• 更新日 : 2024年5月10日

相談役とは?設置した方が良い?役割や顧問との違い、報酬の相場を解説

相談役とは?設置した方が良い?役割や顧問との違い、報酬の相場を解説

相談役は、会社で生じるさまざまな経営上の問題を解決するために助言を行う役職です。豊富な経験や知見を活かして企業に貢献しますが、不透明な影響力であるとの批判があり日本の国際競争力を弱めているという声もあります。本記事では、相談役と他の役職を比較しながら仕事内容や報酬相場、相談役の必要性などについて解説します。

相談役とは?

相談役は、会社の経営活動を行なっていく中で生じるさまざまな問題に対して助言を行う役職です。相談役は会社の元経営陣であることが多く、経験や影響力を活かして経営者の相談に乗るのが主な仕事です。経営に対する決定権は持たない会社の裏方的な存在で、アドバイザリー的な立場で活動します。企業によってはこの役職が形式的なものであり、名誉職的な側面を持つこともあります。

相談役を設置した方が良い?

会社法上は相談役を設置する法的な定めはなく、相談役を設置した方が良いのかについても、会社ごとの判断に委ねられてます。相談役の設置によって知見やアドバイスを経営に活かせる一方で、組織によっては相談役が形式的な存在となり、新しいアイディアや変革の妨げになる可能性も孕んでいます。

社内に相談役を設置すべきかどうかについては、必要性やその会社の経営構造、文化などを総合的に考慮して決定することが大切です。

相談役と顧問、役員、会長との違い

ここでは、相談役と企業内のさまざまな役職との違いについて見ていきます。

相談役と顧問の違い

相談役と顧問の大きな違いは、専門性の広さです。相談役は社内のあらゆる問題に対して助言をする役割を担っているのに対して、顧問は特定の専門分野に特化した知識を活かして助言を行います。

両者ともに会社の意思決定に直接関与する権限はありません。相談役には社長であった人が就くことが多く、顧問には弁護士や税理士などの外部の専門家が就くことが多いです。

顧問については以下の記事で詳しく解説しています。人事労務担当者が知っておくべきポイントについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

参考:顧問とは?意味や種類および委託するメリットを解説!

相談役と役員の違い

相談役と役員の違いは、経営に携わっているかどうかです。相談役は元経営者であることが多く経験は豊富ですが、会社の経営に関して決定権はありません。相談役はあくまで助言者の立場に留まるのです。一方、役員は、会社の経営に関して決定権限をもつ役職です。会社法第329条においては、役員は取締役、会計参与および監査役とされており、会社の中核を担う存在として事業方針を決定します。

相談役と会長の違い

相談役と会長の違いは、企業内での役割の違いにあります。相談役は経営には参加せず社内の問題解決のための助言を行う役割があるのに対して、会長は第一線を退いてはいるものの各業界や経団連、商工会議所などに出向き、間接的に経営に関わることが多いです。会長は社長が退任した後になるのが一般的で、名誉会長あるいは名誉顧問ともいわれます。

相談役の組織図での位置は?

組織図における相談役の配置は下図に示すように、会社の経営に携わる経営層とは距離を置いた位置付けとなっています。

これは、相談役には会社の方向性を決める決定権はなく、あくまでも会社の裏方としての役割が与えられていることの表れです。組織図は組織形態に応じて、以下のようにさまざまな種類があります。

  • ピラミッド型
  • フラット型
  • マトリックス型
  • 事業部制型
  • 機能別型

組織図については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。目的に応じて組織図を使い分けることで、社内外に向けた会社組織のPRやイメージアップにつながるでしょう。

参考:組織図とは?作り方ルールを参考例を用いて解説!

相談役の仕事内容

会社によって相談役が担う仕事内容は異なりますが、主な業務は以下の通りです。

  • 経営戦略上の重要な場面での助言
  • 経営層と従業員の橋渡し的役割
  • 外部関係者とのネットワークの構築や交渉

相談役は経営者に対する経営上の助言だけでなく、従業員との橋渡し的役割を担い社内のコミュニケーションの活性化に貢献することもあります。また、経営に直接は関わりませんが、経験や影響力を活かして対外的にネットワークを構築し、会社の発展に貢献することが期待されます。

相談役の報酬の相場

一般的な相談役の報酬は、会社の役員報酬と同程度です。役員報酬は会社の資本金額によって大きく変わってきます。

令和4年分の民間給与実態統計調査によると、資本金額によって役員の平均報酬額が異なっています。これによると、資本金額が2,000万円未満から10億円以上の会社へと資本金額が大きくなるにつれて、役員報酬の男女を合わせた平均額も647万円から1,758万円と大きくなっているのです。

また、相談役の勤務形態が常勤か非常勤かによっても報酬金額は変わってきます。

参考:令和4年分 第6表 企業規模別及び給与階級別の総括表(合計)|国税庁

人事担当者が相談役について知っておくべきこと

ここからは、人事担当者が相談役について知っておくべきことについて解説します。

契約形態

相談役の雇用形態には大きく常勤と非常勤があります。相談役の主な仕事は経営者に対する助言の提供であり、日常的な業務運営から離れた特定の業務を行います。相談役は通常の雇用契約とは異なる形で、業務委託の形で契約することが多いです。

定年や任期

相談役の定年や任期は企業によって異なりますが、一般的には任期は数年単位で設定され、業績や必要に応じて更新されることがあります。また、業務の必要な間だけ雇用されるケースや、経験豊富な相談役であれば定年は設けずに長期にわたって会社内で仕事を続けることもあります。

給与の形態

相談役の給与形態は一般的に月額や年俸として定められることが多く、他の従業員と同様に一定期間ごとに支払われますが、特定の業務に対するコンサルティング料として一時的に支払われることもあります。非常勤の場合には、フルタイムの従業員よりも給与額が低くなりやすいです。

社会保険

相談役の社会保険の適用については、雇用形態によって異なります。相談役は一般的に非常勤や契約職であり、週の所定労働時間が一定時間に満たない場合には社会保険の適用外です。しかし、週の所定労働時間の条件を満たすなどの条件を備えることで社会保険の適用となることがあります。このとき、非常勤などという名称に関係なく、実態に基づいた複数の判断材料から社会保険適用の可否が決まります。

相談役の見直し、廃止が検討されている理由

相談役や顧問の見直しや廃止が検討されている主な理由は、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の透明性と効率の向上です。経済産業省が2017年に策定した『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)』では、企業統治の透明性を高め、外部への情報発信の重要性が強調されました。

日本企業に古くから見られる相談役や顧問などの役職が、いわば「院政」のような存在となり会社の機動的な意思決定を阻害するとの指摘を受けて、多くの企業ではこれらの役職を廃止し、透明性と責任を明確にすることを目指しています​。相談役や顧問の役職についての見直しは、企業ガバナンスの改善とともに、日本企業の国際競争力を高めるための一環として進行しています。

参考:会社における相談役・顧問の在り方に関する最近の動向|文部科学省

今後は相談役の実態の見える化が大切

相談役は、その知見や経験を活かして企業の発展に貢献する重要な役割を持ちますが、形式的な存在となることもあるため、コーポレート・ガバナンスの観点から、その役割が透明性と責任の明確化のために見直されています。

不透明な影響力を排除し、コーポレート・ガバナンスにおける問題に対応するために、相談役の実態の「見える化」を推し進めることが企業には求められているのです。


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