• 更新日 : 2023年12月8日

ファーストペンギンとは?メリット・デメリットやセカンドペンギンとの違い

ファーストペンギンとは?メリット・デメリットやセカンドペンギンとの違い

ファーストペンギンとは、リスクを恐れず果敢に行動する人や企業に対する呼称で、ビジネスシーンでは、「先行者利益」の意味で用いられることも多いです。魚を捕るために最初に海に飛び込むペンギンが由来で、ドラマでの台詞がきっかけで広がりました。ファーストペンギンの意味やメリット・デメリットなどをまとめました。

ファーストペンギンとは?

ビジネスにおけるファーストペンギンとは、リスクを恐れず、ベンチャー精神をもって行動する人や企業のことを指す言葉です。魚を求め、最初に海に飛び込むペンギンが由来です。

ペンギンは、一斉に海に飛び込むことはないとされます。1羽のペンギンが最初に飛び込んだ後、海に危険がないことを確認した2羽目以降が後に続きます。

ペンギンは群れで行動しますが、ボスは存在しません。その代わり、最初に行動した1羽に追従するという習性をもちます。つまりファーストペンギンは、ボス、つまりリーダーの役割のもと最初に飛び込んだのではありません。純粋に、先に魚を獲るために海に飛び込んでいます。このような勇気あるペンギンのように、新たな分野のビジネスに先陣を切って飛び込んでいく人や企業を、ファーストペンギンと呼びます。

なお、ファーストペンギンは、死のリスクと引き換えにして他のペンギンよりも多くの魚を得る可能性を手に入れるため「先行者利益」の意味で使われることも少なくありません。

朝ドラの影響で名称が有名に

ファーストペンギンは、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の台詞がきっかけとなり、有名になりました。主人公のモデルである広岡浅子は明治時代に、当時としては珍しかった銀行や生命保険、探鉱などの事業に乗り出し、商才を発揮した女性実業家です。まさに、ファーストペンギンの名にふさわしい人物といえるでしょう。

パイオニアとの違い

ファーストペンギンとパイオニアの違いは、意欲や姿勢を重視しているか、先駆者としての結果を重視しているかという点にあります。
パイオニアは、先駆者を意味する言葉で、何かを新規開拓した人や企業を指します。一方、ファーストペンギンは、新規開拓をしたか否かではなく、リスクを負ってチャレンジする精神の有無に注目した言葉です。

セカンドペンギンとの違い

ファーストペンギンとセカンドペンギンは、リスクや得られる利益の大きさ、事前に学習できるか否かという点が異なります。

セカンドペンギンの言葉の由来は、ファーストペンギンが海に飛び込む様子を見て、安全性が確認できたら追従する2羽目以降のペンギンです。ビジネスでは、ファーストペンギンが市場に参入した結果を参考に、自身も市場への参入可否を判断する人や企業を、セカンドペンギンと例えることがあります。

セカンドペンギンは、ファーストペンギンの行動事例から学習ができるため、比較的低いリスクで新たな領域のビジネスに挑戦できます。ただし、ファーストペンギンほどの大きな利益は得られない傾向にあるといえるでしょう。

ファーストペンギンの特徴

ファーストペンギンの特徴として挙げられるのは、主に以下の3点です。

  • リスクを恐れず行動できる
  • 自分の名声よりも社会的に有意義なことを優先
  • 揺るぎない信念をもっている

それぞれの特徴を解説します。

リスクを恐れず行動できる

ファーストペンギンは、リスクを恐れずに行動します。しかし、ビジネス上のリスクに対して無知なのではなく、リスクの存在を理解し、その上でリスクを恐れないのが一般的です。リスクを負う行動であることを認識しているものの、それを上回る成果やメリットを得るために、勇気を出してチャレンジすることを意味します。

自分の名声よりも社会的に有意義なことを優先

自分の名声よりも、社会的に有意義なことを優先させることも、ファーストペンギンの特徴の1つです。大金や名声を得ることよりも、社会的な問題に目を向け、解決することを使命と考えている人は少なくありません。

ファーストペンギンに例えられる人は起業しているケースが多いです。しかし、起業自体が目的ではなく、既存の企業では困難な社会的な課題の解決やビジョンの実現のために、それらを行う手段として起業という選択肢を選んでいる傾向があります。

揺るぎない信念をもっている

周囲から何を言われようが、揺るぎない信念をもっていることも、ファーストペンギンの特徴です。新たな領域にチャレンジすると、そのリスクの大きさを恐れる周囲の人間から、反発されることは珍しくありません。ファーストペンギンは、周囲の意見に振り回されることなく、必要と感じたことは反対を押し切ってでも続ける、強い信念をもっています。

ビジネスにおけるファーストペンギンであることのメリット

ビジネスにおけるファーストペンギンであることのメリットは、主に以下の2点です。

  • 先行者利益を得ることができる
  • 新しい市場にいち早く参入できる

各メリットを解説します。

先行者利益を得ることができる

ファーストペンギンは、先行者利益を得られる可能性が高い点は、メリットとして挙げられます。先行者利益とは、新たな市場にいち早く参入することで得られる利益のことです。先行者として一定数の既存顧客を獲得できたり、知名度が上がったりすることで、後から競合他社が参入してきたとしても、優位に立ち続けられる可能性が高いといえるでしょう。

新しい市場にいち早く参入できる

新しい市場にいち早く参入できることも、ファーストペンギンのメリットです。競合他社が不在の市場で売上を伸ばし、力を付け続けていくことが可能です。

ファーストペンギンの成功事例に続こうと、セカンドペンギンなどの新たな市場への参入者が現れたとしても、すでに市場での確固たるポジションを築き上げている可能性が高いでしょう。そのため、優位性は簡単には奪われないと考えられます。

ビジネスにおけるファーストペンギンであることのデメリット

ビジネスにおけるファーストペンギンには、以下のようなデメリットも存在します。

  • 過去事例がないためリスクが高い
  • 経営者自身の先読み・手腕が重要になる

それぞれのデメリットを解説します。

過去事例がないためにリスクが高い

ファーストペンギンは、過去事例がないためにリスクが高いことは懸念されます。参考にできる過去事例がないため、事前の対策を練ることは困難で、リスクヘッジもできません。そのため、やや博打的な側面があります。

経営者自身の先読み・手腕が重要になる

ファーストペンギンのビジネスの結果が、経営者の手腕次第になってしまう点もデメリットといえるでしょう。先の章でご紹介したとおり、過去事例を参考にできないのがファーストペンギンの特徴です。そのため、ビジネスの成功の可否は、経営者の手腕に大きく左右されるでしょう。

ファーストペンギンになるためには?

ファーストペンギンになるために押さえておきたいポイントとしては、以下の4点が挙げられます。

  • ファーストペンギンの人を目標に据える
  • アートシンキングを身に着ける
  • STEAMを学ぶ
  • 最新の技術・情報をキャッチアップする

1つずつ確認しましょう。

① ファーストペンギンの人を目標に据える

ファーストペンギンになるには、目指したいファーストペンギンを目標に据えましょう。ベンチマークとして決定した人や企業と自分と比較し、必要に応じて考え方や行動の改善に努めます。

➁ アートシンキングを身に着ける

リスクを恐れず、新たな領域でビジネスを展開するには、アートシンキングを身に着けることも求められます。アートシンキングとは、既成概念にとらわれず、自分の内なる声を聞いて生まれる自由な思考法のことです。自由で独創的な思考法のため、新規事業への挑戦やイノベーションの創出との親和性が高いと考えられます。

アートシンキングを身に着けるには、アートシンキングに関する本を読んだり、芸術作品を生み出す人の価値観に触れることがおすすめです。

③ STEAMを学ぶ

ファーストペンギンになるには、STEAM教育を学ぶことも効果的といえるでしょう。「STEAM」とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Art(芸術)・Mathematics(数学)の5つの頭文字から生まれた造語です。STEAM教育は、これらの5つの領域の横断的な学習であり、ファーストペンギンの思考には欠かせない、従来の枠を超えた新しい価値観を身に着けられます。

④ 最新の技術・情報をキャッチアップする

最新の技術や情報をキャッチアップするように意識することも、ファーストペンギンになるには必要です。ファーストペンギンとして成功した事例には、最新のIT技術を駆使したものも少なくありません。新しい市場に参入する際は、まったく新しい技術が求められることも多いでしょう。さまざまな選択肢を手に入れるためにも、日頃から最新の技術や情報に関する情報収集をしておくことが大切です。

ファーストペンギンと呼ばれる人の例

ファーストペンギンと呼ぶのにふさわしい人物としては、Appleの共同設立者の故スティーブ・ジョブズ氏が挙げられるでしょう。かつては、折りたたみ式携帯が主流で、携帯電話の役割は電話とメールに限定されていました。しかし、ジョブズはパソコンをコンパクトにしてもち歩くという発想のもと、iPhoneの開発をしたことで有名です。

日本では、ユニクロの創業者である柳井正氏がファーストペンギンの1人に挙げられます。低価格かつ高品質な衣料品を大量生産する、独自のビジネスモデルを確立させています。

ファーストペンギンの思考を持つ人材を育成しよう

ファーストペンギンとは、ベンチャー精神をもち、リスクを恐れずに行動する人や企業のことを敬意を表して呼ぶ言葉です。NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の台詞がきっかけとなり、有名になりました。過去事例がないため高いリスクを負うものの、先行者利益を得られる可能性が高いことが特徴です。

変化の大きな時代に成功する企業には、ファーストペンギンの存在が欠かせません。ファーストペンギンの思考を持った人材をしっかりと確保、育成していくことが大切です。

ファーストペンギンについてより詳しい方はこちらの記事もご参考ください。

【HR Journey】ファーストペンギンの意味とは?逸話は真実?日本人の例も紹介


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