• 更新日 : 2023年12月27日

サマータイムとは?制度の意味やメリット・デメリット解説

サマータイムとは?制度の意味やメリット・デメリット解説

サマータイムとは、時計の針を1時間進め、日中の活動時間を伸ばす制度をいいます。主にアメリカやヨーロッパ諸国、南半球の国で導入されています。

サマータイムの実施期間は国によって異なり、日本でも、近年サマータイム導入の議論が活発に行われています。ここでは、サマータイム制度の意味やメリットについて解説します。

サマータイムとは?

サマータイムとは、日の出の時間が早まる夏場の期間に、時計の針を1時間進める制度のことです。1時間早まることで、太陽が出ている時間帯を有効活用できます。サマータイムという呼び方のほか、「デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time(DST)」という呼び方があります。

サマータイムはヨーロッパ・北米・オセアニアで主流

サマータイムは、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアの国などではすでに導入されています。特に欧米諸国では広く導入されており、OECD加盟国において、35か国中31か国がサマータイムを実施しています。

【サマータイムの実施国】

  • アメリカ
  • カナダ
  • イタリア
  • イギリス
  • ドイツ
  • オーストリア
  • フランス
  • オーストラリア
  • ニュージーランド など

ただし、ヨーロッパでは2019年に欧州連合で夏時間の廃止の法案が可決されました。2021年を持ってサマータイムが終了する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行により議論を進めることができず、現時点で廃止に至っていません。

参考:「えっ!日本もサマータイム導入?」(くらし☆解説)|NHK

サマータイムが必要な理由

サマータイムが導入された主な目的は、日照時間の有効活用です。夏場は日照時間が長くなるため、時計の針を1時間早めることで日中の時間が長くなります。たとえば、夕方5時に仕事を終えて外に出ると太陽がまだ明るく、夜の8時過ぎまで夏の時間を楽しむことができます。

太陽の自然光を使うことで電力の消費を減少できること、また活動時間が長くなり経済効果が期待できることが、サマータイムが必要とされている理由です。

サマータイムの期間

サマータイムは夏にはじまりますが、具体的にいつ始まるのかは国によって異なります。

  • アメリカ

    3月の第2日曜日午前2時に、1時間時計の針を進めて夏時間にする。11月の第1日曜日午前2時に、1時間時計の針を元に戻す。

  • ヨーロッパ諸国

    3月の最終日曜日午前1時に時計の針を進め、10月の最終日曜日午前1時に時計の針を元に戻す。

  • ニュージーランド

    9月の最終日曜日午前2時に時計の針を進め、4月の第1日曜日午前3時に時計の針を元に戻す。

北半球の国では、主に3月から10月にかけてがサマータイムの実施期間です。季節が逆である南半球の国(オーストラリアやニュージーランド)では、9月から4月にかけてがサマータイムの実施期間となっています。

参考:世界の時差に関する話題|ニッセイ基礎研究所

日本でもサマータイム制度は導入できる?

日本でも、2018年頃から東京オリンピックの開催に向けて、暑さ対策の一環としてサマータイム制度導入の議論が活発化しました。しかし、2023年現時点では、実施に至っていません。たとえば、2018年にNHKが実施した世論調査では、サマータイムの導入に賛成が半数以上と、肯定的な印象を持っている人が少なくないといえます。

参考:「えっ!日本もサマータイム導入?」(くらし☆解説)|NHK

サマータイムの導入は日常生活に大きく影響を与えることでしょう。標準時間を1時間進める・戻すという作業は、システムで稼働するビジネスに大きな影響を与えます。電車をはじめとする公共交通機関の運行スケジュールはその代表的なものです。また、学校や会社の時間についても、どのような影響を受けるのか検討しなければなりません。

また、日本では真夏日が多く、日中の日照時間が長くなることが、人々の健康に悪影響を与える可能性も考えられます。

サマータイム制度導入のメリット

サマータイムのメリットは、省エネや経済の活性化にあります。

省エネや温暖化ガスの削減

サマータイムのメリットの1つが、太陽光を有効活用することで温暖化ガスの削減や省エネを実現できることです。

日本でサマータイムが注目されたきっかけの1つが、2005年に発効された京都議定書でした。京都議定書では、日本では2012年までに温室効果ガス排出量を1990年対比6%削減することが求められました。この温室効果ガスを削減する手段の1つとして、サマータイム制度の導入が注目されたのです。ただし、サマータイムによる省エネ効果はさまざまな議論があり、限定的な影響に留まるという見方が日本では主流です。

参考:
サマータイムの利点と難点を知る|nikkei4946.com(日本経済新聞社)
サマータイム制度の導入に向けて|株式会社 日本総合研究所

経済の活性化

サマータイムは、人々の消費意欲を活性化させる効果が期待できます。たとえば、サマータイムを導入しているニュージーランドでは、夏になると平日でもレストランやバーで日光を浴びながらビールを楽しむ人々の姿が多く見られます。こうした光景は、日没が早い冬には見られなかったものです。観光客の流入と合わせて、サマータイムは地域の経済活性化につながるといえます。

サマータイム制度導入のデメリット

一方、サマータイムには生活リズムが崩れるといったデメリットがあります。

生活リズムへの影響

1時間時計がズレることで、生活リズムが乱れます。サマータイムの導入で時間がズレるタイミングは年に2回です。

サマータイムがはじまる日は、人々はいつもよりも1時間早く起きなければなりません。たったの1時間と思われる人もいるかもしれませんが、体内時計にもたらす影響は少なくなく、「眠気がとれない」「疲れやすい」と感じる人もいます。乳幼児など睡眠リズムが不安定な人々にとって、サマータイムは「厄介な期間」といえます。

時差が与える仕事への影響

時間がズレることにより、仕事にも影響が発生します。現代では、スマートフォンのようにサマータイムに合わせて自動で時刻が切り替わる時計が主流ですが、壁掛け時計など手動での時間変更が必要なものもあります。航空や鉄道のダイヤも、混乱がないように調整しなければなりません。

サマータイム制度にはメリット・デメリットの両方がある

太陽の日差しを楽しむことができるサマータイムですが、日常生活のリズムの乱れなどから、サマータイム実施国において廃止を指示する声も少なくありません。2019年の欧州員会で決定されたサマータイム廃止の法案は、その1つの流れといえるでしょう。もしサマータイムをこれから導入する国があれば、メリット・デメリットの両方を慎重に検討し、効果を見極めた議論が求められます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事