- 更新日 : 2019年4月23日
年末調整による税金還付の方法

本来、所得税は、確定申告で収入のあった翌年の3月15日までに申告納税するのが原則ですが、給料所得や退職金等の所得は源泉徴収の対象になっています。源泉徴収とは、企業など給料を支払う者が、あらかじめ給料から所得税および復興特別所得税を天引きして支払う制度です。
しかし、給料から天引きされた所得税および復興特別所得税の合計額はあくまでも見込みであり、その人が1年間に納めるべき額と一致するとは限りません。税金の額は、1月1日から12月31日までの収入によって決まるため、年末にならないと確定しないのです。
このため、すでに徴収した金額と納めるべき税金の額を一致させる必要があります。給料の支払者は、納めるべき所得税および復興特別所得税の額の計算が終了した後、1年間に源泉徴収した所得税の合計額と比較して過不足額の精算をしなければなりません。源泉徴収した分が多ければ、使用している給与所得者に還付し、足りなければ追加で徴収するわけです。
この手続きを年末調整といいます。
今回は、年末徴収による税金の還付方法について解説します。
年末調整のしかた
年末調整の手順は次の通りです。
該当年の1月1日から12月31日までの間に支給した給料の合計額から、基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除等の給与所得控除および給与所得者からの申請書に基づき各種保険料の控除額を差し引き、課税給与所得金額を割り出します。
課税給与所得金額を「年末調整のための所得税額の速算表」に照らし合わせて「算出年税額」を求めます。
住宅借入金等特別控除を行う場合には税金の額から控除額を差し引きます。この金額に102.1%をかけた税金の額(100円未満切捨て)が納めるべき所得税および復興特別所得税です。
源泉徴収した合計額が1年間に納めるべき税金の額より多い場合には、その差額の税金の額を還付します。逆に少ない場合には差額を徴収します。
なお、年末調整の対象者は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。ただし、2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません。
過納額の還付の方法について
年末調整で計算された一年の期間で納付すべき所得税、そして復興特別所得税の額が「年調年税額」です。
企業など給料の支払者は、源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額が年調年税額よりも多かった場合は、その差額を従業員などに還付します。
還付の方法は、年末調整を行った月分、通常は12月分として納付する給料等に対する源泉徴収額から差し引いて本人に還付します。納期の特例の承認を受けているケースでは、その年7月から12月までの分として納付する源泉徴収税額から差し引いて、過納額を還付します。
つまり、給料を支払う側は、その月に納付すべき税額から還付した過納額を差し引き税務署に納付するのです。
もしも、過納額が年末調整を行った月分の徴収税額では還付しきれない場合は、その後に納付する給料等に支払われる報酬や料金に対する源泉徴収税額から差し引いて順次還付します。
税務署から還付する場合について
しかし、給料の支払者が還付できない場合は、税務署に申請して、税務署から還付を受けます。
支払者が還付できない、とは以下のケースがります。
・徴収して納付する税金の額がなくなり、払いすぎてしまった金額の還付ができなくなった場合
・源泉徴収税額に対して過納額が多く、還付予定日の翌月から2カ月を過ぎても還付しきれないと見込まれる場合
以上のいずれかに当てはまる場合は、「源泉所得税および復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を作成し、必要な書類を添えて所轄税務署長に提出し、税務署から還付を受けます。
必要書類は以下の通りです。
・過納額の請求及び受領に関する委任状(連記式)
・過納額を翌年に繰り越して還付しているときは、翌年分の「源泉徴収簿」の写し
なお、この還付請求書に記載された事項の真偽や、その他還付の適否判定をするために、上記の書類以外の説明委資料を税務署から求められる場合もあります。
また、退職したなどの理由で委任状の提出ができない場合は、過納となった人に税務署から直接還付されることになるので、これについては明細書の用紙は別にして作成します。
まとめ
年末調整を受けられる場合は、基本的に税金の還付についても手続きを会社が行います。
しかし、書類の提出を期日内にできなかったり、忘れていたりした場合などは、給料を受けている個人で改めて確定申告をする必要があります。
こうした事情を従業員に伝えるなどして、年末調整前には必要書類が揃うように手配することも忘れないようにしましょう。必要書類がそろった段階で、きちんと計算をすることが効率化につながると心得ておきましょう。
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