• 更新日 : 2023年11月2日

通勤とは?定義や交通費の計算方法

通勤とは?定義や交通費の計算方法

コロナ禍が明けた現在、以前のように会社へ通勤している方も増えています。一般的に使われる「通勤」という言葉ですが、正確には仕事のために自宅と職場を往復することを意味します。人事労務の分野では、社員に通勤手当を支給する際に通勤経路等の確認が必要です。当記事では、通勤の定義や通勤時間の目安、通勤手当の計算方法などを紹介します。

通勤とは?定義と対象

冒頭でもお伝えしたとおり、通勤とは一般的に仕事のために自宅と勤務先を往復することです。自宅から会社への往路を通勤とイメージする方も多いかもしれませんが、会社から自宅への復路についても通勤に該当します。

また、労働条件の最低基準を示した「労働基準法」や、労働者災害補償保険、いわゆる労災保険に関する基準を定めた「労働者災害補償保険法」においてはより厳密に通勤を定義しているため、あわせて確認しておきましょう。

労働基準法における通勤の定義

労働基準法においては、労働者へ賃金の支払い義務が生じる労働時間について厳格に定められています。そもそも労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間です。使用者の指揮命令下に置かれていると判断されれば場所を問わず労働時間に該当するため、事業所内だけでなく取引先や出張先などへの電車移動や飛行機移動など、行動の自由が制限される移動時間についても労働時間に含まれます。

一方、自宅から勤務先などへの通勤時間は原則として労働時間に含まれません。なぜなら、どこをいつ出発し、どのような経路で勤務先、もしくは勤務先に類する場所に到達するかは労働者に一任されており、使用者の指揮命令に従うものではないからです。前述の出張時間についても、何か果たすべき別段の用務を命じられるなど、具体的な労務に従事していない単なる移動時間については労働時間にあたらないと判断されるため、気をつけましょう。

ただし、通勤の途中で会社の命令によって取引先や顧客の居宅などに立ち寄る場合、通勤経路から逸脱した部分は労働時間に該当します。就業規則等の規定にかかわらず客観的に判断し、使用者の明示もしくは黙示の指示によって労働に従事していると判断される場合は、通勤途中であっても労働時間に該当するため気をつけましょう。

参考:ちょっと 待った!事務所と現場の移動時間を見直してみませんか?|厚生労働省 長野労働局

労働者災害補償保険法における通勤の定義

労働者の労働災害や通勤災害などに対する補償を定めた労働者災害補償保険法においては、業務に関連した次の移動を通勤と定義しています。

  1. 住居と就業の場所との間の往復
  2. 就業の場所から他の就業の場所への移動
  3. 住居と就業の場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動

合理的な経路および方法によって行われる上記の移動で、業務の性質を有さないものが通勤です。なお、経路を逸脱、または移動を中断した場合、逸脱・中断した間とその後の移動は通勤に該当しません。ただし、日常生活上必要な行為で、やむを得ず行う最小限度の逸脱・中断の場合、通勤経路への復帰後は通勤として扱われます。

通勤に該当するかどうかは労災補償の対象となるか否かにかかわるため、労働者災害補償保険法における通勤の定義は確実に把握しておきましょう。なお、事業所から取引先への移動など、業務の性質を有する移動は通勤災害ではなく労働災害の範囲に含まれます。

参考:通勤災害について|厚生労働省 東京労働局
参考:労災保険の通勤災害保護制度が変わりました|厚生労働省

通勤時間の目安  – 快適な範囲は?

充実した職業生活やワークライフバランスを実現するためには、毎日の通勤時間は重視すべき非常に大切な要素です。

総務省の基幹統計「令和3年社会生活基本調査」によると、通勤・通学時間の全国平均は1時間19分となっています。都道府県別に見ると、神奈川県が最も長く、1時間40分という結果です。次いで千葉県と東京都がそれぞれ1時間35分、埼玉県が1時間34分となっており、関東地方の通勤時間が長い傾向にあります。一方、山形県および宮崎県が56分と最も短く、次いで愛媛県が57分、鳥取県が59分などとなっており、地方は都心部に比べると通勤時間が短くなる傾向にあるようです。

順位都道府県通勤・通学時間の平均(時間.分)
全国1.19
1神奈川県1.40
2千葉県1.35
2東京都1.35
4埼玉県1.34
5奈良県1.28
6大阪府1.27
7兵庫県1.24
8京都府1.21
9茨城県1.18
9愛知県1.18
41秋田県1.00
41新潟県1.00
41石川県1.00
44鳥取県0.59
45愛媛県0.57
46山形県0.56
46宮崎県0.56

引用:令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要|総務省統計局

通勤には満員電車や長距離移動などのストレスが伴うため、通勤時間が長い人ほど幸福度が下がる傾向にあると考えられています。

実際、ニッセイ基礎研究所の通勤時間と幸福度の関係に関する研究によると、片道の通勤時間が90分以上の人は90分未満の人に比べて幸福度が低い傾向にあることがわかりました。同研究では通勤時間が片道10分以内の場合に最も幸福度が高くなっているため、幸福度を高めるためには片道90分未満を一つの目安に、なるべく通勤時間を短くすることが重要です。

参考:通勤時間と幸福度の関係-リモートワークの拡大で幸福度は高まるか? 基礎研REPORT(冊子版)10月号[vol.283]|ニッセイ基礎研究所

通勤手当の対象となる通勤手段

企業は従業員に対し、通勤にかかる諸費用を通勤手当として支給するのが一般的です。ただし、通勤手当の支給は労働基準法などの法律によって定められた事業主の義務ではありません。そのため、通勤手当の対象となる通勤手段についても法的な定めはなく、事業主が策定する就業規則や、労使協定・労働協約など労使間の取り決めに従うことになります。一般的な通勤手段としては、下記のようなものが挙げられるでしょう。

  • 電車やバスなどの公共交通機関
  • 自家用車
  • 自転車
  • 徒歩 など

通勤時間は労働時間には含まれないものの、労災補償の対象ともなりうる時間です。会社が認める通勤手段については、就業規則等に必ず明示しておきましょう。なお、通勤手当の対象となる通勤手段について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

通勤手当の計算方法

通勤手当の計算方法についても、就業規則等でルールを定めておく必要があります。計算方法は法律で定められているわけではなく会社の一存で規定できますが、下記の方法によって算出するのが一般的です。

電車やバスなどの公共交通機関で通勤する場合

  1. 通勤定期券を利用する場合

    1ヶ月定期・3ヶ月定期・6ヶ月定期など定期代の実費を支給するのが一般的です。

  2. 回数券を利用する場合
    通勤手当=(回数券1綴りの価格×1ヶ月あたりの所要枚数)÷回数券1綴りの枚数
  3. 出勤日数に応じて毎月支給する場合
    通勤手当=片道の運賃×2(往復)×出勤日数
  4. ICカードを利用する場合
    通勤手当=(支給月数に応じた通勤のため実際に負担する運賃の合計÷支給月数)×支給月数

自家用車でマイカー通勤する場合

  1. ガソリン単価と燃費で計算する場合
    通勤手当=往復の通勤距離×出勤日数×ガソリン単価÷燃費

    公共交通機関の定期代のように1ヶ月の支給額を固定したい場合は、次の計算式によって求められる平均出勤日数を用いる方法もあります。

    平均出勤日数=(365日-所定休日の日数)÷12ヶ月
  2. 距離で計算する場合
    通勤手当=片道の通勤距離×距離単価×出勤日数×2(往復)

    距離単価は会社によって異なるため、就業規則等に規定しておく必要があります。

自転車や徒歩で通勤する場合

自転車や徒歩で通勤する従業員に対して通勤手当を支給するかどうかは会社によって異なるため、やはり就業規則等で規定しておく必要があります。支給する場合は、一定距離以上を条件に、マイカー通勤と同様、通勤距離に距離単価を乗じて算出した通勤手当を支給するのが一般的です。

通勤手段の計算方法について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

通勤は仕事のために自宅と勤務先を往復すること

今回は通勤について解説しました。一般的に使われている「通勤」という言葉ですが、正確には仕事のために自宅と勤務先を往復することを意味します。労働基準法の規定では、通勤時間は労働時間に含まれません。しかし、労働者災害補償保険法では業務に関連した住居と就業の場所との間の往復などと定義されており、通勤時間は労災補償の対象ともなりうる時間です。

記事の後半では、通勤時間の目安や通勤手段、通勤手当の計算方法についても解説しました。ちなみに、通勤手当は原則非課税ですが、一定額を超えると所得税の課税対象となり、社会保険料や雇用保険料の算定基礎にも含まれるため注意が必要です。通勤手当の課税・非課税については以下の記事で詳しく解説しているため、あわせて確認しておきましょう。


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