• 更新日 : 2026年10月5日

給与支払報告書を電子データで提出するには?eLTAXの義務化基準や2027年提出分の変更点を解説

Point給与支払報告書の電子提出、何が変わる?

給与支払報告書の電子提出はeLTAXを使い、2027年1月から義務化基準が「30枚以上」に引き下げられます。

  • 2027年1月から義務基準が30枚以上に変更
  • 提出はeLTAXを使い複数自治体へ一括送信
  • 源泉徴収票の税務署への別途提出が原則不要に

Q. 電子提出が義務になる事業者の基準は?

A. 現在は前々年の源泉徴収票が100枚以上ですが、2027年1月提出分から30枚以上に引き下げられます。

近年、行政手続きのデジタル化推進により、給与支払報告書の電子提出が普及し、特定の事業者には義務化されています。しかし、いざ電子提出をしようとしても、地方税ポータルシステムのeLTAX(エルタックス)や国税のe-Tax(イータックス)との違いが分からなかったり、具体的なやり方が分からなかったりと、戸惑う担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、給与支払報告書の電子提出について、義務化の対象から、eLTAXを利用した具体的な手順、必要な準備、そして見落としがちな注意点まで解説します。義務化の基準引き下げなど制度改正も控えているため、最新の内容を踏まえて確認していきましょう。

給与支払報告書の電子提出とは?

給与支払報告書の手続きは、デジタル化への移行が進んでいます。正確な手続きを行うための第一歩として、まずは制度の基本と電子提出義務化の対象、そして重要な提出期限を把握しましょう。

そもそも給与支払報告書とは

給与支払報告書とは、事業者が前年1年間に従業員へ支払った給与額などを記載し、従業員が住む各市区町村へ提出する重要な書類です。この報告書が、個人住民税の税額計算の基礎情報となります。

記載内容は所得税の源泉徴収票とほぼ同じですが、提出先が税務署ではなく市区町村である点が大きな違いです。正社員だけでなく、パート、アルバイト、役員などについても、原則として給与支払報告書を作成・提出する必要があります。ただし、年の途中で退職した人については、その年中に支払った給与等の金額が30万円以下の場合など、一定のケースでは提出が不要となります。

電子提出の義務がある事業者

給与支払報告書の電子提出が義務付けられる事業者は、前々年に国税(税務署)へ提出すべきであった源泉徴収票の枚数を基準に判定されます。この基準枚数は、2027年(令和9年)1月提出分から引き下げられる点に注意が必要です。

2026年12月31日までに提出する分は、これまでどおり「前々年の源泉徴収票が100枚以上」の場合に電子提出が義務となります。一方、2027年(令和9年)1月1日以後に提出する給与支払報告書からは、この基準が「30枚以上」に引き下げられます。

2027年(令和9年)1月提出分から基準が「30枚以上」に引き下げ

次の提出時期にあたる2027年(令和9年)1月提出分からは、電子提出の義務判定基準が30枚以上に引き下げられます。これにより、これまで対象外だった中小規模の事業者も新たに義務化の対象となるケースが増える見込みです。

国税庁の案内によると、判定に使うのは提出する年ではなく前々年の枚数です。例えば、令和7年(2025年)中に提出すべきであった源泉徴収票が30枚以上であった事業者は、令和9年(2027年)1月に提出する給与支払報告書について、電子データによる提出が必要になります。

参考:法定調書の提出はe-Taxで!!|国税庁

2027年(令和9年)1月提出分の提出期限

給与支払報告書の提出期限は、毎年1月31日です。次回の2027年(令和9年)1月提出分は、1月31日が日曜日にあたるため、期限は翌営業日の2027年2月1日(月)となります。

この期限は、紙での提出でも電子提出でも同じです。提出期限の直前は例年eLTAXへのアクセスが集中する時間帯があるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが重要です。

参考:給与支払報告書等のオフピーク提出のお願い|eLTAX 地方税ポータルシステム

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給与支払報告書の電子提出で利用するeLTAXとは?

給与支払報告書の電子提出は、eLTAX(エルタックス)というシステムを利用して行います。eLTAXを利用することで、次のようなメリットがあります。

複数の市区町村への提出を一度で完結

従業員がそれぞれ異なる市区町村に住んでいても、eLTAXを通じて一括で給与支払報告書を提出できます。

事務負担とコストの削減

従来のように、各市区町村へ個別に郵送や持参で提出する必要がなくなり、印刷代や郵送費、移動時間といったコストと手間を大幅に削減できます。

他の地方税手続きも可能

給与支払報告書の提出だけでなく、法人住民税の申告や固定資産税(償却資産)の申告など、複数の地方税手続きをまとめて電子的に処理できます。

eLTAXとe-Taxの違いは?

eLTAXとよく似た名称のシステムに、国税庁が管轄するe-Tax(イータックス)があります。これらは全く異なるシステムであるため、違いを正確に理解しておく必要があります。

eLTAXとは

eLTAXは、地方税(住民税、法人事業税、固定資産税など)の手続きを行うシステムです。給与支払報告書はeLTAXを通じて各市区町村へ提出します。

e-Taxとは

e-Taxは、国税(所得税、法人税、消費税など)の手続きを行うシステムです。源泉徴収票は原則としてe-Taxで税務署へ提出しますが、この提出方法は2027年から大きく変わります。

参考:国税電子申告・納税システム(e-Tax)|国税庁

2027年1月から始まる「源泉徴収票のみなし提出」特例

令和9年(2027年)1月1日以後、市区町村へ一定の事項が記載された給与支払報告書を提出すれば、税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされる特例が始まります。これにより、事業者が源泉徴収票を税務署へ別途提出する事務が原則不要になります。

国税庁および財務省の案内によると、この特例は事業者の提出事務負担の軽減を目的とした令和5年度税制改正によるものです。これに伴い、源泉徴収票と支払報告書を同時に作成・提出できるeLTAXの「電子的提出の一元化機能」は令和8年(2026年)9月で終了します。また、令和9年1月1日以後にeLTAXで給与支払報告書を提出すると、従業員側のマイナポータル連携の対象にもなり、確定申告時の給与情報の自動取り込みが可能になります。

参考:源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ|国税庁

給与支払報告書の電子データによる提出方法は?

eLTAXを初めて利用する際は、いくつかの準備が必要です。ここでは、利用開始から申告データを送信するまでの流れを4つのステップで解説します。この手順に沿って準備を進めることで、迷うことなく電子提出を始められます。

STEP1 eLTAXの利用届出と利用者IDを取得する

最初に、eLTAXの利用届出(新規)を提出します。会社の所在地、名称、代表者名などの基本情報を入力して送信してください。届出の提出後、eLTAXへのログインに必要となる利用者IDと仮の暗証番号が通知されます。この利用者IDと暗証番号は、電子提出に必須の情報ですので、厳重に管理してください。

STEP2 電子署名のための電子証明書を準備する

eLTAXで作成した申告データが、確かに本人によって作成され、改ざんされていないことを証明するために、電子署名を付与します。そのために必要なのが電子証明書です。

法人の場合は商業登記に基づく電子証明書、個人事業主の場合はマイナンバーカードに搭載されている公的個人認証サービスなどが利用できます。電子証明書は、信頼できる第三者機関(認証局)から取得します。有効期限があるため、事前の取得と期限の確認が必要です。

STEP3 eLTAX対応ソフトウェアを準備する

次に、申告データを作成・送信するためのソフトウェアを準備します。eLTAXでは、無償の専用ソフトPCdeskを提供しており、これを利用するのが一般的です。

PCdeskには、パソコンにインストールして使うダウンロード版(DL版)と、ブラウザ上で利用できるWEB版があります。令和8年(2026年)9月のeLTAXシステム更改により、給与支払報告書の提出をはじめとする個人住民税関係の手続きはPCdesk(WEB版)に一本化され、ブラウザ上で作成から送信まで完結できるようになりました。DL版は今後、法人都道府県民税や事業税など個人住民税以外の申告に限定して利用する位置づけとなっています。

また、市販されている多くの税務・会計ソフトもeLTAXに対応しています。普段利用している給与計算ソフトが対応している場合、そのソフトから直接、申告データを作成・送信できることもあります。

参考:PCdeskの特徴と取得方法|eLTAX 地方税ポータルシステム

STEP4 申告データを作成して送信する

準備したソフトウェアを使って、給与支払報告書の申告データを作成します。給与計算ソフトなどからCSV形式のファイルを出力し、PCdeskに取り込む方法が一般的です。もちろん、PCdeskの画面上で直接入力してデータを作成することもできます。

データ作成後、電子証明書を使って電子署名を付与し、eLTAXを経由して各市区町村へ送信します。システム更改後はGビズIDでのログインにも対応するため、eLTAX利用者IDと紐付けておくとログインの手間を減らせます。送信後は、受付状況を必ず確認しましょう。手続きが正常に受け付けられたことを示すメッセージが届くまでを確認して、一連の手続きは完了です。

給与支払報告書の電子提出で失敗しないための注意点は?

最後に、電子提出をスムーズに完了させるための重要な注意点を4つ紹介します。特に初めての方は、これらのポイントをしっかり押さえておきましょう。

利用者IDの取得と電子証明書の準備は早めに行う

eLTAXの利用届出から利用者IDを発行する際に、時期によっては回線が混雑している可能性があります。電子証明書は、即日発行が可能なケースもありますが、提出方法や証明書の種類、認証機関によっては数日〜数週間かかることもあります。提出期限である1月間際になって慌てないよう、遅くとも12月中にはこれらの準備に着手することをおすすめします。

電子証明書には有効期限がある

電子証明書には有効期限が設定されています。去年使えたからといって、今年も使えるとは限りません。提出作業を行う前に、必ず電子証明書の有効期限が切れていないか確認してください。もし期限が切れていた場合は、更新手続きが必要です。

送信完了だけでなく受付完了通知まで確認する

データを送信した直後に表示されるメッセージは、あくまでeLTAXのサーバーにデータが到達したことを示すものです。その後、提出先の各市区町村で内容が審査され、不備なく受け付けられると、受付完了の通知がメッセージボックスに届きます。この通知を確認して、初めて正式な手続き完了となるため、必ず最後まで確認する習慣をつけましょう。

eLTAXのシステム更改によるサービス停止期間に注意する

令和8年(2026年)9月19日(土)0:00〜9月24日(木)8:30は、eLTAXの大規模システム更改に伴い、電子申告・電子納付が全面的に利用できません。この期間中に納期限や手続き予定がある場合は、事前に済ませておく必要があります。

更改後は24時間365日の利用が可能になる一方、利用届出や個人住民税関係の申告・納税手続きはPCdesk(WEB版)に集約されます。これまでDL版で手続きを行っていた場合は、運用フローの見直しが必要です。

参考:eLTAX更改に伴う変更点と注意事項のお知らせ|eLTAX 地方税ポータルシステム

給与支払報告書の電子データ提出でスムーズな手続きを実現しよう

給与支払報告書の電子提出は、義務化の対象事業者でなくても、事務効率の向上やコスト削減の面で大きなメリットがあります。2027年(令和9年)1月提出分からは義務化基準が30枚以上に引き下げられるほか、源泉徴収票のみなし提出特例やeLTAXのシステム更改など、実務に直結する変更も控えています。

本記事では、電子提出の基本から、eLTAXを利用した具体的なやり方、そしてe-Taxとの違いや電子証明書の準備といった要点まで、ステップを追って解説しました。手続きで不明な点が生じた際は、eLTAXの公式サイトにあるマニュアルも確実な情報源となります。

この記事で紹介した手順とポイントを参考に、余裕を持ったスケジュールで準備を進め、毎年1月の提出期限に向けて、正確かつスムーズな給与支払報告書の電子データ提出を実現してください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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