• 更新日 : 2026年10月5日

源泉徴収の納期の特例を活用するには?対象要件・申請手順・メリットまで徹底解説

Point源泉徴収 納期の特例とは何か?

源泉徴収の納期の特例とは、給与支給人員が常時10人未満の事業所が、源泉所得税の納付を年12回から年2回にまとめられる制度です。

  • 対象は給与支給人員が常時10人未満
  • 納付は7月10日・翌年1月20日の年2回
  • 申請書を税務署へ提出するだけで適用可

Q. 納期の特例はいつから適用される?

A. 申請書を提出した翌月末日に承認とみなされ、提出翌月に源泉徴収する所得税から適用が始まります。

源泉徴収した所得税は原則として毎月納付が必要ですが、要件を満たせば源泉徴収の納期の特例を利用し、年2回のまとめ納付に切り替えることができます。本記事では、源泉所得税の納期の特例の仕組みや対象要件、申請手順、注意点までを、企業のバックオフィス担当者向けに整理して解説します。

源泉徴収の納期の特例とは?

源泉徴収の納期の特例とは、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者が、毎月納付する源泉所得税を年2回のまとめ納付に変更できる制度です。正式名称は「源泉所得税の納期の特例」で、単に「納期特例」と呼ばれることもあります。

この制度の背景には、源泉徴収制度そのものの仕組みがあります。源泉徴収制度は、納税額を年度末に一括で徴収すると納税者の負担が大きくなるため、給与などの支払時にあらかじめ所得税を天引きし、少しずつ納めてもらう仕組みです。給与等を支払う会社や個人事業主は「源泉徴収義務者」と呼ばれ、給与から控除額を差し引いて算出した所得税および復興特別所得税を、受け取る側に代わって国に納付します。

通常の源泉所得税の納付期限との違い

納期の特例を受けない場合、源泉所得税は給与等を支払った月の翌月10日までに毎月納付しなければなりません。年間では12回の納付事務が発生することになり、特に経理担当者が少ない小規模な事業所にとっては大きな負担になります。納期の特例は、この毎月納付の原則に対する例外的な制度という位置づけです。

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源泉徴収の納期の特例を利用できる条件は?

納期の特例の対象となるのは、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者です。人数さえ満たしていれば、株式会社や個人事業主など事業形態は問われません。

対象となるかどうかを判断する基準はシンプルで、平常時の給与支払人員が10人未満であることが唯一の要件です。反対に、日雇い労働者を常態的に雇い入れる建設業などの場合は、日雇い分も含めて常時10人未満でなければ特例を受けられません。

常時10人未満の数え方の注意点

常時10人未満かどうかは、平常の状態における給与支払人員で判定します。社長や役員、正社員に加え、常時雇用しているパートやアルバイトもカウント対象に含まれます。一方で、繁忙期のみ一時的に増員した人員は、平常時の判定からは除外できます。

  • 平常時は正社員9人でも、繁忙期のみ1か月程度パートを臨時雇用する場合は、そのパート分を除いて判定できる
  • 日雇い労働者を常態的に雇い入れる業種は、日雇い分も合算して10人未満かどうかを判定する
  • 社長・役員も人数に含まれるため、社長1人と従業員9人で合計10人になると対象外になる

参考:給与等の支払を受ける者が常時10人未満であるかどうかの判定|国税庁

納期の特例の対象になる所得の範囲は?

納期の特例の対象になるのは、給与・賞与・退職手当や、税理士・弁護士・司法書士など一定の資格者へ支払う報酬・料金から源泉徴収した所得税に限られます。

すべての源泉所得税が対象になるわけではない点には注意が必要です。原稿料や講演料、デザイン料など、納期の特例の対象に含まれない報酬・料金に対する源泉所得税は特例の対象外で、これまでどおり支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。

対象になる所得・ならない所得の一覧

区分 対象になる主な所得 対象にならない主な所得
給与関連 給与、賞与、退職手当 ー
士業等への報酬 税理士・弁護士・司法書士等への報酬・料金 原稿料、講演料、デザイン料など

参考:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁

源泉徴収の納期の特例を受けるための申請手順は?

納期の特例を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署に提出する必要があります。申請書自体の提出に手数料はかかりません。

税務署から却下の通知がない限り、この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する所得税から特例の対象になります。提出時期そのものに明確な期限は定められていませんが、適用を受けたい月の前月末までに提出しておくと手続きがスムーズです。

STEP1 申請書を入手する

申請書は所轄税務署の窓口で受け取るか、国税庁のウェブサイトからPDF形式でダウンロードできます。エクセルなどで自作しても構いません。

STEP2 必要事項を記入する

申請日、給与支払事務所の所在地、申請前6か月間の給与支払人員や支給金額などを記入します。国税の滞納がなければ、該当欄は空欄のままで問題ありません。

STEP3 所轄税務署へ提出する

給与等の支払事務所の所在地を所轄する税務署長宛てに提出します。書面のほか、e-Tax(電子申告・納税システム)を利用してオンラインで提出することも可能です。e-Taxを初めて利用する場合は、事前に利用者識別番号の取得が必要です。

STEP4 適用開始時期を確認する

却下通知がなければ、提出月の翌月末日に承認されたものとみなされ、提出月の翌月に源泉徴収する所得税から適用が始まります。たとえば7月に申請書を提出した場合、8月に支給する給与の源泉所得税から特例の対象になります。

参考:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁

納期の特例の納付期限はいつ?

特例の適用を受けると、1月から6月に支払った給与等に対する源泉所得税は7月10日までに、7月から12月に支払った分は翌年1月20日までに納付します。

後期分の納付期限が1月20日となっているのは、平成24年度税制改正によるものです。この改正以前は翌年1月10日が期限でしたが、7月以後に支払う給与等から適用が広がり、年末調整の事務を考慮して10日間の猶予が設けられました。

前期分・後期分の納付期限一覧

対象期間 納付期限
1月〜6月支払分 7月10日
7月〜12月支払分 翌年1月20日

これらの納付期限が土曜日、日曜日、祝日にあたる場合は、休日明けの日が納付期限となります。また、源泉徴収した所得税額と年末調整で算出した所得税額を比較し、源泉徴収額が上回っている場合は、給与を受け取る従業員側へ還付する必要があります。

参考:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日|国税庁

源泉徴収の納期の特例のメリットは?

最大のメリットは、年12回だった納付事務が年2回で済むようになり、経理担当者の作業負担が大幅に軽減される点です。

納付回数が減ることで、毎月の納付手続きにかかる時間や振込手数料などの間接コストも抑えられます。また、猶予された源泉徴収税を一時的に事業資金として活用できるため、資金繰りの面でも柔軟性が生まれます。なお、資金繰りに不安がある場合は、特例の承認を受けつつ実際には毎月納付するという運用も可能です。

納期の特例のデメリット・注意点は?

半年分の源泉所得税をまとめて納付するため、1回あたりの納付額が大きくなり、資金繰りへの影響が出やすい点には注意が必要です。

資金繰りへの影響

事業規模が大きくなるほど半年分の合計額も高額になりやすく、計画的に資金を確保しておかないと納付時に資金不足に陥るおそれがあります。特例のメリットを活かすためにも、日頃から納付予定額を見積もり、資金繰り計画に組み込んでおくことが大切です。

不納付加算税などのペナルティ

納期限までに源泉所得税を納付できないと、原則として本税の10%の不納付加算税が課される可能性があります。ただし、税務署から納税の告知を受けることなく自主的に納付した場合は、原則として5%に軽減されます。また、一定の要件を満たす場合には、不納付加算税が課されないことがあります。計算した加算税額が5,000円未満の場合は切り捨てられ、課税されない扱いになりますが、半年分をまとめて納付する納期の特例では本税額が大きくなりやすいため、遅延時の負担も相対的に大きくなりやすい点は理解しておく必要があります。

納期の特例の対象外になった場合の手続きは?

給与の支給人員が常時10人以上になり、納期の特例の要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」をすみやかに所轄税務署へ提出しなければなりません。

届出書の提出方法

この届出書の提出に手数料はかかりません。書面での提出のほか、e-Taxソフトを利用した電子提出にも対応しています。届出書を提出した月の属する納期の特例の期間から特例の効力が失われ、それ以降に源泉徴収した税額は原則どおり毎月10日までに納付する扱いに戻ります。

参考:源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出|国税庁

源泉徴収の納期の特例を正しく理解して業務効率化につなげよう

源泉徴収の納期の特例は、給与支給人員が常時10人未満の事業所であれば、申請だけで年12回の納付事務を年2回に減らせる制度です。対象所得や納付期限、資金繰り上の注意点を押さえたうえで、源泉所得税の納期の特例を上手に活用し、バックオフィス業務の効率化につなげましょう。

よくある質問

徴収された税金はいつまでに納付する?

通常、「源泉徴収義務者」が徴収した税金は、所得が発生した日を含む月の翌月10日までに源泉徴収義務者によって税務署に納付されています。詳しくはこちらをご覧ください。

「納期の特例」とは?

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出して認可を受ければ、源泉徴収した所得税を毎月ではなく年2回に分けて納付することができ、このことを「納期の特例」といいます。詳しくはこちらをご覧ください。


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