- 更新日 : 2024年5月17日
正社員とは?メリット・デメリットや種類について解説!
正社員とは、労働契約の定めがなく企業に直接雇用される従業員のことです。一般的な正社員は、これらの要件に加えフルタイムで働くケースが多いでしょう。今回は、正社員のメリット・デメリットや種類、非正規雇用との違いを解説します。
目次
正社員(正規雇用)とは?
正社員の法律上の定義はないものの、一般的には以下のような定義に当てはまる者を指します。
- 労働契約の期間の定めがない
- 所定労働時間がフルタイムである
- 直接雇用である
これに対し、人材の確保やワーク・ライフ・バランス支援などを目的とした、勤務地、 職務内容や労働時間などが限定されている「多様な正社員」の制度に注目が集まっています。
参考:勤務地などを限定した「多様な正社員」の 円滑な導入・運用に向けて|厚生労働省
正社員の種類 – 多様な正社員
厚生労働省が新しい労働形態として提唱する「多様な正社員」の働き方は多岐にわたり、制度の普及によって、正社員と非正規雇用の働き方の二極化を緩和すると考えられます。それぞれの特徴を確認しましょう。
一般的な正社員
一般的な正社員は、労働契約期間が無期限かつ所定労働時間がフルタイムの、直接雇用の従業員のことを指します。基本的に、仕事内容に制限はありません。
職務限定正社員
担当する職務や業務内容が限定されている正社員を指します。一般的に、高度な専門性や資格を要する職務を担う正社員が当てはまります。情報サービス業のデータサイエンティストや金融業の証券アナリスト、医療・福祉業の仕事などが代表的です。
勤務地限定正社員
勤務地限定正社員は、転勤範囲が限定されている、あるいは転居を伴う転勤がない正社員を指します。育児や介護などで転勤が難しい方や、地元での就職を希望する方の企業への定着に効果的です。
短時間正社員
フルタイムで働く正社員と比較し、短い労働時間で働く正社員を短時間正社員と呼びます。妊娠や育児、介護などのライフスタイルや、高齢などライフステージに応じた多様な働き方が実現します。
正社員以外の雇用形態
雇用形態は、正社員だけではありません。正社員以外にも、複数の雇用形態が存在します。ここからは、雇用形態別の特徴を解説します。
契約社員
正社員が労働契約の期間の定めがないのに対し、契約社員は雇用主と有期労働契約を結んでいることが特徴です。
労働基準法においては、雇用期間は原則として最長3年と定められています。ただし、高度な専門知識を有する労働者や満60歳以上の労働者は、最長5年まで雇用契約を結ぶことが可能です。
派遣社員
派遣社員とは、雇用契約を締結した企業とは別の企業で働く労働者のことです。派遣社員には、「登録型派遣」「無期雇用派遣」「紹介予定派遣」などがあります。
嘱託社員
嘱託社員の明確な定義はなく、雇用主との間で有期労働契約を結んでいる点においては契約社員と同じです。そのため、嘱託社員は契約社員の1種ともいえます。
ただし、契約社員はフルタイムで働くケースが多いことに対して、嘱託社員は時短勤務や週に3~4日程度の勤務が多く、勤務時間や日数が両者の違いといえるでしょう。
パート・アルバイト
パートタイマーとは、法律上は「パートタイム労働者」と呼ばれます。同じ職場で働く通常の労働者と比較して1週間の所定労働時間が短い労働者のことです。アルバイトも、法律上はパートタイム労働者と同じ分類です。
非正規と正社員の違い
非正規雇用とは、契約社員やパートアルバイト、派遣社員などの正社員以外の雇用形態のことを指します。非正規雇用と正社員の違いとしては、以下のような点が挙げられます。
- 勤務地や勤務時間
- 雇用期間
- 給与形態
- 福利厚生
正社員の勤務地は、基本的に企業の命令によって決まる一方で、非正規雇用は転勤がないことが前提です。勤務時間については、正社員はフルタイム勤務が基本ですが、非正規雇用は時短勤務や1週間のうちの数日のみといった自由度が高い制度が適用されることが多いといえるでしょう。
また、正社員が企業と「期間の定めのない労働契約」を結ぶのに対し、非正規雇用は一定の雇用期間があらかじめ決められている傾向にあります。
正社員は、実際の労働時間に関わらず、一定期間の労働について払う給与額が固定されている固定給であるのが一般的です。一方で非正規雇用は、実際に働いた時間に応じて賃金が支払われることが多いです。ただし、非正規雇用のうち契約社員は月給制が基本であるように、非正規雇用の種類も複数あるため、給与形態もさまざまであるといえるでしょう。
福利厚生については、正社員には家族手当や住宅手当、資格手当などの法定外福利厚生が適用される傾向にあり、非正規雇用はその適用が限定的であるケースが多くみられます。しかし、有給休暇の取得や社会保険の加入については、正社員と同様のルールに基づき適用されるのがポイントです。
正社員のメリット – 非正規と比較した時
非正規雇用と比較した際の、正社員の主なメリットは以下のとおりです。
- 大きなプロジェクトに関われる・キャリアアップのチャンスが多い
- 収入が安定する
- 収入が基本的には非正規よりも多い
- 福利厚生の恩恵を受けられる
- ローンを組みやすい
- カード審査に通りやすい
- 雇用期間に定めがな
- 雇用契約上メリットが大きい
- 転職活動で有利にも
各メリットを解説します。
大きなプロジェクトに関われる・キャリアアップのチャンスが多い
正社員は非正規雇用に比べると、大きなプロジェクトに関われる、キャリアアップのチャンスが多いといったメリットがあることが一般的です。やりがいが大きい分責任も伴いますが、大きな達成感を得られるでしょう。また、成果を出せば出世の可能性も高まります。
収入が安定する
収入が安定することは、正社員として働くことで得られる大きなメリットです。ほとんどの企業が固定給制を採用しているため、勤務日数によって基本給が変動することはありません。毎月の収入額が大きく変わらないため先の見通しも立てやすく、安定した生活を送れます。
収入が基本的には非正規よりも多い
全体的な傾向として、正社員の収入は基本的に非正規雇用よりも多いことも、正社員として働くメリットの1つです。また、働く年数が長くなるとその分給料も上がっていくことが多いでしょう。
福利厚生の恩恵を受けられる
正社員は、福利厚生の恩恵を受けられる度合いが大きいことが特徴です。健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料の負担を、企業に折半してもらえます。
社会保険は、条件を満たせば非正規雇用も適用されますが、正社員のほうが条件を満たしやすいといえます。
ローンを組みやすい・カード審査に通りやすい
正社員であると、ローンを組みやすい、カード審査に通りやすい点もメリットです。正社員は長期的な雇用が保障され、安定的な収入が得られるとみなされるためです。このような社会的信用を得られることは、正社員であることの大きな利点といえるでしょう。
雇用期間に定めがない・雇用契約上メリットが大きい
正社員の大きなメリットとして、雇用の期間に定めがないことも挙げられます。
正社員は、例えば企業が経営不振に陥った際でも「本当に人員削減の必要があるのか」「企業は解雇を回避するための努力をしたのか」といった要件をクリアしなければ、解雇はできません。
そのため正社員として採用されれば、特別な事情がない限り、定年まで働き続けられる可能性が高いといえます。
転職活動で有利にも
正社員で働いていたことは、転職活動でも有利に働きます。
実績や業務内容を詳しく説明しなくても、責任ある仕事を任されていた人材とみなされることが多く、一定の評価を得られるでしょう。また、正社員は他の雇用形態の人材よりも、ビジネスマナーやスキルなどが身についていると判断されることも少なくありません。
そのため、転職活動において、他の雇用形態と比較して高い評価を受け、有利になる傾向があります。
正社員のデメリット – 非正規と比較した時
非正規正社員と比較した時の正社員のデメリットは、主に以下の5点です。
- 残業や休日出勤がある
- 勤務時間や休日が決まっている
- 長期休暇の取得が難しい
- 責任の割合が大きい
- 転職や異動について会社の采配によって決まる
それぞれの内容を解説します。
残業や休日出勤がある
正社員は責任のある仕事を担うことが多く、非正規雇用に比べて残業や休日出勤をしなければならない傾向にあります。残業や休日出勤が多いとプライベートな時間を確保しにくくなり、ワーク・ライフ・バランスが崩れるリスクがあることがデメリットといえるでしょう。
勤務時間や休日が決まっている
正社員は勤務時間や休日を決める自由度が非正規雇用に比べて低いことも、デメリットの1つです。
フルタイムで働くことが多いため、シフト制のパートタイマーのように、プライベートに合わせて「この週は出勤日を少なくしよう」というように、勤務日を決めることは難しいでしょう。
長期休暇の取得が難しい
正社員は、責任の大きなポジションに就いていることが多いため、長期休暇を取得しにくいこともデメリットです。プライベートを充実させたい方にとっては、ストレスが溜まってしまう働き方といえます。
責任の割合が大きい
非正規雇用に比べ、責任の割合が大きいことも正社員の特徴です。正社員はやりがいのある仕事を任されやすいですが、裏を返すと大きな責任を背負うことを意味します。
仕事へのやりがいを感じられる場合もあるものの、人によってはプレッシャーを感じてしまうでしょう。
転職や異動について会社の采配によって決まる
転職や異動が会社の采配で決まってしまうことは、正社員のデメリットといえるでしょう。企業は、一般的には人材育成や適材適所の配置を目的として、正社員に転勤や異動を命じます。企業は人事権に基づいて異動や転勤を命じているため、異動はもちろん、就業規則に記載がある場合は、基本的には転勤についても断れません。
正社員になるためには
正社員以外の雇用形態から正社員になるには、以下のような方法が有効です。
- 求人サイト・アプリを活用する
- 企業のホームページから直接申し込む
- すでにアルバイトや契約社員の場合、社員登用制度を活用する
それぞれの方法を解説します。
求人サイト・アプリを活用する
インターネット上の求人サイトやアプリを検索して正社員の仕事を探す方法です。非正規雇用から正社員を目指す場合は、「未経験者歓迎」や「正社員」などのキーワード入力をして検索すると、希望の求人を見つけやすくなるでしょう。
企業のホームページから直接申し込む
企業のホームページから正社員の仕事に直接申し込む方法も、効果的です。企業のホームページからの応募は、転職エージェントを経由した応募よりも、熱意や意欲があると評価されやすい傾向にあります。
また、転職エージェントにない企業にも応募できる点もメリットです。正社員として働いてみたいと思う企業がある場合は、企業のホームページから直接申し込むことも1つの方法です。
すでにアルバイトや契約社員の場合、社員登用制度を活用する
すでにアルバイトや契約社員で、その企業で正社員として働くことを希望する場合は、社内の社員登用制度を活用するのもおすすめです。
正社員登用されるための基準は、企業によって異なります。登用基準や別途採用試験が設けられているかなどについて、事前に情報収集をしておきましょう。実際に非正規雇用から正社員に登用された方がいる場合は、アドバイスをもらうとよいでしょう。
正社員と非正規雇用の二極化を緩和させる動きを知ろう
正社員とは、一般的には労働契約の期間の定めがなく、直接雇用される労働者を指します。昨今、人材の確保やワーク・ライフ・バランス支援などを目的とした、「多様な正社員」制度に注目が集まっています。従業員の意識やニーズの変化を把握するとともに、正社員と非正規雇用の二極化の緩和を目指す動きがあることを押さえておきましょう
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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