- 更新日 : 2023年6月23日
コワーキングスペースとは?ドロップイン料金・経費・東京での選び方を解説
近年、リモートワークの広がりにより、都内をはじめコワーキングスペースが増えています。コワーキングスペースは、仕事や勉強などの作業を想定してデザインされており、個人事業主やフリーランスのほか、外出先で仕事をする会社員などにも人気です。
ここでは、コワーキングスペースの使い方や料金体系、選び方のポイントについて解説します。
目次
コワーキングスペースとは?
コワーキングスペースとは、仕事を行うことを目的に設置された作業スペースをいいます。近年、リモートワークで働く人は珍しくありません。パソコンやスマートフォンなどのITツールを使って時間や場所にとらわれない働き方をするノマドワーカーなどが利用するほか、在宅で仕事をする人がオフィス代わりに使う人もいます。
共有スペースだけではなく、別料金で個室を利用できるなど、多様な設備を有しており、勉強やミーティングにも活用できます。以下に、特徴についてまとめました。
コワーキングスペースの名前の意味
コワーキングスペースとは、「さまざまな年齢、職種、所属の人たちが空間を共有しながら仕事を行うスペースのこと」をいいます。
引用:コワーキングスペースとは?意味やシェアオフィスとの違い、基本的な機能を紹介|一般社団法人コワーキングスペース協会
「Co(=共同の、一緒に)」「Working(=働く、仕事をする)」「Space(=空間、場所)」が語源です。他者と共有するスペースであり、「共同で働く場所」という意味を持っています。
使い方
オープンスペースで他者と仕事をする空間や必要な設備を共有するのが一般的であり、利用料金を支払うことで使用できます。仕事がしやすい環境に特化しているため、図書館やカフェと比較して、Wi-Fiやプリンターなど作業に適した設備が整っているのが特徴です。また、共有スペースの混雑状況をWeb上で確認できるサービスを提供している施設もあります。
利用シーン
リモートワークで仕事をする場所を必要としている人や、外出時に作業が必要な会社員などが利用します。また、フリーランスで働く人やスタートアップ企業のように、オフィス代わりの場所を必要としている人にも人気です。なかには、集中して勉強したい大学生が利用するケースもあります。
年齢層
幅広い年齢の人に活用されています。ただし、多くのコワーキングスペースで、会員登録は18歳以上が対象と、年齢制限が設けられていることがあります。
設置数
コワーキングスペースの設置数は、年々増加しています。2019年には全国で799だった数が、2021年には2,000件以上と3倍近くになりました。設置は都市部に集中していることが特徴です。
参考:調査研究レポート(第4回)「日本のコワーキングスペースの拡大」(2021年12月版)<前編>|一般社団法人大都市政策研究機構
コワーキングスペースとテレワークとの違い
コワーキングスペースとテレワークの違いは、言葉が示す対象にあります。コワーキングスペースとは、「場所」の名前です。個人事業主やフリーランスなどが、仕事を行う作業スペースを指します。
一方、テレワークとは働き方を指す言葉です。もともとはTele(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語であり、情報通信技術を活用して本拠地から離れた場所からリモートで仕事をすることを指します。テレワークは「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」の3つの類型に分けられ、本社や支店など本拠地がある人が、自宅やコワーキングスペースで仕事をする働き方もテレワークに含まれます。
コワーキングスペースは、ネット通信環境が整っており、オンライン会議などプライバシーにも配慮されたブースがあることから、テレワークに適したスペースであるといえます。
参考:テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン|厚生労働省
テレワークとは | 基本情報 | テレワーク総合ポータル
コワーキングスペースとシェアオフィスとの違い
コワーキングスペースのほかに、「シェアオフィス」も近年よく聞かれる言葉です。この2つに明確な定義はありませんが、コワーキングスペースと呼ばれる場所は、カフェのようなオープンスペースが基本というところが多く見られます。
一方、シェアオフィスの場合は、オープンスペースではなく個室がメインとなっています。ただし、これらの違いは一概にいえることではなく、個室ブースを有するコワーキングスペースも多くあります。
コワーキングスペースを利用するメリット・デメリット
コワーキングスペースは、個人事業主やフリーランスの他、リモートワークを行う会社員にも人気の場所となっています。なぜなら、コワーキングスペースは「仕事をする」ことに特化してデザインされているため、自宅や普通のカフェよりも作業環境として適しているからです。以下で、コワーキングスペースを利用するメリットのほか、利用前に検討するべきデメリットを紹介します。
コワーキングスペースを利用するメリット
まず第一に、コワーキングスペースで仕事をすると「作業がはかどる」という点が挙げられます。自宅でリモートワークができたとしても、会社のオフィスと同様のデスクやチェア、コピー機などの設備が揃っているとは限りません。また、周囲の騒音や室内の照明なども、作業効率を左右します。とくに、自宅が狭く十分な作業スペースがとれない人にとって、コワーキングスペースは業務に集中できる重要な仕事場となります。
また、コワーキングスペースであれば、仕事場を構えるよりも予算を安く抑えることが可能です。会員料金や利用料金を払えばコワーキングスペースの設備を利用できるため、光熱費や家賃などの高額な固定費を払う必要がなくなります。
さらに、仕事に特化した作業場という安心感とセキュリティ面のメリットも挙げられるでしょう。普通のカフェでは、回りの会話が聞こえ、長時間の滞在を嫌がられるケースもあり、仕事に集中することができません。隣の席との距離が近く、パソコンでの作業内容を盗み見されてしまう危険性もあります。また、ネット回線がパスワードのかかっていないWi-Fiの場合、情報漏洩のリスクが高まります。自分のパソコンを持ち込むだけで、安心して作業を開始できるという手軽さも、コワーキングスペースが人気がある理由の一つです。
コワーキングスペースを利用するデメリット
仕事を前提として作られているコワーキングスペースですが、万能ではありません。そもそも会員制であっても、不特定多数の人に開かれている場所です。そのため、仕事をしたいときに席が空いていないという事態が考えられます。
また、ネット回線など基本的なセキュリティ対策は施されていたとしても、他者とスペースを共有していることを忘れてはいけません。席を離れる際は、パソコンをロックするなど個人でのセキュリティ対策が必要となります。
コワーキングスペースの主な設備や環境
コワーキングスペースでは、多くの場合、防音機能を備えた個室や会議室のほか、休憩できる共有のカフェスペースなどが併設されています。以下に、コワーキングスペースの基本的な設備について紹介します。
作業スペース
作業スペースは、自分の決まった席がないフリーアドレス制です。仕事がしやすいよう、各席に電源が設けられるなどの工夫がされています。ソファー席や窓際の席など、気分に合わせて座る場所を選べるのもコワーキングスペースの魅力の一つといえます。
フリーWi-Fi
多くのコワーキングスペースでは、無料で使用できるWiFiが用意されています。ただし、通信環境の状態は場所や時間帯によって異なるので注意が必要です。混雑している時間帯は、回線が込み合いテレビ通話が遅くなるといったトラブルが発生することが考えられます。
カフェスペース
コワーキングスペースは、コーヒーや紅茶などが飲めるカフェスペースが併設されているところもあります。ドリンクが飲み放題というコワーキングスペースも珍しくありません。
仕事に便利なサービス
ほかにも、仕事を行う上で便利なサービスを提供しているコワーキングスペースもあります。
- 法人登記
- 郵便の受け取りと転送
- 会議室
- セミナーや交流会
- 専門家によるアドバイス
仕事を行うだけではなく、他のビジネスパーソンと交流して情報交換を行い、自身のビジネスにとってプラスになるアイディアを得られるのは、多様な人が活用するコワーキングスペースならではの魅力といえます。
コワーキングスペースの主な料金体系
コワーキングスペースの料金体系には、「ドロップイン」と「月額」の2通りがあります。料金相場はコワーキングスペースを提供する企業によって異なります。個人や法人、使い放題を希望する場合や、個室利用したい場合など、目的に合ったプラン(料金体系)を選ぶのがよいでしょう。以下に詳細を紹介します。
ドロップイン(時間単位)と月額課金プラン
ドロップインとは、時間単位や1日単位で設定された料金システムのことです。「週に1回利用」「月に1回利用」もしくは、「近くに寄ったときに必要な時間だけ使う」という、不定期なペースで利用する際に適しています。
月額課金プランの場合は、月単位で定額の料金を支払います。時間や日数に限らず、その月は使い放題で使用できるプランもあれば、月の利用回数に上限を設けることで低価格で利用できるプランもあります。複数のプランの中から選択する場合には、利用頻度が多いほど料金がお得になると考えればよいでしょう。
ただし、場所によっては初期費用などを追加で支払う場合や事前審査が必要な場合もあります。また、月額課金プランの場合、「個室利用」「共有スペースでの固定席」「共有スペースでの自由席」など、プランの内容によって料金に差があるところも珍しくありません。
ドロップイン利用に適しているケース
ドロップインに適しているのは、リモートワークなどで仕事をする会社員や出先で仕事をするフリーランスで働く人です。オフィスや自宅など、作業の本拠地がある人でも、外出が多い場合には、サブスペースとして利用する際に適しています。「外回りの際、1時間だけ作業をする」「普段は在宅だけれど、たまに気分転換に利用したい」といった人におすすめです。
その他よくあるプラン
一方、ドロップインではなく月額払いや他のプランを検討したほうがよいケースもあります。たとえば、不定期でも1回で使用する時間数が長い場合は、「個室」や「共有スペースの固定席」が確実に使用できるプランを検討したほうがいいでしょう。
また、月額料金に追加オプションを支払うことで、法人登記上の住所を借りられるコワーキングスペースもあります。
コワーキングスペース代は経費にできる?
個人事業主やフリーランスなど、事業に必要な場所としてコワーキングスペースを利用する場合、かかった費用は経費として計上できます。ドロップインの場合は「会議費」や「雑費」、月額費用の場合は固定費となるので「地代家賃」の勘定項目で処理を行います。
個人や法人のケース、仕訳の方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
東京でのコワーキングスペースの選び方
東京、大阪などの都市圏ではコワーキングスペースが年々増えており、どこに行こうか迷うかもしれません。よさそうと思って契約しても、使いづらい……ということもあるでしょう。月額料金が安くても、入会金がかかるケースも。
利用頻度が少ない場合は、「できるだけ安い」「可能であれば無料のコワーキングスペースを探したい」という希望もあるかもしれません。コワーキングスペースを探すにあたって、以下のポイントを意識して選ぶことをおすすめします。
利用する目的や予算に合わせたコースを選ぶ
コワーキングスペースは、不特定多数の人に開かれた場所です。仕事や作業が前提といっても、内容は勉強であったり企画書の作成であったりと、使い方は人それぞれです。利用する目的によっては、適していないコワーキングスペースもあります。たとえば、テレビ会議をするという目的であれば、個室ブースが併設されたコワーキングスペースのほうが安心して利用できます。
また、フリードリンク込みや、コピー機などの施設の使用料金も、場所によって異なります。使い方に合わせた施設やプランが整っている場所を選びましょう。
無料のサービスや設備で選ぶ
コワーキングスペースのなかには、さまざまな無料サービスを提供しているところがあります。プリンターの使用や液晶モニターのレンタルが月額料金に含まれる場合もあります。また、Wi-Fiの接続の安定性は作業効率を左右するため、選ぶ際の重要なポイントです。
通いやすいエリアを選ぶ
自宅から近い、オフィスの側にある、客先とオフィスの中間にあるなど、自分にとって使いやすいエリアを選びましょう。また、周辺にコンビニや郵便局、銀行、食事処などの設備が充実しているほうが、使い勝手がいいと感じるかもしれません。
コワーキングスペースは実際に利用してから検討しよう
リモートワークで仕事をする会社員、パソコンの利用が必須のフリーランス、スタートアップ企業など、会社の事務所や自宅以外で作業が必要な人にとって、オフィス代わりの場所が手軽に利用できるコワーキングスペースはたいへん便利です。
しかし、ネットで情報を検索しても、実際に利用してみると「違った」と思うこともあります。とくに月額で契約を考えている場合には、ドロップインで何回か使用し、自分に合ったコワーキングスペースかどうかを確かめてから契約するとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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