- 更新日 : 2024年8月30日
育児・介護休業法の改正ポイントを解説!2022年4月から順次施行
2022年4月より、育児・介護休業法の改正が順次施行されます。今回の改正は男性の育児休業制度に大きな焦点があてられており、2022年10月にはパパ育休の取得を促進する新制度や育休の分割取得がはじまります。また、雇用環境の整備といった企業義務の強化のほか、2023年4月からは育児休業取得状況の公表が義務付けられます。
目次
育児・介護休業法とは?
育児介護休業法とは、育児や介護をしながら働く労働者の継続的な就業を支援する目的でつくられた法律です。正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、1991年に制定された「育児休業法(育児休業等に関する法律)」をもとに、1995年に大幅な改正を実施。その後も2021年に至るまで7回の改正を行っています。
育児介護休業法では、男女ともに、働く権利と育児・介護の両立を掲げ、以下の制度や義務を定めています。
- 育児休業
- 介護休業
- 子の看護休暇
- 介護休暇
- 育児・介護の両立支援のための所定労働時間等の事業主の措置
- 育児・介護を行う労働者に支援措置を講じること
なお、ここでいう「休業」とは法律で定められた制度のことを指し、企業が独自で設定する「育児休暇」とは定義や意味が異なります。以下に、育児・介護休業法に定められた各種制度について解説します。
育児休業制度とは?
育児休業制度とは、原則として子が1歳に達するまで休業を取得できる制度です。もちろん、女性だけでなく男性労働者も対象になります。原則として子が1人につき1回の取得ですが、男性の育児参加促進や、育児と仕事の両立支援強化の目的で改正され、2022年1月現在では、両親が育児休業を取得するなど一定の条件に該当した場合には最長1歳2ヵ月に達するまで、保育所に入所できないといった事情がある場合には最長2歳に達するまでの延長が可能になっています。
【育児休業制度の対象者】
- 原則として、1歳に満たない子を養育する労働者(日々雇用される者は対象外)
- 有期契約労働者の場合は、以下の2点を満たす必要があります
- 同じ会社・事業主に1年以上雇用されていること
- 子が1歳6ヵ月(2歳まで休業する場合は2歳)を経過するまで労働契約期間(更新する場合には更新後の契約期間)が終了し、更新されないことが決まっていないこと
- 以下の場合は、労働者代表などとの労使協定の締結により企業が育児休業の適用除外とすることも認められています。
- 勤続年数が1年未満
- 申出から1年以内(1歳以降の休業を申し出るときは6ヵ月以内)に雇用関係が終了する予定
- 週の所定労働日数が2日以下
【育児休業を取得できる期間】
- 原則として子が1歳の誕生日の前日まで
- 両親ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2ヵ月に達するまでの間に、それぞれ出産日と産後休業の期間を含め最大1年間(パパ・ママ育休プラス)
- 子の出生後8週以内に父親が育児休業を取得した場合(子の出生後8週間以内に育児休業が終了していることが条件となる「パパ休暇」)に、特別な理由がなく子が1歳までの間に2度目の取得が可能
- 保育所への入所ができないなどの理由がある場合は、子が1歳6ヵ月、2歳まで延長が可能
参考:
家庭と仕事の両立支援ポータルサイト|東京都
育児休業制度とは|厚生労働省
介護休業制度とは?
介護休業制度とは、「要介護状態」の家族を介護するために、労働者が休業を取得できる制度です。日々雇用される者を除く労働者が制度を利用でき、パートやアルバイトでも条件を満たすことで利用可能になります。
対象家族1人につき、取得できる介護休業は3回まで、通算93日までの休業が可能です。介護休業では休業時に1人で介護を行うのではなく、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談をし、利用できる介護サービスの検討などを行った上で、仕事を辞めずに家族の介護と両立できる体制をつくることを推奨しています。
【介護休業制度の対象者】
- 負傷、疾病など身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上、常時介護を必要とする状態にある「要介護状態」の対象家族を有する労働者
- パートやアルバイトの場合は、以下の条件を満たすことで利用可能です。
- 同じ会社・事業主に1年以上勤務していること
- 介護休業の取得日から93日を経過する日を起点に、6ヵ月経過日までで契約終了や更新されないことが決まっていないこと
【対象となる家族とは】
- 配偶者、父母および配偶者の父母、祖父母、子、兄弟姉妹、孫を指します。
【利用期間と回数】
- 対象家族1人につき通算93日まで休業が可能であり、最大3回まで分けて取得できます。
参考:介護休業とは|厚生労働省
育児・介護休業制度以外の休暇制度
育児・介護休業法では、育児休業制度、介護休業制度のほかにも、子の看護休暇制度や介護休暇制度を設けています。
子の看護休暇制度
小学校就学前の子がいる労働者は、年5日の子の看護休暇を取得できます。子どもが2人以上の場合は、上限が年10日となります。1日単位だけではなく、半日や時間単位での取得も可能です。病気やけがをした子の看護のほか、予防接種・健康診断の付き添いでも認められます。
介護休暇制度
要介護状態の対象家族の通院時の付き添いなど、対象家族の介護や世話をするときに休みが取得できる制度です。家族の介護では、通院の付き添いや介護サービスの手配、ケアマネージャーとの打ち合わせなどさまざまな予定が発生します。そうした介護に関わる用事がある際、対象家族1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日までの介護休暇の利用が認められています。1日単位だけではなく、半日や時間単位での取得も可能です。
参考:介護休暇とは|厚生労働省
2022年4月以降の育児・介護休業法改正の概要
2021年6月に、さらなる育児・介護と仕事の両立支援を目的として、育児・介護休業法が改正されました。改正の内容は2022年4月より、3段階に分けて施行されます。育児休業がより取得しやすくなることが今回の改正のポイントであり、とくに「産後パパ育休(出生時育児休業)」「育児休業の分割取得」に注目が集まっています。
【育児・介護休業法の改正が適用されるタイミング】
- 2022年4月1日より
- 雇用環境整備や個別の周知・意向確認の措置の義務化
- 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
- 2022年10月1日より
- 「産後パパ育休」制度の開始
- 育児休業の分割取得
- 育児休業給付に関する規定整備
- 2023年4月1日より
- 育児休業の取得状況を公表するよう企業に義務付け
参考:『育児・介護休業法の改正について』p.17|厚生労働省
改正に至った背景
育児・介護休業法が改正されることで、育児や介護と仕事の両立を巡る制度や環境は改善されてきました。しかし、性別関係なく家庭の事情と就労を継続するためには「十分ではない」というのが、今回の改正の背景にあります。
たとえば、政府は「第一子を出産した女性がその後も継続して就業する率」に55%の目標数値を掲げていますが、最新の調査でも2010年~2014年の出産後就業継続率は53.1%と目標には届いておらず、半数近くの女性が第一子の出産と共に離職しています。
そうした離職理由のトップには「仕事と育児の両立の難しさ」が上がっています。難しさを感じる背景には、勤務先での育児と就業の両立支援が十分ではないといった背景があります。「育児休業が利用できる雰囲気でない」「育休を使用できても復帰後に時短や残業免除の措置がない」など、制度不備のほか、育休に対する社員の理解度・温度差の違いも問題となります。
さらには「配偶者の協力が得られない」という状況を生み出している背景も無視できません。
男性の育休取得率は上昇傾向にあるものの、調査結果を見ると、2020年度は12.65%の取得率となっており、依然として低い数値が出ています。男性の育児休業取得に勤務先が前向きでない、制度はあっても上司の賛同が得られない、そうした状況が男性を家事・育児から遠ざける要因の一つであり、子を持つ女性が育児と仕事を両立する際、諸外国と比較して大きな負担を抱える現状を生み出しています。
加えて、日本は少子高齢化が急速に進んでいます。2019年時点ですでに65歳以上の高齢者が4人に1人以上の割合(28.4%)であり、2065年には総人口が1億人を下回り、かつ2.6人に1人が65歳以上となる予測が出ています。子を望む人が生みやすい制度や環境、子を生んで就業を希望する人が続けられる制度や環境を整えることが、社会課題の一つとなっています。
2022年4月の改正について
育児介護休業法の改正は、2022年4月から段階的に行われます。2022年4月1日からは、以下の2点が施行されます。
- 雇用環境整備、個別の周知、意向確認の措置の義務化
- 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
新たに雇用主に「雇用環境整備」の義務が課せられました。育児休業を取得しやすい雇用環境づくりにむけて、事業主は研修の実施や相談窓口の設置など、以下の措置のなかからいずれかを講じなければいけないとされます。
【雇用環境整備で講じるべき措置】
- 育児休業、産後パパ育休に関する研修の実施(管理職は必須、理想は全労働者を対象)
- 育児休業、産後パパ育休に関する相談体制の整備(例:相談窓口の設置)
- 自社で育児休業・産後パパ育休を取得した労働者の事例の収集と提供
- 自社の労働者に対して、育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
これらの措置は、可能な限り複数実施することが望ましいとされています。また、相談窓口は実質的に従業員からの相談に対応可能な体制が求められます。措置を講じる際は、雇用形態や職種等によって制度の申請を控えさせるような情報の偏りがないよう、配慮が求められます。
「個別の周知・意向確認措置の義務化」では、原稿の個別周知の努力義務から一歩進んで企業の責任が強化されています。企業は、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、育児休業制度等に関する情報を伝えるとともに、取得するかどうかの意向の確認を個別に行うことが求められます。
【個別に周知するべき事柄】
- 育児休業・産後パパ育休に関する制度
- 育児休業・産後パパ育休の申し出先
- 育児休業給付について
- 育児休業・産後パパ育休の取得期間での社会保険料の取り扱い
【個別周知と意向確認の方法】
- 面談(直接またはオンライン)
- 書面
- FAX(労働者が希望した場合のみ可)
- 電子メール(労働者が希望した場合のみ可)
企業としては、育児休業に関する労務管理の方法が大きく変わります。これまで努力義務であったものが、今回の法改正により企業の義務となります。周知事項や周知・意向確認の方法をルール化、育児・介護休業規程などの見直し、書式や様式の作成なども必要になるでしょう。
育児休業等取得の意向を確認する際、企業は対象の従業員に対し、取得を申し控えるよう暗に促したり、圧力をかけたりしないよう注意が必要です。
参考:『育児・介護休業法の改正について』p.19-21|厚生労働省
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
現行制度では、育児・介護休業を有期雇用労働者が取得する際、「(現在の会社で)引き続き雇用された期間が1年以上」という条件が定められています。2022年4月1日からは、育児休業・介護休業ともにこの条件が撤廃されます。撤廃されたあとの、それぞれの取得要件については以下の通りです。
【有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和後】
- 育児休業の場合:子が1歳6ヵ月までの間に契約が満了することが明らかでない
- 介護休業の場合:介護休業開始予定から93日が経過した時点で、以降6ヵ月の間に契約が満了することがあきらかでない
今後は、入社したばかりの有期雇用労働者であっても、上記要件で定められた期間に退職することや契約更新をしないことがあきらかでない限り、育児休業や介護休業を取得できるようになります。
ただし、有期雇用労働者に限らず、従来から育児・介護休業共に一定の範囲の従業員を対象外にすることができる労使協定を締結することは可能です。この労使協定によって、引き続き雇用された期間が1年未満である従業員を対象から除外することができます。
2022年10月の改正について
2022年10月には、今回の育児介護休業法の改正における焦点ともいえる、産後パパ育休制度がスタートします。また、育児休業の分割取得が認められるようになり、より柔軟に育児休業が取得できる体制づくりが進められます。
産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
現行でも、子の生後8週間以内に父親が育休を取得すると、子が1歳までの間に2度目の取得が可能となる「パパ休暇」があります。しかし、2022年10月より創設される「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、さらに男性の育児休業取得の推進を図る目的で創設された制度であり、現行の育休制度とは別物です。
改正後の新制度でも、育休制度と産後パパ育休は区別され、どちらかのみを取得することも、両方を組み合わせて利用することも可能です。
現行の育休制度 | 2022年10月以降 | ||
---|---|---|---|
育休制度 | 産後パパ育休 | ||
期間 | 原則子が1歳(最長2歳まで) | 原則子が1歳(最長2歳まで) | 子の生後8週間以内に4週間まで |
分割取得 | 原則不可 | 2回まで分割可 | 2回まで分割可 |
申請期限 | 原則1ヵ月前まで | 原則1ヵ月前まで | 原則休業の2週間前まで |
休業中の就業 | 原則就業不可 | 原則就業不可 | 労使協定の締結により、就業可能(条件あり) |
参考:『育児・介護休業法の改正について』p.25|厚生労働省
- 産後パパ育休のポイント①「休業2週間前までの申請で可能」
育児休業の場合、休業開始の1ヵ月前までに労働者が申出を行わなければなりませんが、産後パパ育休は2週間前までの申請が認められます。これにより、出産予定日がずれ込んだ際、育休のスタート日をより柔軟に設定することができます。
- 産後パパ育休のポイント②「2回の分割取得が可能(初回の申請が必要)」
子が生後8週間までの間、最大4週間取得できる産後パパ育休は、2回まで分割して取得できます。分割を希望する際は、初回の申請時に、まとめていつといつを休業とするかを申請する必要があります。子が生まれたタイミングで2週間、母子が里帰りから戻ってくるタイミングで再度2週間といったように、家庭の状況に合わせた対応が可能になります。
- 産後パパ育休のポイント③「有期雇用労働者も対象」
有期雇用労働者が産後パパ育休を希望する場合は、子の出生後8週間の時点から起算して6ヵ月の間に契約が満了することが明らかでない場合に限り、対象となります。
- 産後パパ育休のポイント④「育休中の就業が可能に」
育児休業取得中は、育児休業給付金により賃金が補填されますが、全額ではありません。そのため「収入減」を理由に、両親のどちらかのみ育休を取得するというように、育児休業取得を躊躇う要因となっていました。また、「長い間現場を離れられない」といった業務上の問題も、育児休業取得の妨げとなります。
産後パパ育休の創設に伴い雇用保険の改正も行われ、出生時育児休業給付金が創設されます。産後パパ育休の期間中は、一定の条件を満たしていれば、社会保険料の免除と出生時育児休業給付金の支給を受けることができます。また、産後パパ育休では、労使協定の締結により、一定の範囲内での就業も可能です。
【産後パパ育休中の就業可能時間】
- 休業期間中は、所定労働日・所定労働時間の半分
- 休業開始日・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間数未満
ただし、育休中の就業は労働者が希望する場合のみに限ります。育児休業中に労働義務から免除されることは労働者の権利です。会社側が、育休中にも働くことを迫ったり、育休中に働かないことを理由として不利益な取り扱いをしたりすることは認められません。また、育休中の就業により、育児休業給付金や社会保険料の負担がどのように変わるのか、適切な説明が企業に求められます。
参考:令和4年10月から育児休業給付制度が変わります |厚生労働省
育児休業の分割取得
現行の育児休業制度では、パパ休暇を利用した場合のみ2回目の取得が認められており、それ以外は分割して育休を取得することはできません。保育所に入所できないこと等を理由に、最長で子が2歳までの延長が認められますが、その間業務から離れることによるキャリアのブランクが心配になります。
また、延長についても「1歳からの延長」「1歳6ヵ月からの延長」と開始時点が限定されるため、夫婦で途中交代するといった臨機応変な対応が難しい状態でした。
2022年10月からは、分割取得が認められ、夫婦で育休を交代できる回数が増え、より柔軟な対応が可能になります。とくに男性は、産後パパ育休と育児休業を組み合わせれば最大4回の分割取得が可能です。さらに、1歳以降の延長でも育休開始時点が柔軟化され、途中交代が可能となりました。
今回の改正では、夫婦で協力のもと子育てを行い、かつ、仕事と家庭の両立が可能なワーク・ライフ・バランスを意識した制度となっており、配偶者が復職するタイミングなど、家庭の事情に合わせた運用が期待できます。
2023年4月の改正について
2023年の4月からは、育児介護休業法の改正で、企業の育児休業取得状況の公表が義務化されます。この義務化の対象となる企業は、従業員1,000人を超える企業です。以下に、対象企業と公表の内容について解説します。
育児休業取得状況の公表の義務化
育児休業取得状況の公表の義務化の対象となるのは、「常時雇用する労働者が1,000人を超える企業」です。これらの企業は、自社の育児休業の取得状況について、年に1回の公表が義務付けられます。
【公表が義務付けられた割合】
以下のいずれかを公表する必要があります。
- 男性の育児休業等の取得状況
公表前事業年度において雇用する男性労働者が育児休業等を利用した数 ÷ 公表前事業年度において事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数
- 育児休業等と育児目的休暇の取得割合
公表前事業年度において、雇用する男性労働者が育児休業等をしたものの数 及び 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する事業主が、講ずる育児を目的とした休暇制度を利用した合計数 ÷ 公表前事業年度において事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数
参考:『育児・介護休業法の改正について』p.33|厚生労働省
ここで集計する育児休業は、産後パパ育休とそれ以外の育休を分ける必要はありません。公表は、自社のコーポレートサイトや、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」で行うことが推奨されています。
改正について人事労務担当者が注意するポイント
2022年4月から、3段階に分けて改正育児・介護休業法が施行されます。厚生労働省のホームページでは、法改正に伴う就業規則の規定例や労使協定の例、産後パパ育休の社内様式例や説明資料例を公表しています。これらの資料を活用して、まず自社の就業規則について、育児・介護休業の対象となる労働者の条件を確認しましょう。その上で、現行と改正後の違いを明確にし、自社の労働者にもわかりやすく周知することが望ましいでしょう。
育児休業では、マタハラやパタハラと言われる、妊娠・出産や育児休業の取得を理由としたハラスメントが社会問題となっています。せっかく制度があっても、それを歓迎する職場風土がなければ、利用する人は増えません。自社の社員が制度を気持ちよく利用し、継続した就労を支援できるよう、以下の点に気をつけましょう。
育児・介護休業の対象条件や企業義務を確認する
2022年4月から有期雇用労働者への育児・介護休業制度の対象条件が緩和されます。しかし、労使協定の締結と就業規則の変更により勤続年数1年未満の従業員は適用対象から除くことも可能です。自社の就業規則を確認し、制度を利用できる対象条件をわかりやすく伝えられるようにしておきましょう。
また、義務化される措置について、自社の現状を確認し、不十分な体制については施行日までに整備を進めましょう。
新制度での育児休業の取得事例を発信する
改正では、産後パパ育休がスタートし、分割取得も可能になるなど、これまでよりも柔軟に育児休業を利用することが可能になります。しかし、どのような取り方が理想的なのか、また子が小さいうちはどんな事態が想定されるのかなど、とりわけ第一子を持つ親たちには、想像するのが難しいものです。
こうした場合、自社ですでに育児休業を取得した社員にインタビューをし、その事例を社内報で公開するなどの情報発信に取り組むことで、育児休業の柔軟な利用アイディアを共有することができます。また、会社として、育休取得を歓迎するメッセージを伝えることもできます。
なお、事例の取得の際は、特定の職種や雇用形態の労働者に対して、育児・介護休業制度の利用を控えさせるような偏った情報発信があってはなりません。不適切な情報発信を行わないよう注意しましょう。
育児休業中の就業については事前説明をしっかりと行う
産後パパ育休では、育休中の就業が認められるようになります。しかし、就業する時間数や日数によって、本来であれば受給できる育児休業給付金の額が変動したり、社会保険料の免除が適用されなくなることがあるかもしれません。こうした予想される説明すべきポイントを事前に従業員に説明を行い、双方納得した上で、育児休業の取得手続きを行いましょう。
育児・介護休業法の改正について事前に確認しておこう!
2022年4月、10月、そして翌2023年4月と、育児・介護休業法の改正が3段階に分けて次々と施行されます。改正のポイントを確認し、就業規則の変更や従業員への説明など、前もって準備しておきましょう。研修や相談窓口を整備し、企業からの情報発信を継続的に行うことで、社内に育児・介護休業制度への理解が深まり、多様な働き方を認め合う土壌が育まれるでしょう。
よくある質問
2022年4月の育児・介護休業法についてポイントを教えてください
「雇用環境整備、個別の周知、意向確認の措置の義務化」と「有期雇用労働者の育児介護休業取得要件の緩和」の2点です。企業は研修実施など育児・介護休業の整備に努めるほか、育休取得の意向確認が義務化されます。詳しくはこちらをご覧ください。
改正に伴い雇用側が注意しておくべき点について教えてください
意向確認措置など、義務化される点を必ず確認しましょう。今後、従業員1,000人超の企業は育児休業の取得状況も義務付けられます。また、育児休業の新制度にも適切に対応できるよう管理職の研修を進めましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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