- 更新日 : 2024年4月19日
組織図とは?作り方やルールを参考例を用いて解説!
大手企業のホームページを見ると、一般的には会社概要の中に組織体制の項目を設け、組織図を掲載しています。
閲覧者はその企業の内部構造や役割分担が一目でわかるため、企業イメージの向上にもつながります。
本稿では組織図の種類の他、作り方や作成ツールなどについて解説します。
目次
組織図とは?
組織図の目的や必要性について、あらためて確認しておきましょう。
組織図の目的
組織図(Organization chart)とは、企業や行政機関などの組織の内部構造を図で示したものです。部門や部署などの役割分担や、指揮命令系統が一目でわかるよう階層的に図示されています。
組織図には社外向けのものと社内向けのものがありますが、前者は取引先や株主、あるいは市民などのステークホルダーに組織体制の情報を提供するために作成されます。
後者は従業員に組織の構成、役割分担を認識させることが主な目的です。最近は、各部門や部署に所属する従業員の人事情報とリンクするサービスも活用されています。
組織図の必要性
通常、企業のホームページには所在地や従業員数などの企業情報が記載されています。
組織体制もその一つです。その企業にどのような部門や部署があり、どのような役割を担っているのかは、その企業に関心を持つ消費者や取引先、株主、投資家にとって重要な情報といえます。
組織図では組織体制が階層的に示されているため、閲覧者は一目で把握できます。組織図が開示されていることで信頼性だけでなく、企業イメージの向上にもつながります。
行政機関であれば、組織図があれば部門や部署とそれぞれの役割分担がわかり、住民が適切なサービスを受ける上で大いに役立ちます。
従業員にとっては、自分たちが所属する組織の部門や部署の役割分担と指揮命令系統を組織図で熟知しておくことは不可欠であり、一般的には入社時の研修で学習します。
組織図を作成するメリット
取引先や従業員にとって必要な組織図ですが、作成することのメリットを見てみましょう。
人材配置の際に使える
組織図では、企業の部門や部署などが階層的に図示されます。それぞれの役割分担が可視化されるため、事業計画を踏まえた人員計画を立てて適材適所の配置を検討する際に役立ちます。
組織図と従業員の氏名・顔写真・経験・保有スキルなどの情報をシステムと連携できるサービスもあり、配置転換などで有効に活用することができます。
部署の新設・統合の検討に使える
事業の拡大とともに新しい部署を新設することもあれば、市場の縮小などによって既存の部署を統合することもあります。
その際に組織図から現状の体制を把握することで、部署の新設・統合のイメージをつかみやくなります。
新しい部署を設けるべきか、どの部署と統合するべきかといった組織編成の最適化に役立ちます。
各従業員の役割理解や事業理解に使える
一般的に大手企業などでは新入社員研修において、その企業の組織図を提示して事業概要を学ばせます。
部門や部署の編成だけでなく、求められる役割を理解させる上でも組織図の果たす役割は大きいといえるでしょう。
部署間連携の際に使える
新規事業を展開する場合、単独の部署だけでなく、他の部署と連携することが効率的であるケースもあります。
組織図では各部署の役割分担が明らかにされているため、どの部署と連携させるべきかを検討する際に活用することができます。
指揮命令系統の明確化に使える
組織論には「命令一元化の原則」があります。組織の秩序を維持し、効率的に業務を遂行するためには、指揮命令系統を一元化すべきであるという原則です。
複数の上司が命令を出して現場が混乱することがありますが、組織図では指揮命令系統が明らかにされているため、こうした事態を回避する上でも有効です。
組織図の種類
組織図は、組織形態の種類によって異なります。代表的な組織形態としてはピラミッド型、フラット型、マトリックス型、事業部制型、機能別型があります。
ピラミッド型
伝統的な組織形態であり、軍隊に代表される直系組織です。指揮命令系統が明確であるため、秩序を維持しやすいという特徴があります。
その反面業務が縦割りとなり、横の連携が取れないため非効率になりがちです。
フラット型
ピラミッド型と同様の直系組織ですが、階層が少ない平らな組織形態です。
経営と現場が直接結びついており、指揮命令のトップダウンと情報のボトムアップが迅速になるという特徴があります。
マトリックス型
エリア別、製品別、プロジェクト別など、異なる機能を縦軸と横軸で組み合わせた組織形態です。
グローバル企業の場合、エリア別と製品別の組み合わせで組織図を描くことができます。エリア単位で支店を設けて責任者を配置しながら、製品ごとにエリア横断的に管理するため、製品単位の事業責任者が置かれます。
グローバルに事業を展開しながら、各エリアにも効率よく対応できるというメリットがあります。
事業部制型
経営層の下に、商品・サービスごとに編成された組織(事業部)を配置した組織形態です。
各事業部の業務内容が明確に異なる場合に適しています。経営戦略などの判断は経営層が行いますが、事業ごとの活動はそれぞれの「開発部」「製造部」「営業部」などが独立して遂行します。
事業部ごとに迅速な意思決定ができるというメリットがあります。
機能別型
開発、製造、営業、総務などの機能別に編成された組織形態です。事業内容が単一で、製品の種類が少ない中小企業に適しています。
機能単位で編成されており、各部門の役割が明確であることから専門性を高めやすいため、生産性の向上が期待できます。
組織図の作り方
代表的な5つの組織形態を紹介しましたが、組織として事業を行っていれば、いずれかに該当すると考えられます。
実際に組織図を作成する際は、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
目的を決める
組織図は消費者や取引先など外部向けのものと社内向けのものがあるため、まずはどちらを作成するのかを決める必要があります。
さらに、社内向けの場合は人員の配置転換に活用するのか、従業員間のコミュニケーション活性化を図るのか、といった目的も明確にしておくことが大切です。
組織図の対象範囲を決める
組織図には部門、部署、役職など、組織の構成要素を描くことになります。
どこまで組織図に盛り込むかは、作成する目的によって変わります。外部向けであれば、部署(部・課・係)あるいは役職までというケースが一般的でしょう。
一方で社内向けの場合、人材マネジメントやコミュニケーション活性化に活用するのであれば、従業員名や顔写真まで載せることも検討する必要があります。
各関係者の情報を集める
組織図を社内向けとし、対象範囲を従業員の人事情報にまで広げる場合は、人事部門と連携することになります。
氏名や生年月日、出身地、保有スキルなどの情報は人事部門が把握しているため、どこまで掲載するのか協議した上で情報を収集します。
組織図の種類を決める
組織図の種類は、自社の組織形態によって決まります。
組織形態は経営戦略と密接に関わっているため、経営層の判断で決めるのが通常ですが、あらためて自社の実態を確認しておきましょう。
組織図は対外的には会社の顔ともいえる役割を果たすため、経営層の判断を仰ぎながらピラミッド型、フラット型、マトリックス型、事業部制型、機能別型などの中から適切な組織図を選びます。
作成を開始する
組織図の種類を決めたら、組織の構成要素を組織図に落とし込みます。
作成にあたっては、テンプレートや作図ツールを活用するとよいでしょう。
組織図のテンプレート – 無料でダウンロード
効果的な組織運営には、組織構造の明確にすることが重要です。この組織図テンプレートを活用することで、部門間の関係性や指揮命令系統を視覚的に把握できます。
組織図の作成にはテンプレートの活用が便利です。すぐに活用できる項目が記載されておりますので、内容を書き換えるだけでかんたんに作成できます。
ぜひこのテンプレートをダウンロードして、ご活用ください。
組織図の作成に使えるツール
組織図を作成するツールはたくさんありますが、ここではパワーポイント、エクセル・スプレッドシート、タレントマネジメントシステムの3つを紹介します。
パワーポイント
パワーポイント(PowerPoint)では、SmartArtを使えば組織図を簡単に作成することができます。
SmartArtは複数の図形を組み合わせて、情報の相互関係をわかりやすく図解してくれる機能です。
ダイアログボックスの「階層構造」から「組織図」のレイアウトを選択し、テキストウィンドウに部門名や部署名などを入力して作成します。
エクセル・スプレッドシート
SmartArtは、エクセル・スプレッドシートでも利用できます。「挿入」 タブ →「SmartArt」 の順に選択し、「階層構造」グループから使いたい組織図のレイアウトを選択します。
その後、テキストウィンドウに部門名や部署名などを入力します。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムは人事情報を一元管理し、必要な情報を可視化するシステムです。
組織図の作成機能があれば、従業員の氏名・顔写真・経験・保有スキルなどの人事情報システムと連携させることもできます。
複数の開発会社からサービスが提供されていますが、本来は人事情報管理と人材開発を主目的とするものであるため、経営層と人事部門が中心となって選ぶ必要があります。
組織図作成のポイント
組織図を作成する際は、構成要素である部門や部署などの名称を入れることになりますが、どこまで名称を記載するべきでしょうか。
各部署の人の名前は必ず入れる
外部向け、内部向けともに、部門名の記載は必須です。組織図に部署(課や係など)も図示する場合は、同様にその名称を記載する必要があります。
各部署の人の役職名も入れる
外部向けであれば、部門と部署の名称まで記載すると組織形態を理解しやすくなります。
内部向けとして作成し、従業員が指揮命令系統を明確に把握するためには、役職名まで記載するほうがよいでしょう。
業務上のトラブルが発生した場合の連絡網として利用する場合は、役職者の氏名と連絡先も記載することになります。
組織図の作り方・ルールについて知っておこう!
組織図の目的や種類、作り方、作成ツールなどについて解説しました。
外部のステークホルダーの信頼性向上と企業イメージ向上において、組織図は重要な役割を担っています。
社内においては、組織図によって役割分担と指揮命令系統を明確にすることができます。
「まだ組織図がない」という場合は、この機会に作成することをおすすめします。
よくある質問
組織図とは何ですか?
企業や行政機関などの組織の内部構造を図で示したものです。詳しくはこちらをご覧ください。
組織図を作成する際に役立つツールを教えてください。
パワーポイント、エクセル・スプレッドシート、タレントマネジメントシステムなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
働き方改革の目的は?概要や具体的な取り組みをわかりやすく解説!
働き方改革は、第4次安倍内閣時代の2017年3月28日、総理が議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まった「働き方改革実現会議」において働き方改革実行計画として決定されました。2018年7月6日には、「働き方改革関連法」として成立、…
詳しくみる特別休暇とは?給料は支払われる?種類や日数も解説!
労働者に与える休暇のうち、法定休暇とは別に企業が任意で付与する休暇を特別休暇と言います。企業は特別休暇の種類や付与日数、給料支払いの有無などについて自由に設定でき、無給としても問題ありません。 代表的な特別休暇には病気休暇や慶弔休暇、裁判員…
詳しくみる年次有給休暇の取得義務化~企業がとるべき対応策~
現行の年次有給休暇の概要と取得義務について 年次有給休暇とは、労働者の心身疲労回復や労働力の維持はもちろん、ゆとりのある生活を目指して所定休日以外に一定の休みを付与する制度です。年次有給休暇は労働基準法第39条で定められた労働者の権利であり…
詳しくみるタイムカードの押し忘れ対策を解説!打刻忘れを防ぐには?
従業員にタイムカードの押し忘れが多く、注意しても改善されないのは何が原因でしょうか? タイムカードの押し忘れは給与計算作業に影響を与え、給与計算担当者の負担も大きくなります。また、従業員の正確な労働時間の把握が困難になり、労務管理にも支障が…
詳しくみる労働基準監督署の調査について – 対応方法や罰則
厚生労働省の出先機関である労働基準監督署(労基署)は、企業が労働基準に関する法令に則った運営を行っているか調査を行います。労基立ち入り調査は抜き打ちで行われることがほとんどです。当記事では、労基署の調査の概要や調査内容、取るべき対応について…
詳しくみる月平均所定労働日数とは?実労働時間との違いや計算方法を解説!
所定労働日数は、就業規則や雇用契約であらかじめ定められている労働日数で、月平均所定労働日数は、所定労働日数を1ヶ月ごとに平均した日数です。所定労働日数の決め方は、毎年の年間休日の日数によって変わります。 今回は、月平均所定労働日数の計算方法…
詳しくみる