- 更新日 : 2026年9月1日
再就職手当とは?もらえる条件・金額の計算方法・申請手続きをわかりやすく解説
再就職手当とは、失業手当の受給者が早期に再就職・開業した際に支給される雇用保険の一時金です。
- 支給額は基本手当日額×残日数×60or70%
- 残日数が多いほど給付率が高く受給額も増加
- 申請期限は就職日翌日から1か月以内
Q. 再就職手当の給付率60%と70%はどう決まる?
A. 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上で70%、3分の1以上3分の2未満で60%が適用されます。
再就職手当とは、失業手当(基本手当)の受給資格がある人が早期に再就職・開業した場合に支給される雇用保険の給付金です。正式には就業促進給付の一種に位置づけられ、支給額は基本手当の支給残日数と給付率(60%または70%)によって決まります。本記事では再就職手当の受給条件、金額の計算方法、申請手続き、注意点までを網羅的に解説します。
再就職手当とはどのような制度?
再就職手当とは、雇用保険の基本手当(失業手当)の受給資格がある人が、早期に安定した職業に就いた場合に支給される一時金です。早期再就職を後押しする目的で設けられており、就職が早いほど支給額が多くなる仕組みになっています。
厚生労働省・ハローワークの案内によれば、再就職手当は受給資格の決定を受けた後に早期に安定した職業に就き、または事業を開始した場合に支給される制度と定義されています。制度上は就業促進給付というカテゴリーに分類され、早期再就職へのインセンティブとしての役割を持っています。
再就職手当と失業保険(基本手当)の違い
再就職手当と失業保険(基本手当)は、いずれも雇用保険から支給されますが目的が異なります。失業保険は失業中の生活を支えるための給付であるのに対し、再就職手当は早期に再就職した人への一時金です。
両者は同時に受給できず、再就職が決まった時点で基本手当の受給は打ち切られ、代わりに残日数に応じた再就職手当が支給されます。下表で違いを整理します。
| 項目 | 失業保険(基本手当) | 再就職手当 |
|---|---|---|
| 支給目的 | 失業中の生活の安定 | 早期再就職の促進 |
| 支給タイミング | 失業認定ごとに継続支給 | 再就職後に一時金として支給 |
| 支給額 | 基本手当日額×受給日数 | 基本手当日額×支給残日数×60%または70% |
| 受給できる回数 | 受給期間内で複数回の認定 | 原則1回 |
常用就職支度手当・就業促進定着手当との違い
再就職手当と混同されやすい制度に、常用就職支度手当と就業促進定着手当があります。常用就職支度手当は障害がある方や45歳以上で就職が困難な方が対象となる別制度であり、就業促進定着手当は再就職手当受給後に6か月以上勤務し、賃金が離職前より下がった場合に追加で支給される手当です。
厚生労働省の案内では、再就職手当を受給した人が再就職先に6か月以上雇用され、その間の賃金が離職前の賃金より低い場合に就業促進定着手当が受けられるとされています。過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給している場合は、新たな再就職手当の対象外となる点にも注意が必要です。
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再就職手当の受給条件は?
再就職手当を受給するには、厚生労働省が定める要件をすべて満たす必要があります。1つでも要件を欠くと不支給となるため、事前確認が欠かせません。
再就職手当の支給要件一覧
再就職手当の支給要件は、厚生労働省の案内で8項目が明示されています。主な要件は以下のとおりです。
- 受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職・開業したこと
- 就職日前日までの失業認定を受けたうえで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職した前の事業主に再び就職したものでなく、資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがない事業主に就職したこと
- 給付制限がある場合、待期期間満了後1か月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 原則として雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
派遣・アルバイト・パートでも再就職手当はもらえる
雇用形態に関わらず、要件を満たせば再就職手当は受給できます。ポイントは雇用保険に加入し、1年を超える勤務が見込まれるかどうかです。
派遣社員の場合、雇用期間が定められ契約更新が見込まれない働き方は要件5に該当しない可能性が高く、対象外となります。一方、契約更新によって1年を超える場合など、有期雇用であっても、1年を超える勤務が確実であれば対象となります。アルバイトやパートも同様に、雇用保険の被保険者として1年を超える勤務が見込まれることが条件となります。就職先が決まった段階で雇用契約の内容を確認しておくことをおすすめします。
再就職手当の支給額と計算方法は?
再就職手当の金額は、基本手当日額に支給残日数と給付率(60%または70%)を掛けて算出します。残日数が多いほど、また給付率が高いほど受給額は大きくなります。
計算式は以下のとおりです。
再就職手当の額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60%または70%)
支給率が60%・70%になる条件
支給残日数が所定給付日数の3分の2以上であれば給付率70%、3分の1以上3分の2未満であれば給付率60%となります。つまり、再就職が早いほど残日数が多く残り、給付率も高くなる仕組みです。
| 支給残日数の割合 | 給付率 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上3分の2未満 | 60% |
再就職手当の計算シミュレーション
具体的な金額をイメージするため、厚生労働省の案内に掲載された試算例を紹介します。
基本手当日額4,000円、所定給付日数270日の人が受給資格決定日から50日目に就職した場合、支給残日数は228日となり給付率は70%が適用されるため、再就職手当は4,000円×228日×70%=638,400円となります。
同じ条件で100日目に就職した場合は支給残日数178日、給付率60%となり、4,000円×178日×60%=427,200円となります。
基本手当日額の上限額
再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限額が設けられています。上限を超える賃金水準だった人でも、上限額をもとに再就職手当が計算される点に注意が必要です。
令和9年7月31日までの上限額は離職時の年齢が60歳未満の方で6,745円、60歳以上65歳未満の方で5,454 円とされています。この上限額は毎年8月1日に毎月勤労統計の平均給与額をもとに改定されます。
再就職手当の支給時期は?
再就職手当は、申請後の審査を経て振り込まれるため、就職開始日からある程度の期間がかかります。目安として、申請から支給までは1か月前後を見込んでおくとよいでしょう。
支給が想定より遅れている場合は、早めにハローワークの給付窓口へ問い合わせることをおすすめします。審査状況や在籍確認の進み具合によって支給時期が前後するため、焦らず状況確認を行うことが大切です。
再就職手当の申請方法と必要書類は?
再就職手当の申請は、就職先が決定した後に3つのステップで進めます。書類の準備から申請書提出まで、順を追って解説します。
STEP1:就職先の決定と書類準備
就職先が決まったら、まず採用通知書や雇用契約書など雇用条件を証明する書類を準備します。確認すべき主なポイントは以下のとおりです。
- 就職日(勤務開始日)
- 雇用期間(1年を超える見込みか)
- 週あたりの勤務時間
書類に不備があると後の審査に影響するため、記載内容を事前によく確認しておきましょう。
STEP2:ハローワークへの就職報告
就職が決まったら、できるだけ早く最寄りのハローワークへ報告します。この段階で再就職手当支給申請書を受け取ることになります。
報告時には、雇用保険受給資格者証、採用通知書または雇用契約書、身分証明書などを持参する必要があります。担当者から申請の流れについて案内を受けられるため、不明点はその場で確認しておくと安心です。
STEP3:再就職手当支給申請書の提出
必要事項を記入した申請書と添付書類をハローワークへ提出します。提出期限は就職日の翌日から1か月以内と定められている点に注意が必要です。
申請書には就職先の企業情報、雇用形態や勤務条件、就職日などを正確に記載する必要があります。記入内容に不安がある場合は、窓口で確認しながら手続きを進めるとスムーズです。
再就職手当の必要書類一覧
再就職手当の申請には複数の書類が必要となります。主な必要書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 再就職手当支給申請書 | ハローワークで受け取る |
| 雇用保険受給資格者証 | 求職者本人が保有 |
| 採用証明書 | 雇用条件の証明に使用 |
| 離職前事業主との関連についての証明書 | 申請者の前職と再就職先が無関係であることを証明 |
| 失業認定申告書 | 直近のものを用意 |
| 身分証明書 | 運転免許証やマイナンバーカードなど |
再就職手当を申請するときの注意点は?
再就職手当の申請では、期限管理と書類の正確さが特に重要になります。ここを誤ると支給が遅れたり、不支給になったりする可能性があります。
申請期限(再就職翌日から1か月以内)を厳守する
申請期限は再就職日の翌日から1か月以内と定められており、これを過ぎると原則として受給できなくなります。就職直後は研修や業務で忙しくなりやすいため、就職前から必要書類の準備を進めておくことをおすすめします。
虚偽や不正な申請は絶対にしない
申請書類には勤務条件や雇用契約の内容を正確に記載する必要があります。事実と異なる内容を記載した場合、支給されないだけでなく、既に受給した手当の返還を求められる可能性があります。
再就職手当を受給するデメリットは?
再就職手当は早期再就職を後押しする制度ですが、状況によっては受け取らない方がよいケースもあります。主なデメリットを整理します。
失業保険を最後まで受給する場合に比べ、再就職手当の受給額は基本手当の一部(60〜70%相当)にとどまるため、総額としては少なくなる可能性があります。また、再就職を急ぐことで自分に合わない職場を選んでしまい、早期離職につながるリスクもあります。再就職手当を受給した後に短期間で離職すると、次の失業給付の受給条件や受給額に影響する場合もあるため、就職先の適性は慎重に見極める必要があります。
再就職手当と税金・扶養の関係は?
再就職手当は非課税の給付金であり、所得税の課税対象にはなりません。そのため受け取っても確定申告や年末調整で申告する必要はありません。
一方で、社会保険の扶養に関しては注意が必要です。被扶養者の収入要件(年間収入130万円未満など)を判定する際、再就職手当の金額が収入として扱われる場合があり、状況によっては扶養から外れる可能性があります。扶養に入ることを予定している場合は、事前に加入先の健康保険組合等へ確認しておくと安心です。
再就職手当に関してよくある質問
再就職手当はもらわない方がいい?
短期間での離職リスクがある場合や、じっくり転職活動をしたい場合は、あえて受給しない選択も考えられます。再就職手当を受け取ると基本手当の受給が打ち切られるため、自身のキャリアプランや就職先の安定性を踏まえて判断することが重要です。
再就職手当の審査は厳しい?
再就職手当の審査では、雇用契約の内容や失業給付の残日数、前職との関係性などが確認されます。書類の不備や要件不足が主な不支給理由となるため、申請前に要件と書類を十分に確認しておきましょう。
再就職手当を上手に活用しましょう
再就職手当とは、早期に再就職した人に支給される雇用保険の一時金であり、基本手当日額×支給残日数×給付率(60%または70%)で金額が決まります。受給条件や申請期限、必要書類を事前に把握し、就業促進給付の一つとしての制度趣旨を理解した上で、自分のキャリアプランに合った再就職を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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