- 更新日 : 2026年10月5日
過不足税額とは?令和8年分の年末調整における意味・計算方法・還付や追加徴収の手続きを解説
過不足税額とは、1年間の源泉徴収税額の合計と年調年税額との差額のことです。
- 差額がマイナスなら還付、プラスなら追加徴収
- 確認は12月の給与明細で可能
- 令和8年分は控除拡大で還付が生じやすい
Q. 過不足税額が生じた場合、会社はどう対応する?
A. 還付の場合は12月給与で差額を返金し、不足の場合は同月給与から追加徴収します。
会社員・公務員の方は、年末が近づくとその年の給与所得について年末調整を行い、1年間の税額を精算します。この記事では、年末調整で生じる過不足税額(還付額・追加徴収額)とは何か、従業員側の確認方法、会社側の計算方法や還付・徴収の手続きを、令和8年分の制度に沿って解説します。
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過不足税額とは?
過不足税額とは、1年間に源泉徴収した所得税の合計額と、本来納めるべき年調年税額との差額のことです。
毎年11月下旬から12月上旬にかけて、毎月の給与・賞与から源泉徴収された税額の合計額と、年末調整で算出する年調年税額とを比較し、その差を精算する手続きが年末調整です。
比較の結果、源泉徴収税額の合計額のほうが多ければ過不足税額はマイナスとなり従業員に還付され、逆に年調年税額のほうが多ければプラスとなり不足分を追加で徴収されます。
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過不足税額はどうやって確認する?
過不足税額は、通常は会社が年末調整で計算し、還付・徴収の結果を給与明細に反映するため、従業員は給与明細の記載額で確認できます。
自分で計算根拠を確認したい場合は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」で本来納付すべき所得税額の算出方法を確認し、1年間の源泉徴収税額の合計と比較します。
給与明細がマイナス表記になる主な原因(1) 源泉徴収税額の計算誤差
給与明細で過不足税額がマイナス表記される主な原因の一つは、毎月の源泉徴収額と年間の給与所得を基にした本来の税額との間に生じる差です。
多くの給与計算ソフトは国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」に基づいて計算しているため大きな誤差は出にくいものの、月ごとの支給額と年間の所得を基準にした計算では算出根拠となる金額が異なるため、差額が生じることがあります。
給与明細がマイナス表記になる主な原因(2) 扶養家族の異動が反映されていない
もう一つの主な原因は、年の途中で扶養家族の状況が変わったにもかかわらず、会社への届け出が遅れることです。
令和8年度税制改正により、配偶者控除や扶養控除の対象となる親族の合計所得要件は「58万円以下」から「62万円以下」に緩和され、給与収入のみの場合の目安も123万円以下から136万円以下に引き上げられています。扶養の範囲内で働いていた配偶者の年収が136万円を超えたことで、配偶者控除の対象から外れたケースや、子どもが就職・卒業したのに扶養から外す手続きを忘れていたケースなどが、差額発生の典型例です。
扶養状況が変わった際は、なるべく早く会社へ申し出てもらい、正しい税額で計算し直すことが必要です。
過不足税額の計算方法は?
過不足税額は、1年間の源泉徴収税額の合計額と、1年分の給与所得から算出した年調年税額とを比較して求めます。
具体的な計算は、次の手順で進めます。
STEP1 1年間の源泉徴収税額を合計する
毎月の給与・賞与から徴収した源泉徴収税額を、1年分すべて合算します。
STEP2 年調年税額を計算する
1年分を合算した給与所得を基に、本来納めるべき年調年税額を計算します。計算方法は国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」に沿って行います。
STEP3 両者を比較し過不足を判定する
STEP1の合計額がSTEP2の年調年税額より多ければ、その差額を還付します。逆にSTEP1の合計額のほうが少なければ、その差額を追加で徴収します。
過不足税額が生じた場合、どのような手続きが必要?
年末調整の結果、過不足税額が生じた場合は、会社が還付または追加徴収の手続きを行う必要があります。
超過額(還付)の手続き方法
源泉徴収税額の合計額が年調年税額より多い場合、その差額を年末調整を行う月(通常は12月)の給与から差し引くかたちで従業員に還付します。
会社は、その月に本来納付すべき源泉徴収税額から還付分を差し引いた金額を税務署に納付します。
年末調整を行った月の源泉徴収税額だけでは還付しきれない場合や、会社の廃業、従業員側の徴収税額がなくなり差し引きできなくなった場合は、税務署から直接還付を受ける手続きに進みます。
税務署から直接還付を受ける場合の書類
税務署からの還付が必要になるのは、次のようなケースです。
- 会社の解散、廃業により会社が還付できなくなった場合
- 従業員から徴収する税額がなくなり還付できなくなった場合
- 過納額が多額で、還付する月の翌月からさらに2カ月還付したとしても還付しきれない場合
この場合は「年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を作成し、下記の書類を添付して、会社を所轄する税務署に提出します。
- 受給者各人の「源泉徴収簿」の写し
- 過納額の請求及び受領に関する委任状(連記式)
- 過納額を翌年に繰り越して還付しているときは、翌年分の「源泉徴収簿」の写し
従業員が直接還付を受ける場合は、この書式を各従業員別に作成する必要がある点に注意してください。提出期限は、還付できなくなった事由が発生してから5年間です。
参考:A2-17 源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求|国税庁、No.2675 年末調整の過不足額の精算|国税庁
不足額(追加徴収)の手続き
源泉徴収税額の合計額が年調年税額より少ない場合、会社はその不足額を年末調整を行う月分の給与から徴収します。
それでも不足額が残る場合は、その後に支払う給与から順次徴収します。
令和8年分の年末調整で過不足税額に影響する主な変更点は?
令和8年分は、基礎控除・給与所得控除の引き上げにより、多くの従業員で例年より還付が生じやすくなる見込みです。
具体的には、基礎控除(本則)が58万円から62万円に、特例を含めた上限が最大104万円に引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に拡大されました。これにより給与収入ベースの課税最低限は160万円から178万円に広がっています。
| 項目 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除の特例込み上限 | 最大95万円 | 最大104万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 課税最低限の目安(給与収入) | 160万円 | 178万円 |
| 扶養親族等の合計所得要件(給与収入) | 58万円以下(123万円以下) | 62万円以下(136万円以下) |
注意したいのは、令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等が令和8年12月1日から施行されるため、令和8年1月から11月までの給与の源泉徴収事務には改正による変更がない点です。令和8年分の年末調整では、改正後の基礎控除や給与所得控除、扶養親族等の所得要件を適用して、1年間の所得税額を精算します。
そのため、過不足税額を確認する際は、単純に前年の感覚で判断せず、最新の控除額を踏まえて計算する必要があります。
過不足税額を正しく理解し、年末調整に備えよう
過不足税額とは、1年間の源泉徴収税額の合計と本来の年調年税額との差額であり、還付か追加徴収かというかたちで精算されます。
令和8年分は基礎控除・給与所得控除の引き上げや扶養親族等の所得要件の緩和(136万円の壁)が反映されるため、例年以上に還付が生じやすい年です。国税庁の最新資料を確認しながら、過不足税額とは何かを正しく理解し、年末調整の準備を進めましょう。
よくある質問
過不足税額とはなんですか?
過不足税額とは、給与・賞与から1年間に徴収した源泉徴収税額と、同じ1年間で本来納めるべきはずの源泉徴収税額の差額を求めた際に発生した超過金額、あるいは不足金額のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
過不足税額はどうやって確認しますか?
過不足税額は自分で計算して算出することはできますが、専門知識が必要なため難しいと思います。通常は会社で年末調整を行ってもらい、算出された過不足税額を確認することになります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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