• 作成日 : 2022年9月9日

マイナンバー制度で経理担当者がすることは?

2015年からはじまったマイナンバー制度。企業では、社会保障や税の手続きで、マイナンバーを取り扱う必要があります。従業員のマイナンバー収集には決められたルールがあり、さらにマイナンバーを利用できる範囲も法律で定められています。

今回は、マイナンバー制度についておさらいしつつ、経理担当者が関わる業務について解説します。

マイナンバー制度とは?

マイナンバー制度とは、2013年(平成25年)に制定された、社会保障・税番号制度のことをいいます。マイナンバー制度では、住民票を持つ全ての個人に、個人番号(マイナンバー)が振り当てられます。

マイナンバーが他の人と重複することはありません。また、生涯にわたって変わることがなく、一度振り当てられた番号を使用します。番号は、11桁の数字と末尾1桁のチェックデジットという合計12桁で構成されます。

個人に振り当てられるマイナンバーは、氏名や住所、生年月日といった個人情報から推測されないように、住民票コードをもとに作成されています。また、使用の範囲が厳格に決められており、社会保障・税および災害対策の目的のみで利用されます。

マイナンバー制度のメリット

マイナンバー制度のメリットは、「行政手続きの効率化」にあります。地方公共団体や自治体などで、個人にまつわる情報の照会・転記・入力などの作業負担を軽減し、国民がサービスを利用する際にも手続きが簡単になります。

マイナンバーが記載された顔写真付きの「マイナンバーカード」は、本人確認書類として利用できるほか、健康保険証として利用したり、コンビニで公的証明書の発行に使えたりなど、生活のさまざまなシーンで活用されます。今後も利用範囲が広がり、益々利便性が増していくことでしょう。

企業でマイナンバーを取り扱う業務

マイナンバー制度がスタートしたことで、企業でも実務でマイナンバーを取り扱うことになりました。具体的には、社会保険の加入・脱退手続きや、税務署に提出する源泉徴収票など、人事労務や経理の業務で従業員のマイナンバーが必要になります。

マイナンバーの記載が必要な届出書や帳票類は、以下で紹介するもの以外にも多くのものがあります。国税庁、厚生労働省、総務省などのホームページなどで調べることも可能です。

【従業員のマイナンバーを取り扱う業務例】

  • 雇用保険関連
    • 被保険者資格取得届・喪失届
    • 育児休業給付⾦⽀給申請書
    • 介護休業給付⾦⽀給申請書
  • 社会保険関連
    • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、喪失届
    • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 税金関連

また、マイナンバー制度では法人にも番号が割り振られています。法人のマイナンバー(法人番号)は13桁で登録され、1法人に一つ通達され、支店や営業所ごとに割り当てられるものではありません。法人番号は法人番号は、個人に振り当てられるマイナンバーとは異なり誰でも自由に利用することが可能です。

法人番号を利用する届出には、雇用保険適用事業所設置届や、労働保険関係成立届、税務署に提出する源泉徴収票など多くのものがあります。

マイナンバーの取扱い範囲は、法律で定められたものに限られています。そのため、企業が従業員や取引先のマイナンバーを収集する際は、利用目的を明示し、その範囲内で扱わなければいけません。

参考:社会保障・税番号制度の導入に向けて(社会保障分野)~事業主の皆様へ~|厚生労働省マイナンバー制度(雇用保険関係)|厚生労働省

マイナンバー制度による経理担当者が行うこと

経理担当者がマイナンバーを扱うのは、税に関する手続きです。具体的には、以下のものがあります。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:個人番号・法人番号
  • 給与所得の源泉徴収票(税務署提出用):個人番号・法人番号
  • 給与支払報告書(市区町村提出用):個人番号・法人番号
  • その他、税務署に提出する法定調書

ここで重要なのは、源泉徴収票のように従業員用・税務署用と作成するものは、従業員に交付する場合にはマイナンバーの記載が必要ないという点です。税に関する届出や手続きの際は、マイナンバーの有無を確認すると共に、以下のポイントを踏まえ業務を行いましょう。

マイナンバーの適切な利用について理解する

前述のとおり、マイナンバーは社会保障・税(国税や地方税)・災害対策と、利用できる範囲が厳密に決められています。企業は、社会保険の手続きや法定調書の作成など、従業員のマイナンバー収集の際に利用範囲を明示した上で取り扱う必要があります。

仮に、従業員本人の同意があったとしても、法で定められた範囲を超えてマイナンバーを利用することはできません。顧客情報をマイナンバーで管理することやマイナンバーが社員番号に使われるなど、不適切な取扱いには罰金などの罰則も適用されます。

企業側の過失により従業員のマイナンバーの情報漏えいがあった場合には、民事上の損害賠償を請求される可能性があります。マイナンバーは、それほど重要な情報であることを認識し、適切な利用について理解しましょう。

取引先のマイナンバーを把握する

経理が扱うマイナンバーは、従業員のものだけではありません。個人事業主など、自社と取引関係にあり源泉徴収を行った場合には、源泉徴収票に相手方のマイナンバーを記載する必要があります。

マイナンバーの収集では、利用目的を明示するとともに厳密な本人確認が必要です。自社にマイナンバーの取扱いを行う「事務取扱担当者」がいる場合には、収集について確認・依頼します。

なお、法人番号は個人番号とは異なり、原則として公表され、検索と閲覧が可能な「国税庁法人番号公表サイト」で提供されています。そのため取引先の法人番号の収集には本人確認は不要です。

参考:よくある質問:民間事業者における取扱いについて|デジタル庁本人確認に関するFAQ|国税庁

ルールを理解してマイナンバーを取り扱う

マイナンバーの取扱いは、厳格に範囲や保管ルールが定められています。法人番号は誰でも利用できるため公表されていますが、個人に割り振られたマイナンバーは厳格な管理が必要です。

経理担当は、マイナンバーが必要となる手続きや届出を確認すると共に、自社での決められた管理ルールを理解しましょう。

よくある質問

マイナンバー制度の概要について教えてください。

マイナンバー制度とは、2013年(平成25年)に制定された、社会保障・税番号制度のことです。個人に割り振られる番号と法人に割り振られる番号があり、行政手続き関係の効率化・簡素化を図ります。詳しくはこちらをご覧ください。

マイナンバー制度によって経理担当者の対応が必要なことについて教えてください。

マイナンバーが必要となる届出・手続きを確認しましょう。主な経理業務では、支払調書の作成や税務署に提出する源泉徴収票などで利用します。厳格な管理が必要であり、利用範囲や保管ルールの理解も必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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