• 作成日 : 2022年11月30日

給与辞令とは?作成は義務?

給与辞令とは?作成は義務?

給与辞令とは、等級変動による昇給や降給などの給与改定時に交付される辞令です。給与辞令の交付は義務ではありませんが、給与支給額の変動は社員の評価を意味するため極力交付の機会を設けると良いでしょう。なお、給与辞令に特定のフォーマットはありません。この記事では給与辞令の意義を紹介します。

給与辞令とは?いつ使用する?

給与辞令とは、社員の給与が変動した際に交付される辞令です。給与辞令は、入社時や社員等級が変動し、昇給もしくは降給する時に交付されます。会社によっては給与辞令の交付を省略し、給与明細によって新たな給与を通知する場合もあるでしょう。しかし、昇給や降給は現時点での社員の評価や将来的な期待を意味するため、なるべく機会を設けて給与辞令を交付した方が社員の士気も高まります。

給与辞令に特定の様式やフォーマットはありませんが、給与の変更内容・新たな額面給与・適用開始日などを記載するのが一般的です。給与の改定は従業員に多大な影響を及ぼすため、給与辞令で通知すると同時に、口頭でも説明しなければなりません。特に、減給する場合は後々トラブルにならないよう、減給に至った経緯を文書と口頭で十分説明しましょう。

社員の評価や会社の経営状況など、客観的な事実に基づき説明して社員の理解を得ることが重要です。場合によっては、給与改定の内容を承諾したという合意書を取得するのもトラブル防止に役立つでしょう。

なお、昇給や降給など賃金の決定については、就業規則に規定しておく必要があります。就業規則とは、労働基準法で作成が義務付けられている規定です。就業規則には労働時間・休憩時間・休日休暇とあわせて賃金に関する事項も規定し、社員はそれに従い労働に従事することになります。就業規則には必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があり、賃金に関する事項は絶対的必要記載事項の1つです。

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給与辞令を作成する意味

給与辞令は、社員に対し給与改定の内容を正式に通知する目的で作成される辞令です。一般的に、給与には人事評価が反映されるため、給与辞令は労働に対する評価という意味合いもあります。評価によっては昇給ではなく降給となる場合もあるため、社員の同意を得るうえでも重要です。後々トラブルに発展した場合でも、文書として残しておけば証拠となります。特に、会社の業績悪化など人事評価に基づかない降給は、給与辞令の交付時に同意書を取得すると安心でしょう。辞令交付時には書面を手渡すだけでなく、降給の理由を合理的に説明し社員に納得してもらうことが重要です。

なお、給与辞令の交付方法は会社によって自由に選択することができます。機会を設けて直接社員に文書を手渡したり、電子媒体をメールに添付して通知したりする方法が一般的です。いずれの方法でも、証拠能力を高めるためには個別に書面化しておいた方が良いでしょう。

また、人事命令がいきなり辞令として通知されるケースはあまりなく、口頭や個別の文書で内示を出してから公示されるのが一般的です。給与改定は社員の生活に大きな影響を及ぼすため、事前に十分説明しておく必要があります。

さらに、給与辞令は重要な人事命令であるため、労働基準法に則って規定された就業規則に基づき作成・交付しなければなりません。給与辞令の交付によって、労使間の合意を得ることが重要です。

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給与辞令の作成は義務?

給与辞令の作成は、法律で定められた義務ではありません。そのため、給与辞令の交付を省略し、給与明細等によって給与改定を通知することも可能です。ただし、従業員を雇用する際は、労働基準法によって労働条件を明示するよう義務付けられているため気を付けましょう。

また、賃金や労働時間、その他の労働条件については、労働条件通知書を作成・通知しなければなりません。なお、労働基準法施行規則の改正に伴い、労働条件通知書はメールやSNSを利用した通知も可能になりました。しかし、賃金を始めとした絶対的必要記載事項については原則書面で通知し、労働者がメールやSNSでの通知を希望した場合でも出力して書面を作成できるものに限られるため、注意が必要です。

一方、給与辞令の交付は法的な義務ではありませんが、社員にとって給与改定は大きな意味を持ちます。機会を設けて書面を手渡し、労働に対する評価を給与辞令という形で伝えるのも良いでしょう。

なお、労使間の合意に基づき労働契約を結んだ時点で、会社には労働者に対して人事命令する権利が生じ、労働者は命令に従う義務を負います。辞令が交付された場合、労働者は原則辞令に従わなければなりません。ただし、法令に反する辞令や人事権の範囲を逸脱した命令は拒否可能です。根拠が乏しい給与改定や、通常甘受すべき不利益を超えた給与改定などは拒否できる可能性があるため覚えておきましょう。人事評価や経営状況の悪化で減給する場合は、給与辞令として書面化し、客観的かつ合理的に説明して社員の理解を得る必要があります。

参考:「労働基準法施⾏規則」 改正のお知らせ|厚生労働省

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給与辞令の記載項目

給与辞令に特定の様式やフォーマットはありませんが、人事命令に関わる重要な書面なので、必要事項を漏らさず記載する必要があります。給与辞令には下記の項目を記載するのが一般的です。

  • 交付日
  • 氏名
  • 所属部署
  • 社員等級
  • 役職
  • 基本給
  • 諸手当
  • 適用年月日

基本給だけでなく、継続的に支給される役職手当等の諸手当も明記しましょう。また、給与改定がいつから適用されるのかも明示する必要があります。

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無料テンプレートを活用し給与辞令を交付しよう

この記事では、給与辞令について紹介しました。給与辞令とは、社員の給与が変動した際に交付される辞令です。雇用時以外、給与辞令の交付は法的な義務ではないため、辞令交付を省略して給与明細で代替している会社も多いことでしょう。しかし、給与改定は人事評価と直結しており、社員に大きな影響をもたらします。給与改定に関わる給与辞令は、労働に対する評価と捉えることも可能です。機会を設けて書面を手渡すことで、社員の士気を高めることもできるでしょう。

また、社員を減給する場合は、より一層の配慮が必要です。減給の理由を客観的かつ合理的に説明し、社員の理解を得なければなりません。給与辞令として書面化しておけば、後々トラブルになった際に証拠となります。会社の業績悪化など、人事評価を伴わない降給の場合は同意書を取得しておくとさらに安心です。

よくある質問

給与辞令とは何ですか?

給与辞令とは、昇給や降給などの給与改定時に交付される辞令です。人事評価に基づく等級変動による給与改定時だけでなく、会社の業績変動による給与改定時にも交付されます。詳しくはこちらをご覧ください。

給与辞令の作成は義務ですか?

給与辞令の作成は、法律で規定された義務ではありません。ただし、従業員を雇用する際は労働条件通知書を作成し、賃金や労働時間などの労働条件を書面通知しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:鈴木 茂伸(社会保険労務士)

フェリーチェ社労士事務所代表。 福祉施設を中心に、労務管理や人事評価作成等を含めた「経営組織」のサポートを行っており、「福祉系人事コーディネーター」として活動中。また、障害年金にも精通しており、障がい者のサポートも行っている。現在「経営心理学」を学び、企業内の人間関係を研究中。仕事場のデスク周りは、リラックマに囲まれている。

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