤務となった場合は割増が発生する場合がある
  • 深夜の勤務が発生した深夜割増が発生する

参考:振替休日と代休の違いは何か|厚生労働省

所定休日における労働の扱い – 割増賃金など

所定休日における労働の扱いはどのようになっているでしょうか。まずは、 割増賃金の考え方を整理しましょう。 割増賃金は、時間外・休日・深夜の3種類の手当に分類できます。働いた条件ごとに支払いが必要となる、賃金の割増率を以下にまとめました。

種類支払う条件割増率
時間外法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき25%以上
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間・1年360時間)を超えたとき25%以上
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき50%以上
休日法定休日に勤務させたとき35%以上
深夜22時から5時まで勤務させたとき25%以上

所定休日に労働した場合、割増賃金の支払いの必要性は時間外労働の有無で判断されます。同じ休日である法定休日のように、所定休日に勤務するだけで発生する割増賃金は設けられていないので混同しないように注意しましょう。

なお、所定休日や法定休日に従業員を勤務させるには、36協定の締結が必要です。36協定とは正式には「時間外・休日労働に関する協定届」と言い、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて働く際に必要な協定です。労使間において書面で36協定を結んで、労働基準監督署への届出が義務づけられているのです。36協定の届出を行わずに従業員に時間外労働を命じることは法律に違反するので注意しましょう。

参考:しっかりマスター労働基準法 割増賃金編|東京労働局
参考:36(サブロク)協定とは|厚生労働省

所定休日における割増賃金の例

所定休日における割増賃金を実際に計算してみましょう。

例1:月曜日から金曜日まで8時間勤務する企業で、所定休日である土曜日にも8時間勤務したケースを考えてみましょう。時給は1,000円として、土曜日の勤務に対する賃金はいくらになるでしょうか。

この場合、週の合計労働時間は48時間となり、法定労働時間である40時間を超えています。したがって、時間外の割増賃金の支払いが必要です。所定休日である土曜日の8時間の勤務に対して、25%の割増賃金が発生します。所定休日である土曜日の賃金の計算式は以下の通りです。

1,000円/時間 × 8時間 × 1.25 = 10,000円

例2:月曜日から金曜日まで8時間勤務する企業で、所定休日である土曜日に7時間の残業を行い深夜の1時まで勤務したケースを考えてみましょう。時給は1,000円として、土曜日の勤務に対する賃金はいくらになるでしょうか。

土曜日の勤務は時間外勤務であることに加えて、深夜労働を行っています。深夜に勤務が発生した場合、時間外の割増賃金に加えて深夜の割増賃金も支払わなければなりません。深夜労働は22時から5時までの勤務が該当するため、例2では3時間の深夜労働が発生していると分かります。所定休日である土曜日の賃金の計算式は以下の通りです。

(1,000円/時間 × 12時間 × 1.25) + (1,000円/時間 × 3時間 × (1+0.25+0.25)) = 19,500円

所定休日は従業員に与えられる法定外の休日

所定休日は企業によって従業員に付与される法定外の休日です。労働基準法で定められている法定休日に加えて、所定休日が付与される企業が一般的です。

所定休日が付与される背景には、1日8時間・週40時間の法定労働時間があります。この条件をクリアするために多くの企業では週休2日が採用され、所定休日が設けられているのです。

なお、従業員の立場からすると所定休日も法定休日も同じ休日ですが、割増賃金の考え方には違いがあるので注意が必要です。法定休日の勤務には35%以上の賃金の割増率が設定されていますが、所定休日にはそうした設定はありません。所定休日の賃金を算出する際は、時間外労働や深夜労働を考慮して計算しましょう。

よくある質問

所定休日とはなんですか?

所定休日とは法定休日以外に、企業が従業員に対して与える休日を指します。1日8時間・週40時間の法定労働時間という条件を満たすために、多くの企業が法定休日に所定休日を加えた週休2日制を導入しています。詳しくはこちらをご覧ください。

所定休日に労働した場合、割増賃金や手当はでますか?

時間外労働に該当する場合は割増賃金が支払われます。法定休日には賃金の割増率が設定されていますが、所定休日そのものには賃金の割増率は設けられていないため注意しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


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