• 更新日 : 2026年9月1日

デジタル人材とは?IT人材・DX人材との違いや必要スキル、育成・採用のポイントを解説

Pointデジタル人材とは何か?

デジタル人材とは、AIやクラウド等の最先端技術を活用して企業のDXを推進する人材です。

  • IT人材より広義でDX全体を担う
  • 2030年に最大79万人不足の試算
  • 育成は目標設定から実践まで段階的に

Q. デジタル人材に求められるスキルは?

A. 技術的スキル・ビジネススキル・プロジェクトマネジメントスキルの3種類がバランスよく求められます。

デジタル人材とは、AIやクラウドなど最先端のデジタル技術を活用し、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材のことです。似た言葉であるIT人材・DX人材との違いや、求められる職種・スキル、育成と採用の進め方まで、バックオフィス担当者が押さえておきたいポイントを解説します。

デジタル人材とは?

デジタル人材とは、IoT、AI、クラウド、生体認証、ビッグデータといった最先端のデジタル技術を使いこなし、企業に新たな価値を提供する人材を指します。デジタル技術を業務や事業に落とし込むためには、技術的なハードスキルだけでなく、コミュニケーション能力や課題解決力といったソフトスキルも欠かせません。

デジタル人材とIT人材との違い

デジタル人材とIT人材は、専門性の対象範囲の広さに違いがあります。IT人材は情報システムの企画・推進・運用を担う人材を指すのに対し、デジタル人材はより広い職種を含む概念です。

中小企業庁は、IT人材を「ITツールの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材」と定義しており、情報システム部門の担当者や情報サービス業の従事者が中心です。一方デジタル人材は、IT人材を含みつつ、マーケティング担当者や営業担当者など、デジタル技術を活用して新しい価値創出に関わる幅広い職種の人材を対象とします。

参考:中小企業白書2021(IT人材の確保と育成)|中小企業庁

デジタル人材とDX人材との違い

デジタル人材とDX人材は、重視されるスキルの中心が異なります。DX人材はDX推進の企画・実行をリードする役割で、関係者との合意形成力やリーダーシップが求められるのに対し、デジタル人材はAIやクラウドなどの技術活用・実装力に強みを持つ点が特徴です。

両者は明確に線引きされているわけではなく、実務上はほぼ同義として扱われる企業も少なくありません。DX人材が航海の方向性を定める舵取り役だとすれば、デジタル人材はその実現に向けて技術的な解決策を提供する役割と捉えると理解しやすいでしょう。

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デジタル人材はなぜ必要とされているのか?

デジタル人材が必要とされる背景には、企業の競争優位性確保と、経済産業省が指摘する「2025年の崖」という構造的リスクの回避があります。市場変化が激しい現代において、デジタル技術を事業に落とし込める人材の有無が、企業の成長を大きく左右します。

企業の競争優位性の確保

デジタル人材の育成は、企業がDXを実現し、競争上の優位性を確保するための重要なカギです。デジタル技術の進化に伴い産業構造が変化するなか、消費者ニーズの多様化にあわせて新しいサービスが次々と登場しています。

DXの推進には、経営層から現場まで一貫したデジタル技術への理解が欠かせません。しかし、自社の事業とデジタル技術の両方に精通した人材は多くありません。デジタル人材の育成は、イノベーション創出やビジネスモデル変革を促し、企業の優位性確保に直結します。

「2025年の崖」の回避

「2025年の崖」とは、老朽化・複雑化したシステムを放置した場合、2025年以降に生じるとされる経済的リスクを示す言葉です。経済産業省の「DXレポート」では、この状態を克服できなければ2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると指摘されています。

背景には、基幹システムを21年以上稼働させている企業の増加や、古いプログラミング言語を扱える人材の減少があります。既存システムの刷新には、技術に精通した人材だけでなく、経営層や現場と調整しながら課題解決にあたれるデジタル人材が不可欠です。

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)|経済産業省

深刻化するデジタル人材・IT人材不足

日本企業の多くは、デジタル人材の量的な不足を実感しています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査では、DXを推進する人材について「大幅に不足している」と回答した企業の割合が、2021年度の30.6%から2023年度には62.1%にまで増加しました。

さらに経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」では、IT需要の伸びが高い一方で労働生産性の向上が緩やかなシナリオの場合、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています。労働人口の減少と技術発展のスピードに、人材供給が追いついていないことが主な要因です。

参考:DX動向2024(DX白書2023含む)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構企業の6割が「DX人材が大幅に不足」。解消法はどこにあるのか|NTT EASTIT人材需給に関する調査|経済産業

デジタル人材の職種とは?

デジタル人材の職種は、経済産業省の「デジタルスキル標準」をもとに、主に5つの類型に整理されています。担当領域によって求められるスキルの重心が異なります。

職種 主な役割
ビジネスアーキテクト 顧客・ユーザー調査をもとに製品やサービスを企画し、既存事業の刷新や新規事業開発を推進する
ビジネスデザイナー DX実現の企画・立案を担い、関係者間の利害調整や折衝を行う
AIエンジニア(データサイエンティスト) AIやIoTに関するデータの分析・解析を行い、ビジネスモデルへの活用を担う
UI/UXデザイナー サービスの操作画面や利用体験を設計し、顧客満足度の向上に寄与する
エンジニア・プログラマ システムの実装やインフラ構築を担い、現場ではハードウェアの知識も求められる

デジタル人材はなぜ不足している?

デジタル人材不足の背景には、労働人口の減少・デジタル化の急速な進展・教育体制の不足という3つの要因があります。いずれも短期間での解消が難しい構造的な課題です。

少子高齢化に伴う労働人口の減少により、IT技術者の高齢化と若手人材の不足が同時に進んでいます。また、デジタル技術の発展スピードに人材のスキルアップデートが追いつかず、需要拡大に供給が追いつかない状態が続いています。加えて、自社に必要なデジタル人材のスキルを分析し、育成体制を整えられている企業は多くありません。

国はデジタル人材育成にどう取り組んでいる?

政府は、デジタル実装をリードする「デジタル推進人材」を2022年度から2026年度までの累計で230万人育成するという目標を掲げています。

目標達成に向けて、デジタル人材育成プラットフォームの構築やデジタルスキル標準の設定のほか、公共職業訓練でのデジタル分野の強化、人材開発支援助成金の拡充など、3年間で4,000億円規模の施策パッケージが進められています。

参考:デジタル人材の育成・確保|デジタル田園都市国家構想

デジタル人材に求められるスキルとは?

デジタル人材には、技術的なハードスキル・ビジネススキル・プロジェクトマネジメントスキルの3種類がバランスよく求められます。役割によって重視される比重は異なります。

技術的なスキルは、IT関連の基礎知識からデータサイエンス、AIなどの最新知識まで幅広く、職種や立場によって必要な範囲が変わります。ビジネススキルは、業界知識やマーケティング理論、論理的思考力やコミュニケーション能力を指します。そしてプロジェクトマネジメントスキルは、関係者の要望を理解しながら目的を掲げてプロジェクトを推進する力で、スケジュール管理や予算管理も含まれます。

デジタル人材に求められる資格は?

デジタル人材のスキルを客観的に証明する手段として、国家資格や民間資格の取得があげられます。代表的な資格は次のとおりです。

資格名 主催・提供元 概要
ITストラテジスト試験 IPA(情報処理技術者試験) 経営戦略に基づくIT戦略の策定力を認定する高度試験。情報処理技術者試験の中でも最高難度とされる
AWS認定 AWS(Amazon Web Services) クラウド環境の構築・運用・データ活用に関する知識やスキルを証明する認定資格。役割・レベル別に複数の区分がある
ネットワークスペシャリスト試験 IPA(情報処理技術者試験) ネットワークやセキュリティに関する実践的な知識・技術を証明する国家資格
プロジェクトマネージャ試験 IPA(情報処理技術者試験) プロジェクトの遂行に必要な知識と実践能力を問う国家資格

参考:ITストラテジスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構AWS 認定|AWSネットワークスペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構プロジェクトマネージャ試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

デジタル人材を育成するには?

デジタル人材の育成は、目標設定から実践までを段階的に進めることが重要です。以下のSTEPに沿って取り組むと、育成計画に一貫性が生まれます。

STEP1:社内の目標を定める

なぜ自社にデジタル人材が必要なのかを明確にします。ビジネス戦略や市場の状況を分析し、取り入れるべき技術や変革すべきビジネスモデルを検討したうえで、育成すべき従業員像を具体化します。

STEP2:研修・オンライン教育の機会をつくる

eラーニングなどのツールを活用し、従業員が自主的に学べる環境を整えます。外部講師を招いてビジネススキルの底上げを図る方法も有効です。

STEP3:資格取得をサポートする

資格取得手当などの福利厚生制度により、従業員のモチベーション向上を後押しします。

STEP4:社内プロジェクトで実践する

技術面のスキルは実践を通じて磨かれます。社内プロジェクトをOJTの場として活用しましょう。

STEP5:スキルマップを活用する

職種ごとに求められるスキルを可視化し、優先順位をつけて育成を進めます。ソフトスキルとハードスキルの両面を磨くことが重要です。

デジタル人材を採用するには?

デジタル人材の採用では、複数の採用チャネルを用意し、採用したい人物像を明確にすることが成功のポイントです。

自社ウェブサイトやSNS、リファラル採用、人材エージェントなど、媒体ごとの特性を見極めながら複数のチャネルを検討します。正社員雇用が難しい場合は、プロジェクト期間限定のフリーランス活用や契約社員採用も選択肢になります。採用ターゲットに求める経歴やスキルを明確にすることで、採用のミスマッチを防ぎやすくなります。

また、採用後の定着には、オンボーディング研修の充実など、成果を出しやすい環境づくりも欠かせません。

企業の競争力を左右するデジタル人材

デジタル人材は、企業のDX推進と競争優位性確保に欠かせない存在です。IT人材やDX人材との違いを理解したうえで、自社に必要な人物像を明確にすることが、採用のミスマッチを防ぐ第一歩になります。加えて、育成プランを従業員に示し、目標や役割への理解を深めてもらうことでモチベーション向上にもつながります。採用と育成の両面から計画的に取り組む姿勢こそが、変化の激しい市場でデジタル人材を確保し、企業の成長へと結びつける鍵となるでしょう。


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