- 更新日 : 2026年9月1日
育休の取得率はどれくらい?男性の育休取得率が低い理由と産後パパ育休など後押し制度を解説
2024年度の育休取得率は女性86.6%、男性40.5%で、男性は初めて4割を超えました。
- 男性は産後パパ育休導入後に急上昇
- 小規模企業や一部業種は取得率が低い
- 取得率より取得期間の短さが課題
Q. 男性の育休取得率が低い主な理由は?
A. 収入への不安、職場の雰囲気、制度の認知不足の3つが主な要因です。
育児休業(育休)は、子どもを育てる労働者であれば誰でも取得できる権利ですが、実際の利用状況には男女で大きな差があります。この記事では、最新の育休取得率のデータをもとに、男性育休の取得率が伸び悩む理由と、産後パパ育休をはじめとした後押し制度についてわかりやすく解説します。
育休の取得率はどれくらい?
育休の取得率は、女性が8割台で推移している一方、男性は上昇を続けているものの依然として女性を下回る水準にあります。ここでは、最新の公的統計をもとに、男女別・企業規模別・業種別の実態を詳しく見ていきます。
男女別の育休取得率の推移
結論として、2024年度(令和6年度)の育休取得率は女性86.6%、男性40.5%となり、男性は初めて4割を超えました。これは厚生労働省が実施する「雇用均等基本調査」による数値で、男性の育休取得率としては1996年の調査開始以来の過去最高値です。
過去5年間の男性の育休取得率の推移を見ると、制度改正のタイミングを境に急速に上昇していることがわかります。
| 年度 | 男性の育休取得率 |
|---|---|
| 2020年度 | 12.65% |
| 2021年度 | 13.97% |
| 2022年度 | 17.13% |
| 2023年度 | 30.1% |
| 2024年度 | 40.5% |
2022年10月に産後パパ育休(出生時育児休業)が施行されて以降、男性の取得率は毎年10ポイント前後のペースで伸びています。ただし、政府は2025年度に50%、2030年度に85%という数値目標を掲げており、40.5%という現状はまだ道半ばです。
参考:育児休業をとっている人はどれくらい?|生命保険文化センター、男性の育児休業取得者の割合が前年から約10ポイント増加し、4割に到達|JILPT
企業規模・業種による育休取得率の差
企業規模や業種によって、男性の育休取得率には大きな開きがあります。2024年度の調査では、100〜499人規模の事業所が55.3%と、500人以上の大企業(53.8%)をわずかに上回る逆転現象が起きました。一方で、5〜29人規模の小規模事業所は25.1%にとどまり、規模間の格差は依然として大きい状況です。
業種別に見ると、上位は金融・IT関連、下位はサービス業や不動産業に偏る傾向があります。
| 順位 | 業種 | 男性の育休取得率 |
|---|---|---|
| 1位 | 鉱業、採石業、砂利採取業 | 67.7% |
| 2位 | 金融業、保険業 | 63.6% |
| 3位 | 学術研究、専門・技術サービス業 | 60.7% |
| 低水準 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 15.8% |
| 低水準 | 不動産業、物品賃貸業 | 19.9% |
代替要員の確保のしやすさや、人事制度の整備状況が業種・規模による差を生んでいると考えられます。また2025年4月からは、育休取得率の公表義務の対象が従業員1000人超の企業から300人超の企業へと拡大され、より多くの企業で取得率向上への意識が高まると見込まれます。
取得率は伸びても、取得期間には課題が残る
育休の取得率が上昇する一方で、取得期間の短さは依然として大きな課題です。女性は9割以上が6ヶ月以上の育休を取得しているのに対し、男性は2023年度の調査で6割が「1ヶ月未満」の取得にとどまり、その内訳は「5日未満」が15.7%、「5日〜2週間未満」が22%を占めています。
その背景には、厚生労働省が2025年にまとめた意識調査で、若年男性の7割が「1ヶ月以上」の取得を希望しているにもかかわらず、実際には出産直後のパートナー支援にとどまるケースが多いという実態があります。「取得率」という数字だけでなく、希望する期間を安心して取得できる環境づくりが今後の焦点となっています。
参考:「令和 5年度雇用均等基本調査」の結果概要|厚生労働省
参考:「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」(速報)を公表しました|厚生労働省
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男性の育休取得率が低い理由は?
男性の育休取得率が女性に比べて低い背景には、経済的な不安、職場の雰囲気、制度の利用しづらさという3つの要因が複雑に絡み合っています。
経済的な不安と育児休業給付金への誤解
育休取得をためらう理由として多く挙げられるのが収入面の不安です。しかし、育児休業給付金により休業開始前賃金の一定割合が支給され、社会保険料も免除されるため、手取りベースで休業前の約8割程度がカバーされるケースも少なくありません。
それでも不安が根強いのは、給付金制度そのものの認知度が低く、具体的な受給額や手続きが十分理解されていないことが一因です。なお2025年4月からは、両親がともに14日以上の育休を取得した場合に支給される「出生後休業支援給付金」も新設されています。
職場の雰囲気とハラスメントへの懸念
職場の雰囲気や上司の理解不足も、男性育休を阻む大きな要因です。育休取得前に「職場の反応」を不安視する男性は多く、取得に伴うハラスメントへの懸念も根強く残っています。取得者が少ない職場ほど次の取得者が声を上げにくいという悪循環も指摘されており、管理職の意識改革が欠かせません。
制度の利用しづらさと前例の少なさ
社内の育休制度が実質的に機能していない、前例がないといった理由も、男性の育休取得を妨げる要因です。産後パパ育休についても、制度内容を十分理解している人はまだ半数に満たないという調査結果があり、自社の制度を詳しく把握している人ほど取得意向が高いという傾向も明らかになっています。企業側による制度の周知徹底が、取得率向上の鍵を握っています。
男性の育休取得を後押しする制度は?
男性の育休を後押しする制度としては、産後パパ育休や関連法改正、企業独自の取り組みが挙げられます。国の制度整備と企業の運用改善が両輪となり、取得率の底上げを進めています。
産後パパ育休(出生時育児休業)
産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日間)の休業を2回に分けて取得できる制度です。2022年10月に開始し、従来の育休とは別枠で取得できる柔軟さが特徴です。
申し出期限は原則休業開始予定日の2週間前までで、出産予定日が前後しやすい状況にも対応できます。労使協定を締結していれば、休業中に一部就業することも可能です。母親の体調が不安定になりやすい出産直後の時期に、父親が育児参加しやすくすることを目的とした制度です。
参考:産後パパ育休|厚生労働省
2025年4月・10月施行の育児・介護休業法改正
2025年4月・10月に施行された改正育児・介護休業法では、育休取得率の公表義務の対象拡大に加え、子の看護等休暇の対象拡大や、3歳以上の子を養育する労働者への柔軟な働き方の措置義務化などが盛り込まれています。妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の個別の意向聴取も事業主に義務付けられ、男性の育児参加を間接的に後押しする効果が期待されています。
企業独自の取り組み事例
法改正だけでなく、企業独自の取り組みも取得率向上に寄与しています。例えば、妊娠が判明した社員とパートナーが参加できる説明会を定期開催し、制度理解を深めた結果、長期取得につなげている企業の事例があります。ある企業では、こうした取り組みを通じて男性の平均取得期間が100日を超える水準まで伸びたと報告されています。理解不足のまま「とりあえず有給消化」という短期取得に落ち着くケースを防ぐには、出産前の情報提供が有効です。
パパが育休を取るメリットは?
男性の育休取得は、父親自身、家族、企業のいずれにもメリットをもたらします。育児への主体的な関与は個人の成長を促し、企業の生産性向上にもつながる可能性を秘めています。
父親自身の成長と新たな視点
育休は父親にとって、育児に集中的に取り組む貴重な機会であると同時に、自己成長の機会でもあります。育児を通じて多様な価値観への理解が深まったり、時間管理能力やマルチタスク能力が向上したりすることは、復職後の業務にも活かせる財産となります。
家族の絆を深め、夫婦関係を良好に保つ
出産直後から育児に関わることで、父親と子の間に強い愛着関係が育まれます。また、夫が育児・家事を主体的に担うことで、産後の妻の心身の負担を軽減し、夫婦で協力して子育てに取り組む意識も高まります。男性の育休取得は、女性の就業継続やキャリア形成を後押しする効果も期待されています。
企業側のメリットと生産性向上
育休制度が実際に機能している企業は「社員を大切にする会社」というイメージを持たれやすく、人材の獲得・定着につながります。従業員の満足度やエンゲージメント向上、業務の属人化防止による組織対応力の強化も、企業にとって見逃せないメリットです。
育休制度の利用推進における企業の課題
男性が育休を取得しやすい社会に向けて企業側の取り組みが求められる中、実務を担う人事労務担当者にはどのような課題があるのでしょうか。株式会社マネーフォワードは、産休・育休の実務担当者を対象に調査を実施しました。
育児休業に関する一連の手続きのなかで、特に工数がかかる、または判断が難しい業務について尋ねたところ、最も割合が高かったのは「育児休業給付金の申請書類作成と提出」で、43.2%でした。また、「育休中の社会保険料や給付金の見込額の試算・説明」は29.8%、「従業員への個別周知および休業意向の確認」は29.1%でした。
さらに、今後の手続き負担を軽減するために最も必要な支援について尋ねたところ、最も回答が多かったのは「従業員への説明や個別試算にそのまま使えるテンプレート」で、35.6%でした。
これらの結果から、企業が育休制度の利用を円滑に進めるためには、人事担当者が従業員に対して給付金に関する説明を行ったり、休業の意向を確認したりする際の実務的な負担をいかに軽減するかが重要であることがわかります。
男性育休の取得率がさらに上がる社会を目指して
男性の育休取得率は2024年度に40.5%と過去最高を更新し、着実に上昇しています。しかし女性の86.6%との差はなお大きく、政府目標の達成にも道半ばです。収入面の不安、職場の雰囲気、業務の引き継ぎといった課題は残るものの、産後パパ育休や法改正、企業の独自施策が取得率向上を後押ししています。育休は父親自身の成長や家族の絆の深化、企業の人材確保にもつながる制度です。国・企業・個人それぞれが理解を深め、行動することが、育休取得率のさらなる向上につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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