- 更新日 : 2026年3月31日
事業主が知っておくべき雇用保険の基礎知識
従業員を雇う場合、雇用保険に加入することが義務付られています。今回は、雇用保険の内容や手続きについて解説します。
雇用保険とは
雇用保険とは、労働者が失業した場合に、生活と雇用の安定と就職の促進のために、一定の給付を行うようにするための保険制度です。
事業所の規模には関係なく、個人事業主であっても、週の所定労働時間が20時間以上で、なおかつ雇用見込日数が31日以上の人を雇った場合には、雇用保険に加入する必要があります。雇用保険に加入することは事業主としての義務であり、労働者と事業主がともに保険料を負担します。
個人事業主の場合、当初は自分一人で起業した人も多いため、従業員を雇用するようになっても、事業所としての意識の低さから、従業員の権利や福利厚生を確保することを見落としがちです。そのため、雇用保険の要件などは十分把握しておくようにしましょう。
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雇用保険の加入手続き
個人事業主はじめ事業を営む人が、初めて労働者を雇用した場合は、雇用保険に加え労災保険にも加入することになるため、その事業所は、雇用保険と労災保険の一元適用事業となります。
手続きとしては、保険関係が成立したら10日以内に、労働基準監督署に保険関係成立届を提出します。また、概算保険料申告書を保険関係の成立から50日以内に所軸の労働局、労働基準監督署、金融機関のいずれかに提出し、申告・納付します。雇用保険の届出を怠った場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
その後、事業所を管轄するハローワークに雇用保険適用事業所設置届(設置の日から10日以内)、雇用保険被保険者資格取得届(資格を取得した日の翌月10日まで)を提出します。
従業員が辞めた場合の手続き
従業員が辞めた場合、辞めた翌日から10日以内にハローワークに退職した人の雇用保険の資格喪失手続き(雇用保険被保険者資格喪失届と、雇用保険被保険者離職証明書の提出)をする必要があります。これらの手続きは、事業の規模の大小、個人事業主に関わりなく必要とされています。
その後、離職票が退職者宛に交付されます。離職票には離職票−1と離職票−2があり、離職票−1は、マイナンバーと失業手当の振込みを希望する金融機関の口座情報を記入する用紙です。離職票−2は、退職する直前6カ月間の給料の金額と、退職理由などが書かれた用紙です。離職票は、失業給付を受けるために必要なものですので、従業員が退職する際には、きちんと交付しましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、新しく従業員となった人が雇用保険に加入したことを証明する書類です。本来は、雇用保険加入時に従業員に渡すものですが、紛失防止のため勤務先で保管されているのが一般的です。雇用保険被保険者証は、転職先で雇用保険の加入手続きをする際に必要となります。離職票と同様、従業員が退職する際には、返却するようにしましょう。
失業給付の内容
失業給付の内容は、離職の日の年齢、雇用保険の被保険者としての期間、離職の理由などによって変わります。年齢と雇用保険の被保険者であった期間については、事実なのであまり問題にはなりませんが、離職の理由については、自己都合と会社都合で問題になることがあります。それは、会社の都合で解雇したことが離職の理由だった場合、後に労働者から訴えられることを心配する経営者がいるからです。
労働契約法第16条においても、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。
しかし、解雇権濫用に当たるかどうかは、解雇理由によるため、会社都合による退職の全てが無効となるわけではありません。したがって、事業主は、「会社都合による退職(所定の条件を満たす期間満了による退職も含む)」の場合には、無理に「自己都合による退職」として処理するのではなく、客観的事実に基づいて適切に処理しなければなりません。
離職の理由が会社都合だったにもかかわらず、自己都合による離職として離職票を交付した場合には、違法な虚偽申告となり、罰則が適用されることもありますので注意が必要です。
まとめ
以上のとおり、事業の規模や個人事業主といった事業形態に関わらず、雇用保険の手続きは必要です。トラブルを防ぐためにも、事業主は、こういった手続きを把握しておかなければならないため、事前に確認しておきましょう。
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