• 更新日 : 2022年10月18日

2022年版-給与計算ソフトとは?購入のポイントを種類別に比較!

2022年版-給与計算ソフトとは?購入のポイントを種類別に比較!

給与計算ソフトとは、従業員の勤怠情報をもとに自動で給与計算を行うシステムのことを指します。近年さまざまな給与計算ソフトが登場しており、給与計算に特化したものから、会計業務までをカバーするものまで、その機能は個々のシステムによって異なります。給与計算ソフトの導入で業務効率化を目指す場合、中小企業や大企業など、自社の規模にあった予算感や機能のものを選ぶことが重要です。この記事では、給与計算ソフトの定義から、種類と選び方、比較する際のポイントや2022年に改正のある制度まで、給与計算ソフトの導入検討や購入に役立つ知識を紹介します。

給与計算ソフトとは

給与計算ソフトとは、従業員の勤怠情報をもとに自動で給与計算を行うシステムのことを指します。給与計算で行う、割増賃金や各種手当、所得税などの計算を自動で算出してくれるため業務効率化につながります。また、給与計算ソフトによっては法改正による変更が自動反映されるので、給与計算ミスの防止にもなります。

給与計算ソフトには、エクセルを活用するもの、パソコンに直接インストールするもののほか、近年ではクラウド型ソフトの人気も高まっています。

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給与計算ソフトの主な機能

給与計算ソフトは、使用するものによりますが、一般的には以下のような機能を備えています。

給与計算式の設定と保存

従業員の雇用形態や労働契約内容にあわせて、給与の計算式を設定できます。頻繁に使用する計算式を保存することも可能です。

給与の自動計算

勤怠管理情報に基づき、各従業員の支給額、控除額、差引支給額を自動で計算します。

明細書の発行

計算した給与情報をもとに、給与明細書をワンクリックで発行します。テンプレートから自社の様式にあったものを作成できるほか、電子給与明細書に対応するものもあります。

法令改正や料率変更の自動対応

インストール型やクラウド型の給与計算ソフトでは、年末調整などの法令変更や、保険料率の改定などの変更が自動的にアップデートされます。

賃金台帳等の法定帳簿との連携

労働日数や労働時間などを記載する賃金台帳など、給与計算内容と関連している法定帳簿と自動連携できるほか、社内の他のシステムや金融機関とのシステム連携機能を備えているものもあります。スマートフォンとの連携
近年主流になりつつあるクラウド型給与計算ソフトには、スマートフォンと連携しているものがあります。テレワークが普及し、最近では出社しない従業員も増えていることでしょう。

従業員側の情報提供が必要な場面では、必要な情報を従業員から聞き込み、入力する作業が発生します。しかし、スマートフォンと連携することで、従業員が会社に出社せずに働く場合にもスマホによる情報入力が可能となり、スムーズに業務が完結します。

年末調整

1年間の給与・賞与情報がソフト内に保存されているため、年末調整に必要な項目を入力するだけで簡単に完了します。

なお、製品によっては給与計算ソフトと年末調整ソフトが別になっているケースもあります。

年末調整ソフトについては、以下の記事も参考にしてください。

マイナンバー管理

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき安全かつ確実に収集・管理できます。管理者のみにアクセス権限を設けることや、退職者のマイナンバーは速やかに削除するよう通知されるなど、安全な一元管理が可能です。

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給与計算ソフトの種類-業務範囲から比較

給与計算ソフトは、「特化型」「包括型」「ERP(総合業務システム)」の大きく3つにわけられます。種類によってカバーできる業務範囲は変わってくるのです。

給与計算ソフトがカバーできる業務範囲をそれぞれ見ていきましょう。

給与計算特化型の場合

給与計算特化型の給与計算ソフトは、その名の通り機能を給与計算に絞ったものです。ただし、機能の範囲は「自動で給与計算を行うだけ」のものから、「明細書のペーパーレス化」「税制変更の自動アップデート」「勤怠管理情報の自動取り込み」など、給与計算に付随する業務に対応するものもあります。

基本的には、従業員の就業時間や年次有給休暇の日数を管理する「勤怠管理機能」や、社会保険手続きなどの「労務管理機能」は持たず、給与計算業務のみをカバーする種類のものが当てはまると考えていいでしょう。

人事・給与包括型の場合

人事・給与包括型の給与計算ソフトは、給与計算業務に加え、人事関連の業務をカバーしているソフトの種類を指します。具体的には、労務管理や入退社管理、雇用保険・社会保険などの保険手続き機能を有しています。
給与計算業務以外にも対応していることで、より広範囲のシステム化を行い、業務のさらなる効率化が期待できます。

ERPの場合

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、基幹業務を支えるために統合したパッケージシステムのことを指します。給与計算ソフトのERPにあてはまる種類では、先に説明した給与計算業務、勤怠管理、労務管理に加え、会計や経費清算、人事評価、採用管理などさらに幅広いバックオフィス業務に対応しています。

「ERPは大企業向けで、中小企業には手が届かない」というイメージがありますが、最近では中小企業向けのものも登場しています。

【給与計算ソフトのタイプと機能のまとめ】

 給与計算特化型給与・人事包括型ERP
給与計算
賞与計算
賃金台帳
保険手続き
勤怠管理
会計/経費清算
従業員管理
人事評価
※そのほか、システムによって有無が異なる機能
・法令対応
・年末調整
・マイナンバー管理
・給与明細書電子化

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給与計算の方法一覧!各方法のメリット・デメリットを比較

給与計算ソフトの種類は、「エクセルの表計算を用いたタイプ」「端末へのインストール型」「クラウド型」の3つに分けられます。どの給与計算ソフトが自社にとって最適かは、会社規模や予算によって異なります。

少人数や個人事業主であれば、最小限の機能をカバーし、無料や価格を抑えたものを選ぶほうが満足度が高いかもしれません。一方、大企業や事業所が複数ある場合では、有料でも他の社内システムとの連携や遠隔操作ができるなど、機能を重視したほうがいいでしょう。

「無料ツール・ソフト(エクセルの表計算ソフト)」「インストール型給与計算ソフト」「クラウド型給与計算ソフト」に加え、「社労士に依頼」した場合の4パターンのメリットを以下に解説します。

無料ツール・ソフト(エクセルを用いた給与計算)

メリット

無料で給与計算を行えるツール・ソフトとして、代表的なものにエクセルがあります。以下では無料ツール・ソフトの代表例として、エクセルでの給与計算を紹介します。

エクセルの表計算ソフトのメリットは「導入が手軽なこと」「価格が安いこと」が挙げられます。

すでにMicrosoft Officeがインストールされているパソコンであれば、エクセルで自社に適した給与計算表の作成ができます。またGoogleのスプレッドシートなら、無料で同様の表計算が可能です。計算式の入力や自動化のシートを作成する時間がとれない場合は、無料で配布されているテンプレートを活用する方法もあります。

給与計算ソフトのランニングコストがほぼかからないため、従業員人数10名以下の会社や個人事業主など、エクセルで給与計算や明細書の作成を行っている企業は少なくありません。

デメリット

安価であり手軽、自社に適した給与計算が可能な一方で、エクセルの給与計算は「ミスのない計算が難しい」「変更反映の手間がかかる」というデメリットがあります。

エクセルを用いた給与計算は、自動化にあたりセルに計算式を入力します。この計算式が間違っていると支給する給与額や源泉徴収にミスが発生します。しかもし、計算式の確認がシンプルに行えないフォーマットの場合、ミスの発覚が遅れてしまう可能性があります。

また、法改正や税率変更があった場合、エクセルの給与計算ソフトは担当者が手動で変更内容を反映する必要があります。法改正に限らず、給与額の変更に応じた年1回の社会保険料の改定や、扶養家族が増えた場合の対応など、給与計算では計算式の変更が頻繁に発生します。

あらかじめ、こうした変更を見据えシンプルに変更対応が行えるフォーマットになっていれば問題ありませんが、そうではない場合、変更反映に多大な時間を費やすことになりかねません。

インストール型

メリット

インストール型の給与計算ソフトは、エクセルの表計算と比較して「計算の正確性」が担保されています。経理や会計士など、専門知識を有している人の利用が想定されており、月々の給与計算から年末調整までカバーする充実した機能を揃えています。

また、勤怠管理の情報を自動で取り込むといった、社内の他システムとの連携もスムーズにできます。大手のインストール型給与計算ソフトを提供している企業では、他の管理システムの開発・販売を行っている場合も多く、一括してお金周りの社内システムを導入し、さらなる業務効率化や作業時間の短縮を行うことも可能です。

法改正対応のアップデートや、給与計算データのバックアップ、操作に困った場合のカスタマーサポートなど、アフターケアを提供している会社もあります。ただし、こうしたサポートは有料であることが多く、価格の確認が必要です。

デメリット

インストール型の給与計算ソフトは、エクセルを活用した場合と比べ、「購入価格」や「ランニングコスト」がネックになります。提供する給与計算ソフトの会社によって機能も異なり、費用も数万円から数十万円かかります。予算だけではなく、自社の労働条件、各種手当の種類、賃金体系に適したものであるかどうか、また、機能を使いこなせるかなど、慎重に判断しましょう。

近年では法改正対応のアップデートを無償で行う商品もありますが、バージョンアップに追加費用が発生するケースもあります。さらに、インストールした端末で作業しているため、データのバックアップ体制を確認する必要があります。給与計算ソフトの提供先がクラウドへの自動バックアップを実施していない場合は、自社でセキュリティを考慮した体制を構築しなければなりません。

クラウド型

メリット

クラウド型給与計算ソフトのメリットは、「導入の手軽さ」にあります。手軽に使用できる点はエクセルにも同じことがいえますが、クラウドはインターネットに接続されていればすぐに使用することができ、かつエクセルやインストール型のように端末の種類やOSを選びません。法改正に伴うソフトのバージョンアップの際も、インストール型と比べアップデートが簡単に行えます。

そして最大の特徴といえるのが「データ共有のスムーズさ」です。勤怠管理など他のクラウドソフトとの連携が可能なうえ、同じクラウド型給与計算ソフトを使用していれば、税理士や社労士ともリアルタイムで情報を共有でき、年末調整等、一部業務を外部に依頼する場合もスムーズに行えます。

勤怠管理システムと連動することで、スマートフォンから従業員自身が出退勤の時間を入力して出勤簿として利用できる機能に加え、労働時間の時間管理も可能。年次有給休暇や残業の申請から承認までシステムで行える一元管理が可能な商品も増え、機能は充実しています。

こうした情報共有の際、データを外部メモリに保存したりメールで添付したりする必要もないため、紛失や情報漏えいのリスクが低くなります。給与計算担当者が在宅で作業するなど、リモートワークの対応もスムーズです。アプリを用いれば、スマートフォンからの入力・計算も可能になり、より手軽に給与計算業務を行えます。

給与計算ソフトによっては、クレジットカードの履歴の自動取り込みや自動仕分け機能など、各種自動化に力をいれており、業務時間の短縮に大きく貢献するでしょう。

デメリット

インターネットがあればどこでも使用できるクラウド型の給与計算ソフトですが、その便利さがデメリットにもなり得ます。「処理速度」がインターネット環境に依存するため、在宅勤務でインターネット回線が貧弱だと、回線が混雑している時間帯に処理が遅くなる可能性があります。また、コワーキングスペースなどオフィス外で使用する場合は、セキュリティの担保されたインターネット回線を使用するといった、各人の情報セキュリティ意識も求められます。

給与計算の担当者がクラウド型ソフトの扱いに慣れていない場合は、使いこなせるようになるまでの時間を考慮する必要があります。エクセルのように馴染みのある操作画面ではなく、新たな操作方法を覚えなければいけないため、作業に慣れるまで時間がかかるかもしれません。

利用料はインストール型より安価ですが、料金プランによってはユーザー数にあわせて課金されるタイプの物もあり、自社の予算と使い方にあわせて検討するのがいいでしょう。

給与計算を社労士(社会保険労務士)に依頼する

メリット

自社で給与計算の知識がある人がいない、かといって給与計算ソフトを導入しても使いこなせる気がしない。そのようなケースでは、社会保険労務士(社労士)に給与計算を依頼する方法があります。

社労士に依頼するメリットは、社労士が人事労務のスペシャリストである点です。労働に関するトラブルや労働関連の法改正への対応、人事考課や賃金体系に関するアドバイス、産前産後や育児休業中の社会保険料といった、法律の知識が絡む対応もスムーズです。

エクセルでの給与計算のようにフォーマットを一から作成する必要はなく、社労士に依頼すれば自社に適した方法で行ってくれます。さらに、給与計算ソフトとは異なり、相談できる「人」がいるため、イレギュラーな対応が求められるケースでも安心です。

社労士は、給与計算がメインではなく、人事労務の専門家です。社会保険・労働保険の手続き、就業規則の作成・変更、助成金申請の代行、労働相談だけではなく、労務管理を中心とした会社経営に関する相談などに幅広く対応してくれるため、企業の頼れるパートナーになってもらえるでしょう。

また、自社でタイムカードなど労務管理をアナログに行っており、デジタルデータに移行したくないという理由がある場合も、社労士へ給与計算代行を依頼するメリットがあります。これまでのやり方で管理している勤怠情報を渡せば、社労士のほうで給与計算を行ってくれるため、既存の業務フローに与える影響が少なくてすみます。

なお、給与計算自体に特定の資格は必要ありません。そのため、税金や保険関係の知識を有している税理士や給与計算代行を行っているアウトソーシング会社に依頼することもできます。

給与計算の代行については、以下の記事も参考にしてください。

デメリット

社労士に給与計算を依頼する上でネックになるのが「料金」です。基本的には、月額の基本料に加え、給与計算を行う人数にあわせて加算される方式となっているため、従業員が多ければ多いほど月額の料金が高くなります。月額費用については、単純にエクセルでの給与計算や、給与計算ソフトの利用料金と比較するのではなく、社内で給与計算を行う業務時間やそれにかかる人件費と比較して、安いか高いかを検討する必要があるでしょう。

また、依頼が軌道に乗ったあとは、必要情報を提供するだけで済みますが、サービスの開始にあたっては、提出するべき書類の確認や依頼できる範囲のチェックなど、社労士と打ち合わせする時間が発生します。自社で行っている勤怠管理の手法と、うまく連携できるかどうかを必ず確認しましょう。

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給与計算ソフトの料金比較

給与計算ソフトは、2008年頃、クラウドコンピューティング時代が始まり、それに伴い、大きく変容しました。分類の区分は、専門的には複数の切り口があります。ここでは、上記で紹介した表計算ソフトであるエクセルを除いて、クラウド型、オンプレミス型、インストール型3つに分けて整理します。各タイプの料金のほか、導入方法、対応企業規模などについて比較してみましょう。

1.クラウド型の料金

導入が手軽であることに加え、利用人数や法改正への対応の柔軟性から最近、人気が高まっています。

インターネット上でサービスにログインして利用します。初期設定費用は、無料のものから数万円と安価ですが、月額費用が利用人数に応じて課金されます。

常に最新版対応となっているため、法改正による保険料率や所得税率の変更があった場合にも、そのまま利用できる点がメリットとして挙げられます。

対応できる企業規模は、サービスによって違いはありますが、小規模から大規模までと考えてよいでしょう。

2.オンプレミス型の料金

オンプレミス型の「オンプレミス(On-Premses)」とは、「プレミス(Premises)=構内・建物」から派生した造語です。社内でサーバーや通信回線など、システム構築に必要なハードウェアを調達し、自社で運用を行う形態を意味しています。

したがって、導入のために自社でシステムの構築をしなければなりません。初期設定で数十万円から数百万円かかるうえ、定期的なメンテナンスやバージョンアップも必要であり、そのための費用が発生します。

その一方、運用コストが低いというメリットがあります。また、自社でカスタマイズするため、人事制度が複雑な大企業でも柔軟な対応が可能です。

3.インストール型の料金

パソコンにソフトをインストールして利用するタイプです。導入費用は、数万円程度であり、買い切りであることから、月額の維持費はかかりません。この点は一番のメリットといえるでしょう。また、インストール型は、かつての給与計算ソフトの主流であるため、多くの導入実績があります。安心して利用できるということも挙げられます。

ただし、インストールしたパソコンでしか利用できません。また、法改正があった場合には、新しくインストールする必要があります。

対応企業規模としては、中小企業向きといえるでしょう。

【給与計算ソフトの比較表】

 
クラウド型
オンプレミス型
インストール型
導入方法
インターネット上でサービスにログインして利用
自社でサーバーや通信回線を調達してシステムを構築
パソコンにソフトをインストールして利用
初期設定費用
無料~数万円
数十万円~数百万円
数万円
維持費
月額数百円/1人
メンテナンス費用のみ
無料
メリット
常に最新版の利用が可能
維持費が安い
複雑な仕組みで対応可能
維持費がかからない
導入実績が多い
デメリット
従業員数が多いと維持費がかかる
初期費用が高額
法改正時には新しくインストールが必要
企業規模
小企業~大企業
大企業
中小企業

給与計算ソフトの導入率は?種類別に比較

給与計算ソフトの種類別の導入状況については、すでに述べたように対応企業規模も関係するため、一概に比較することは簡単ではありません。

ちなみに、若干前のデータになりますが、ICT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業のMM総研が従業員300人未満の中小企業等に実施した調査によると、給与計算業務の方法は、エクセルなどの表計算ソフトが18.6%、給与計算ソフトの導入によるものが44.0%となっています(2016年)。

このうち、給与計算ソフトの導入形態は、クラウド型サービスの利用が12.5%、インストール型のパッケージ導入によるものが87.5%となっていました。

【給与計算業務の方法および給与計算ソフトを導入している場合の導入形態の比率】

給与計算業務の方法および給与計算ソフトを導入している場合の導入形態の比率

出典:MM総研「クラウド給与計算ソフトの利用状況調査」

また、アソウ・アカウンティングサービスが1,000人以上の規模も含めた中小企業を中心とする250社に対して実施した調査(2017年)では、エクセルなどの表計算ソフトが20%、クラウド型が18%、インストール型が26%でした。

【図解:給与計算ソフトの導入形態の比率】
給与計算ソフトの導入形態の比率

出典:アソウ・アカウンティングサービス「250社に聞いた給与計算アウトソーシング代行の実状」

直近の調査データはありませんが、近年、クラウド型の給与計算ソフトが注目されていることから、その導入率は企業規模を問わず伸びていることが推察できます。

直近の調査データについては、以下のデータをご参照ください。中小企業の給与計算ソフト導入・利用状況について、マネーフォワードの独自調査を行っています。

給与計算ソフトの選び方

給与計算ソフトのメリットを最大限享受するには、「コスト」「既存システムとの連携」「対応帳簿」といった点に注意して検討しましょう。

自社のコストに見合ったソフトを選択する

さまざまな給与ソフトを選ぶ基準の一つが「コスト」です。給与計算ソフトのタイプにあわせて、コストの考え方を覚えておくと検討時に役立ちます。

「クラウド型」では、一般的に初期費用のほかに、月額/年額の形でランニングコストが発生します。ランニングコストは使用する従業員の人数に応じた従量課金のほか、一定の人数まではいくらという形で固定料金型を採用している場合もあります。法改正に伴うアップデートや導入後のサポートが料金に含まれているプランも数多くあり、費用を抑えつつ、規模にあわせた予算感で導入したいと考える企業に適しています。

なかには無料版を提供するクラウド型ソフトもありますが、使用できる機能に制限があったり、法改正のアップデートは有償であったりと、機能・サポート範囲が限定的である点に注意が必要です。

パソコンにソフトをインストールする「インストール型」では、パッケージソフトとも呼ばれ、一般的に製品購入時に費用を支払います。クラウド型よりも導入時の費用が高額になる傾向がありますが、使用する人数の制限がなく、また月額費用などのランニングコストも発生しない点が特徴です。

近年では、無償アップデートに対応しているソフトもありますが、法改正の変更には手動対応が必要であったり、アップデートが有償になったりするケースもあります。

ソフトウェアとハードウェアの両方を有する「オンプレミス型」の場合は、費用が高額になる分、自社の業務フローにあわせたカスタマイズが可能です。ただし、開発コストを投入しても、予定していた機能の実現が難しい、スケジュール通りに開発が進まないといったデメリットを想定しておく必要があります。

※ 小規模・中小企業であれば、IT導入補助金を活用することで、導入時のコスト削減が可能な場合があります。
自社や導入サービスが補助金かどうかについては、以下の一般社団法人サービスデザイン推進協議会のページを参考にしてください。

参考:IT導入補助金2022|一般社団法人サービスデザイン推進協議会

既存のシステムと連携できるか確認する

給与計算ソフトが、既存システムにスムーズに連携できるかも重要なポイントです。勤怠管理、年末調整、人事評価、従業員情報など、バックオフィス業務に関連するシステムは多様であり、会社によって導入している範囲も異なります。そのため、検討時に「どこまでの既存システムとの連携を望むのか」を明確にし、「既存システムとの連携が可能かどうか」を確認する必要があるでしょう。

近年、導入する企業が増えているクラウド型の給与計算ソフトは、他社のクラウド型システムとの連携を念頭に置いているものが多くみられます。しかし、全てのシステムに対応しているわけではないため、既存のシステムとの連携ができない場合の対処法も考えておいたほうがいいでしょう。その場合、オンプレミス型のほうが柔軟に既存システムとの連携に対応できる可能性があります。

また、給与計算ソフトを提供する企業では、多くの場合、年末調整、人事労務、勤怠管理、社会保険の手続きなど目的に合わせたサービスを提供しています。最初は給与計算ソフトだけだったとしても、予算の範囲内で随時必要なシステムを同じ企業のサービスで導入・組み合わせていけば連携もスムーズです。

中小企業は、予算にも限りがあり、必ずしもすべてのバックオフィス業務に対応したシステムが必要とは限りません。予算内で可能な業務に必要なシステムを絞り、既存システムとの連携がスムーズな方法を取るのが、現実的といえるでしょう。

対応している帳簿や書類を確認する

給与計算ソフトが対応している業務範囲を確認しましょう。さまざまな機能を有する給与計算ソフトですが、個々のシステムによってその範囲は異なります。

たとえば「給与明細を電子発行したい」と「従業員が給与明細をWEBで簡単に見られるようにしたい」とでは、一見同じような状態を目指しているように思えますが、給与計算ソフトに求められる機能は同じではありません。前者の場合は、ボタン一つで給与明細書をPDF化する機能があれば十分ですが、後者の場合は、WEBを利用してスマートフォンなどで見れるように、従業員側の閲覧機能も有していなければいけません。

また、他の帳簿や書類との連携も業務効率化のポイントとなります。賃金台帳や労働者名簿とスムーズに連携できれば、帳簿作成の手間を削減できるでしょう。

代表的な給与計算ソフト

給与計算ソフトは商品やサービスによって、それぞれ特徴があります。代表的な給与計算ソフトには以下のようなものがあります。

  • マネーフォワード クラウド給与
  • freee人事労務
  • 給与奉行クラウド
  • ジョブカン給与計算
  • フリーウェイ給与計算
  • jinjer給与
  • やよいの給与明細 オンライン
  • Pay-Look
  • JDL IBEX 給与 net2
  • Cells給与
  • COMPANY 給与計算システム
  • Workcloud
  • PCAクラウド 給与

それぞれの機能や特徴を理解して、自社に最適な給与計算ソフトを選ぶことが重要です。情報の収集には比較サイトを活用すると便利です。

参考:給与計算ソフト比較23選!機能比較表・テンプレート付き – コストダウンに役立つサービス

※記載されている会社名および商品・製品・サービス名(ロゴマーク等を含む)は、各社の商標または各権利者の登録商標です。

給与計算関連で2022年に変更・適用がある制度

給与計算に関わる制度において2022年もいくつかの変更点・適用の開始があります。
給与計算ソフトの導入を考える際には、導入予定の製品が制度変更・適用に対応しているかどうか、必ず確認しておきましょう。

変更・適用のある制度は以下の通りです。

雇用保険料率

2022年の大きな変更の一つに、雇用保険料率の引き上げがあります。
4月には事業主負担が増え、10月には事業主負担および従業員負担が増えるというかたちで、段階的に引き上げが行われる予定です。
毎月の給与計算において天引き額が変更になるため、労務担当者は内容について押さえておく必要があります。

雇用保険料の段階的引き上げについては、以下の記事を参考にしてください。

雇用保険マルチジョブホルダー制度

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、2022年1月に施行された制度です。65歳以上の労働者について雇用保険の加入要件を事業所ごとではなく、2つの事業所を合わせて判断するといった点がポイントです。

申請については対象の労働者自身が行いますが、提出する書類の記入を事業主側で行うケースもあります。
労働者から記入を求められた場合、事業主は対応する必要があります。以下の記事を参考に制度の概要を押さえておきましょう。

年金制度改正法

年金制度改正法は、2020年5月に成立し、2022年4月から施行されています。現状は501名以上の企業が対象ですが、2022年10月には101名以上、2024年10月には51名以上の企業も対象になる予定です。

年金制度改正法において給与計算に関わるポイントは、被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用対象が拡大された点です。これまで国民健康保険料を個人で支払っていた従業員も、適用の拡大にともない被用者保険の加入対象になる可能性があります。厚生年金保険料・健康保険料については毎月の給与から天引きされるため、人事労務担当者は給与計算の際に注意しておく必要があります。

制度の詳細については以下の記事で解説しています。

育児・介護休業法

育児・介護休業法は、1991年に制定された育児休業法(育児休業等に関する法律)をもとに、何度も改正されてきた法律です。育児・介護をしながら働く労働者に継続的な支援を行う目的で制定されました。

2021年6月に改正があり、2022年4月から3段階に分けて改正の内容が施行されます。とりわけ育児休業・産後パパ育休での社会保険料の取り扱いなど、従業員の給与計算にも関わる部分があるため、人事労務担当者も法律について把握しておくとよいでしょう。

具体的な施行内容については、以下の記事で紹介しています。

上記以外にも、細かい変更が予定されている制度があります。
詳細については、以下、厚生労働省の出しているページを参考にしてください。

参考:厚生労働省関係の主な制度変更(令和4年4月)について|厚生労働省

給与計算ソフトに関する近年の動向

「DX化」や「2025年の崖」が叫ばれるなか、人事労務関連の業務も漏れなくクラウドやソフトウェアを活用した体制作りを迫られています。ここでは、給与計算ソフトに関する近年の動向について、有識者にお聞きしたコメントを紹介いたします。

株式会社TECO Design 代表|杉野 愼

コロナ禍、育児・介護中の社員の活躍推進などを背景に、時短・時差出勤・リモートなど多様な働き方へ対応する必要性は増すばかり。

一方、手書きなどアナログな方法での勤怠管理では、多様な働き方に対応しきれないという課題も。変化に対応し、また業務効率を上げるために、労務業務のDX化・システム導入は年々注目度を高めています。

システム導入においては、従来の業務のやり方から脱却し、より効率的・効果的な方法に変える気概を持つことが重要です。根本を改善しない限り、システムを導入しても十分な効果は得られません。給与計算システムも同様で、機能を比較する前に、業務設計や理想と現状のギャップ分析に取り組むべきです。

給与計算ソフトの基本が学べるオススメの書籍

給与計算ソフトを上手に活用し運用していくうえで、関連するサービスについても理解しておく必要があります。ここでは、給与計算ソフトを含むHRテクノロジー全般の理解に役立つ書籍を紹介します。

日本一わかりやすい HRテクノロジー活用の教科書

著:榊 裕葵

HRテクノロジーの基本的な知識や具体的な業務での活用などを分かりやすく紹介した、人事労務に関わる人であれば一度は目を通しておきたい一冊。HRテクノロジーとは何であり、どういったサービスがあるのかといった初歩的な知識から、導入により得られる事業としてのメリット、各サービスの使用方法や導入事例といった発展的なことまで、この1冊だけで十分な理解が得られます。これからHRテクノロジーを導入する企業/すでに導入している企業、いずれの方にも役立つ内容となっています。

マネーフォワード クラウドで給与計算業務を簡単に

「給与計算ソフト」マネーフォワード クラウド給与なら、給与計算に関わる多くの処理を自動化・ペーパーレス化し、業務効率を大幅に改善することができます。給与計算関連の制度変更にも無料アップデートで対応できるため安心です。

さらに、マネーフォワード クラウドでは、給与計算以外にも労務担当者の業務をサポートする様々なプロダクトをご用意しています。

こちらの動画では、各プロダクトの詳細や連携方法についてわかりやすく紹介しています。バックオフィス業務でお困りの方は、是非ご覧ください!

給与ソフトの機能・特徴を踏まえて検討しよう

給与計算ソフトは、必ずしも多機能なものが優れているとは限りません。自社でシステム化したい業務範囲をカバーし、かつ既存システムとのスムーズな連携を通じて、業務効率化を進められることが重要です。給与計算ソフトのなかには、無料のお試し期間を設けている製品がたくさんあります。自社のやり方にうまく適応するかどうか、お試し期間の間に色々と操作をしながらサポートセンターに聞いてみることで、導入後の業務イメージが湧いてくるでしょう。

よくある質問

給与計算ソフトとは何ですか?

給与計算の自動化など、給与計算にまつわる業務をカバーするシステムをいいます。給与計算だけでなく、明細書の発行、年末調整、賃金台帳の作成など、ソフトによってさまざまな機能を有しています。詳しくはこちらをご覧ください。

給与計算ソフトでカバーできる業務範囲にはどういったものがありますか?

給与計算業務に加え、労務管理や勤怠管理といった人事の他の業務をカバーしているものもあります。また、給与計算・人事業務に限らず、採用管理や人事評価、会計等幅広い機能をもったソフトをERPと呼びます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド給与

給与計算ソフトの「マネーフォワード クラウド給与」がお役立ち情報を提供します。「マネーフォワード クラウド給与」はWeb給与明細にも対応。給与計算や管理ミス、二度手間をなくして時間とコストを大幅削減。

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