• 更新日 : 2022年4月5日

所得税で認められる寄付金控除の範囲とは?

所得税で認められる寄付金控除の範囲とは

納税者である個人が、国や地方公共団体などに対して寄付をした場合、つまり特定寄付金を支出した場合は、所得税の所得控除寄付金控除)を受けることができます。
また指定寄付金のうち、政治活動関連への寄付金や、認定NPO法人、公益社団法人などへの寄付金は、「所得控除」と「税額控除」のどちらかを選択できます。

税額控除は寄付金額の一定割合が所得税から直接控除されますので、所得控除と比べると減税効果が大きくなります。

どのような団体への寄付が寄付金控除に該当するのか?

所得税の寄付金控除の対象になる主な団体は以下のとおりです。

  • 国や地方公共団体
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • 独立行政法人
  • 地方独立行政法人のうち、当該法人の主たる目的である業務部分
  • 日本司法支援センター、自動車安全運転センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
  • 学校法人
  • 国立大学法人及び公立大学法人
  • 社会福祉法人
  • 更生保護法人
  • 認定特定公益信託
  • 認定特定非営利法人(認定NPO法人)に対する寄付金のうち一定のもの
  • 政治活動に関する寄附金のうち一定のもの

※学校の入学に関連するものや、寄付をした本人に特別な利益が及ぶと判断されるもの、または政治資金規正法に抵触するものについては、特定寄付金にはなりません。

寄付金控除の計算式について

所得税の寄附金控除は、所得控除を選択する場合と、税額控除を選択する場合で計算式が異なります。それぞれの寄付金控除額の算出は、下記の方法により算定します。

所得税の所得控除を選択する場合

その年中に支出した寄付金の合計額-2000円=寄付金控除額

この計算式により算出された寄付金控除額が「所得控除」として所得金額から控除され、その分税額を低く抑えられます。

[所得金額-(寄付金合計-2000円)]×各自の税率=寄付金控除後の税額

※所得金額の40%が控除の対象となる寄付金の上限金額となります。

税額控除を選択する場合

税額控除を選択する場合は、その年中に支出した寄付金の合計額-2000円の40%が控除額となり、「税額控除」として所得税から直接控除されます。
また、政党など寄付金特別控除の場合は、その年中に支出した政党などに対する寄付金の合計額-2000円の30%が控除額となります。

※所得金額の40%が控除の対象となる寄付金の上限金額となります。
※控除額は所得税額の25%が上限となります。

所得控除と税額控除は、どちらか選択できるようになっています。所得税率の高い人は、税額控除よりも所得控除を選択したほうが有利になるケースがあります。
詳しい内容については、最寄りの税務署までご相談ください。

控除を受けるための手続とは?

所得税の寄付金控除は、確定申告を行うことにより税金が還付されます。なお、会社で行われる給与の年末調整では、寄付金控除が受けられませんのでご注意ください。
また、最近は「ふるさと納税」を利用する方が増加しています。

ふるさと納税は寄付金控除の対象ですが「確定申告をするのが面倒だ」という方も多いのではないでしょうか?そんな方におすすめなのが「ワンストップ特例制度」です。
「ワンストップ特例制度」とは、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付した自治体に送ることで確定申告をしなくても住民税が安くなる制度です。
利用する際には以下の2点を特に注意してください。

  • 6自治体以上に寄付をしてしまうとワンストップ特例がなくなり確定申告が必要になります。
  • ワンストップ特例の申請をしたにも関わらず、確定申告をしてしまった場合もワンストップ特例はなくなります。確定申告書にふるさと納税の記載を忘れないようにしましょう。

控除を受けるための手続きについては、寄付金控除(所得控除や税額控除)に関する項目を記載した確定申告書を提出します。また、国や地方公共団体など、寄付した団体からもらった領収書を、提出の際に添付するか示す必要があります。

領収書の他にも、寄付を行った法人や信託が適正な団体であることを証する書類の写しや認定書の写しについても、申告書に添付するか提示する必要があります。政治活動関連の寄付金の場合は、選挙管理委員会などの確認印が押印された「寄付金(税額)控除のための書類」を申告の際、申告書に添付、もしくは提示する必要があります。

確定申告書の提出までに「寄付金(税額)控除のための書類」が準備できない場合は、代わりに寄付金の受領証の写しを添付し、確定申告を行います。後日、この書類が交付された際に税務署に提出します。

寄附金控除を正しく理解し効果的な節税をしましょう

寄付と聞くと、「赤い羽根共同募金」など人通りの多い場所で行われているものがすぐ思い浮かぶでしょう。
もちろん、その場で現金を寄付できるものも良いことです。ですが、まとまった額を寄付したいという場合には、せっかくなので証明書を発行してもらえる機関から寄付をして、節税につなげるのも良いでしょう。

よくある質問

寄附金控除とは何ですか?

国や地方公共団体などに対する寄付金が所得税の控除になる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

所得控除と税額控除の違いは?

所得控除は合計所得金額から控除するものであり、税額控除は計算した所得税から控除するものです。詳しくはこちらをご覧ください。

ワンストップ特例制度とは?

ふるさと納税をして寄付金控除を受ける際、確定申告を省略して住民税から控除を受ける制度です。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事