• 作成日 : 2022年4月22日

労働保険料とは? 計算方法と各種手続きを解説!

労働保険料とは?計算方法と各種手続きを解説!

毎月給与から源泉徴収される「労働保険料」は、「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」を合計したものです。給付を受ける際は各保険個別に支給されますが、保険料の納付は合算して取り扱われます。労災保険と雇用保険では、労働者の費用負担割合が異なります。本記事では、労働保険料の詳細と計算方法について説明します。

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労働保険料とは?

労働保険料は、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険からなります。事業の種類や規模を問わず、一名でも労働者を雇用していれば加入が義務付けられ、労働保険料を納付する必要があります。フルタイムやパートタイムなどの労働形態は問いません。労働保険料は、給与の総額に「労働保険料率(労災保険率+雇用保険率)」を乗じた額です。

参考:労働保険とはこのような制度です|厚生労働省
参考:労働保険料の計算方法|大阪労働局

労働保険料における労災保険料とは?

労働保険料における労災保険料とは、業務上の事由や通勤による労働者の傷病に対して給付される労働者災害補償保険に係る費用です。アルバイトやパートタイムなどの雇用形態にかかわらず、全ての労働者に加入が義務付けられています。労災保険率は事業の種類によって異なり、業種ごとに厚生労働省から示されており、林業や漁業、鉱業など危険を伴う職種は高めの保険率になっています。また、労災保険率は全額事業主の負担となります。

参考:令和3年度の労災保険率について~令和2年度から変更ありません~|厚生労働省

労働保険料における雇用保険料とは?

雇用保険料とは、労働者が失業して所得を失った場合、雇用の継続が困難である事由が生じた場合などに給付される失業等給付に係る費用です。労災保険と同様、政府が管轄する強制保険制度です。雇用保険率は一般の事業と、農林水産・清酒製造、建設事業の3つに分かれています。それぞれ厚生労働省から保険料率が示されており、労働者と事業主の費用負担割合についても厚生労働省が定めています。

参考:ハローワークインターネットサービス – 雇用保険制度の概要|ハローワーク
参考:令和3年度の雇用保険料率について~令和2年度から変更ありません~|厚生労働省

労働保険料における第1種・第2種・第3種特別加入保険料とは?

労災保険は労働者を対象にした保険であるため、事業主に起きた傷病に対しては補償の対象外となります。事業主も同様の業務に携わる場合は、労災保険に「特別加入」する必要があります。労災保険の特別加入保険料は以下の3つです。

  • 第1種特別加入保険料:中小企業の事業主を対象とした特別加入に係る保険料
  • 第2種特別加入保険料:自営業や一人親方を対象とした特別加入に係る保険料
  • 第3種特別加入保険料:海外派遣者を対象とした特別加入に係る保険料

特別加入の保険率についても業種ごとに厚生労働省から示されています。詳細については、以下の厚生労働省のページを参考にしてみてください。

参考:労働保険料の種類・申告と納付について|福岡労働局
参考:特別加入保険料率表(令和4年4月1日~)|厚生労働省

労働保険料における印紙保険料とは?

印紙保険料とは、日雇労働者を雇用すると発生する雇用保険に係る費用です。日雇労働者を雇用する事業主は一般保険料とあわせて印紙保険料を納付する義務があります。保険料は賃金日額に応じて以下の3段階に分かれます。

  • 第1級:賃金日額11,300円以上で保険料176円
  • 第2級:賃金日額8,200円以上11,300円未満で保険料146円
  • 第3級:賃金日額8,200円未満で保険料96円

納付方法は、「日雇労働被保険者手帳」に雇用保険印紙を貼付け消印する方法と、「印紙保険料納付計器」で納付印を押印する方法があります。

参考:第14章 日雇労働被保険者の給付について|厚生労働省

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労働保険料の計算のやり方

冒頭で解説したように、労働保険料は労災保険料と雇用保険料を合算して算出されるものです。この章では、実際に労働保険料の計算をどのように行うか、例を交えてご紹介します。

労働保険料を計算するためには、まずは「賃金総額」を把握する必要があります。賃金総額とは、給与や賞与だけでなく各種手当など、事業主が労働の対価として労働者に支払う金銭の総額です。賃金総額については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

労働保険料はこの賃金総額に対し、労働保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて算出されます。すなわち、下記の計算式が成り立ちます。

労働保険料=賃金総額×労働保険料率(労災保険率+雇用保険率)

参考:労働保険料の計算例|大阪労働局

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労働保険料の計算が必要になる場面は

労働保険料は、毎年所定の支払期間に1年分を概算して前払いする必要があります。これが「労働保険の年度更新」です。年度更新のたびに保険料を計算する必要があり、
4月1日から翌3月31日の保険年度の間に支払われる予定の賃金総額に対し、労働保険料率を乗じて算出します。また、保険料納付の際は、保険年度末に過不足分を調整して前年度分を確定する手続きが必要です。

参考:労働保険の年度更新とは|厚生労働省

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労働保険料に関して必要な手続き

実際に労働保険料を計算して納付するには、「納付期限の確認」「前年度過不足分の調整」「労働保険料の計算」「納付・申告」といった手順を踏みます。一つひとつ見ていきましょう。

納付の時期を確認する

労働保険料の納付は期間が決まっています。毎年4月1日から翌3月31日を「保険年度」とし、この期間の賃金総額を元に概算の労働保険料を算出します。労働保険料は6月1日から7月10日の間に納付する必要があり、期限を過ぎてしまうと追徴金が発生するので、忘れずに納付期限を確認するようにしましょう。

過不足分の調整

労働保険料は1年分を概算で前払いするため、保険年度末には過不足分を調整して前年度の労働保険料を確定する必要があります。翌年の年度更新時には、この過不足分を加減して、労働保険料を前払いします。また、労働保険料を確定させる事前段階では、一般拠出金の算出も必要です。この「一般拠出金」とは「石綿による健康被害の救済に関する法律」により定められたもので、事業主が負担しなければなりません。

労働保険料の計算

過不足分の調整を行い、前年度の労働保険料が確定したら、本年度の労働保険料を概算します。労働保険料は、保険年度内の見込みの賃金総額に労働保険料率を乗じて算出されます。申告年度の見込みの賃金総額が2分の1から2倍の間である場合は、前年度の確定賃金総額を本年度の賃金総額として保険料を計算しましょう。

納付・申告

前年度の過不足調整、本年度の労働保険料概算が完了したら、「労働保険概算・確定保険料申告書」を記載します。保険料を添えて、期限内に所管の労働基準監督署に提出することで納付・申告は完了となります。期限に遅れた場合は労働基準監督署によって保険料が決定され、10%の追徴金も課せられるため注意が必要です。

労働保険料に関わる注意点

労働保険料を算出する上ではいくつかの注意点があります。この章では「業種を跨ぎ複数事業を展開している場合」「出向社員や派遣社員に関する調整」「前年度労働保険料との差額の納付」の3点をご紹介します。間違えやすいポイントを事前に押さえ、ミスなく納付を済ませましょう。

複数事業を展開している場合

労働保険の1つである労災保険は、業種によって保険率が異なります。危険度が高い業種ほど労災事故の発生確立が高く、保険料も高くなるためです。1つの企業が業種の異なる複数の事業を展開している場合は注意が必要です。労働保険料は、それぞれの業種ごとに算出する必要があり、複数事業を展開している場合には、各業種に合わせて一つ一つ労働保険料を確かめる必要があるからです。実際の労災保険率はかなり細かく分類されているため、不明な場合は労働基準監督署に問い合わせるようにしましょう。

出向社員・派遣社員に関する調整

出向社員・派遣社員については出向先・派遣元という観点で調整が必要です。派遣社員は、派遣元の労働者なので労働保険料の支払いは派遣元で行います。

出向社員に関しては、出向先の指示のもと業務に従事する場合は出向先企業の労働者として労災保険が適用されます。また、労災保険料は出向元の賃金を出向先の賃金に含めて算出されます。雇用保険については、賃金を支払っている事業所を通して納付しますが、出向元・出向先のどちらからも賃金を受け取っている場合は、賃金額の多い事業所を通して納付することになります。

差額の納付

労働保険料は保険年度ごとに前払いする必要があります。保険年度末に、事前に支払った概算保険料と確定保険料に差額が生じた場合は調整が必要です。少なければ次年度の概算保険料に上乗せで納付し、多い場合は次年度概算保険料に充当します。年度更新の際には前年度労働保険料の確定・調整を忘れずに行いましょう。

労働保険料を理解し正しく納付・申告しよう

今回は労働保険料の計算方法や納付・申告の流れをご説明しました。労働保険料は毎年必ず納付しなければなりません。年に一度の作業であるためミスも犯しがちです。紹介した注意点を参考に、スムーズに納付・申告を進められるよう準備しましょう。

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よくある質問

労働保険料とはなんですか?

労災保険料と雇用保険料を合算したもので、すべての労働者に加入が義務付けられています。詳しくはこちらをご覧ください。

労働保険料の納付期限について教えてください

納付期限は毎年6月1日から7月10日の間です。4月1日から翌3月31日の見込み賃金総額から算出され、期限内に前払いで納付する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド給与

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