• 作成日 : 2022年7月29日

有給休暇の義務化とは?5日が最低?中小企業が取るべき対策

有給休暇の義務化とは?5日が最低?中小企業が取るべき対策

年次有給休暇は、労働者のリフレッシュを目的として法制化されましたが、取得率は低く推移しています。そこで、取得のルールを義務化することで有給休暇の取得率を向上させるために労働基準法が改正されました。

今回は、この法改正による取得義務化の概要、開始時期、対象者や罰則、中小企業が取るべき対策などについて見ていきます。

有給休暇の義務化とは?

労働基準法では、労働者が心身をリフレッシュさせるなどのために、原則として有給休暇を労働者の請求する時期に取得させることを義務付けています。しかし、労働者側が請求自体を躊躇すること、また、周りの同僚に気兼ねをすることが多く、有給休暇の取得が進まないため、その取得促進が課題になっていました。

そこで、有給休暇の取得を法律で義務化することによって少しでもその取得率が向上するように法改正が行われました。施行時期については、大企業も中小企業も同じ時期に施行されています。

ここからは、法改正の内容、中小企業に実施猶予はあるのか、違反の際の罰則について解説していきます。

2019年4月の働き方改革関連法で施行

有給休暇の取得率が低調なことを受けて、2019年4月1日に改正された労働基準法では、年に10日以上の有給休暇が付与された労働者については有給休暇を取得させることが義務化されました。

この法改正によって、会社は労働者の有給休暇の管理を適正に行うとともに、取得状況を有給休暇管理簿で管理して、対象の労働者には1年間で5日間の有給休暇を確実に取得させなければならなくなりました。

有給休暇の義務化に実施猶予はある?

有給休暇の年5日取得の義務化は、企業規模などに応じた実施猶予期間などはなく、2019年4月1日から一斉に施行されました。

実施しなかった場合、罰則はある?

対象の労働者に有給休暇の年5日取得の義務を果たせなかった会社については法令違反となります。違反した際の罰則として、対象の労働者1人につき30万円以下の罰金が科されるのです。違反は対象労働者1人ごとに罰則が適用されますので、違反した労働者の人数により罰金の額も増えていきます。

したがって、有給休暇の取得に漏れがないよう正確に管理していくことが大切です。また、取得が進んでいない労働者には取得を促すことも必要になるでしょう。

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義務化に伴い中小企業が取るべき対策

有給休暇の年5日取得義務化によって中小企業が取るべき対策についてですが、有給休暇の管理担当者がきちんと法改正に対応できているかどうかを確認しながら正確な有給休暇の管理を行うことが大切です。対象者の年5日取得が遅れている場合は早めに取得を促すなどして適切な有給休暇の管理を進めていきましょう。

ここからは、義務化に伴って注意する必要があるルールをいくつか見ておきます。

時間単位での「時季指定」は不可

時間単位の有給休暇については、会社による時季指定の対象とはならず、労働者が自ら取得した場合でも、その時間単位分を年5日の取得義務日数から控除することはできません。

ただし、半日単位での有給休暇を取得した場合においては、その取得1回につき0. 5日として、年5日取得義務から控除することができます。

特定の条件においてパート・アルバイトも対象

パート・アルバイトなど、所定労働日数が少なく1年度に付与される有給休暇の日数が10日未満の労働者については、有給休暇の年5日取得義務の対象者にはなりません。

前年度から繰り越された有給休暇の日数はカウントせず、当年度に付与された有給休暇の日数が10日以上の労働者が年5日取得義務の対象者になります。

「年次有給休暇管理簿」の作成・保存が必要

会社は、労働者ごとに有給休暇管理簿を作成して3年間保存しなければなりません。有給休暇管理簿では、有給休暇付与基準日、取得日、取得日数を労働者ごとに明示した帳簿を作成してください。労働者名簿や賃金台帳と合わせて作成しても問題はありません。

尚、必要なときにいつでも出力できる仕組みにした場合には、システム上で管理することにしても差し支えないとされています。

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有給休暇について適切な管理を行いましょう

「働き方改革」の関係で労働基準法が改正され、年次有給休暇についてもその取得率を向上させる取り組みとして「年5日の有給休暇の取得の義務付け」が行われています。

今回は、有給休暇の年5日取得義務化の概要やルール、中小企業が取るべき対策について説明してきました。

大企業、中小企業に関わらず、有給休暇取得義務化は労働者のワークライフバランスにもつながる取り組みです。法令違反による罰則を受けることがないよう、全ての労働者の有給休暇の付与日数や使用日数などに注意しながらしっかりと適正な管理を行いましょう。

よくある質問

有給休暇の義務化とはなんですか?

有給休暇取得率が低い現状を踏まえて、2019年4月1日の改正労働基準法で、全ての会社において年に10日以上有給休暇が付与された労働者には、年に5日の有給休暇を取得させることが義務付けられました。詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇の義務化に伴い、中小企業が取るべき対策を教えてください

有給休暇の管理担当者が労働者の有給休暇を正しく管理すること、具体的には、法改正への対応の確認や有給休暇管理簿の作成による基準日、残日数、取得日数、年5日取得義務のある労働者の取得状況の把握などです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。

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