- 更新日 : 2024年9月4日
特別休暇とは?有給休暇との違いについても解説
特別休暇とは、会社が独自に定めて従業員に付与する休暇のことです。法律での規定がない点が、法定休暇と異なります。慶弔休暇や夏期休暇、リフレッシュ休暇などが特別休暇にあたり、多くの企業で導入されています。働き過ぎを是正する目的で導入が促進されていますが、導入の際は法定休暇である有給休暇との関係を理解する必要があります。
目次
特別休暇とは
特別休暇とは、会社が独自に定める休暇を指します。労働者との話し合いで任意に設定する休暇で、目的や取得形態を自由に設定できる休暇です。労働者が健康で充実した生活を送るためにはライフワークバランスを保つことが大切であり、そのためには働き過ぎを是正する必要があります。労働者の個々の事情に合わせて休暇を取りやすくすることが求められ、政府によって特別休暇の普及・促進が進められています。
特別休暇の例
特別休暇は任意で設定できる休暇であるため、その種類はさまざまです。代表的な特別休暇は以下のとおりです。
慶弔休暇
慶弔休暇は、従業員や従業員の親族の慶事や弔事に対して付与される休暇です。結婚や出産、死亡などが休暇の付与事由になり、一般的に近親の程度によって異なる日数の休暇が付与されます。
慶弔休暇の日数の例
- 従業員本人の結婚 5日間
- 配偶者の出産 5日間
- 子の死亡 10日間
- 親の死亡 5日間
- 祖父母の死亡 3日間 など
病気休暇
病気休暇は、病気の療養のために付与される休暇です。長期で治療のための休暇が必要な場合や、通院のために1日間や半日間といった休暇が必要な場合に付与されます。年次有給休暇とは別に、体調不良時に使用できる病気休暇を設けておくことで、疾病の不安を抱える労働者でも安心して働ける労働環境を整えることができます。
夏期休暇
夏期休暇は夏期に付与される休暇で、一般的に8月13日から8月15日までの期間に設定されます。お盆の時期に休暇を付与することで従業員が墓参をしやすくなり、福利厚生の充実につながります。また、多くの企業が同じ期間に夏期休暇を設定するため、自社も休業したほうが効率的であるという理由もあります。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇は、従業員の心身の疲労回復を目的に付与される休暇です。一般的に勤続○年目といった節目に付与されます。永年勤続者への慰労の意味もあり、リフレッシュ休暇取得の際は旅行券などを贈呈する企業もあります。
リフレッシュ休暇の日数の例
- 勤続3年ごとに5日
- 勤続5年で5日
- 勤続10年で10日 など
ボランティア休暇
ボランティア休暇は、自発的に無償で社会貢献活動を行う従業員に対して付与される休暇です。積極的に社会貢献を行う従業員を雇用し、その活動を後押しすることで、企業イメージの向上を図れます。さまざまな活動を通じて従業員の能力向上・スキルアップを図れることから、人材育成にもつながるでしょう。また、従業員が充実した生活を送れるようになることからライフワークバランスの均衡を図れ、仕事に対するモチベーション向上が見込めます。
特別休暇と有給休暇の違い
特別休暇と有給休暇(年次有給休暇)には、さまざまな違いがあります。まず特別休暇は法定外休暇、有給休暇は法定休暇である点が異なり、有給か無給かという違いもあります。
法定休暇とは
法定休暇は法律によって付与が規定されている休暇で、会社は必ず付与しなければなりません。法定休暇には、以下のようなものがあります。
年次有給休暇
年次有給休暇は、労働基準法第39条の規定により付与される休暇です。
労働基準法第39条(年次有給休暇)
使用者は、その雇い入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
(引用:昭和二十二年法律第四十九号労働基準法|e-Gov法令検索)
この定めにより、年次有給休暇に対しては給料の支払いが必要です。年次有給休暇は雇い入れ6ヵ月後に付与し、また以下の表のように20日まで、継続勤務1年ごとに1日、あるいは2日ずつ増やして付与することが定められています。
生理休暇
生理休暇は、労働基準法第68条の規定により付与される休暇です。
労働基準法第68条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
(引用:昭和二十二年法律第四十九号労働基準法|e-Gov法令検索)
生理休暇は有給とすることが定められていないため、給料を支払う必要はありません。日数は生理日における症状(下腹痛・腹痛・頭痛など)に個人差があるため、限定すべきでないとされています。また必ずしも1日単位で休暇を付与する必要はなく、半日や時間単位での休暇付与も認められています。
育児休業・介護休業
育児休業・介護休業は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づいて付与される休暇です。育児休業は労働者が原則としてその1歳に満たない子を養育するためにする休業と定義され、期間は原則として子が1歳までの連続した期間とされます。介護休業は労働者がその要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するためにする休業と定義され、期間は対象家族1人につき通算93日までと定められています。
法定外休暇とは
法定外休暇は、法定休暇以外に会社が任意で労働者に付与する休暇です。特別休暇は法定外休暇に該当し、会社に休暇の設定や労働者に対する付与を行うことは、義務付けられていません。また、有給とするか無給とするかについても自由です。
特別休暇を導入する際の注意点
特別休暇を導入する際は、特別休暇や他の休暇の性質を正しく理解しておく必要があります。そのポイント・注意点を紹介します。
特別休暇は原則年次有給休暇の5日取得義務に含まない
働き過ぎを是正するため、年に5日の年次有給休暇取得が義務化されました。労働者は付与される年次有給休暇のうち5日以上を取得しなければならず、会社には取得させる義務があります。年次有給休暇は法定休暇であるのに対し、特別休暇は法定外休暇です。そのため、原則として特別休暇を付与しても、年次有給休暇の5日取得義務に含めることはできません。ただし「理由を問わない」「時期を限定しない」といったように、年次有給休暇と同じものとした特別休暇は、法律の定める日数に上乗せして付与した有給休暇として、年次有給休暇の5日取得義務に含めることが認められます。
休暇の基準やルールを設定する
特別休暇は対象となる従業員全員が公平に取得できるよう、基準やルールを設定する必要があります。設定すべき事項は以下のとおりです。
- ・目的
- ・付与日数
- ・対象従業員
- ・条件
- ・有給か無給か など
また、労働基準法では休暇は就業規則に記載すべき事項であることを規定しています。そのため、特別休暇を導入する際は就業規則に記載しなければなりません。
労働基準法第89条(就業規則の作成及び届出の義務)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
(引用:昭和二十二年法律第四十九号労働基準法|e-Gov法令検索)
特別休暇申請書の無料テンプレート・ひな形
従業員が特別休暇を取得する際に手続きをスムーズに進めるため、特別休暇申請書を活用しましょう。特別休暇申請書は、従業員が特別休暇を取得するために提出する書類です。取得期間や特別休暇中の連絡先などを記載します。
以下より、特別休暇申請書のテンプレート(エクセル・ワード)を無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
法定休暇との違いを理解し、自社に合った特別休暇を設けよう
特別休暇は、目的に応じて企業が独自に設定して労働者に付与する法定外休暇です。法律で付与が義務付けられている年次有給休暇などとは異なり、付与日数や条件、有給・無給などを自由に定めることができます。多くの企業では、慶弔休暇や夏期休暇、リフレッシュ休暇などが特別休暇として設けられています。法定休暇には、年次有給休暇の他に生理休暇、育児休業、介護休業があります。特別休暇を理解するためには、これらの法定休暇との違いに着目するとよいでしょう。
特別休暇の導入にあたっては、原則として年次有給休暇5日の取得義務に含まれない点に注意してください。また休暇は就業規則の絶対的記載事項であるため、就業規則で規定することも求められます。理解を深め、労働者と十分に話し合った上で自社に合った特別休暇を設けましょう。
よくある質問
特別休暇とは?
企業が独自に設け、労働者に付与する休暇です。詳しくはこちらをご覧ください。
特別休暇と有給休暇の違いは?
有給休暇は法定休暇であるのに対し、特別休暇は法定外休暇です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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