• 更新日 : 2026年10月5日

給与支払報告書と法定調書の違いとは?提出先・対象者・期限・様式変更を徹底比較

Point給与支払報告書と法定調書の違いは?

最大の違いは提出先で、給与支払報告書は住民税計算のため市区町村へ、法定調書は所得税法などの規定に基づき、支払内容や所得などを税務署へ報告する書類です。

  • 給与支払報告書→各市区町村、法定調書→管轄税務署
  • 対象者:前者は全従業員、後者は金額基準超のみ
  • 2026年8月に法定調書の書面様式が変更済み

Q. 提出期限はどちらも同じですか?

A. はい、両書類とも翌年1月31日(土日祝の場合は翌開庁日)です。

年末調整後に発生する給与支払報告書と法定調書(源泉徴収票・法定調書合計表など)は、名称や様式が似ているため混同されがちです。この記事では、給与支払報告書と法定調書の違いを目的・提出先・対象者・様式の観点から比較し、2026年9月時点の最新情報に基づいて解説します。

給与支払報告書と法定調書の違いは?一覧表で比較

結論として、両者の最大の違いは「誰のために」「どこへ」提出するかにあります。給与支払報告書は住民税額の計算のために市区町村へ、法定調書は所得税の確認のために税務署へ提出する書類です。まずは全体像を比較表で確認しましょう。

比較項目 給与支払報告書 法定調書(合計表)
目的 従業員の住民税額の計算 国(税務署)の所得税の確認
根拠法 地方税法 所得税法など
提出先 従業員が住む各市区町村 事業所の管轄税務署
主な書類 個人別明細書、総括表 法定調書合計表、源泉徴収票など
提出対象者 原則、全従業員 特定の条件を満たす支払先
提出期限 翌年1月31日(土日祝の場合は翌開庁日) 翌年1月31日(土日祝の場合は翌開庁日)

以下で、それぞれの違いをさらに詳しく見ていきます。

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提出する目的と根拠法の違いは?

給与支払報告書は住民税額を正しく計算するため、法定調書は国が所得を把握し所得税の申告内容を確認するために提出します。それぞれ根拠となる法律が異なる点が、目的の違いを生む理由です。

給与支払報告書は住民税額を決定するための書類

給与支払報告書の目的は、従業員一人ひとりの住民税額を正しく計算することです。根拠法は地方税法で、市区町村が課税権を持つ住民税の税額計算に必要な情報を事業者が報告する制度です。この書類は市区町村のために作成するものと認識しておきましょう。

法定調書は国税庁が支払内容や所得などを把握するための書類

法定調書の目的は、所得税法などの規定に基づき、給与や報酬、利子、配当、不動産取引などの支払内容等を税務署へ報告するための書類です。国税庁は、提出された法定調書を適正・公平な課税のために活用しています。税務署は事業者から提出された法定調書と、個人の確定申告書の内容を照合します。こちらは国税庁、つまり税務署のための書類です。

提出先の違いは?

給与支払報告書は従業員が住む市区町村ごとに、法定調書は事業所を管轄する税務署一か所のみに提出します。提出先の考え方が根本的に異なるため、混同しないよう注意が必要です。

給与支払報告書は各従業員の市区町村へ提出

給与支払報告書は、従業員がその年の1月1日時点で居住している市区町村へそれぞれ提出します。A市とB市に住む従業員がいれば、それぞれの市役所へ個別に提出が必要です。従業員の住所地を正確に把握することが欠かせません。

法定調書は事業所の管轄税務署へ提出

法定調書および法定調書合計表の提出先は、事業所の所在地を管轄する税務署一か所のみです。従業員の住所地によって提出先が変わることはありません。自社の管轄税務署を事前に確認しておけば迷うことはないでしょう。

提出対象者の違いは?

給与支払報告書は原則として全従業員が対象ですが、法定調書は一定の金額基準を超える支払先のみが対象です。この対象範囲の広さの違いが、実務上もっとも間違いやすいポイントです。

給与支払報告書は原則として全員が対象

給与支払報告書は、前年中に給与を支払った全ての従業員(役員、パート、アルバイトを含む)について提出するのが原則です。ただし多くの自治体では、年間の支払総額が30万円以下の退職者については提出を不要とする特例を設けています。この基準は自治体によって異なる場合があるため、必ず提出先の市区町村に確認してください。

法定調書は特定の条件を満たす人のみが対象

法定調書の税務署への提出は、全ての従業員が対象ではありません。年末調整を行った役員で給与支払額が150万円を超える人、弁護士・税理士等への給与で年間250万円を超える人、それ以外の一般の受給者で500万円を超える人といった、定められた基準に該当する支払先のみが対象です。

書類の様式とダウンロード方法の違いは?

給与支払報告書は「個人別明細書」と「総括表」、法定調書は「法定調書合計表」と各支払調書で構成されます。表紙にあたる書類の名称が異なるため、様式を取り違えないよう注意しましょう。

給与支払報告書の様式は総務省や市区町村から入手

給与支払報告書は、従業員一人ひとりの情報を記載する個人別明細書と、それを市区町村ごとにまとめる総括表で構成されます。様式は市区町村から送付されるか、各自治体のウェブサイトからダウンロードできます。総務省のウェブサイトでも共通様式の入手が可能です。

参考:地方税分野の主な申告手続等における様式(税目別)|総務省

法定調書は令和8年8月に書面様式が変更された

法定調書は、源泉徴収票や支払調書をまとめる表紙として法定調書合計表を用います。国税庁の案内によると、令和8年(2026年)8月に税務署提出用の法定調書の書面様式が変更されました。書面で提出する場合は、旧様式ではなく国税庁ホームページに掲載されている最新様式を使用する必要があります。

参考:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

給与支払報告書と法定調書の書き方のポイントは?

両書類とも、支払金額や控除額など年末調整の結果を転記する点が共通しています。一つの元データから、提出先に応じた二種類の書類を作成するイメージを持つとよいでしょう。どちらの書類にも、従業員本人や扶養親族のマイナンバーの記載が求められる点にも注意してください。

提出方法・提出期限はいつ、どう変わった?

提出方法は紙のほか、eLTAX(地方税ポータルシステム)やe-Tax(国税電子申告・納税システム)による電子提出が主流になりつつあります。提出期限はどちらも支払年の翌年1月31日が原則ですが、実務上は電子提出の義務化基準の変更にも注意が必要です。

紙とeLTAX・e-Taxによる提出方法

作成した書類を印刷して郵送・持参する方法に加え、給与支払報告書はeLTAXを利用した電子データでの提出が可能です。法定調書(源泉徴収票)はe-Taxにより電子データで提出できます。複数の市区町村へまとめて提出できる点も電子申告のメリットです。

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|地方税共同機構、e-Tax(国税電子申告・納税システム)|国税庁

令和9年1月から源泉徴収票の提出方法が変わる

令和9年1月1日以後、市区町村に給与支払報告書を提出した場合、一定の要件の下で、税務署に給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされる「源泉徴収票のみなし提出の特例」が始まります。この特例により、令和8年分以後の給与所得の源泉徴収票については、給与支払報告書を市区町村に提出することで、税務署への給与所得の源泉徴収票の提出が不要となります。ただし、従業員への源泉徴収票の交付は引き続き必要です。

提出期限は翌年1月31日、土日祝なら翌開庁日

提出期限は、給与支払報告書・法定調書ともに支払年の翌年1月31日です。31日が土日祝日にあたる場合は翌開庁日が期限となります。実際に令和7年分(2025年中の支払分)の提出期限は、令和8年(2026年)2月2日(月)でした。年によって実際の期日が変わる点に注意しましょう。

電子提出の義務基準が100枚から30枚へ引き下げ

令和6年度税制改正により、令和9年(2027年)1月1日以後に提出する法定調書から、e-Tax等による電子提出の義務基準が「前々年の提出枚数100枚以上」から「30枚以上」に引き下げられます。判定は法定調書の種類ごとに、前々年(令和7年=2025年分)の提出枚数で行われるため、これまで書面提出で済んでいた企業も対象になる可能性があります。

参考:No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務|国税庁

令和8年9月のシステム更改に伴うe-Tax停止と様式変更

国税庁の案内によると、国税システムの更改に伴い、令和8年9月19日から24日まで、および26日にe-Taxが停止する予定です。あわせて申告書等の控用が廃止され配色が白黒に変更されるほか、納付書や所得税徴収高計算書の「整理番号」欄が「お問い合わせ番号」欄に変わるなど、実務に直結する様式変更が予定されています。直前に変更される可能性もあるため、提出時期が近い場合はe-Taxホームページで最新のメンテナンス情報を確認してください。

給与支払報告書と法定調書の違いを理解して手続きを進めましょう

給与支払報告書と法定調書は、どちらも年末調整後の重要な手続きですが、目的と提出先が明確に異なります。給与支払報告書は住民税計算のため各市区町村へ、法定調書は所得税確認のため管轄税務署へ提出する書類です。加えて2026年は法定調書の様式変更や電子提出義務化基準の引き下げなど制度面の動きもあるため、最新情報を確認しながら手続きを進めましょう。


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