- 更新日 : 2025年2月12日
源泉徴収とは?計算方法やフリーランスの注意点・対象となる所得や報酬をわかりやすく解説!
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
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みなさんは、源泉徴収に関してどのくらいご存知でしょうか。「会社員の給与から差し引かれる金額」と思っている方も少なくないかと思います。
実は、源泉徴収は給与所得がある会社員だけを対象としているわけではありません。フリーランスや個人事業主も源泉徴収の対象になるケースがあります。そのため、所得のある方は源泉徴収に関して正しく理解をする必要があります。
今回は、源泉徴収の基礎知識を学んだ上で、個人事業主・フリーランスの方向けに押さえておくべきポイントを3つに絞って紹介します。
目次
源泉徴収とは
源泉徴収とは、給与や報酬を支払う事業者(会社)が、給与の支払い時に所得税などを差し引いて国などに納付する制度のことです。給与明細には「所得税」と記載されます。
また、源泉徴収された所得税の額と、実際に支払うべき金額の差額を調整するために、会社員や公務員は年末調整、個人事業主は確定申告(※)などの制度が設けられています。
※所得税法で定められた職業に該当する個人事業主への報酬が発生する場合は、支払い側が報酬の10.21%を所得税として源泉徴収し、税務署に納付する義務を負います。
源泉徴収の制度を導入することで、効果的かつ効率的に税金を徴収できます。一方、納税者の中での納税意識が薄れてしまうという問題もあります。
また、給与所得者は源泉徴収によってほぼ正確に課税所得が把握されていますが、自営業者は実際の課税所得が正しく把握されていないという不公平さも指摘されています。
源泉徴収税とは
源泉徴収税とは、源泉徴収によって差し引かれる税金(所得税、復興特別所得税)のことです。会社員などの給与所得者は税金を「天引き」される仕組みで、自営業者のように確定申告をして納税額を自分で決めるのとは異なります。
源泉徴収票とは
源泉徴収票とは、1年間(1月1日~12月31日)の給与や賞与の総額、源泉徴収された所得税額、社会保険料などの情報が記載された書類です。会社が従業員に発行し、税務申告や確定申告に必要な重要な書類となります。
源泉徴収の対象となる所得・報酬の種類
源泉徴収の対象として、代表的なものは給与所得です。一方、個人事業主・フリーランスに支払う報酬の一部も源泉徴収の対象になります。
個人の場合
個人の場合、源泉徴収の対象とされている所得の種類と範囲は以下の通りです。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
- 利子(預貯金や投資信託など)
- 配当(法人からの剰余金の配当など)
- 退職手当
- 公的年金
- 保険契約に基づく年金 など
出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
法人の場合
法人の場合、源泉徴収の対象とされている所得の種類と範囲は以下の通りです。
- 利子
- 配当
- 馬主が受ける競馬の賞金 など
出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
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源泉徴収税額の計算方法
源泉徴収税額の計算方法は、給与所得と給与所得以外の報酬で異なります。
給与所得の源泉徴収税額の計算方法
従業員に支払う給与所得の源泉徴収税額は、国税庁が毎年発表する「源泉徴収税額表」に従います。
税額表を参照する際は、当該月または日分の給与の総額から、厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料を差し引いた金額が使われます。
例えば、給与所得者で扶養家族がいる場合、月額表の「その月における社会保険料等控除後の給与等の金額」から社会保険料等を差し引いた後の金額がある行を見つけます。
その金額がある行と、「控除対象配偶者」や「控除対象扶養親族家族の数」などの扶養者数をすべて加えて計算した数字に該当する税額表中の「甲欄」が交わったところにある金額が、源泉徴収される金額となります。
例えば、この給与所得者の社会保険料等を差し引いた後の金額が月27万円の場合、給与所得の源泉徴収税の「月額表」の27万円を含む金額がある行と、「甲欄」の「扶養親族等の数」の「1人」が交わるところにある5,670円が源泉徴収税額となります。
報酬の源泉徴収税額の計算方法
報酬の源泉徴収税額は、報酬額に10.21%をかけた金額です。1回で支払う金額が1人あたり100万円を超える場合、100万円を超えた部分の税率は20.42%となります。
<1回で支払う金額が100万円以下の場合>
例)支払金額が10万円の場合の源泉徴収税額
10万円 × 10.21% = 10,210円
<1回で支払う金額が100万円を超える場合>
例)支払金額が200万円の場合の源泉徴収税額
(200万 – 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 306,300円
源泉徴収の対象期間はいつからいつまで?
源泉徴収の対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日までの12ヶ月間です。この期間に支払われた給与が源泉徴収の対象となります。
源泉徴収は、労働の実施時期ではなく、給与が実際に支払われたタイミングに基づいて行われます。つまり、いつ働いたかではなく、いつ給与が支払われたかが重要です。
会社の給与制度によっては、月末締めの翌月払いとなっている場合があります。この場合、例えばその年の12月に働いた分の給与が翌年の1月に支払われることになります。
上記のような給与支払い日の設定により、その年の12月分の給与が翌年に支払われる場合、その給与は翌年の源泉徴収の対象となります。したがって、その年の源泉徴収票には含まれません。
給与所得の源泉徴収票はいつもらえる?
以下のケースごとに、源泉徴収票をもらえるタイミングが異なります。
現在の会社に勤めている場合
源泉徴収票は、12月の年末調整が完了した後に発行されるのが一般的です。したがって、多くの場合は12月~1月頃に受け取ることになります。
アルバイト・パートの場合も、正社員と同じく、12月~1月頃に受け取ります。公務員の場合は、1月中に源泉徴収票を受け取ることが多いようです。
退職した場合
年の途中で退職した場合、最後の給与が確定してから1ヶ月以内に源泉徴収票が発行されます。年末になっても源泉徴収票が発行されない場合は、会社に連絡して発行してもらいましょう。
再就職した場合
年の途中で再就職した場合、年末調整は再就職先の会社で行います。その年に前職の会社から受けた給与あれば、前職の会社から発行された源泉徴収票を、再就職先の会社に提出しなければなりません。
前職の源泉徴収票がないと、再就職先の会社では年末調整ができません。前職の会社から源泉徴収票が届いたら、忘れずに再就職先へ提出してください。
再発行を依頼する場合
源泉徴収票を紛失した場合も、再発行を依頼することが可能です。発行に時間がかかる場合もあるため、はやめに依頼しましょう。
給与所得の源泉徴収票の見方
給与所得の源泉徴収票には、1年間の給与(賞与を含む)の支払額や年末調整後の源泉徴収税額、年末調整で適用した所得控除の金額や扶養親族の情報などが記載されています。そのため、源泉徴収票を見ればその人の収入状況などがわかり、確定申告や住宅ローン控除の申込などさまざまなことに活用できます。
ここでは、確定申告で使う源泉徴収票の項目と見方を紹介します。
① 支払金額
支払金額の欄には、1年間で支払いを受けた給与や賞与の合計額が記載されています。支払いを受けた金額は、「1月1日から12月31日」までの間に支給された金額を指します。したがって、12月分の給与が翌年の1月に支払われるようなケースでは12月分は含まれません。
また、通勤手当が支給されている場合には通勤手段や通勤距離に応じた「非課税限度額」が定められており、総支給額から非課税限度額内の通勤手当を控除した残高(課税支給額)が記載されます。
② 給与所得控除後の金額(調整控除後)
給与所得控除とは、簡単にいうと「サラリーマンの必要経費」のことです。①の支払金額のうち、法律で定められた一定の金額を支払金額から控除できます。所得税の計算をする際にはこの「給与所得控除後の金額」からスタートします。
さらに、年末調整において子ども・特別障害者等を有する者等については「所得金額調整控除申告書」を給与支払者を通じて税務署に提出した場合に、所得金額調整控除が適用されます。
②の金額は、この控除の適用者については適用後の金額が記載されます。
また、源泉徴収票内の「所得金額調整控除」欄に金額が表示されます。
ちなみに給与所得の精算業務である「年末調整」を会社でしなかった場合(年調未済)②の欄は空欄となります。
③ 所得控除の額の合計額
会社の「年末調整」で受けた、社会保険料等や生命保険料、地震保険料、扶養親族など各種控除の合計額が記載されています。
③も②と同様、会社で「年末調整」をしなかった場合には空欄となります。
④ 源泉徴収税額
会社で「年末調整」をした場合には、②「給与所得控除後の金額」や③「所得控除の額の合計額」などから計算した年税額(年調年税額)が記載されます。
会社で「年末調整」をしなかった場合には、毎月の給与等から差し引かれた源泉所得税の合計額がそのまま記載されます。
さらに詳しく源泉徴収票の見方を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
フリーランスの源泉徴収の注意点
続いて、フリーランスが注意すべき源泉徴収のポイントについて解説します。
復興特別所得税が含まれる
平成25年1月1日〜平成49年12月31日の間に生じる所得にかかる源泉徴収の税率には、所得税率に復興特別所得税率が加算されます。上記の式の中での0.21%(100万円超の部分には0.42%)が復興特別所得税率となります。
復興特別所得税について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
請求書の消費税を別に
源泉徴収は報酬や料金だけでなく、それにかかる消費税も源泉徴収の対象となります。ただし、請求書で報酬などの金額(本体価格)と消費税の金額が明確に分けられている場合には、消費税の金額を除いた報酬などの金額のみを源泉徴収の対象とすることができます。
例1)請求書に報酬110,000円(消費税込)とだけ記載する場合
源泉徴収税額は、110,000円の10.21%である11,231円(1円未満切り捨て)となります。
例2)請求書に報酬100,000円、消費税等10,000円と記載する場合
報酬金額と消費税の額が分けられている場合には、源泉徴収税額は、報酬100,000円の10.21%である10,210円となります。
確定申告を忘れずに
確定申告の際に、源泉徴収により差し引かれている金額の申告を忘れないようにしましょう。確定申告では、1年間の収入や費用を基礎に正しい年間税額を算出し、これと前払いした源泉徴収税額を精算します。源泉徴収税額は収入金額に一定割合を乗じて単純に算出する仕組みのため、源泉徴収税額が確定申告を通じて算出した年間税額を上回るケースもあります。このような場合は、確定申告を行うことで源泉徴収税額の還付を受けることができます。
確定申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
源泉徴収税は、誰がいつまでに納付する?
源泉徴収で差し引かれた所得税は、源泉徴収義務者である雇用主もしくは報酬の支払者が、支払い月の翌月10日までに納付する必要があります。
ただし、1人もしくは2人の家事使用人に対しての給与や、自分だけで事業を行っている個人事業主が支払う税理士報酬などは源泉徴収をする必要がありません。
源泉徴収義務者についての詳細は、こちらの記事をご参照ください。
また、従業員が10人未満の場合は、毎月の納付ではなく、年2回の納税に変更をすることも可能です。この特例を適用するためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、所轄の税務署長から認可を受ける必要があります。申請が通れば、年2回のまとめて納付となり、1月から6月までの源泉所得税を7月10日までに、7月から12月までの源泉所得税を翌年1月10日までに最寄りの税務署に納付する形になります。こうすることにより、猶予された源泉所得税を運用し、資金繰りを容易にすることが可能です。
源泉徴収の仕組みを理解して正しい納税を
仮徴収である源泉所得税は、その年の年末調整や確定申告で最終的に精算されます。会社員の場合、税金を細かく気にする機会はあまりないのかもしれませんが、基本的な知識をおさえておくことは重要です。
特に転職をして年収が大きく変わった場合、婚姻や子供が生まれたなどで家族が増えた場合などは、納税額が大きく変わることがあります。源泉徴収のしくみを正しく理解し、控除に必要な書類はすべて提出されているか、源泉徴収された税額が正確かどうかを確認できるようにしましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
源泉徴収とは?
給与や報酬を支払う事業者(会社)が、給与の支払い時に所得税などを差し引いて納付する制度のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
源泉徴収の対象になるものは?
給与所得のほか、様々な報酬が源泉徴収の対象となります。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。
フリーランスの源泉徴収で注意すべきポイントは?
復興特別所得税率が加算されることや、請求書の消費税を別にすること、確定申告を行うことなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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